運命の人となら
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3日間の合宿も無事終わり、今日は休みだった。
当然蒼とデートだ。
「蒼〜!」
まんまるの飴玉みたいな大きな目、俺の好みに合わせてくれたサラサラのショートヘア、服装はいつも洒落てて今日はダボッとしたオーバーオールにもこもこのアウターを来ている。可愛い。
「モトキ、おはよう」
「今日も蒼はかわいいな!」
「モトキもかっこいいよ」
くぅ〜、ポーカーフェイスでサラッと言ってくれちゃって。俺はいつもドキドキなのにかっこよすぎる。
「いつもわたしが行きたいところに行ってるから、今日はモトキが行きたいところに行こう」
「俺が行きたいところかー。うーん」
正直蒼と一緒にいられればどこでもいいし、なんだっていい。
「動物園とかどうだ?」
「いいね。そこにいこうか」
と、いうわけで電車移動。
市の動物園はとにかく安い。高校生のデートスポットにピッタリだ。
「蒼、ほんとに動物園でよかったか?」
「久しく行ってないから楽しみだよ」
「なら良かった!」
蒼が楽しみ、と言ってくれてよかった。
正直蒼の好みをあまり把握していない。
ヴィンテージショップが好きなのはわかったけど。
「蒼はさー、何するのが好きなの?」
暫く目を合わせたあと、蒼はうつむきうーんと考える。
「出かける時、何が好きとかどこが好きというよりかは、誰と行くかが大事だと思ってる」
なんか、卓越したことを言っている。
「じゃあ、俺と出かけられて良かった?」
「もちろんだよ。ていうか、その人に興味なかったら行かないし」
ぶるっと寒気がした。蒼はクールなところがあるから、こういう冷たい発言も飄々と語ることがある。そんな蒼に好かれて光栄だ...。
「蒼に好かれてよかった...」
「ふっ、なにそれ」
「おお、久しぶりに蒼の笑顔が見れたぞ」
「モトキはたまに変な事言うからね」
「それでも笑ってくれるのは嬉しいな」
蒼がもっと笑顔でいっぱいにならねーかな、どーしたらいいかな、と考えていたら降りる駅についた。
「ついたね、行こう」
いざ、2人で初の動物園!
...ライオンもトラも誰も彼もみんな寝てる。
くっそタイミングミスった。
「ふっ、あはは!みんな寝てるねっ!」
お?蒼のツボにハマったのか?これはこれでアリなのか?
「ふふ、タイミング悪かったね。ダメだ、おかしくて笑えちゃう」
「蒼がこんなに笑うとは思ってもなかった...」
「ふぅ。いや、デートで来たのにほんとにタイミング悪くて笑うしかないでしょ」
喜んでいいのかショック受けるべきなのかわかんねぇな...でも、笑ってくれた。多分今までで一番。
「俺の運が悪かったなぁ...」
「モトキのせいじゃないでしょ。あ、みて、キリンがいるよ。大きいね。まつ毛長いなぁ」
「でけぇなぁ。こっちにヤギがいるぞ、餌やれるって」
「え、やりたい。餌やり」
人参を買ってヤギに餌を与える蒼...これは...。
カシャ
撮るしかないだろう。
「ちょっと今写真撮った?やめてよー」
「思い出作りがしたいんだよ!自然体でいいだろ」
「恥ずかしいんだよー」
「蒼は可愛いから大丈夫だ!」
俺のお墨付き!というと、蒼がグイッと人参を差し出してきた。
「わたしばっかり撮られるの嫌だから、モトキも!」
「おー全然いいぞ!ほい!スマホ!いえーい」
カシャ
カシャ
カシャカシャカシャカシャカシャ
「撮りすぎじゃね?」
「いたずらにモトキのカメラフォルダをモトキだらけにした」
「俺まみれになってる...でもこれも思い出だ!消さねー!」
蒼とも、ツーショットが撮りたい。
「2人で撮ろうか」
「?!今俺が願ってたこと聞こえてた?!」
「え?いや何も聞こえてないよ」
撮ろーと言って、蒼が顔を近づけてきた。ドキドキ。
「はい、ちーず」
カシャ
「うまく撮れたかなー?」
ふたりで、写真を撮影する。
「いい感じだね。モトキにも送っておくね。」
「おう!この間のは壁紙にしてたから今回のはロック画面にするー!」
「そんなことしてるの...」
「えっ、蒼はしてねーの?!カップルだからやるもんだと思ってた...」
「...じゃあわたしもしとこうかな」
「おう!ラブラブって感じでいいな!」
「はずかしくなってきた...」
蒼が顔を赤らめる。また見た事ない表情をしてくれた。今日は蒼のリアクションが大漁だ。
「ほんとに蒼は可愛いなぁ...」
「なんもしてないけど...」
「よく見ると表情豊かじゃねーの?と思った」
「そうなんだ。自分じゃわからないよ」
「じゃあ俺がいろんな表情の蒼をカメラで撮っていこう!」
「やめてよね。ほら、次ゾウ見に行こ。ゾウなら起きてるでしょ」
「ゾウなら起きてる確定なのかよ!」
ついたらホントに起きてた...ゆらりゆらりと砂地を歩いている。
「大きいねー。踏み潰されたら即死かな」
「怖いこと言う...蒼が踏まれたら俺が助けに行く」
「ふっ...そんなシチュエーションいつくるの」
おっ、また笑った。今日の蒼はツボが浅いのかな。
「ゾウが脱走するかもしれないだろ」
「まぁ、可能性はゼロじゃないよね」
急に真面目か。まぁこうやってコミュニケーションとれるのも久しぶりだしな。合宿んときはあんま話せなかったし。
「今日があるから俺は明日も練習頑張れるよ」
「わたしもモトキみたいなカッコイイ彼氏と過ごせて嬉しいし楽しいよ」
でた、ポーカーフェイス褒め殺し。
「蒼は素直でいい子だな」
「まぁ嘘はつかないかな」
次は猿が沢山いるね。と言って、蒼と猿やら鳥やらロバやら色々見て回った。
「歩き回って疲れたー。腹減ったな」
「近くに美味しそうなカフェがあるね、そこに行こう」
Googleマップを見ながら蒼が誘導してくれた。気が利く子でもある。
「ついたね」
「おー。シンプルで無駄がないカフェだな」
「無機質で逆にオシャレだよね」
「今日の日替わりはチキンカツ...俺これにする!」
「私はパスタランチにする。先に会計済ませて席につくタイプだね」
日替わりとパスタランチお願いします。
と言って2人で会計を済ませた。
「寒かったから暖かいとここれて良かったな」
「そうだね。もうすぐお正月だもんなー」
「蒼は家族と過ごす...よな?」
「うん。そのつもり。モトキは?」
「俺もその予定だけど...初詣はさ、一緒に行かね?」
「大丈夫だよ」
「やった!約束な〜!」
年明けから蒼と過ごせるだけで縁起がいい。
はやく年末にならねぇかな〜。
「おまたせしましたー」
料理がきた。俺のは定食って感じでチキンカツに味噌汁や小鉢がついてきた。
蒼のはパスタとサラダ。
「いただきます」
「いただきまーす!」
もぐもぐ...
チキンはもも肉だ。サクッとしててジューシーでうまい。ピリ辛のタレがかかっている。
「うまいな」
「ほんと?ここ来て良かったね」
蒼が選ぶ店は当たりが多いなぁ。
「蒼のはなんのパスタだ?ミートソース?」
「ボロネーゼだよ」
「ミートソースと何が違うんだ?」
「ミートソースはボロネーゼに比べてトマトが多め、甘い味付けが多くて、ボロネーゼはソースを煮込む際のワインの量が多いんだよ」
「へー。そんな違いがあるんだな。知らなかったわ」
「まぁ、一緒だっていう人もいるから明確かどうかは定かじゃないけど」
蒼は物知りだな。俺の知らないことをなんでも知っている。頼りになる彼女だ。
食事を終え、蒼の家に行くことになった。
親御さんはいるらしいから、しっかりしないと。
「そんな気はらなくていいよ」
「緊張するんだよ」
「モトキも緊張することあるんだね」
「どういう意味だ」
「別に深い意味は無いけど。さ、中入ろー」
「おじゃまします!」
「あらーモトキくん!久しぶりねぇ!元気にしてた?」と、蒼の母親。
「なんか前よりずいぶん逞しくなったな」と、蒼の父親。
「はい!めちゃくちゃ元気です!毎日筋トレしてるので、鍛えられたんだと思います」
「それは偉いわねぇ!蒼、部屋に行くでしょう?プリン買ってあるから飲み物と一緒にもってくるわね」
「うん、ありがとう」
「では!」
階段をのぼって蒼の部屋に向かう。
ガチャ
「適当に座っていいよ」
「ふぅー。疲れたァ。結構歩いたよな」
「そうだね。いい運動になったね」
今すぐ蒼に抱きつきたいけど、親御さんが来たあとでだ。
コンコン
「開けるわよー、はいこれ、プリンと紅茶。お水欲しかったら取りに来てね」
「ありがとう」
「ありがとうございます!」
プリンが届いてから、なんだか蒼が目を輝かせてる気がする。よっぽど好きなんだろう。
「蒼〜」
ガバーッと蒼に抱きつく。
「プリンがあるからあとでね」
プリンに負けた...
「ここのプリン美味しいんだよ。昔ながらの固めのプリン」
「...おう。じゃあ、いただきます」
ほんとにうまかった。あっというまに食べきってしまった。
ゴクゴクと紅茶を飲み干す。
「もう抱きついてもいい?」
「...ん」
蒼が両手をパッと広げてくれた。
「蒼〜〜!」
あぁ、人の温もりって最高。いや、蒼の温もりが最高だ。
「朝から抱きつく時間がなくて我慢してた」
「え〜、そんなの気にしてたの」
「蒼は人目があるからだめだって言うと思って」
「確かに言うね」
「だろ?だから我慢してたんだ」
「えらいえらい」
よしよしと頭を撫でられこのままでは理性が保てないと判断して一旦離れた。
「あれ、もういいの?」
「自制が効かなくなるからな」
「なるほどね」
蒼のベッドを見ると、一冊の本が置いてあった。
「野球理論...こんなの読んでるのか?」
「監督に渡されたんだよね。役に立つかと思ってって」
「蒼はマネジだけど才能的に指導力あるからなー、監督もそれを買ったんだろ」
「読んでると面白いよ。投手理論の本も買った」
ゴソゴソと机から本を取り出す。
「これでモトキの球速を10km上げるつもり」
「おー、それができんなら、ぜひお願いしたいな」
「フォーム改造するけど大丈夫?」
「春大に間に合えば大丈夫」
「じゃあ10kmアップ目指して頑張ろ!」
おおう、なんだか蒼がやる気に満ちている。これはこれでレアだ。
この後は、2人で野球の本や動画を見たりしてまったり過ごした。
暗くなったので、俺は帰ることにした。
「ごちそーさまでした!おじゃましました!」
「またいつでもおいで〜」
「気をつけて帰ってね」
「おう!じゃあな!」
蒼んちをあとにする。
今日はいろんな蒼を見れた気がするな。
これからもっともっと色んな表情を見せて欲しい。そのために俺も彼氏として頑張らないと。
そうだ、今度サプライズになにかプレゼントしよう。本がいいかな、ぬいぐるみがいいかな。
考え出したら楽しくなってきた。
鼻歌なんか歌っちゃって、俺は自分の家に帰った。
当然蒼とデートだ。
「蒼〜!」
まんまるの飴玉みたいな大きな目、俺の好みに合わせてくれたサラサラのショートヘア、服装はいつも洒落てて今日はダボッとしたオーバーオールにもこもこのアウターを来ている。可愛い。
「モトキ、おはよう」
「今日も蒼はかわいいな!」
「モトキもかっこいいよ」
くぅ〜、ポーカーフェイスでサラッと言ってくれちゃって。俺はいつもドキドキなのにかっこよすぎる。
「いつもわたしが行きたいところに行ってるから、今日はモトキが行きたいところに行こう」
「俺が行きたいところかー。うーん」
正直蒼と一緒にいられればどこでもいいし、なんだっていい。
「動物園とかどうだ?」
「いいね。そこにいこうか」
と、いうわけで電車移動。
市の動物園はとにかく安い。高校生のデートスポットにピッタリだ。
「蒼、ほんとに動物園でよかったか?」
「久しく行ってないから楽しみだよ」
「なら良かった!」
蒼が楽しみ、と言ってくれてよかった。
正直蒼の好みをあまり把握していない。
ヴィンテージショップが好きなのはわかったけど。
「蒼はさー、何するのが好きなの?」
暫く目を合わせたあと、蒼はうつむきうーんと考える。
「出かける時、何が好きとかどこが好きというよりかは、誰と行くかが大事だと思ってる」
なんか、卓越したことを言っている。
「じゃあ、俺と出かけられて良かった?」
「もちろんだよ。ていうか、その人に興味なかったら行かないし」
ぶるっと寒気がした。蒼はクールなところがあるから、こういう冷たい発言も飄々と語ることがある。そんな蒼に好かれて光栄だ...。
「蒼に好かれてよかった...」
「ふっ、なにそれ」
「おお、久しぶりに蒼の笑顔が見れたぞ」
「モトキはたまに変な事言うからね」
「それでも笑ってくれるのは嬉しいな」
蒼がもっと笑顔でいっぱいにならねーかな、どーしたらいいかな、と考えていたら降りる駅についた。
「ついたね、行こう」
いざ、2人で初の動物園!
...ライオンもトラも誰も彼もみんな寝てる。
くっそタイミングミスった。
「ふっ、あはは!みんな寝てるねっ!」
お?蒼のツボにハマったのか?これはこれでアリなのか?
「ふふ、タイミング悪かったね。ダメだ、おかしくて笑えちゃう」
「蒼がこんなに笑うとは思ってもなかった...」
「ふぅ。いや、デートで来たのにほんとにタイミング悪くて笑うしかないでしょ」
喜んでいいのかショック受けるべきなのかわかんねぇな...でも、笑ってくれた。多分今までで一番。
「俺の運が悪かったなぁ...」
「モトキのせいじゃないでしょ。あ、みて、キリンがいるよ。大きいね。まつ毛長いなぁ」
「でけぇなぁ。こっちにヤギがいるぞ、餌やれるって」
「え、やりたい。餌やり」
人参を買ってヤギに餌を与える蒼...これは...。
カシャ
撮るしかないだろう。
「ちょっと今写真撮った?やめてよー」
「思い出作りがしたいんだよ!自然体でいいだろ」
「恥ずかしいんだよー」
「蒼は可愛いから大丈夫だ!」
俺のお墨付き!というと、蒼がグイッと人参を差し出してきた。
「わたしばっかり撮られるの嫌だから、モトキも!」
「おー全然いいぞ!ほい!スマホ!いえーい」
カシャ
カシャ
カシャカシャカシャカシャカシャ
「撮りすぎじゃね?」
「いたずらにモトキのカメラフォルダをモトキだらけにした」
「俺まみれになってる...でもこれも思い出だ!消さねー!」
蒼とも、ツーショットが撮りたい。
「2人で撮ろうか」
「?!今俺が願ってたこと聞こえてた?!」
「え?いや何も聞こえてないよ」
撮ろーと言って、蒼が顔を近づけてきた。ドキドキ。
「はい、ちーず」
カシャ
「うまく撮れたかなー?」
ふたりで、写真を撮影する。
「いい感じだね。モトキにも送っておくね。」
「おう!この間のは壁紙にしてたから今回のはロック画面にするー!」
「そんなことしてるの...」
「えっ、蒼はしてねーの?!カップルだからやるもんだと思ってた...」
「...じゃあわたしもしとこうかな」
「おう!ラブラブって感じでいいな!」
「はずかしくなってきた...」
蒼が顔を赤らめる。また見た事ない表情をしてくれた。今日は蒼のリアクションが大漁だ。
「ほんとに蒼は可愛いなぁ...」
「なんもしてないけど...」
「よく見ると表情豊かじゃねーの?と思った」
「そうなんだ。自分じゃわからないよ」
「じゃあ俺がいろんな表情の蒼をカメラで撮っていこう!」
「やめてよね。ほら、次ゾウ見に行こ。ゾウなら起きてるでしょ」
「ゾウなら起きてる確定なのかよ!」
ついたらホントに起きてた...ゆらりゆらりと砂地を歩いている。
「大きいねー。踏み潰されたら即死かな」
「怖いこと言う...蒼が踏まれたら俺が助けに行く」
「ふっ...そんなシチュエーションいつくるの」
おっ、また笑った。今日の蒼はツボが浅いのかな。
「ゾウが脱走するかもしれないだろ」
「まぁ、可能性はゼロじゃないよね」
急に真面目か。まぁこうやってコミュニケーションとれるのも久しぶりだしな。合宿んときはあんま話せなかったし。
「今日があるから俺は明日も練習頑張れるよ」
「わたしもモトキみたいなカッコイイ彼氏と過ごせて嬉しいし楽しいよ」
でた、ポーカーフェイス褒め殺し。
「蒼は素直でいい子だな」
「まぁ嘘はつかないかな」
次は猿が沢山いるね。と言って、蒼と猿やら鳥やらロバやら色々見て回った。
「歩き回って疲れたー。腹減ったな」
「近くに美味しそうなカフェがあるね、そこに行こう」
Googleマップを見ながら蒼が誘導してくれた。気が利く子でもある。
「ついたね」
「おー。シンプルで無駄がないカフェだな」
「無機質で逆にオシャレだよね」
「今日の日替わりはチキンカツ...俺これにする!」
「私はパスタランチにする。先に会計済ませて席につくタイプだね」
日替わりとパスタランチお願いします。
と言って2人で会計を済ませた。
「寒かったから暖かいとここれて良かったな」
「そうだね。もうすぐお正月だもんなー」
「蒼は家族と過ごす...よな?」
「うん。そのつもり。モトキは?」
「俺もその予定だけど...初詣はさ、一緒に行かね?」
「大丈夫だよ」
「やった!約束な〜!」
年明けから蒼と過ごせるだけで縁起がいい。
はやく年末にならねぇかな〜。
「おまたせしましたー」
料理がきた。俺のは定食って感じでチキンカツに味噌汁や小鉢がついてきた。
蒼のはパスタとサラダ。
「いただきます」
「いただきまーす!」
もぐもぐ...
チキンはもも肉だ。サクッとしててジューシーでうまい。ピリ辛のタレがかかっている。
「うまいな」
「ほんと?ここ来て良かったね」
蒼が選ぶ店は当たりが多いなぁ。
「蒼のはなんのパスタだ?ミートソース?」
「ボロネーゼだよ」
「ミートソースと何が違うんだ?」
「ミートソースはボロネーゼに比べてトマトが多め、甘い味付けが多くて、ボロネーゼはソースを煮込む際のワインの量が多いんだよ」
「へー。そんな違いがあるんだな。知らなかったわ」
「まぁ、一緒だっていう人もいるから明確かどうかは定かじゃないけど」
蒼は物知りだな。俺の知らないことをなんでも知っている。頼りになる彼女だ。
食事を終え、蒼の家に行くことになった。
親御さんはいるらしいから、しっかりしないと。
「そんな気はらなくていいよ」
「緊張するんだよ」
「モトキも緊張することあるんだね」
「どういう意味だ」
「別に深い意味は無いけど。さ、中入ろー」
「おじゃまします!」
「あらーモトキくん!久しぶりねぇ!元気にしてた?」と、蒼の母親。
「なんか前よりずいぶん逞しくなったな」と、蒼の父親。
「はい!めちゃくちゃ元気です!毎日筋トレしてるので、鍛えられたんだと思います」
「それは偉いわねぇ!蒼、部屋に行くでしょう?プリン買ってあるから飲み物と一緒にもってくるわね」
「うん、ありがとう」
「では!」
階段をのぼって蒼の部屋に向かう。
ガチャ
「適当に座っていいよ」
「ふぅー。疲れたァ。結構歩いたよな」
「そうだね。いい運動になったね」
今すぐ蒼に抱きつきたいけど、親御さんが来たあとでだ。
コンコン
「開けるわよー、はいこれ、プリンと紅茶。お水欲しかったら取りに来てね」
「ありがとう」
「ありがとうございます!」
プリンが届いてから、なんだか蒼が目を輝かせてる気がする。よっぽど好きなんだろう。
「蒼〜」
ガバーッと蒼に抱きつく。
「プリンがあるからあとでね」
プリンに負けた...
「ここのプリン美味しいんだよ。昔ながらの固めのプリン」
「...おう。じゃあ、いただきます」
ほんとにうまかった。あっというまに食べきってしまった。
ゴクゴクと紅茶を飲み干す。
「もう抱きついてもいい?」
「...ん」
蒼が両手をパッと広げてくれた。
「蒼〜〜!」
あぁ、人の温もりって最高。いや、蒼の温もりが最高だ。
「朝から抱きつく時間がなくて我慢してた」
「え〜、そんなの気にしてたの」
「蒼は人目があるからだめだって言うと思って」
「確かに言うね」
「だろ?だから我慢してたんだ」
「えらいえらい」
よしよしと頭を撫でられこのままでは理性が保てないと判断して一旦離れた。
「あれ、もういいの?」
「自制が効かなくなるからな」
「なるほどね」
蒼のベッドを見ると、一冊の本が置いてあった。
「野球理論...こんなの読んでるのか?」
「監督に渡されたんだよね。役に立つかと思ってって」
「蒼はマネジだけど才能的に指導力あるからなー、監督もそれを買ったんだろ」
「読んでると面白いよ。投手理論の本も買った」
ゴソゴソと机から本を取り出す。
「これでモトキの球速を10km上げるつもり」
「おー、それができんなら、ぜひお願いしたいな」
「フォーム改造するけど大丈夫?」
「春大に間に合えば大丈夫」
「じゃあ10kmアップ目指して頑張ろ!」
おおう、なんだか蒼がやる気に満ちている。これはこれでレアだ。
この後は、2人で野球の本や動画を見たりしてまったり過ごした。
暗くなったので、俺は帰ることにした。
「ごちそーさまでした!おじゃましました!」
「またいつでもおいで〜」
「気をつけて帰ってね」
「おう!じゃあな!」
蒼んちをあとにする。
今日はいろんな蒼を見れた気がするな。
これからもっともっと色んな表情を見せて欲しい。そのために俺も彼氏として頑張らないと。
そうだ、今度サプライズになにかプレゼントしよう。本がいいかな、ぬいぐるみがいいかな。
考え出したら楽しくなってきた。
鼻歌なんか歌っちゃって、俺は自分の家に帰った。