運命の人となら
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今日は練習が午前までだったから、
蒼と久しぶりのデートだ!通算三回目!
待ち合わせ場所に着くと、既に蒼の姿があった。
「蒼!」
名前を呼ぶと、振り向いて笑顔...にはならない。
いつも通りのポーカーフェイス。
「モトキ、早かったね」
「蒼もな!待たせたか?」
「ううん、さっき着いたから大丈夫だよ」
「じゃ、行くか」
今日は蒼がゴッホ展に行きたいと言うので美術館に行くことになった。正直俺はゴッホのすごさとかよくわからない。でも蒼が興味あることは知りたいからついていく。
「チケット2枚ください」
チケットをスタッフに見せて、展示室に入る。
そこには美術に興味が無い俺でも知ってる作品がいくつもあった。
「これもゴッホだったのかー」
「モトキは興味無さそうだけど、よかった?」
「いや、最初は正直興味なかったけど知ってる作品あるとテンションあがるな」
「なら良かった。見応えあると思うよ」
ゴッホはこんなにも有名な作品を描いていたのか。生きてる当時は売れない絵描きだと聞いたことがあるけど。
「音楽もそうだけど、死後、作品が有名になるってホントむかつくよね」
あらー?蒼の口からむかつくなんてセリフ、初めて聞いたぞ?
「蒼が怒っても仕方ないだろ」
「そうだけどさ、死んだ人の作品に価値つけてそれでお金取るってずるくない?」
「そんなことまで考えたことねぇからなー」
「わたしの考えすぎなのもあるけどね」
そういって改めて作品に集中する蒼。
じっくり見たかと思えば、サッと見てスっと通り過ぎたり、俺は作品よりも蒼の動きを見ている方が面白かった。
「ふぅ、1周したねー、楽しめた」
「この後どうする?」
「カラオケとか...?」
「!! 俺、蒼が歌ってるところみてみたい!」
「見るって、別にふつーだよ」
「行きたい!行こう!」
こうして2人でカラオケ店に向かう。
「モトキも歌ってよね」
「歌う歌う!でも最初は蒼からな!」
「...いいけど...」
カラオケ店に入り、受付をしてコップをもらい、
ドリンクバーでジュースを選んで部屋に向かう。
「うおお...久しぶりにカラオケきたけど機材とか最新になってる...」
「わたしは1人でくるときもあるけどねー」
「ヒトカラってやつ?!蒼が?!」
「そんなに珍しい?」
「意外すぎるだろ!カラオケとか興味なさそうなのに!」
「モトキはまだまだわたしのこと知らないねー」
「ホントだよ!もっと蒼のこと知りてぇよ!」
「じゃ、曲入れるね〜」
〜〜〜♪
「さよなら、ありがとう、声の限り...」
ブルっと鳥肌が立った。
いつもの蒼の声質と全然違う。
腹から出してる声だ。
なんだよ、めちゃくちゃうめーじゃん。
そりゃヒトカラもするわな。
「〜心に炎を灯して、遠い未来まで...」
パチパチパチ
「蒼、めっちゃうめーじゃん!なんで隠してたんだ!」
「別に隠してたわけじゃないけど...」
「俺鳥肌立ったぞ!曲入れるの忘れるくらい!」
「待ってるから、曲入れなよ」
「上手いやつの次に歌うのも緊張するな〜」
ピピっと送信!
〜〜〜♪
「思い出す、のは、君の唄。会話よ、りも、鮮明だ♪〜〜〜♪」
「モトキも上手いじゃん」間奏中に話しかける。
「俺は普通だよ!自分で言うのもなんだけど!」
蒼は別格!と言って歌に戻る。
「〜♪そんな夜に歌う、怪獣の歌〜♪」
エンディングを迎えた。
「蒼は歌まで上手いなんて聞いてねーぞ」
「そりゃ、見せたこと無かったしね」
「彼氏として悔しい...」
「そう言わず、楽しもうよ」
「そーだなー!蒼の歌聞けるだけで嬉しいしな!」
こうして、2人で2時間くらいカラオケを楽しんだ。店を出て気づいたけど、俺の喉がカスカスになってしまった。
「俺もうダメだ...声が...」
「カフェ行って水分補給しよう」
近くにあったカフェに入ってドリンクを注文した。
「一日経てば治るから大丈夫だよ。練習には支障ないよ」
「そりゃ良かった...まぁ風邪じゃねぇしな」
届いたドリンクを一気に飲み干す。
「お、なんか戻ってきたかも」
「よかったよかった」
「蒼はなんで歌うまいんだ?」
「歌いたい曲の分析とかするからかな?」
「はー?そんなことしてるのか?すげぇな」
「1音1音どういうふうに歌うか紙に書き出してるね」
「プロでもめざしてたのか?」
「全然。趣味の範囲だよ」
「趣味の範囲でそこまでやるかよぉ...」
俺の彼女は何事も一生懸命らしい。
改めて好きになる。
「モトキも声質いいから、勉強したらすごくカッコよく歌えると思うよ」
「カラオケの勉強なんてできねぇよ〜。俺は野球で精一杯だ」
「ま、確かにひとつの事に集中するほうがカッコいいかもね」
「蒼から見て、俺ってカッコいい?」
「何を今更、当たり前だよ」
くぅー。この素直なところが本当に刺さる。
好きになって、好きになってくれてよかったー!
「俺は蒼の彼氏になれて光栄だよ」
「どうしたの突然」
「蒼は知識とか、勉強とか、歌とか、俺に無いものたくさんもってるのに、俺なんかと付き合ってくれてありがとうな」
「わたしだってモトキにあってわたしにないものたくさんあるよ。わたしの方こそ付き合ってくれてありがとね」
「蒼〜!真顔でサラッと言えるところがイケメンすぎる」
なんか、ふたりの距離がぐっと縮んだ気がした。
「このあとどうしようか」
「俺ん家こねぇ?親が会いたがってる」
「じゃあケーキ屋さんでケーキ買っていこう」
「おう!」
有名なケーキ屋をネットで調べて、ちょっと並んだけどやっと買えて、俺ん家に向かう。
ガチャ
「蒼つれてきた〜」
「蒼ちゃん?!久しぶりね〜!」
「こんにちは。おじゃまします。これ、ケーキ買ってきたのでみなさんでどうぞ」
「ここのケーキ屋さん知ってるわ!並ぶでしょ?」
「ちょっと並びましたね」
「わざわざありがとね〜!ケーキもあるし、みんなでお茶会しましょ!紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「紅茶で...」
「俺はコーヒー」
「さ!あがって席で待っててちょうだい!あ、そういえばお父さんいるのよ!この間は会えなかったでしょう?」
「モトキのお父さん...」
リビングから大きな男の人が現れた。
「こんにちは。モトキの父です。蒼さんの噂はいろいろ聞いてるよ」
「こんにちは。噂、ですか?」
「野球に詳しくて指導してるんだろう?しかもお父さんがARCのコーチなんて。指導できるのも納得できるよ。」
「いえ...私に出来ることなんて限られてますから...」
「学業の方も成績がいいって聞いたよ。モトキに教えてやって欲しいくらいだ」
「勉強はそうですね、好きなので必要であればいつでも教えられます」
「はは!すごく頼もしい彼女だな。モトキ、振られないように頑張れよ」
「余計なこと言うなよ〜!」
「女性陣から聞いてたけど、本当に笑わないんだな」
あ、別に無理に笑わなくていいからな、と俺の父親は言うけど、今のは蒼の心をエグってしまったと思う。
「ほら、ケーキと飲み物準備できたわよ」
4人でテーブルを囲む。
「蒼ちゃん、ケーキありがとね!いただきましょ。お父さんコーヒーでいいわよね?」
「おう、いただきます」
「いただきまーす」
「いただきます」
みんなで黙々とケーキを食べる。
「やっぱりここのケーキ屋さんのケーキ、美味しいわねぇ!」
「わたしも初めて食べるので、並んだかいがありました」
「今度はこっちで有名なケーキ屋さんのケーキ買っとくから、また食べにいらっしゃい」
「ありがとうございます」
「蒼さんはモトキのどこが気に入ったの?」
ゴホッ
「親父...そういうこと直球で聞くなよなー」
「あー、先日ちょうど友達にもどこが好きになったのかって聞かれました」
「親としてもやっぱり気になるな」
「そうですね、そのときは真面目なところと、わたしを信頼してくれるところだと答えました」
「モトキが真面目ェ?野球のことしか頭にないよ」
「その野球に対する執念とか、練習してるときの集中力とかが、他の誰よりも強いんですよ」
「なるほどねぇ...モトキ、真面目に野球しててよかったな!」
ガハハ、と親父は笑うけど俺はヒヤヒヤしかしねぇ。なんか変なこと言い出すんじゃないかと。
「蒼ちゃんは高校卒業したらどうするの?」
「わたしは大学に行きたいです。実はモトキの前で言うのも初めてなんですけど、獣医になりたいんです」
「それは初めて聞いたぞ!」
「だから初めてって言ったじゃん」
「獣医!お医者さん!すごいわねぇ」
「動物が好きなので、まだ確定ではないですけど夢ではありますね」
「まだ1年生なのに目標があって偉いわ〜!」
「俺はてっきり野球のトレーナーになるのかと思ってたよ...」
「なれるわけないでしょ。女だし」
「女野球にまじれるじゃん?」
「野球経験ないぽっと出のわたしがトレーナーになるのは無理だよ」
「そんなもんかぁ...」
「獣医でも立派じゃない!応援してるわね!」
「ありがとうございます!」
そういう将来の話をしていたら結構な時間が経ってしまい、蒼を送ることになった。
「今日親父の、ごめんなー。デリカシーがなくて」
「いや、事実だし話もしやすかったよ」
「そうかー?ならいいけどよー」
「家族仲良いんだね」
「まーそーだな。仲良い方だな。蒼は珍しく緊張してたな?」
「そりゃ、お父さんという異性の人と話すのは緊張するよ。お母さんより、お父さんの方が緊張する」
「そういうもんなのかー。難しいな」
「まぁ、良い家族だなってのは見てて思ったから、その中にモトキがいるのは安心した。」
「俺の家庭環境が悪かったら心配してた?」
「そういうこと。でもそんなことなかったから良かった」
他愛のない話をしていたら家に着いた。
「今日はありがとう。また練習でね」
「ありがとな!蒼」
見上げると、モトキにキスされた。
「また明日なー!」
手を振って去っていくモトキを見送った。
全く...どこまでカッコいいことするんだろう...
私の顔は真っ赤になっていた。
蒼と久しぶりのデートだ!通算三回目!
待ち合わせ場所に着くと、既に蒼の姿があった。
「蒼!」
名前を呼ぶと、振り向いて笑顔...にはならない。
いつも通りのポーカーフェイス。
「モトキ、早かったね」
「蒼もな!待たせたか?」
「ううん、さっき着いたから大丈夫だよ」
「じゃ、行くか」
今日は蒼がゴッホ展に行きたいと言うので美術館に行くことになった。正直俺はゴッホのすごさとかよくわからない。でも蒼が興味あることは知りたいからついていく。
「チケット2枚ください」
チケットをスタッフに見せて、展示室に入る。
そこには美術に興味が無い俺でも知ってる作品がいくつもあった。
「これもゴッホだったのかー」
「モトキは興味無さそうだけど、よかった?」
「いや、最初は正直興味なかったけど知ってる作品あるとテンションあがるな」
「なら良かった。見応えあると思うよ」
ゴッホはこんなにも有名な作品を描いていたのか。生きてる当時は売れない絵描きだと聞いたことがあるけど。
「音楽もそうだけど、死後、作品が有名になるってホントむかつくよね」
あらー?蒼の口からむかつくなんてセリフ、初めて聞いたぞ?
「蒼が怒っても仕方ないだろ」
「そうだけどさ、死んだ人の作品に価値つけてそれでお金取るってずるくない?」
「そんなことまで考えたことねぇからなー」
「わたしの考えすぎなのもあるけどね」
そういって改めて作品に集中する蒼。
じっくり見たかと思えば、サッと見てスっと通り過ぎたり、俺は作品よりも蒼の動きを見ている方が面白かった。
「ふぅ、1周したねー、楽しめた」
「この後どうする?」
「カラオケとか...?」
「!! 俺、蒼が歌ってるところみてみたい!」
「見るって、別にふつーだよ」
「行きたい!行こう!」
こうして2人でカラオケ店に向かう。
「モトキも歌ってよね」
「歌う歌う!でも最初は蒼からな!」
「...いいけど...」
カラオケ店に入り、受付をしてコップをもらい、
ドリンクバーでジュースを選んで部屋に向かう。
「うおお...久しぶりにカラオケきたけど機材とか最新になってる...」
「わたしは1人でくるときもあるけどねー」
「ヒトカラってやつ?!蒼が?!」
「そんなに珍しい?」
「意外すぎるだろ!カラオケとか興味なさそうなのに!」
「モトキはまだまだわたしのこと知らないねー」
「ホントだよ!もっと蒼のこと知りてぇよ!」
「じゃ、曲入れるね〜」
〜〜〜♪
「さよなら、ありがとう、声の限り...」
ブルっと鳥肌が立った。
いつもの蒼の声質と全然違う。
腹から出してる声だ。
なんだよ、めちゃくちゃうめーじゃん。
そりゃヒトカラもするわな。
「〜心に炎を灯して、遠い未来まで...」
パチパチパチ
「蒼、めっちゃうめーじゃん!なんで隠してたんだ!」
「別に隠してたわけじゃないけど...」
「俺鳥肌立ったぞ!曲入れるの忘れるくらい!」
「待ってるから、曲入れなよ」
「上手いやつの次に歌うのも緊張するな〜」
ピピっと送信!
〜〜〜♪
「思い出す、のは、君の唄。会話よ、りも、鮮明だ♪〜〜〜♪」
「モトキも上手いじゃん」間奏中に話しかける。
「俺は普通だよ!自分で言うのもなんだけど!」
蒼は別格!と言って歌に戻る。
「〜♪そんな夜に歌う、怪獣の歌〜♪」
エンディングを迎えた。
「蒼は歌まで上手いなんて聞いてねーぞ」
「そりゃ、見せたこと無かったしね」
「彼氏として悔しい...」
「そう言わず、楽しもうよ」
「そーだなー!蒼の歌聞けるだけで嬉しいしな!」
こうして、2人で2時間くらいカラオケを楽しんだ。店を出て気づいたけど、俺の喉がカスカスになってしまった。
「俺もうダメだ...声が...」
「カフェ行って水分補給しよう」
近くにあったカフェに入ってドリンクを注文した。
「一日経てば治るから大丈夫だよ。練習には支障ないよ」
「そりゃ良かった...まぁ風邪じゃねぇしな」
届いたドリンクを一気に飲み干す。
「お、なんか戻ってきたかも」
「よかったよかった」
「蒼はなんで歌うまいんだ?」
「歌いたい曲の分析とかするからかな?」
「はー?そんなことしてるのか?すげぇな」
「1音1音どういうふうに歌うか紙に書き出してるね」
「プロでもめざしてたのか?」
「全然。趣味の範囲だよ」
「趣味の範囲でそこまでやるかよぉ...」
俺の彼女は何事も一生懸命らしい。
改めて好きになる。
「モトキも声質いいから、勉強したらすごくカッコよく歌えると思うよ」
「カラオケの勉強なんてできねぇよ〜。俺は野球で精一杯だ」
「ま、確かにひとつの事に集中するほうがカッコいいかもね」
「蒼から見て、俺ってカッコいい?」
「何を今更、当たり前だよ」
くぅー。この素直なところが本当に刺さる。
好きになって、好きになってくれてよかったー!
「俺は蒼の彼氏になれて光栄だよ」
「どうしたの突然」
「蒼は知識とか、勉強とか、歌とか、俺に無いものたくさんもってるのに、俺なんかと付き合ってくれてありがとうな」
「わたしだってモトキにあってわたしにないものたくさんあるよ。わたしの方こそ付き合ってくれてありがとね」
「蒼〜!真顔でサラッと言えるところがイケメンすぎる」
なんか、ふたりの距離がぐっと縮んだ気がした。
「このあとどうしようか」
「俺ん家こねぇ?親が会いたがってる」
「じゃあケーキ屋さんでケーキ買っていこう」
「おう!」
有名なケーキ屋をネットで調べて、ちょっと並んだけどやっと買えて、俺ん家に向かう。
ガチャ
「蒼つれてきた〜」
「蒼ちゃん?!久しぶりね〜!」
「こんにちは。おじゃまします。これ、ケーキ買ってきたのでみなさんでどうぞ」
「ここのケーキ屋さん知ってるわ!並ぶでしょ?」
「ちょっと並びましたね」
「わざわざありがとね〜!ケーキもあるし、みんなでお茶会しましょ!紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「紅茶で...」
「俺はコーヒー」
「さ!あがって席で待っててちょうだい!あ、そういえばお父さんいるのよ!この間は会えなかったでしょう?」
「モトキのお父さん...」
リビングから大きな男の人が現れた。
「こんにちは。モトキの父です。蒼さんの噂はいろいろ聞いてるよ」
「こんにちは。噂、ですか?」
「野球に詳しくて指導してるんだろう?しかもお父さんがARCのコーチなんて。指導できるのも納得できるよ。」
「いえ...私に出来ることなんて限られてますから...」
「学業の方も成績がいいって聞いたよ。モトキに教えてやって欲しいくらいだ」
「勉強はそうですね、好きなので必要であればいつでも教えられます」
「はは!すごく頼もしい彼女だな。モトキ、振られないように頑張れよ」
「余計なこと言うなよ〜!」
「女性陣から聞いてたけど、本当に笑わないんだな」
あ、別に無理に笑わなくていいからな、と俺の父親は言うけど、今のは蒼の心をエグってしまったと思う。
「ほら、ケーキと飲み物準備できたわよ」
4人でテーブルを囲む。
「蒼ちゃん、ケーキありがとね!いただきましょ。お父さんコーヒーでいいわよね?」
「おう、いただきます」
「いただきまーす」
「いただきます」
みんなで黙々とケーキを食べる。
「やっぱりここのケーキ屋さんのケーキ、美味しいわねぇ!」
「わたしも初めて食べるので、並んだかいがありました」
「今度はこっちで有名なケーキ屋さんのケーキ買っとくから、また食べにいらっしゃい」
「ありがとうございます」
「蒼さんはモトキのどこが気に入ったの?」
ゴホッ
「親父...そういうこと直球で聞くなよなー」
「あー、先日ちょうど友達にもどこが好きになったのかって聞かれました」
「親としてもやっぱり気になるな」
「そうですね、そのときは真面目なところと、わたしを信頼してくれるところだと答えました」
「モトキが真面目ェ?野球のことしか頭にないよ」
「その野球に対する執念とか、練習してるときの集中力とかが、他の誰よりも強いんですよ」
「なるほどねぇ...モトキ、真面目に野球しててよかったな!」
ガハハ、と親父は笑うけど俺はヒヤヒヤしかしねぇ。なんか変なこと言い出すんじゃないかと。
「蒼ちゃんは高校卒業したらどうするの?」
「わたしは大学に行きたいです。実はモトキの前で言うのも初めてなんですけど、獣医になりたいんです」
「それは初めて聞いたぞ!」
「だから初めてって言ったじゃん」
「獣医!お医者さん!すごいわねぇ」
「動物が好きなので、まだ確定ではないですけど夢ではありますね」
「まだ1年生なのに目標があって偉いわ〜!」
「俺はてっきり野球のトレーナーになるのかと思ってたよ...」
「なれるわけないでしょ。女だし」
「女野球にまじれるじゃん?」
「野球経験ないぽっと出のわたしがトレーナーになるのは無理だよ」
「そんなもんかぁ...」
「獣医でも立派じゃない!応援してるわね!」
「ありがとうございます!」
そういう将来の話をしていたら結構な時間が経ってしまい、蒼を送ることになった。
「今日親父の、ごめんなー。デリカシーがなくて」
「いや、事実だし話もしやすかったよ」
「そうかー?ならいいけどよー」
「家族仲良いんだね」
「まーそーだな。仲良い方だな。蒼は珍しく緊張してたな?」
「そりゃ、お父さんという異性の人と話すのは緊張するよ。お母さんより、お父さんの方が緊張する」
「そういうもんなのかー。難しいな」
「まぁ、良い家族だなってのは見てて思ったから、その中にモトキがいるのは安心した。」
「俺の家庭環境が悪かったら心配してた?」
「そういうこと。でもそんなことなかったから良かった」
他愛のない話をしていたら家に着いた。
「今日はありがとう。また練習でね」
「ありがとな!蒼」
見上げると、モトキにキスされた。
「また明日なー!」
手を振って去っていくモトキを見送った。
全く...どこまでカッコいいことするんだろう...
私の顔は真っ赤になっていた。