Chuchu
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「ラスト一球!」
パァン
蒼のボールが阿部のミットに収まる。
「ナイボ!今日も調子いいな!」
「うん!タカヤもね!」
蒼が来て1ヶ月半が経った。
練習場だけの、異色のバッテリー。
蒼のボールを受ける度に、蒼が野球に飢えてるのが伝わってくる。上に立てたやつの特権か、もっと上があれば、こいつは女子野球をやめてなかっただろう。
「なぁ、蒼...お前なんで西浦に来たの?」
いつかは聞こうと思っていた内に秘めていた疑問。思い切って聞き出してみた。
「うーん、まずは野球部のマネになろうって決めて、高校探してて、西浦の監督が女だって知ったからかな」
「モモカンが理由?」
「うん、実はグラウンド見に来たことあるんだよね。そしたら百枝監督にバッタリ会ったの。それはそれは眩しい笑顔で、マネとして一緒に野球やろう!って誘ってくれたの。」
「(オレと似たような理由じゃねーか...)」
「百枝監督には、人を惹きつける力があるね。イチコロだったよわたし...」
「お前の気持ちすげーわかる。オレもそんな感じだったわ。あの人なんか、妖気みたいなもんがあんだよな。眩しささえ感じる。」
「あははっ!妖気って!でもわかる気がする。
タカヤが押し負けちゃうのも珍しいね。
わたしも普段はぶっきらぼうなタカヤのこと押し負かしてみたいなー」
「あ?ケンカうってんのか?」
「タカヤ」
碧い瞳が、まっすぐに阿部の瞳と焦点を合わせる。
「私は本気で西浦のみんなと甲子園に行きたい。」
「おう」
「そのためには、今のままじゃダメだ」
阿部の両手をぎゅっと掴む。
「この手は離さないよ。真面目に言ってる。
甲子園優勝のためには、タカヤとレン中心で軸が回る。だからもっと、レンと強くならなきゃダメだ。2人には力関係があるように見える。タカヤも努力してるのは見ててわかる。でもバッテリーとしては、まだまだ未完成だ。」
これが女子野球でエースを担ってきたヤツの言葉。オレを納得させるには充分だった。
「レンのクセ、レンの思考、レンの行動、全部見るんだ。休み時間、昼休み、部活終わり、朝練前。お互い口に出さなくても何がしたいか分かるくらいに通じ合わなきなきゃいけない。それが、バッテリーだよ。」
真剣な眼差しで語る蒼の瞳は、スゲーキレイだった。言われたことはもちろん聞いている。吸い込まれそうになりながら、ハッと我に返る。
「ああ、そうだな。オレもレンのために努力しなきゃいけねー」
「そゆこと!よし、次は田島くんだ。」パンッとオレは背中を叩かれて蒼は練習へと戻って行った。
花井たちと恋愛だのつきあうだのそんな話が茶番になってしまうほど、蒼の野球に対する想いは真剣だ。
オレはこいつのこういうところが、きっと好きなんだと思う。
初めは見た目のキレーさに圧倒されたけど、
今は違う。モモカンみたいな異様な妖気とか、
休憩中の笑い話とか、かと思えばさっきのような
真面目っぷりさとか、全部がオレに「刺さる」
誰かに取られる前に、自分のものにしてしまいたい。
誰かを見る前に、オレの事を見て欲しい。
オレだけを見ていて欲しい。
オレはこんなにも貪欲になってしまった。
パァン
蒼のボールが阿部のミットに収まる。
「ナイボ!今日も調子いいな!」
「うん!タカヤもね!」
蒼が来て1ヶ月半が経った。
練習場だけの、異色のバッテリー。
蒼のボールを受ける度に、蒼が野球に飢えてるのが伝わってくる。上に立てたやつの特権か、もっと上があれば、こいつは女子野球をやめてなかっただろう。
「なぁ、蒼...お前なんで西浦に来たの?」
いつかは聞こうと思っていた内に秘めていた疑問。思い切って聞き出してみた。
「うーん、まずは野球部のマネになろうって決めて、高校探してて、西浦の監督が女だって知ったからかな」
「モモカンが理由?」
「うん、実はグラウンド見に来たことあるんだよね。そしたら百枝監督にバッタリ会ったの。それはそれは眩しい笑顔で、マネとして一緒に野球やろう!って誘ってくれたの。」
「(オレと似たような理由じゃねーか...)」
「百枝監督には、人を惹きつける力があるね。イチコロだったよわたし...」
「お前の気持ちすげーわかる。オレもそんな感じだったわ。あの人なんか、妖気みたいなもんがあんだよな。眩しささえ感じる。」
「あははっ!妖気って!でもわかる気がする。
タカヤが押し負けちゃうのも珍しいね。
わたしも普段はぶっきらぼうなタカヤのこと押し負かしてみたいなー」
「あ?ケンカうってんのか?」
「タカヤ」
碧い瞳が、まっすぐに阿部の瞳と焦点を合わせる。
「私は本気で西浦のみんなと甲子園に行きたい。」
「おう」
「そのためには、今のままじゃダメだ」
阿部の両手をぎゅっと掴む。
「この手は離さないよ。真面目に言ってる。
甲子園優勝のためには、タカヤとレン中心で軸が回る。だからもっと、レンと強くならなきゃダメだ。2人には力関係があるように見える。タカヤも努力してるのは見ててわかる。でもバッテリーとしては、まだまだ未完成だ。」
これが女子野球でエースを担ってきたヤツの言葉。オレを納得させるには充分だった。
「レンのクセ、レンの思考、レンの行動、全部見るんだ。休み時間、昼休み、部活終わり、朝練前。お互い口に出さなくても何がしたいか分かるくらいに通じ合わなきなきゃいけない。それが、バッテリーだよ。」
真剣な眼差しで語る蒼の瞳は、スゲーキレイだった。言われたことはもちろん聞いている。吸い込まれそうになりながら、ハッと我に返る。
「ああ、そうだな。オレもレンのために努力しなきゃいけねー」
「そゆこと!よし、次は田島くんだ。」パンッとオレは背中を叩かれて蒼は練習へと戻って行った。
花井たちと恋愛だのつきあうだのそんな話が茶番になってしまうほど、蒼の野球に対する想いは真剣だ。
オレはこいつのこういうところが、きっと好きなんだと思う。
初めは見た目のキレーさに圧倒されたけど、
今は違う。モモカンみたいな異様な妖気とか、
休憩中の笑い話とか、かと思えばさっきのような
真面目っぷりさとか、全部がオレに「刺さる」
誰かに取られる前に、自分のものにしてしまいたい。
誰かを見る前に、オレの事を見て欲しい。
オレだけを見ていて欲しい。
オレはこんなにも貪欲になってしまった。