chuchu 短編
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今日も蒼と一緒に撮影だ。
「光!」
「蒼、どうしたの」
「今日彼氏が迎えに来るからさ、紹介させてよ」
蒼の彼氏が来る…?
実際に会ったらどんな奴か一度見定めたいと思っていた。そりゃ、会うしかないだろう。
「いいよ。最後の撮影終わったら待ってるね」
最後の撮影とは、蒼単体の撮影。
タカヤとやらに会ったら何を聞こうか。
何から言うべきか。
……
……
「お疲れ様でしたー!」
蒼の撮影が終わった。ついに、ついに。
「タカヤ下で待ってるって!行こ!」
蒼が僕の服の袖を掴んで駆け足で階段を下っていく。そんなに待ち遠しいんだ……。
「蒼!」
「タカヤ!」
蒼の手は僕から離れ、タカヤの手に触れる。
「タカヤ!子供の頃からよく一緒に撮影してる光!
光!こちら私の彼氏です…ふふ。タカヤです」
そんな照れ笑い、見たことない。
「星野光です……蒼とは『ずっと一緒に』撮影してます」
「……阿部隆也です。『蒼の彼氏』です。蒼のアルバムで小さい頃の写真も見たことあります」
"タカヤ"は僕よりも10cmくらい背が低い。自然と僕が見下ろすかたちになる。それでもタカヤの目力は強く、堂々としている。
「蒼のどこに惹かれたんですか」
「ちょ、光!何聞いてんの!」
「…まっすぐで野球もモデルも一生懸命で、俺のことを第一に考えてくれるところです」
蒼と同じことを言っている。
「蒼、知名度あがってますけど、ちゃんと守っていけるんですか」
「……さすがに24時間体制ってのは無理だけど、できる限りそばにいるつもりです」
「タカヤ…!!」
蒼がタカヤの手をぎゅっと握る。
「僕なら一緒の仕事をして、一緒の家に住んで、ほぼ24時間同じ時間を共にして、蒼に子供が出来ても養えるだけの収入が今既にあるけど、それを超えるだけの器量が君にはありますか?」
「光……」
「星野さん、でしたっけ。あなたにそれだけの器量があってオレになくても、決めるのは蒼です。あなたじゃない」
「そ、そうだよ光!突然冗談みたいなこと言って…びっくりさせないでよ…」
冗談じゃない、といえば君は僕を選んでくれるんだろうか。
答えは否だろう。
きっと蒼はこれから先も僕のことを好きにならない。タカヤに対する目は、もっとずっと優しくて、口元も綻んでいて、見たことない表情ばかりする。
「蒼とは小さい頃から一緒にいたから、兄妹みたいな感覚でちゃんとした彼氏なのか心配してただけだよ」
「な、なんだぁ!ビックリさせないでよ!」
「蒼、ちょっと僕ら男二人にさせてくれる?」
「え?うん、じゃーあそこの角で待ってるね!」
蒼は僕たちの元から離れていった。
「急だけど阿部くん、僕は10歳の頃から蒼のことが好きだった。彼女の好きなもの、嫌いなもの、趣味、なんでも知り尽くしている。
野球にドップリハマってるのも知っている。でもそれは一時の娯楽だ。蒼は大学を卒業したらモデルの道を歩むだろう。もっと有名になるはずだ。テレビにも出るかもしれない。
そんな彼女にも釣り合う努力を君はしているか?僕は先を見て彼女に釣り合うようモデルの仕事を続けている。今の蒼なら君とも対等でいられるかもしれない。
でも将来はどうだ?君は蒼に釣り合う男でいられるか?」
「……だらだら説教じみたこと言ってるけど、結局決めるのは蒼だ。俺じゃない。あんたでもない。
釣り合うとか釣り合わないとかそんなことはどうでもいい。蒼はオレのことを一番に考えてくれている。オレも蒼のことを一番に考えている。だから結ばれた。
オレ達は15年の時を経て邂逅した、ただそれだけだ。
あんたが10歳から好きだったからなんだって言うんだ。
気持ちを押し殺してた自分を恨めよ。傍迷惑だ」
タカヤはそう言って蒼の元へ走っていった。
確かに、確かにタカヤの言うことは正しいのかもしれない。でも、じゃあ、僕の感情はどこに置いてきたらいい?結ばれることもない、叶わない恋をずっとしていて、告白することも怖くて出来ない。この先もモデルとして二人になることはあるだろう。でもずっとこの気持ちを内に秘めたまま僕は蒼と一緒にいられるだろうか?
…………。
決心するしかない。
ーーー翌日。
「蒼」
「あ!光!今日もよろしくね!」
「蒼、撮影前で申し訳ないけど、話があるんだ」
「ん?どうした?」
「あのさ、僕さ…ずっと、
ずっと蒼が好きだったんだ」
「…………そんな気はしてたよ」
「え…?」
「光と撮影してて、2年くらい前かな?それくらいから、意識されてるのかなって思って。思い違いだったら普通に恥ずかしいから言えなかったけど、なんとなく気づいてたよ」
「じゃあ、2年前に告白していたら、僕のこと選んでた?」
「……わからないけど、もしかしたら可能性はあったかもね。私男の人と長く関わってたの光くらいだし」
ーーー涙が溢れた。どうして、過去の僕、どうして気持ちを伝えなかったんだ。10歳の頃意識してたと言われ、2年前には気持ちに気づかれていて、付き合える可能性があって……。撮影前なのに、涙と嗚咽が止まらない。
「ごめんね。これからもモデル、二人で頑張ろ」
拒絶されなかった。撮影は一緒にしてくれると言ってくれた。
それだけでも嬉しかった。
「光くーん、メイクするよ……どうしたの?!なんで泣いてるの?!」
「すみません、死んだおばあちゃんのこと思い出して泣いてました……」
「光の目冷やしたいんで、氷持ってきてもらえますか?」
「うん!ちょっとまってて〜!」
「光、泣かせてごめんね。気持ちにも答えられなくてごめん。でも光のこと、今もちゃんと好きだよ……親友として傍にいさせてほしい」
僕の叶わなかった恋、相手に想いを伝えることは叶った。報われなかったけど、それでもなんだか晴れやかな気持ちになった。
「……うん…ありがとう、蒼。ありがとう…」
神様、今、今の僕はこれで満足です。
ただ、来世は蒼と結ばれるようにお願いします。
これからも二人で頑張っていこう。
良き仕事仲間として、
良き親友として。
「光!」
「蒼、どうしたの」
「今日彼氏が迎えに来るからさ、紹介させてよ」
蒼の彼氏が来る…?
実際に会ったらどんな奴か一度見定めたいと思っていた。そりゃ、会うしかないだろう。
「いいよ。最後の撮影終わったら待ってるね」
最後の撮影とは、蒼単体の撮影。
タカヤとやらに会ったら何を聞こうか。
何から言うべきか。
……
……
「お疲れ様でしたー!」
蒼の撮影が終わった。ついに、ついに。
「タカヤ下で待ってるって!行こ!」
蒼が僕の服の袖を掴んで駆け足で階段を下っていく。そんなに待ち遠しいんだ……。
「蒼!」
「タカヤ!」
蒼の手は僕から離れ、タカヤの手に触れる。
「タカヤ!子供の頃からよく一緒に撮影してる光!
光!こちら私の彼氏です…ふふ。タカヤです」
そんな照れ笑い、見たことない。
「星野光です……蒼とは『ずっと一緒に』撮影してます」
「……阿部隆也です。『蒼の彼氏』です。蒼のアルバムで小さい頃の写真も見たことあります」
"タカヤ"は僕よりも10cmくらい背が低い。自然と僕が見下ろすかたちになる。それでもタカヤの目力は強く、堂々としている。
「蒼のどこに惹かれたんですか」
「ちょ、光!何聞いてんの!」
「…まっすぐで野球もモデルも一生懸命で、俺のことを第一に考えてくれるところです」
蒼と同じことを言っている。
「蒼、知名度あがってますけど、ちゃんと守っていけるんですか」
「……さすがに24時間体制ってのは無理だけど、できる限りそばにいるつもりです」
「タカヤ…!!」
蒼がタカヤの手をぎゅっと握る。
「僕なら一緒の仕事をして、一緒の家に住んで、ほぼ24時間同じ時間を共にして、蒼に子供が出来ても養えるだけの収入が今既にあるけど、それを超えるだけの器量が君にはありますか?」
「光……」
「星野さん、でしたっけ。あなたにそれだけの器量があってオレになくても、決めるのは蒼です。あなたじゃない」
「そ、そうだよ光!突然冗談みたいなこと言って…びっくりさせないでよ…」
冗談じゃない、といえば君は僕を選んでくれるんだろうか。
答えは否だろう。
きっと蒼はこれから先も僕のことを好きにならない。タカヤに対する目は、もっとずっと優しくて、口元も綻んでいて、見たことない表情ばかりする。
「蒼とは小さい頃から一緒にいたから、兄妹みたいな感覚でちゃんとした彼氏なのか心配してただけだよ」
「な、なんだぁ!ビックリさせないでよ!」
「蒼、ちょっと僕ら男二人にさせてくれる?」
「え?うん、じゃーあそこの角で待ってるね!」
蒼は僕たちの元から離れていった。
「急だけど阿部くん、僕は10歳の頃から蒼のことが好きだった。彼女の好きなもの、嫌いなもの、趣味、なんでも知り尽くしている。
野球にドップリハマってるのも知っている。でもそれは一時の娯楽だ。蒼は大学を卒業したらモデルの道を歩むだろう。もっと有名になるはずだ。テレビにも出るかもしれない。
そんな彼女にも釣り合う努力を君はしているか?僕は先を見て彼女に釣り合うようモデルの仕事を続けている。今の蒼なら君とも対等でいられるかもしれない。
でも将来はどうだ?君は蒼に釣り合う男でいられるか?」
「……だらだら説教じみたこと言ってるけど、結局決めるのは蒼だ。俺じゃない。あんたでもない。
釣り合うとか釣り合わないとかそんなことはどうでもいい。蒼はオレのことを一番に考えてくれている。オレも蒼のことを一番に考えている。だから結ばれた。
オレ達は15年の時を経て邂逅した、ただそれだけだ。
あんたが10歳から好きだったからなんだって言うんだ。
気持ちを押し殺してた自分を恨めよ。傍迷惑だ」
タカヤはそう言って蒼の元へ走っていった。
確かに、確かにタカヤの言うことは正しいのかもしれない。でも、じゃあ、僕の感情はどこに置いてきたらいい?結ばれることもない、叶わない恋をずっとしていて、告白することも怖くて出来ない。この先もモデルとして二人になることはあるだろう。でもずっとこの気持ちを内に秘めたまま僕は蒼と一緒にいられるだろうか?
…………。
決心するしかない。
ーーー翌日。
「蒼」
「あ!光!今日もよろしくね!」
「蒼、撮影前で申し訳ないけど、話があるんだ」
「ん?どうした?」
「あのさ、僕さ…ずっと、
ずっと蒼が好きだったんだ」
「…………そんな気はしてたよ」
「え…?」
「光と撮影してて、2年くらい前かな?それくらいから、意識されてるのかなって思って。思い違いだったら普通に恥ずかしいから言えなかったけど、なんとなく気づいてたよ」
「じゃあ、2年前に告白していたら、僕のこと選んでた?」
「……わからないけど、もしかしたら可能性はあったかもね。私男の人と長く関わってたの光くらいだし」
ーーー涙が溢れた。どうして、過去の僕、どうして気持ちを伝えなかったんだ。10歳の頃意識してたと言われ、2年前には気持ちに気づかれていて、付き合える可能性があって……。撮影前なのに、涙と嗚咽が止まらない。
「ごめんね。これからもモデル、二人で頑張ろ」
拒絶されなかった。撮影は一緒にしてくれると言ってくれた。
それだけでも嬉しかった。
「光くーん、メイクするよ……どうしたの?!なんで泣いてるの?!」
「すみません、死んだおばあちゃんのこと思い出して泣いてました……」
「光の目冷やしたいんで、氷持ってきてもらえますか?」
「うん!ちょっとまってて〜!」
「光、泣かせてごめんね。気持ちにも答えられなくてごめん。でも光のこと、今もちゃんと好きだよ……親友として傍にいさせてほしい」
僕の叶わなかった恋、相手に想いを伝えることは叶った。報われなかったけど、それでもなんだか晴れやかな気持ちになった。
「……うん…ありがとう、蒼。ありがとう…」
神様、今、今の僕はこれで満足です。
ただ、来世は蒼と結ばれるようにお願いします。
これからも二人で頑張っていこう。
良き仕事仲間として、
良き親友として。