蒼が目を覚まして10日もたった。
オレは毎日蒼の様子を見に行った。


「きた！ちかん！へんたい！」
ぬいぐるみや食器を投げて、一行に俺を受け入れられないようだ。
さすがに心折れる...

つーか子供みたいだ...

「蒼、榛名くんよ」

「知らない！お母さん、この人誰！」

「いいすよ、お母さん。思い出すまで頑張りますから」

「ほんとに...ごめんなさいね...」

記憶喪失は一時的なものだ、だから大丈夫だと自分に言い聞かせる。

「榛名？女みたいな名前！」

「苗字だよ、バカ。
もーいーから...記憶なくなったままでいいから...俺と付き合ってたことは思い出にとっておいてくれ」

蒼が急に泣き出してしまった。

「蒼？！」

「ぐすん...」

「まさか思い出した？！」

「ごめん...多分多くの人をひわすれてしまっている...ごめんね」

「まだもどってないのか...とりあえず俺、部活もどるから、また夕方な」

「部活...？」

「蒼わかるか？、お前は野球部のマネージャーだったんだ」

「そんなはずない...」

「お前のリストのおかげで作戦組み立てたり、みんなお前に感謝してんだ」

よくわからないが、わたしは誰かの役に立ててるらしい。

「ッ.....頭が痛い」

「あ、すまん！無理しておもいださそうとして！」

「今日はもう帰ってください」

「明日も来ていいの？！」

「私が私を知りたいのです」

「わかった！明日も来るな！沢山話そうな！」

「病院なのでしずかに」

「じゃーな！」

あの人...悪い人ではなさそうだ。

明日またいろいろきいてみよう。