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花井くんの号令で練習が始まる。
「今日の予定!アップ終わったらフリー!その後投内連携して昼メシ!午後は俺と阿部と志賀先生は抽選会!その他は外周と筋トレ!カントク」
「はい。今日の午後グラウンド開けてる間に工事が入ります!ライトが付くよー!!!」
おおおお、と大歓喜のメンバーたち。
「税・工事費込み89万円です。だいぶベンキョウしていただいたそうです。電気代も部費からだします。しっかり練習しよう!」
「「はい!!!」」
「それと、今日の投内連携とフリーは1年生も参加しよう。4月に入ったんで保険も適用されるわけですが、初めのうちはくれぐれもケガしないように気をつけて」
「「はい!!」」
「場合によっては春大に出場してもらうからね」
「!!!」
「戦力として欠けることがないよう、自覚もってね!」
「「はい!!!」」
ついにこのときが来たかぁ、とガッカリする水谷。
フリーバッティングはレン、堀井くん、わたしがピッチャーとしてやることになった。
カキーーーン!
「いい球だー!」
130キロの球をいとも簡単にさばくユウ。頼もしすぎる。
打ち返された堀井くんはムッとした顔をしている。
カキーーーン!
「スゲ..打つなぁ...」
(そら打つよ、ユーイチローさんだもん)
侑はユーイチローが打てないわけない、と思っている。
「中崎くんー!投げるよー!」
「あす!」
ビュンッ
ブンッ
(思ったより早いぞこの人...しかもサウスポー)
ビュンッ
カキン
「ゴロかよ...」
ビュンッ
カキーーーン
(打てた!)
「ナイバッチー!なんか投げて欲しい球あれば投げるよー!」
「何が投げれるんすか!」
「ストレート、チェンジアップ、シュート、スクリュー、ツーシーム、フォーク、シンカーだね!」
(持ち球どんだけあんだよこの人...)
「シンカーでお願いします!」
「あいよー」
グローブの利き手変えた?そういや自己紹介で両手投げって言ってたな...!
「いくよー」
ヒュッ
グインッ
(けっこう曲がっ..落ち...くっ)
カスッ
「もういっちょー」
ヒュッ
グインッ
カスッ
「すんません!やっぱストレートでお願いします!」
(今の俺にはこの人から変化球を打ち取るのは無理だ...)
「あいよー」
その後もフリーバッティングは続いた。
ブン
パシッ
「...あの、俺、捕ってもいいですか?!」
千隼が打つのではなく捕りたいと言う。
いんじゃね、という阿部にいーけどケガすんなよ?!という花井。
防具をつけてきた千隼にレンはあっぷあっぷしている。
「お願いします!」
ビュンッ
ビッ
ボールがミットの恥で弾かれた。
「突き指すんなよ!」とタカヤ。
「はい!」
ビュンッ
ビッ
「千隼!ミット動かすな!目は開いとけ!」
「はい!」
(ってもこの球...)
ビュンッ
バシィッ
「わっ、え」
ビュンッ
パァンッ
ビュンッ
パァンッ
(高校生ってこんなコントロールいいわけ?
いくらバッピだからって、全部ど真ん中!)
一方堀井は、バンバン打たれる度に頭に血が上って気合いを込めて投げまくっていた。
投内連携は改めて1年にもやりかたを教えて実施することとなった。みんなそれぞれつきたいポジションにつく。投手はレンと堀井くんだけ。
「走塁レベルC!ノックは常に意識して!レベルCは一塁まで5秒!無死走者なし!」
ビュンッ
コンッ
パシッ、ビュンッ
「アウトー!」
「??」
「ご、5秒以内だったらアウトっていう、みんなで」
「堀井くん!リズム崩さないで!」
「はは、はい!レンさん、ありがとうございます!」
コンッ
パシ
アウトー!
しばらく5秒のノックが続いた。
「レベルB!一塁まで4秒!」
「はい!!!」
コンッ
バッ
「アウトー!」
コンッ
バッ
「アウトー!」
バッ
ピッ
「おっと」
「セーフ!」
コンッ
バッ
「アウトー!」
「やり直さないんすね」古賀が不思議そうに田島に聞く。
「おう、セーフはセーフでおっけ」
「ちょっと気が楽になりました。内野やったことないすもん」
「投内連携は確認作業だから」
「カクニン...」
「捕ってからじゃなくて捕るまでの時間が大事なんだ」
巣山チームも同様の説明をする。
「俺が捕ってから投げて一塁に行く時間はだいたい決まってるわけ。だからアウトできるかどうかは捕って投げることじゃなくて捕るまでの時間で決まるんだよ」
「たしかに...!」
「そこを体感するまでの練習だから、捕れるか捕れないかは今はいいってことな」
「...はい」
「あとはねー、投内連携でもミスしたらもう1回ってやってたんだけど、10人だからそれでも回ってたんだよね。」
「一ノ瀬さん...なんでこんなところに」
「1年生の様子見に来た!でも2年生がしっかり説明してるから大丈夫そうだね!
でもってさっきの続きだけど、1年が入って人数倍になって、工夫しなきゃ今まで通りの練習ができないってなって、無駄にしてる時間が無いか探して、全員でミスの見守りをすることをやめたんだよ」
「なるほど」
「球捕る練習は他でみっちりやるから心配しないで!」
「頼もしい先輩だ...」
「一ノ瀬さんは本当に頼もしいんだよ。一緒にいたらわかってくると思うよ」
「...はい!」
「レベルA!一塁まで3.5秒!」
(は?...)
(3.5...?)
「1年生!3.5秒はかなり早く感じると思うけど、セーフティバントの上手い選手はそのくらいのタイムになるからね!」
「「う...はい!!」」
バッ
パシッ
「セーフ!」
タカヤの送球でもセーフかァ...。
コンッ
ヒュッ
パシッ
「セーフ!」
「おしいいい!」
さすがユウ。0コンマの差だけど反応が速い。
コンッ
次はショート
パシッ
レンが一塁に走る。
パシッ
「アウト!」
おおお、と周りがどよめく。
(三橋先輩、見かけによらずすばやい...)と、1年ズ
「1年生!秒を意識してみてどうだった?!
捕ってから投げる時間じゃなくて、捕るまでの時間が重要だってわかったかな?」
「「はい!!!」」
「じゃあ、ゲッツーいくね!今日はランナーつけるよ!どの強さの打球がどのコースにきたらゲッツーなのかしっかり覚えるんだよ!!」
「「はい!!」」
そんなこんなで、色んなパターンでみっちり練習した。
「「したー!」」
「今日は初めてだからレベルCからやったけど、明日からはBとAだけやるよ。時間も今日は説明しながらだから1時間近くかかっちゃったけど毎日やることだからね、最終的には15分で終われるように頑張ろう!」
「「はい!!!」」
(ちゅーことは、アレしてコレして4〜5秒に一球処理、二人でやっても10秒に一回、シャドーとダッシュを15分ぶっ通し...?)
堀井が三橋をまじまじと見る。
(この人今まで一人でやってたんだろか...)
〜昼休憩〜
「おつかれー」
「今日は豚丼だよー」
わああと周りが明るくなる。
「うまそお!」
「うまそう!いただきます!」
パクパクガツガツと食べていく1、2年生たち。
その後は志賀先生の食トレをし、
西浦の校歌を覚えることになった。
「浜田は2年になれたんかな」
「浜田って誰スカ」と、1年ズ
「援団やってくれる人」
「西浦って援団あるんすか?」と、侑くんが尋ねる。
「いや、浜田がやってるだけ。俺とコースケとレンと浜田で4人同クラだったから」
「へぇ〜1年生がやってたんすか?」と、侑くん。
「んでレンの幼なじみで中学んときのコースケの先輩」
「ん?話がわかんなくなってきたぞ?」と高山くん。
「先輩たち同じクラスいいっすねぇ」
「組替えしなきゃいいのになー」
(く...え...?)
「レン、どうした?」
固まったレンを見て心配になり声をかけた。
「今、ユウくん、組替えって...」
「そうだね、毎年組替えはあるみたいだよ」
ガーーーーーン
あらら、さらに落ち込ませちゃった。
「多分うまいこと野球部は振り分けてくれると思うよ!そんなしょげないで!」
「うっ、うう...」
「とりあえず校歌練習いこっか」
「うん...」
レンをよしよししながらグラウンドに行こうとすると、タカヤに手を払われた。
「そこまでしなくていーだろ」
「いや...なんか子犬に思えてきて...」
「そういう問題じゃねーんだよ」
タカヤがちょっとおこだ。
「ごめんて...代わりにタカヤがよしよししだけなよ」
「おめーはいつまでもしょぼくれてんなよっ」
よしよしどころかわしゃわしゃしていた。
グラウンドに戻る。
「ちわー」
「おーす」
「おー。ハマダー!」
ユウが浜田さんたちに気つく。
「梶山さん、梅原さんちわっす!」
さすがキャプテン、先輩の名前もしっかり覚えている。
「新入生?!わあすごい増えてるー!浜田です」
「梶山です」
「梅原です」
「「ちわっす!!」」
「浜田先輩ちわす!」
「あーお前ら入ったんだあ」
「そうか、芝たちコースケ先輩の後輩だから」
「てことは、浜田先輩も元野球部?」
「俺ら1年のときキャプテンやってた」
「え、2年でキャプテン?」
「いや...」
片倉くんと柴原くんが気まずそうになる。
「は、浜ちゃん、俺たち、もう同じクラスじゃないんだあ」
「は?」
レンの泣き顔を見てびっくりする浜田さん。
「えっ、はっ浜田さん今年も...?」 と花井くんが心配気味に聞く。
「え、何?!」
見ていられないのでわたしが説明に入る。
「大丈夫!ちゃんと2年になりました。ところで花井、埼玉は試合勝ったあと校歌斉唱しないじゃん?」
「そうすね」
「だからこれは甲子園いって歌うための練習だよな?」
「!!はい!」
「「!!!」」
ということで、校歌斉唱の練習が始まった。
まずは、浜田くんたちが聞かせてくれる。
そういえばわたしは校歌を初めて聞く。
〜〜〜♪
〜〜ああ、我らともす東雲
若き心の芽吹きと
世に響け〜〜♪
おおおー
パチパチパチ
綺麗なメロディーだなぁ。
2回浜田くんたちと一緒に歌い、
次は部員だけで歌った。
「おお、校歌だ」
グラウンドの外では、タカヤのお父さんと業者さんが来ていた。
「やあどうも!」
ちわ!
ちわー
カントクがタカヤ父の方へ向かう。
「阿部さん!お世話になります!」
話によると、今日からライトが付けられるらしい。
「花井くん!」
「はい!みんな並べ!よろしくお願いします!」
「「あす!!!」」
「はい、任せてください」
「じゃあ、私たちは一旦他へ行きますんで」
「16時頃には終わると思います。」
「そしたらお電話で?」
「はい!」
「なーなー、浜田一緒に練習?」
「の、つもりだったけど今日グラウンド使えないんか」
「筋トレと外周だよー一緒にやろうよー点灯式見てけよー」
「そうだなー体力作りやってくか」
「何?!外周?!わたしも走る!!」
「おー蒼!一緒に行こーぜー!」
抽選会組の花井くんとタカヤは抜けて、残りのメンバーで外周を走りに行く。
「西浦ー、イッチニー!」
「イッチニー!イッチニー!」
(はや!)
(このペースでどんだけ走んの?!)
(ランニングの速度じゃない)
(足が合わない〜)
苦戦している1年生たち。
小休憩を挟み、
「2週目!」ユウトが、指揮を執る。
「2週目だー!行ってきマース!」
「行ってらっしゃーい」
手を振ってくれる浜田さんに手を振り返す。
「ていうかさ、一緒に走ってるマネジは何者?男子のペースについていけて、しかもあの見た目よ」と、梅原。
「アルビノっつー特異体質で全身白く生まれたらしい。あと今はモデルさんやってて女子の間じゃ結構有名」浜田が答える。
「モデル?!まあ素質ありまくりだよな、あの見た目じゃ」梅原がなるほどなーと呟く。
「にしてもなんで一緒に走ってんだ?」梶山の言う通りである。
「田島達いわく、みんなと一緒にキツイ練習すんのが好きで、みんなと一緒にっての肝らしい。
そいで両利きの投手で、左右別々に球種もってるって」
「待て待て、情報量が多すぎておいつかん。投手って?」梅原が混乱する。
「泉が言うには西浦に編入する前は女子野球部で投手としてスタメンにでてたって。でも両利きになったのは最近で、今はバッピとかの練習に参加してるらしい」
「まじかよ。そんな凄い子がなんで西浦に?女子野球部がある高校行かなかったのかな」
「おれもそこまでは知らんけど、まー楽しそうに
練習してるらしいよ。マネジもやりながら」
「器用な子だなー」
「俺は名前知ってて、冬の期末1位とってた」
「美人で、モデルやってて、頭も良くて、野球やれて、マネジできて、両利きで、つか、男はほっとかねーんじゃねーの?」
「阿部わかるだろ?捕手の。付き合ってるんだってさー」
「マジかよ。やるな、阿部。あんな美人と付き合えて」
「マネジと言えばもう1人可愛い子いたっしょ?あの子は?」
「あー、阿部たちが付き合った後に、恋愛禁止になったらしい」
「うわ、いかにも野球部あるあるだな。それってマネジに手出すなってことだろ」
「まー、ドロドロすんのもアレだし俺はそれでいいいと思うけどな。」
話してるうちに、2週目から戻ってきた。
「浜田くんは走らないの?」
蒼が走るの楽しいよ!と声をかける。
「いやー、俺らは見てるだけでジューブン疲れる。」
「あはは、何それ」
(くっ...笑顔まぶしっ...)
「一ノ瀬ちゃんは疲れねーの?」
「疲れるけど、走れば疲れなんて吹っ飛ぶよ!」
「どういう意味!笑」
「走ったあとの達成感のほうが大きいよ!」
(だから笑顔まぶしー)
梅原さんが何か思い出した顔をした
「そういえば、1年に女神像みたいな子がいるって聞いたな」
「あはは、多分それわたしですね。自分で言うのもなんだけど」
「いや、納得したよ。本当に女神像みたい」
「褒め言葉として受け取っておきますねー」
3週目!と号令がかかって蒼も走り出す。
「ずっと眩しかったわ」
「梶山に同感。あの笑顔は刺さる」
「彼氏いるんだから狙うなよー」と、浜田
「いや、むしろ付き合うのも烏滸がましい。見てるだけでいい」
「梶山に同感」
でも、あんな美人な彼女がいたら鼻が高いよなぁ...阿部、どうやって口説いたんだろう...。
思うことは、みな同じ。
「今日の予定!アップ終わったらフリー!その後投内連携して昼メシ!午後は俺と阿部と志賀先生は抽選会!その他は外周と筋トレ!カントク」
「はい。今日の午後グラウンド開けてる間に工事が入ります!ライトが付くよー!!!」
おおおお、と大歓喜のメンバーたち。
「税・工事費込み89万円です。だいぶベンキョウしていただいたそうです。電気代も部費からだします。しっかり練習しよう!」
「「はい!!!」」
「それと、今日の投内連携とフリーは1年生も参加しよう。4月に入ったんで保険も適用されるわけですが、初めのうちはくれぐれもケガしないように気をつけて」
「「はい!!」」
「場合によっては春大に出場してもらうからね」
「!!!」
「戦力として欠けることがないよう、自覚もってね!」
「「はい!!!」」
ついにこのときが来たかぁ、とガッカリする水谷。
フリーバッティングはレン、堀井くん、わたしがピッチャーとしてやることになった。
カキーーーン!
「いい球だー!」
130キロの球をいとも簡単にさばくユウ。頼もしすぎる。
打ち返された堀井くんはムッとした顔をしている。
カキーーーン!
「スゲ..打つなぁ...」
(そら打つよ、ユーイチローさんだもん)
侑はユーイチローが打てないわけない、と思っている。
「中崎くんー!投げるよー!」
「あす!」
ビュンッ
ブンッ
(思ったより早いぞこの人...しかもサウスポー)
ビュンッ
カキン
「ゴロかよ...」
ビュンッ
カキーーーン
(打てた!)
「ナイバッチー!なんか投げて欲しい球あれば投げるよー!」
「何が投げれるんすか!」
「ストレート、チェンジアップ、シュート、スクリュー、ツーシーム、フォーク、シンカーだね!」
(持ち球どんだけあんだよこの人...)
「シンカーでお願いします!」
「あいよー」
グローブの利き手変えた?そういや自己紹介で両手投げって言ってたな...!
「いくよー」
ヒュッ
グインッ
(けっこう曲がっ..落ち...くっ)
カスッ
「もういっちょー」
ヒュッ
グインッ
カスッ
「すんません!やっぱストレートでお願いします!」
(今の俺にはこの人から変化球を打ち取るのは無理だ...)
「あいよー」
その後もフリーバッティングは続いた。
ブン
パシッ
「...あの、俺、捕ってもいいですか?!」
千隼が打つのではなく捕りたいと言う。
いんじゃね、という阿部にいーけどケガすんなよ?!という花井。
防具をつけてきた千隼にレンはあっぷあっぷしている。
「お願いします!」
ビュンッ
ビッ
ボールがミットの恥で弾かれた。
「突き指すんなよ!」とタカヤ。
「はい!」
ビュンッ
ビッ
「千隼!ミット動かすな!目は開いとけ!」
「はい!」
(ってもこの球...)
ビュンッ
バシィッ
「わっ、え」
ビュンッ
パァンッ
ビュンッ
パァンッ
(高校生ってこんなコントロールいいわけ?
いくらバッピだからって、全部ど真ん中!)
一方堀井は、バンバン打たれる度に頭に血が上って気合いを込めて投げまくっていた。
投内連携は改めて1年にもやりかたを教えて実施することとなった。みんなそれぞれつきたいポジションにつく。投手はレンと堀井くんだけ。
「走塁レベルC!ノックは常に意識して!レベルCは一塁まで5秒!無死走者なし!」
ビュンッ
コンッ
パシッ、ビュンッ
「アウトー!」
「??」
「ご、5秒以内だったらアウトっていう、みんなで」
「堀井くん!リズム崩さないで!」
「はは、はい!レンさん、ありがとうございます!」
コンッ
パシ
アウトー!
しばらく5秒のノックが続いた。
「レベルB!一塁まで4秒!」
「はい!!!」
コンッ
バッ
「アウトー!」
コンッ
バッ
「アウトー!」
バッ
ピッ
「おっと」
「セーフ!」
コンッ
バッ
「アウトー!」
「やり直さないんすね」古賀が不思議そうに田島に聞く。
「おう、セーフはセーフでおっけ」
「ちょっと気が楽になりました。内野やったことないすもん」
「投内連携は確認作業だから」
「カクニン...」
「捕ってからじゃなくて捕るまでの時間が大事なんだ」
巣山チームも同様の説明をする。
「俺が捕ってから投げて一塁に行く時間はだいたい決まってるわけ。だからアウトできるかどうかは捕って投げることじゃなくて捕るまでの時間で決まるんだよ」
「たしかに...!」
「そこを体感するまでの練習だから、捕れるか捕れないかは今はいいってことな」
「...はい」
「あとはねー、投内連携でもミスしたらもう1回ってやってたんだけど、10人だからそれでも回ってたんだよね。」
「一ノ瀬さん...なんでこんなところに」
「1年生の様子見に来た!でも2年生がしっかり説明してるから大丈夫そうだね!
でもってさっきの続きだけど、1年が入って人数倍になって、工夫しなきゃ今まで通りの練習ができないってなって、無駄にしてる時間が無いか探して、全員でミスの見守りをすることをやめたんだよ」
「なるほど」
「球捕る練習は他でみっちりやるから心配しないで!」
「頼もしい先輩だ...」
「一ノ瀬さんは本当に頼もしいんだよ。一緒にいたらわかってくると思うよ」
「...はい!」
「レベルA!一塁まで3.5秒!」
(は?...)
(3.5...?)
「1年生!3.5秒はかなり早く感じると思うけど、セーフティバントの上手い選手はそのくらいのタイムになるからね!」
「「う...はい!!」」
バッ
パシッ
「セーフ!」
タカヤの送球でもセーフかァ...。
コンッ
ヒュッ
パシッ
「セーフ!」
「おしいいい!」
さすがユウ。0コンマの差だけど反応が速い。
コンッ
次はショート
パシッ
レンが一塁に走る。
パシッ
「アウト!」
おおお、と周りがどよめく。
(三橋先輩、見かけによらずすばやい...)と、1年ズ
「1年生!秒を意識してみてどうだった?!
捕ってから投げる時間じゃなくて、捕るまでの時間が重要だってわかったかな?」
「「はい!!!」」
「じゃあ、ゲッツーいくね!今日はランナーつけるよ!どの強さの打球がどのコースにきたらゲッツーなのかしっかり覚えるんだよ!!」
「「はい!!」」
そんなこんなで、色んなパターンでみっちり練習した。
「「したー!」」
「今日は初めてだからレベルCからやったけど、明日からはBとAだけやるよ。時間も今日は説明しながらだから1時間近くかかっちゃったけど毎日やることだからね、最終的には15分で終われるように頑張ろう!」
「「はい!!!」」
(ちゅーことは、アレしてコレして4〜5秒に一球処理、二人でやっても10秒に一回、シャドーとダッシュを15分ぶっ通し...?)
堀井が三橋をまじまじと見る。
(この人今まで一人でやってたんだろか...)
〜昼休憩〜
「おつかれー」
「今日は豚丼だよー」
わああと周りが明るくなる。
「うまそお!」
「うまそう!いただきます!」
パクパクガツガツと食べていく1、2年生たち。
その後は志賀先生の食トレをし、
西浦の校歌を覚えることになった。
「浜田は2年になれたんかな」
「浜田って誰スカ」と、1年ズ
「援団やってくれる人」
「西浦って援団あるんすか?」と、侑くんが尋ねる。
「いや、浜田がやってるだけ。俺とコースケとレンと浜田で4人同クラだったから」
「へぇ〜1年生がやってたんすか?」と、侑くん。
「んでレンの幼なじみで中学んときのコースケの先輩」
「ん?話がわかんなくなってきたぞ?」と高山くん。
「先輩たち同じクラスいいっすねぇ」
「組替えしなきゃいいのになー」
(く...え...?)
「レン、どうした?」
固まったレンを見て心配になり声をかけた。
「今、ユウくん、組替えって...」
「そうだね、毎年組替えはあるみたいだよ」
ガーーーーーン
あらら、さらに落ち込ませちゃった。
「多分うまいこと野球部は振り分けてくれると思うよ!そんなしょげないで!」
「うっ、うう...」
「とりあえず校歌練習いこっか」
「うん...」
レンをよしよししながらグラウンドに行こうとすると、タカヤに手を払われた。
「そこまでしなくていーだろ」
「いや...なんか子犬に思えてきて...」
「そういう問題じゃねーんだよ」
タカヤがちょっとおこだ。
「ごめんて...代わりにタカヤがよしよししだけなよ」
「おめーはいつまでもしょぼくれてんなよっ」
よしよしどころかわしゃわしゃしていた。
グラウンドに戻る。
「ちわー」
「おーす」
「おー。ハマダー!」
ユウが浜田さんたちに気つく。
「梶山さん、梅原さんちわっす!」
さすがキャプテン、先輩の名前もしっかり覚えている。
「新入生?!わあすごい増えてるー!浜田です」
「梶山です」
「梅原です」
「「ちわっす!!」」
「浜田先輩ちわす!」
「あーお前ら入ったんだあ」
「そうか、芝たちコースケ先輩の後輩だから」
「てことは、浜田先輩も元野球部?」
「俺ら1年のときキャプテンやってた」
「え、2年でキャプテン?」
「いや...」
片倉くんと柴原くんが気まずそうになる。
「は、浜ちゃん、俺たち、もう同じクラスじゃないんだあ」
「は?」
レンの泣き顔を見てびっくりする浜田さん。
「えっ、はっ浜田さん今年も...?」 と花井くんが心配気味に聞く。
「え、何?!」
見ていられないのでわたしが説明に入る。
「大丈夫!ちゃんと2年になりました。ところで花井、埼玉は試合勝ったあと校歌斉唱しないじゃん?」
「そうすね」
「だからこれは甲子園いって歌うための練習だよな?」
「!!はい!」
「「!!!」」
ということで、校歌斉唱の練習が始まった。
まずは、浜田くんたちが聞かせてくれる。
そういえばわたしは校歌を初めて聞く。
〜〜〜♪
〜〜ああ、我らともす東雲
若き心の芽吹きと
世に響け〜〜♪
おおおー
パチパチパチ
綺麗なメロディーだなぁ。
2回浜田くんたちと一緒に歌い、
次は部員だけで歌った。
「おお、校歌だ」
グラウンドの外では、タカヤのお父さんと業者さんが来ていた。
「やあどうも!」
ちわ!
ちわー
カントクがタカヤ父の方へ向かう。
「阿部さん!お世話になります!」
話によると、今日からライトが付けられるらしい。
「花井くん!」
「はい!みんな並べ!よろしくお願いします!」
「「あす!!!」」
「はい、任せてください」
「じゃあ、私たちは一旦他へ行きますんで」
「16時頃には終わると思います。」
「そしたらお電話で?」
「はい!」
「なーなー、浜田一緒に練習?」
「の、つもりだったけど今日グラウンド使えないんか」
「筋トレと外周だよー一緒にやろうよー点灯式見てけよー」
「そうだなー体力作りやってくか」
「何?!外周?!わたしも走る!!」
「おー蒼!一緒に行こーぜー!」
抽選会組の花井くんとタカヤは抜けて、残りのメンバーで外周を走りに行く。
「西浦ー、イッチニー!」
「イッチニー!イッチニー!」
(はや!)
(このペースでどんだけ走んの?!)
(ランニングの速度じゃない)
(足が合わない〜)
苦戦している1年生たち。
小休憩を挟み、
「2週目!」ユウトが、指揮を執る。
「2週目だー!行ってきマース!」
「行ってらっしゃーい」
手を振ってくれる浜田さんに手を振り返す。
「ていうかさ、一緒に走ってるマネジは何者?男子のペースについていけて、しかもあの見た目よ」と、梅原。
「アルビノっつー特異体質で全身白く生まれたらしい。あと今はモデルさんやってて女子の間じゃ結構有名」浜田が答える。
「モデル?!まあ素質ありまくりだよな、あの見た目じゃ」梅原がなるほどなーと呟く。
「にしてもなんで一緒に走ってんだ?」梶山の言う通りである。
「田島達いわく、みんなと一緒にキツイ練習すんのが好きで、みんなと一緒にっての肝らしい。
そいで両利きの投手で、左右別々に球種もってるって」
「待て待て、情報量が多すぎておいつかん。投手って?」梅原が混乱する。
「泉が言うには西浦に編入する前は女子野球部で投手としてスタメンにでてたって。でも両利きになったのは最近で、今はバッピとかの練習に参加してるらしい」
「まじかよ。そんな凄い子がなんで西浦に?女子野球部がある高校行かなかったのかな」
「おれもそこまでは知らんけど、まー楽しそうに
練習してるらしいよ。マネジもやりながら」
「器用な子だなー」
「俺は名前知ってて、冬の期末1位とってた」
「美人で、モデルやってて、頭も良くて、野球やれて、マネジできて、両利きで、つか、男はほっとかねーんじゃねーの?」
「阿部わかるだろ?捕手の。付き合ってるんだってさー」
「マジかよ。やるな、阿部。あんな美人と付き合えて」
「マネジと言えばもう1人可愛い子いたっしょ?あの子は?」
「あー、阿部たちが付き合った後に、恋愛禁止になったらしい」
「うわ、いかにも野球部あるあるだな。それってマネジに手出すなってことだろ」
「まー、ドロドロすんのもアレだし俺はそれでいいいと思うけどな。」
話してるうちに、2週目から戻ってきた。
「浜田くんは走らないの?」
蒼が走るの楽しいよ!と声をかける。
「いやー、俺らは見てるだけでジューブン疲れる。」
「あはは、何それ」
(くっ...笑顔まぶしっ...)
「一ノ瀬ちゃんは疲れねーの?」
「疲れるけど、走れば疲れなんて吹っ飛ぶよ!」
「どういう意味!笑」
「走ったあとの達成感のほうが大きいよ!」
(だから笑顔まぶしー)
梅原さんが何か思い出した顔をした
「そういえば、1年に女神像みたいな子がいるって聞いたな」
「あはは、多分それわたしですね。自分で言うのもなんだけど」
「いや、納得したよ。本当に女神像みたい」
「褒め言葉として受け取っておきますねー」
3週目!と号令がかかって蒼も走り出す。
「ずっと眩しかったわ」
「梶山に同感。あの笑顔は刺さる」
「彼氏いるんだから狙うなよー」と、浜田
「いや、むしろ付き合うのも烏滸がましい。見てるだけでいい」
「梶山に同感」
でも、あんな美人な彼女がいたら鼻が高いよなぁ...阿部、どうやって口説いたんだろう...。
思うことは、みな同じ。