Chuchu
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「入らないのか?」
柵の外からグラウンドを覗く少年がいた。
コーチが声をかけるも、ダッシュで逃げていった。
一方、グラウンドでは
「1年生はキャッチボールをじっくりやろう、硬式出身と軟式出身に分かれて!」
「「はいっ」」
新2年 トスバッティング
新入生 キャッチボール
新2年 ベーラン
新2年 キャッチボール
新2年 投内連携
新入生 キャッチボール
新2年 フリーバッティング
「本当にあのマネジの人投げてる...」
「元はサウスポーか...」
「何気に球速くね?」
新入生 キャッチボール
「おつかれさまでーす」ちよちゃんとわたしでおにぎりを用意してきた。
「1年生は全員梅干しね、手洗ってねー 1人2個ずつ取ってね」
「レン、タカヤ、花井くんはこんぶ」
「栄口くん、泉くん、沖くんめんたいこ」
「ユウ、フミキ、シンタローはおかか」
「巣山くんは塩おにぎりでーす」
「「あざす!」」
「なんの呪文すか」武石くんが花井くんに早速聞いている。
「おにぎりの中身だ」
「1人ずつ違うんすか?スキキライ?」
「うまそお!」
「うまそお!いただきます!」
「いた、だきます!」
「スキキライじゃなくて、まぁスキキライなんだけどお前らいつから参加できんのかな」
「???」戸惑う武石くん。
「春休みはキャッチボールばっかなんかな」
「保険ないって言ってたもんね」とユウトが返す。
もう500球は投げましたよ、と古賀くんが間に入る。みんなコミュ力あるなぁ。
「俺らもキツイのに軟式からでイキナリあんな投げちゃって大丈夫すかね?」
「ケアすっから心配ない」、ユウイチローが返答する。
「軟式はうち(花井)の2人と泉ンとこと、あと中崎か」
「中崎以外誰かの後輩ってのもスゲーよな」
「ええ、そうなんスか」
「俺らの後輩は誰もこなかったね」としょげるフミキ。
「中崎はなんでウチ受験したの?」
フミキの一言でみんなが注目する。
「姉より良いとこ行きたくて」
カズトシがわかる、と反応する。
「お姉ちゃんどこなの?」
「西浦です」
「はあ、同じなの?」
ここまで聞く限り、フミキのコミュ力に驚かされる。こんなにスムーズに後輩と話せるんだ。頼りになるなぁ。
「だから...いいとこ行きたかったけど同じになったんすよ」
「ああ、わかる」とカズトシが妙に納得している。
「他の人はなんスか。勧誘とかされたんすか」中崎くんが照れながら周りに聞く。
「俺は花井さんが西浦来ればホームラン打てるようになるっていうから」と、武石くん
「ホームラン打ってみたいっす」と
「えっほんとっすかー?」
「すげー!」と盛り上がる1年。
「あー打てるよ」
自信満々に答える花井くん。さすがキャプテン。
「俺たちは泉先輩がかっこよかったんで」
「な」
と片倉くんと芝原くんが答える。
コースケは顔を真っ赤にしていた。
「おれは、通いやすさとユウトさんが誘ってくれたのと...えーとですね」
ごくり、と唾を飲み込む古賀くん。
「夏の大会の実況スレでも話題になってたんスけど、マネージャーがかわいいって」
えーっ
新入生は興味津々
「うちは恋愛禁止よ」
すかさずフミキが釘を刺す。
えっ、と新入生。
「いやべつにっ、なんもそんなこと、どーもこーもなんないすし」
花井くんが口を開く。
「まぁ俺たちはってことだから、お前らの代は縛んないけど。しのーかも俺らの代だからな」
「ほんとにそんなこと考えてませんから!そんなこともありましたっていうっ」
「恋愛とかいらんしょ、引退してからでいいっすよマジで」大之江くんが間に入ってきた。
「マネージャーはわかりますけど...部外もダメなんすか?!」うるうるする古賀くん。
「俺らはいいんだろ。篠岡先輩がダメってだけで」
「倖大お前火種になるような言い方すんな!」
高山くんが突っ込む。
「あーでも、もう1人のマネジ、蒼な。
タカヤと2人は恋愛禁止になる前から付き合ってるから特別だ」
「えーーっ!タカヤさん、あんな美人...しかもモデルと付き合ってるんですか?!」紺野がショックを隠せずにいる。
「まじあの人何もんなんですか?今日もブルペンで投げてたし、しかも両利き用のグローブで!」
「左と右で持ち玉違うんだよ。あいつはバケモンだぞ。両利きで投手ができる、コントロールもいい、頭もいい、モデルもやってる、ピアノも弾ける、美術はサイアクだけど...とにかくその辺の女と比べちゃいけねぇ。野球に恵まれて野球をするために生まれてきたような女だ。」
「タカヤ、バケモンってどゆこと?」
「へぇ〜〜!すげぇ〜!」と1年生がざわつく。
それから将来は何になりたいとか、そんな話になった。みんな意外と大学でて社会に出る準備はしてるようだ。
「でも、甲子園はそういう流れとは別もんすよ。純粋に憧れです」
大之江くんは真面目だなぁ...。
シーンと部内が静まり返る。
「ほら先輩シーンとしちゃったじゃん。こいつ喋りうまいんすよ」
その後も将来の話ややりたいポジションなど話は盛りあがっていった。
柵からまたもグラウンドを見つめる少年。
「見学かな?」
蒼が声をかけた途端、ダッシュで逃げていった。
「なんかレンみたいな子だったな...」
辺りは暗くなってきたので、素振りをして練習を終えた。
帰り道、タカヤの後輩の話になった。
「一人入ってくれたんだね」
「おー、千隼な」
「崎玉戦の敬遠、タカヤの案だって聞いてよろこんでたよ」
「あいつ捕手になりたいって言ってたな。あいつの頭で務まるかかわかんねぇけど」
「タカヤひど!笑 でもまぁ、組み立ては簡単じゃないもんね」
「そうだろ?でもまぁ、キャッチャーが面白そうだからやりたいってのは買いだな」
「ふふ、タカヤ一人でやるわけにもいかないしね。しっかり役割覚えてくれるといいね」
「おー、そういえば今日お前ん家親いるの?」
「今日は夜勤でふたりともいないよー」
「おー...泊まろうかなあ」
「え!来て来て!」
「じゃあすまんけど、洗濯機借りるな」
「うんうん!スーパー寄って買い物しよう!」
「今日は何作るんだ?」
「油淋鶏と中華卵スープだよ!」
「中華か。おまえそんなのも作れるんだな」
「1回レシピ見て作ったら覚えるからね」
「お前の脳みそどうなってるか調べてみたいよ」
「ははっ、それはわたしも一緒。タカヤの脳内が知りたいよ。きっと野球まみれだ」
スーパーに寄って、一通り材料を買って家に辿り着いた。
「料理できるまで好きにしててー」
「お前の後ろ姿見てる」
「ぶ、なにそれ」
髪をポニーテールに結ぶ蒼。あー、うなじ、いいなぁ...。
席を立ち、オレも手伝うと言って蒼をうしろから抱きつく。
「それは手伝うんじゃなくて邪魔してるんだよ!」
仕方なく、蒼の隣に立つ。
「じゃあ、ネギをみじん切りにしてほしい」
「やり方が分からねぇ...」
「...じゃあ、もも肉に片栗粉まぶして揚げて」
「この鍋に突っ込んだらいいんだな?」
「そうそう」
タカヤは不慣れそうにもも肉に片栗粉をまぶし、油が入った鍋に投入した
パチパチパチパチパチパチ
「おわ、油はねてくんじゃん、あぶねー」
「多少ははねるよ。気をつけてねー」
その間にネギを切ってソースを作る。
「お前手際いいなぁ...」
「これくらい普通だよ」
親御さんが不在の日が多くて、こいつは寂しくないんだろうか。きっと寂しいけど、言えないんだろう。
再び背後から抱きつく。
「タカヤ、刺すよ?」
「おー、蒼に刺されたら本望だ。刺してくれ」
「なに急に...もしかしてわたしのために抱きついてんの?」
勘がいいな。
「まぁ、お前は苦労してるなーと思って」
「もうわたし高校生だよ?こういう生活なんてことないよ」
そーいや前も言ってたな。
「お前にもっと高校生活を楽しんで欲しいよ」
「めちゃくちゃ楽しいから安心して!」
「おー、なら、いいんだけどよ」
「タカヤ、揚げてる鶏肉とりだして」
「あっちーなおい」
蒼はひとりの時間が多いからこうやって料理のレパートリーも増えていったんだろうな。料理する回数多いはずなのに、一度レシピみたら忘れないって、何気にすごいんじゃねー?
「じゃ、盛り付けて、卵スープ今から作るから、すぐできるからご飯よそっててください」
「はいよー」
卵スープはほんとにすぐできた。
「できた!並べて...いただきまーす!」
「いただきます」
もぐもぐとおかず、ごはんを口に運んでいくタカヤ。
「味付けどう?濃くない?」
「めちゃくちゃウマい」
「ほんとー?よかったー。タカヤはごはん3杯は食べるんだよ」
「おう、余裕だ」
「ほんと...男子高校生ってよく食べるなぁ...あ、そういえば!タカヤ!わたし身長伸びてた!」
「はぁ?女子の成長期って中3で止まるだろ」
「それがね!2センチも伸びてたのよ!」
2センチっつーと、167、8cmか?ユウイチローと並んだな。
「モデルやってるお前からしたら、いいことだな」
「そうなのよ!このまま170cmまでいきたい!」
だから豆腐と納豆と卵を毎日たくさん食べるんだー!と冷蔵庫から取り出す。
「タカヤも食べるでしょ?」
「おー、オレも背伸ばしたいからな。食う」
「はい、どうぞ」
「サンキュー」
2人で黙々と食事に勤しむ。
「はぁー、お腹いっぱいだ。もう食べられない」
豆腐って意外と質量あるよねー、と言いながら食器を片し始める蒼。
「オレも手伝うわ」
「じゃあ拭いてくださーい」
2人で食器を片ずける。前にもこんな光景があった気がする。
「前にもこんな感じで、同棲できたらいいなって言ってたよね」
蒼がクスクスと笑う。こいつとはやっぱ通ずるなにかがある。
「おー、オレも同じこと思ってたわ」
「以心伝心だねー」
ほんとにその通りだ。前にも何度も同じようなことがあった。思考回路が同じだと思ってたけど、それだけで済むようなもんじゃない、もっと運命的な何かを感じる。
「よし!片付け終わり!」
蒼が何かを言いたそうにしている。
「どした?」
「い、一緒にお風呂、入る?」
「入る」
「わ、即答」
蒼から誘ってくるなんて珍しい。
「ふ、ふつーに入るだけだからね!変なことしないでね!」
「おう、わかったよ」
こうして俺らは一緒に風呂に入ることとなった。
柵の外からグラウンドを覗く少年がいた。
コーチが声をかけるも、ダッシュで逃げていった。
一方、グラウンドでは
「1年生はキャッチボールをじっくりやろう、硬式出身と軟式出身に分かれて!」
「「はいっ」」
新2年 トスバッティング
新入生 キャッチボール
新2年 ベーラン
新2年 キャッチボール
新2年 投内連携
新入生 キャッチボール
新2年 フリーバッティング
「本当にあのマネジの人投げてる...」
「元はサウスポーか...」
「何気に球速くね?」
新入生 キャッチボール
「おつかれさまでーす」ちよちゃんとわたしでおにぎりを用意してきた。
「1年生は全員梅干しね、手洗ってねー 1人2個ずつ取ってね」
「レン、タカヤ、花井くんはこんぶ」
「栄口くん、泉くん、沖くんめんたいこ」
「ユウ、フミキ、シンタローはおかか」
「巣山くんは塩おにぎりでーす」
「「あざす!」」
「なんの呪文すか」武石くんが花井くんに早速聞いている。
「おにぎりの中身だ」
「1人ずつ違うんすか?スキキライ?」
「うまそお!」
「うまそお!いただきます!」
「いた、だきます!」
「スキキライじゃなくて、まぁスキキライなんだけどお前らいつから参加できんのかな」
「???」戸惑う武石くん。
「春休みはキャッチボールばっかなんかな」
「保険ないって言ってたもんね」とユウトが返す。
もう500球は投げましたよ、と古賀くんが間に入る。みんなコミュ力あるなぁ。
「俺らもキツイのに軟式からでイキナリあんな投げちゃって大丈夫すかね?」
「ケアすっから心配ない」、ユウイチローが返答する。
「軟式はうち(花井)の2人と泉ンとこと、あと中崎か」
「中崎以外誰かの後輩ってのもスゲーよな」
「ええ、そうなんスか」
「俺らの後輩は誰もこなかったね」としょげるフミキ。
「中崎はなんでウチ受験したの?」
フミキの一言でみんなが注目する。
「姉より良いとこ行きたくて」
カズトシがわかる、と反応する。
「お姉ちゃんどこなの?」
「西浦です」
「はあ、同じなの?」
ここまで聞く限り、フミキのコミュ力に驚かされる。こんなにスムーズに後輩と話せるんだ。頼りになるなぁ。
「だから...いいとこ行きたかったけど同じになったんすよ」
「ああ、わかる」とカズトシが妙に納得している。
「他の人はなんスか。勧誘とかされたんすか」中崎くんが照れながら周りに聞く。
「俺は花井さんが西浦来ればホームラン打てるようになるっていうから」と、武石くん
「ホームラン打ってみたいっす」と
「えっほんとっすかー?」
「すげー!」と盛り上がる1年。
「あー打てるよ」
自信満々に答える花井くん。さすがキャプテン。
「俺たちは泉先輩がかっこよかったんで」
「な」
と片倉くんと芝原くんが答える。
コースケは顔を真っ赤にしていた。
「おれは、通いやすさとユウトさんが誘ってくれたのと...えーとですね」
ごくり、と唾を飲み込む古賀くん。
「夏の大会の実況スレでも話題になってたんスけど、マネージャーがかわいいって」
えーっ
新入生は興味津々
「うちは恋愛禁止よ」
すかさずフミキが釘を刺す。
えっ、と新入生。
「いやべつにっ、なんもそんなこと、どーもこーもなんないすし」
花井くんが口を開く。
「まぁ俺たちはってことだから、お前らの代は縛んないけど。しのーかも俺らの代だからな」
「ほんとにそんなこと考えてませんから!そんなこともありましたっていうっ」
「恋愛とかいらんしょ、引退してからでいいっすよマジで」大之江くんが間に入ってきた。
「マネージャーはわかりますけど...部外もダメなんすか?!」うるうるする古賀くん。
「俺らはいいんだろ。篠岡先輩がダメってだけで」
「倖大お前火種になるような言い方すんな!」
高山くんが突っ込む。
「あーでも、もう1人のマネジ、蒼な。
タカヤと2人は恋愛禁止になる前から付き合ってるから特別だ」
「えーーっ!タカヤさん、あんな美人...しかもモデルと付き合ってるんですか?!」紺野がショックを隠せずにいる。
「まじあの人何もんなんですか?今日もブルペンで投げてたし、しかも両利き用のグローブで!」
「左と右で持ち玉違うんだよ。あいつはバケモンだぞ。両利きで投手ができる、コントロールもいい、頭もいい、モデルもやってる、ピアノも弾ける、美術はサイアクだけど...とにかくその辺の女と比べちゃいけねぇ。野球に恵まれて野球をするために生まれてきたような女だ。」
「タカヤ、バケモンってどゆこと?」
「へぇ〜〜!すげぇ〜!」と1年生がざわつく。
それから将来は何になりたいとか、そんな話になった。みんな意外と大学でて社会に出る準備はしてるようだ。
「でも、甲子園はそういう流れとは別もんすよ。純粋に憧れです」
大之江くんは真面目だなぁ...。
シーンと部内が静まり返る。
「ほら先輩シーンとしちゃったじゃん。こいつ喋りうまいんすよ」
その後も将来の話ややりたいポジションなど話は盛りあがっていった。
柵からまたもグラウンドを見つめる少年。
「見学かな?」
蒼が声をかけた途端、ダッシュで逃げていった。
「なんかレンみたいな子だったな...」
辺りは暗くなってきたので、素振りをして練習を終えた。
帰り道、タカヤの後輩の話になった。
「一人入ってくれたんだね」
「おー、千隼な」
「崎玉戦の敬遠、タカヤの案だって聞いてよろこんでたよ」
「あいつ捕手になりたいって言ってたな。あいつの頭で務まるかかわかんねぇけど」
「タカヤひど!笑 でもまぁ、組み立ては簡単じゃないもんね」
「そうだろ?でもまぁ、キャッチャーが面白そうだからやりたいってのは買いだな」
「ふふ、タカヤ一人でやるわけにもいかないしね。しっかり役割覚えてくれるといいね」
「おー、そういえば今日お前ん家親いるの?」
「今日は夜勤でふたりともいないよー」
「おー...泊まろうかなあ」
「え!来て来て!」
「じゃあすまんけど、洗濯機借りるな」
「うんうん!スーパー寄って買い物しよう!」
「今日は何作るんだ?」
「油淋鶏と中華卵スープだよ!」
「中華か。おまえそんなのも作れるんだな」
「1回レシピ見て作ったら覚えるからね」
「お前の脳みそどうなってるか調べてみたいよ」
「ははっ、それはわたしも一緒。タカヤの脳内が知りたいよ。きっと野球まみれだ」
スーパーに寄って、一通り材料を買って家に辿り着いた。
「料理できるまで好きにしててー」
「お前の後ろ姿見てる」
「ぶ、なにそれ」
髪をポニーテールに結ぶ蒼。あー、うなじ、いいなぁ...。
席を立ち、オレも手伝うと言って蒼をうしろから抱きつく。
「それは手伝うんじゃなくて邪魔してるんだよ!」
仕方なく、蒼の隣に立つ。
「じゃあ、ネギをみじん切りにしてほしい」
「やり方が分からねぇ...」
「...じゃあ、もも肉に片栗粉まぶして揚げて」
「この鍋に突っ込んだらいいんだな?」
「そうそう」
タカヤは不慣れそうにもも肉に片栗粉をまぶし、油が入った鍋に投入した
パチパチパチパチパチパチ
「おわ、油はねてくんじゃん、あぶねー」
「多少ははねるよ。気をつけてねー」
その間にネギを切ってソースを作る。
「お前手際いいなぁ...」
「これくらい普通だよ」
親御さんが不在の日が多くて、こいつは寂しくないんだろうか。きっと寂しいけど、言えないんだろう。
再び背後から抱きつく。
「タカヤ、刺すよ?」
「おー、蒼に刺されたら本望だ。刺してくれ」
「なに急に...もしかしてわたしのために抱きついてんの?」
勘がいいな。
「まぁ、お前は苦労してるなーと思って」
「もうわたし高校生だよ?こういう生活なんてことないよ」
そーいや前も言ってたな。
「お前にもっと高校生活を楽しんで欲しいよ」
「めちゃくちゃ楽しいから安心して!」
「おー、なら、いいんだけどよ」
「タカヤ、揚げてる鶏肉とりだして」
「あっちーなおい」
蒼はひとりの時間が多いからこうやって料理のレパートリーも増えていったんだろうな。料理する回数多いはずなのに、一度レシピみたら忘れないって、何気にすごいんじゃねー?
「じゃ、盛り付けて、卵スープ今から作るから、すぐできるからご飯よそっててください」
「はいよー」
卵スープはほんとにすぐできた。
「できた!並べて...いただきまーす!」
「いただきます」
もぐもぐとおかず、ごはんを口に運んでいくタカヤ。
「味付けどう?濃くない?」
「めちゃくちゃウマい」
「ほんとー?よかったー。タカヤはごはん3杯は食べるんだよ」
「おう、余裕だ」
「ほんと...男子高校生ってよく食べるなぁ...あ、そういえば!タカヤ!わたし身長伸びてた!」
「はぁ?女子の成長期って中3で止まるだろ」
「それがね!2センチも伸びてたのよ!」
2センチっつーと、167、8cmか?ユウイチローと並んだな。
「モデルやってるお前からしたら、いいことだな」
「そうなのよ!このまま170cmまでいきたい!」
だから豆腐と納豆と卵を毎日たくさん食べるんだー!と冷蔵庫から取り出す。
「タカヤも食べるでしょ?」
「おー、オレも背伸ばしたいからな。食う」
「はい、どうぞ」
「サンキュー」
2人で黙々と食事に勤しむ。
「はぁー、お腹いっぱいだ。もう食べられない」
豆腐って意外と質量あるよねー、と言いながら食器を片し始める蒼。
「オレも手伝うわ」
「じゃあ拭いてくださーい」
2人で食器を片ずける。前にもこんな光景があった気がする。
「前にもこんな感じで、同棲できたらいいなって言ってたよね」
蒼がクスクスと笑う。こいつとはやっぱ通ずるなにかがある。
「おー、オレも同じこと思ってたわ」
「以心伝心だねー」
ほんとにその通りだ。前にも何度も同じようなことがあった。思考回路が同じだと思ってたけど、それだけで済むようなもんじゃない、もっと運命的な何かを感じる。
「よし!片付け終わり!」
蒼が何かを言いたそうにしている。
「どした?」
「い、一緒にお風呂、入る?」
「入る」
「わ、即答」
蒼から誘ってくるなんて珍しい。
「ふ、ふつーに入るだけだからね!変なことしないでね!」
「おう、わかったよ」
こうして俺らは一緒に風呂に入ることとなった。