「一ノ瀬いるか？」
モモエコーチからのお呼び出しだ。

「はい！」

「120台から132km投げたらしいな。すごいじゃないか」

「あー、あのとき記憶喪失になりまして、投げ方は体が覚えてたんで投げてみたら130とちょっとでました」

「女子スカウトがそろそろうちにくるだろうなぁ」

「選手でもないわたしをですか？」

「そりゃあんだけのスピードとこんだけの球種があればスカウトしない方がおかしいでしょ。どこうけるの？」

「まだ決めてみません。調べに行くつもりではあります」

「自ら調べに行くのか。早い方がいかもね」

「さっ今日はミーティングおわり！自主練する人は片付けしてってね！」

「タカヤ、さっそくだけど調べて大学の偵察に行こう。」

「あー、あしたグラウンド整備で休みだから丁度いいかもな。ちょっとしらべてみるか」



「実は目処ついてるんだ。あんまり遠くなくて一緒に野球やれるとこ」

「はあ？おまえいつそんなことしてたんだよ」

昼休みとか？

お前はよ〜
と、タカヤはあたまをくしゃくしゃしてきた。
最近よくくしゃくしゃされる。

私と同じ大学、男子野球もやってるの！公式ベスト4まで行ったんだって！強いじゃん！」

「アリかもな...」

「タカヤと同じ大学だね！」

「とりあえず高校野球を満喫してからな。次の休みに行ってみよう」

「はーい」

こうしてタカヤと蒼の野球偵察がはじまった