春大予選の時期となった。
今回の相手はベスト32の川越北高校。そこまで強いとは言えない高校だ。

とはいえ、情報が全然集められなかったし、わたしたちのレギュラーには1年生もいる。油断はできない。

「オレすぐ交代かもしれません」

ゲンセーくんが自信なさげにレンに伝える。

パァァッという嬉しそうな顔をしたレンに「パァじゃねーよ」とユウイチローがつっこむ。

ユウイチローいわく、バックネット裏に偵察が2組いるらしい。

「あいつらにレンを知られないためにも、ゲンセーは長く投げた方がいい」

「そ、そうですね」

半分だけ理解した感じでゲンセーくんも納得し試合開始となった。

西浦の先攻、
1番のタスクくんからつないで、二死・1.3塁を埋めることができた。

今年の1年は優秀だなぁと見蕩れる。

その後ユウト、タカヤのヒットで1回から
4得点を得た。

これはビッグイニングになりそうな予感。

「ナイバッチ！」

「おー」

タカヤは落ち着きあるなぁ。

「あとは守りさえすればうちの勝ちだな」

ニヤリとするタカヤは何か考えがあるみたいだった。

頼もしいキャッチャーだ。

なんだかわたしも試合にでたくなったよ。

そう思いながら応援に混ざった。