銀ちゃんが好きな女の子
お礼画面(超短編小説)
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☆牛乳シリーズ第3部後想定のお話なのでふたりは経験済です
☆ほんのり微裏程度の下ネタ有り、苦手な方はお戻りください
【赤鼻のトナカイ】2020-1225 Xmas記念
二十五日の深夜一時、銀時はかぶき町を歩いていた。前を行く小さな背中は、楽しげにるんるんと揺れている。カチューシャをつけた頭にはトナカイのツノ。真っ赤なお鼻のトナカイさんは、と口ずさむ***は、今夜かぶき町でいちばんのアホっぽい顔をしている。
万事屋のこたつで売れ残りのケーキを食べ、神楽の枕元にプレゼントを置き、それでふたりのクリスマスは終わる。否、終わりそうだ。もちろん銀時は不本意だけど。
「なぁ、お前マジで帰んの?この聖なる夜に俺をひとりにして?っんな冷てぇことすんなよ***さぁ~ん!俺たち付き合ってんだから、クリスマスぐらい一緒に居たっていーじゃねーかよぉ〜。めくるめく熱いホーリーナイトを銀さんと過ごそーぜ、朝まで一緒にさぁぁぁ!」
「あ、朝までって……いやでも私、明日もお仕事なので、やっぱり帰らないと……」
引き止めようと掴んだ小さな手は、とまどいがちに握り返してきた。なのに苦笑いの***にやんわり断られ、銀時はガックリと肩を落とした。視界の端で、いくつもの男女がホテル街へと消えていく。そのカップル達に続きたいのに、かたくなに帰りたがる強情女のせいで、脳みそと股間が悶々としっぱなしなのだ。
———っんだよ~~~、俺の誘いを断るなんざ、いい度胸してんじゃねーか。もしかしてアレか、プレゼントが無かったからか?銀ちゃんが居ればいいとか言いつつ、実は根に持ってんのか?いやいや、それなら***も一緒だろーが。人に求める前にそっちから、プレゼントはア・タ・シ、みてーなのやれよ。派手にえっろい下着でやってくれよ頼むから。いっつも地味なパンツ履きやがって、こんちきしょー……
そんな心の声は全て負け惜しみだと銀時がいちばん分かっている。どんな格好でも関係なく、目の前の女が欲しくてたまらないから。大して色気も胸もないその身体に、触りたくて仕方がないから。露出多めのサンタのコスプレをして欲しいが、トナカイ頭だって可愛く見えてしまうのだから情けない。何とかは盲目っつーのかね、と銀時が呆れているうちに、気づけば***のアパートに辿りついていた。
「銀ちゃん、送ってくれてありがとう。えぇっと、じゃぁ、その……お、おやすみなさい」
「オイッ、ちょっと待てよ」
閉じかけた扉をこじ開けて、無理やり上がり込む。驚いてる***を見下ろしながら、ズボンの尻ポケットをゴソゴソして、あるものを取り出した。手のひらに転がり出たのは、丸い小さな瓶。平べったい容器のそれは女物の口紅だ。もともと持っていた物だからプレゼントとは言えない。神楽の言うとおり家賃すら払えない銀時が、贈り物なんて買えるはずがないのだ。
「ほら、コレやるよ」
「えっ……口紅を、わ、私に?」
「お前以外に誰がいんだよ。西郷んとこで女装した時に貰って、使いかけだがまだ十分残ってる。***は化粧っけねぇから、こんなモン要らねぇかもしれねぇが、」
「いっ、いる!いります!ありがとう銀ちゃん……あっ、これ、すごく綺麗な色、大人っぽい赤ですね」
蓋を開けると練り口紅の甘い香りが立った。鮮やかな赤を見つめて、***は飛び跳ねて喜んでいる。狭い玄関で身を寄せ合い、きゃっきゃっと嬉しそうに笑うのを見ていたら、得意げな気分になった。
「ちょっと貸してみろ、塗ってやっから」
顎を持って顔を上に向かせると、マヌケな表情で***がぽかんとするのが可笑しい。くつくつと笑いながら、銀時は指ですくった口紅を小さな唇にのせた。ふにふにした感触を指先で楽しみつつ、丁寧に塗ってやる。素朴で子どもじみた***の顔が、口紅ひとつで急に大人びた女になった。似合いますかね?と不安そうにするから、まぁいいんじゃねーの、と投げやりに答えた。
「あっ、いいこと思いついた!」
「はぁ?」
急に目を輝かせた***が、銀時をまねて口紅を指に取った。オイ違ぇよ、薬指つかえ、いや俺も人差し指使ったけど、と横やりを入れようとしたのにできなかったのは、華奢な指が朱色を運んだのが唇ではなく、鼻の頭だったから。指先をちょんちょんと当てて、鼻の先端がほんのり赤くなる。茶目っ気のある黒い瞳が銀時を見上げて、楽しそうな声で言った。
「赤鼻のトナカイさんです!!」
「ぶっっっっ!!!!!」
バカかお前は、というツッコミと、明るい笑い声が弾けたのは同時だった。涙ぐみながらけらけらと笑う***の姿は、今夜この街でいちばんアホらしくて、子どものようで、そして愛らしかった。
———あー……、やっぱ今日は帰したくねぇ
もう家に居るのに、猛烈にそう思ったら手が勝手に動いた。躊躇も遠慮もなく、頭をひっつかんでぐいっと***を抱き寄せた。顔面から胸にダイブして「んぶっ」と色気のない声が上がった。
何するんですか、としかめっ面が上を向いた瞬間、身をかがめて口づける。「んっ!」と見開かれた瞳を覗きこむように、体重をかけて押し倒した。玄関から一歩しか進んでない床で、銀時は小さな身体に覆いかぶさった。
「ぎ、んちゃっ、ちょ、っと、待っ」
「待てねぇ」
後頭部をつかんで深くキスをしたら、***の頭からカチューシャがぽとりと落ちた。力任せに襟の合わせてつかんで、ぐいっと開く。はだけた胸元を見た銀時は、あまりの驚きに「っ、」と息を飲んだ。
***の白い肌の上に、真っ赤な下着がついていた。普段は絶対に着ない派手な色で繊細なレースがあしらわれている。銀時の頭の奥で、ぷっつんと糸の切れる音がした。
「ちがっ、違うの!こ、これはその……別に銀ちゃんに見せたいとか、そーゆーのじゃな、あッ!」
震える声が発する言いわけは、唇で遮った。
好きな女の期待に応えないなんて男が廃る。据え膳食わぬは男の恥だ。勢いづいた銀時はいつもより少し意地悪で、自分で思っている以上にしつこく***を求めた。その証拠に「銀ちゃん」と何度も呼ぶ声が次第にかすれて、最後は嗚咽まじりになっていた。
耳元で熱っぽく囁くだけですぐ赤くなる顔や、笑えるほど素直に反応する身体を味わい尽くして、気づけば夜が明けていた。朝陽に青く染まった部屋で、ふたりで布団に横たわっている。銀時の腕の中で、***はすやすやと穏やかな寝息を立てていた。数えきれないほど噛みついた唇から、口紅はとっくに剥げていた。しかし鼻の頭にはほんの少しだけ、朱色が残っていたから笑ってしまった。
「なぁにが赤鼻のトナカイだっつーの」
はは、とかすれた声で笑うと、銀時は口紅の残る***の鼻に、自分の鼻先をぐりぐりとこすりつけた。「んんっ」とうめきながら首にすり寄ってきた***の頭に手を添えると、腕にぎゅうっと力を込めて強く抱きしめた。
———お前が赤鼻のトナカイなら、ソリでもなんでも使って、行きたいところへ行きゃぁいいさ。海でも山でも、天国だろうと地獄だろうと、どんな悪路を進もうと、俺は絶対にふり払われねぇように、ずっと***を抱きしめてるから———
もうすぐクリスマスの朝が来て、かぶき町中の子どもがはしゃぎだす。耳を澄ますと空の彼方から、駆けていくソリの鈴の音が聞こえた気がした。小さな***の身体をしがみつくように抱きしめて眠りに落ちる銀時は、自分が今このかぶき町でいちばん幸福な子どものようだと思っていた。
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【2020 Xmas記念】赤鼻のトナカイ
2020-12-25
☆ほんのり微裏程度の下ネタ有り、苦手な方はお戻りください
【赤鼻のトナカイ】2020-1225 Xmas記念
二十五日の深夜一時、銀時はかぶき町を歩いていた。前を行く小さな背中は、楽しげにるんるんと揺れている。カチューシャをつけた頭にはトナカイのツノ。真っ赤なお鼻のトナカイさんは、と口ずさむ***は、今夜かぶき町でいちばんのアホっぽい顔をしている。
万事屋のこたつで売れ残りのケーキを食べ、神楽の枕元にプレゼントを置き、それでふたりのクリスマスは終わる。否、終わりそうだ。もちろん銀時は不本意だけど。
「なぁ、お前マジで帰んの?この聖なる夜に俺をひとりにして?っんな冷てぇことすんなよ***さぁ~ん!俺たち付き合ってんだから、クリスマスぐらい一緒に居たっていーじゃねーかよぉ〜。めくるめく熱いホーリーナイトを銀さんと過ごそーぜ、朝まで一緒にさぁぁぁ!」
「あ、朝までって……いやでも私、明日もお仕事なので、やっぱり帰らないと……」
引き止めようと掴んだ小さな手は、とまどいがちに握り返してきた。なのに苦笑いの***にやんわり断られ、銀時はガックリと肩を落とした。視界の端で、いくつもの男女がホテル街へと消えていく。そのカップル達に続きたいのに、かたくなに帰りたがる強情女のせいで、脳みそと股間が悶々としっぱなしなのだ。
———っんだよ~~~、俺の誘いを断るなんざ、いい度胸してんじゃねーか。もしかしてアレか、プレゼントが無かったからか?銀ちゃんが居ればいいとか言いつつ、実は根に持ってんのか?いやいや、それなら***も一緒だろーが。人に求める前にそっちから、プレゼントはア・タ・シ、みてーなのやれよ。派手にえっろい下着でやってくれよ頼むから。いっつも地味なパンツ履きやがって、こんちきしょー……
そんな心の声は全て負け惜しみだと銀時がいちばん分かっている。どんな格好でも関係なく、目の前の女が欲しくてたまらないから。大して色気も胸もないその身体に、触りたくて仕方がないから。露出多めのサンタのコスプレをして欲しいが、トナカイ頭だって可愛く見えてしまうのだから情けない。何とかは盲目っつーのかね、と銀時が呆れているうちに、気づけば***のアパートに辿りついていた。
「銀ちゃん、送ってくれてありがとう。えぇっと、じゃぁ、その……お、おやすみなさい」
「オイッ、ちょっと待てよ」
閉じかけた扉をこじ開けて、無理やり上がり込む。驚いてる***を見下ろしながら、ズボンの尻ポケットをゴソゴソして、あるものを取り出した。手のひらに転がり出たのは、丸い小さな瓶。平べったい容器のそれは女物の口紅だ。もともと持っていた物だからプレゼントとは言えない。神楽の言うとおり家賃すら払えない銀時が、贈り物なんて買えるはずがないのだ。
「ほら、コレやるよ」
「えっ……口紅を、わ、私に?」
「お前以外に誰がいんだよ。西郷んとこで女装した時に貰って、使いかけだがまだ十分残ってる。***は化粧っけねぇから、こんなモン要らねぇかもしれねぇが、」
「いっ、いる!いります!ありがとう銀ちゃん……あっ、これ、すごく綺麗な色、大人っぽい赤ですね」
蓋を開けると練り口紅の甘い香りが立った。鮮やかな赤を見つめて、***は飛び跳ねて喜んでいる。狭い玄関で身を寄せ合い、きゃっきゃっと嬉しそうに笑うのを見ていたら、得意げな気分になった。
「ちょっと貸してみろ、塗ってやっから」
顎を持って顔を上に向かせると、マヌケな表情で***がぽかんとするのが可笑しい。くつくつと笑いながら、銀時は指ですくった口紅を小さな唇にのせた。ふにふにした感触を指先で楽しみつつ、丁寧に塗ってやる。素朴で子どもじみた***の顔が、口紅ひとつで急に大人びた女になった。似合いますかね?と不安そうにするから、まぁいいんじゃねーの、と投げやりに答えた。
「あっ、いいこと思いついた!」
「はぁ?」
急に目を輝かせた***が、銀時をまねて口紅を指に取った。オイ違ぇよ、薬指つかえ、いや俺も人差し指使ったけど、と横やりを入れようとしたのにできなかったのは、華奢な指が朱色を運んだのが唇ではなく、鼻の頭だったから。指先をちょんちょんと当てて、鼻の先端がほんのり赤くなる。茶目っ気のある黒い瞳が銀時を見上げて、楽しそうな声で言った。
「赤鼻のトナカイさんです!!」
「ぶっっっっ!!!!!」
バカかお前は、というツッコミと、明るい笑い声が弾けたのは同時だった。涙ぐみながらけらけらと笑う***の姿は、今夜この街でいちばんアホらしくて、子どものようで、そして愛らしかった。
———あー……、やっぱ今日は帰したくねぇ
もう家に居るのに、猛烈にそう思ったら手が勝手に動いた。躊躇も遠慮もなく、頭をひっつかんでぐいっと***を抱き寄せた。顔面から胸にダイブして「んぶっ」と色気のない声が上がった。
何するんですか、としかめっ面が上を向いた瞬間、身をかがめて口づける。「んっ!」と見開かれた瞳を覗きこむように、体重をかけて押し倒した。玄関から一歩しか進んでない床で、銀時は小さな身体に覆いかぶさった。
「ぎ、んちゃっ、ちょ、っと、待っ」
「待てねぇ」
後頭部をつかんで深くキスをしたら、***の頭からカチューシャがぽとりと落ちた。力任せに襟の合わせてつかんで、ぐいっと開く。はだけた胸元を見た銀時は、あまりの驚きに「っ、」と息を飲んだ。
***の白い肌の上に、真っ赤な下着がついていた。普段は絶対に着ない派手な色で繊細なレースがあしらわれている。銀時の頭の奥で、ぷっつんと糸の切れる音がした。
「ちがっ、違うの!こ、これはその……別に銀ちゃんに見せたいとか、そーゆーのじゃな、あッ!」
震える声が発する言いわけは、唇で遮った。
好きな女の期待に応えないなんて男が廃る。据え膳食わぬは男の恥だ。勢いづいた銀時はいつもより少し意地悪で、自分で思っている以上にしつこく***を求めた。その証拠に「銀ちゃん」と何度も呼ぶ声が次第にかすれて、最後は嗚咽まじりになっていた。
耳元で熱っぽく囁くだけですぐ赤くなる顔や、笑えるほど素直に反応する身体を味わい尽くして、気づけば夜が明けていた。朝陽に青く染まった部屋で、ふたりで布団に横たわっている。銀時の腕の中で、***はすやすやと穏やかな寝息を立てていた。数えきれないほど噛みついた唇から、口紅はとっくに剥げていた。しかし鼻の頭にはほんの少しだけ、朱色が残っていたから笑ってしまった。
「なぁにが赤鼻のトナカイだっつーの」
はは、とかすれた声で笑うと、銀時は口紅の残る***の鼻に、自分の鼻先をぐりぐりとこすりつけた。「んんっ」とうめきながら首にすり寄ってきた***の頭に手を添えると、腕にぎゅうっと力を込めて強く抱きしめた。
———お前が赤鼻のトナカイなら、ソリでもなんでも使って、行きたいところへ行きゃぁいいさ。海でも山でも、天国だろうと地獄だろうと、どんな悪路を進もうと、俺は絶対にふり払われねぇように、ずっと***を抱きしめてるから———
もうすぐクリスマスの朝が来て、かぶき町中の子どもがはしゃぎだす。耳を澄ますと空の彼方から、駆けていくソリの鈴の音が聞こえた気がした。小さな***の身体をしがみつくように抱きしめて眠りに落ちる銀時は、自分が今このかぶき町でいちばん幸福な子どものようだと思っていた。
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【2020 Xmas記念】赤鼻のトナカイ
2020-12-25