銀ちゃんが好きな女の子
お礼画面(超短編小説)
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【13日の金曜日】
かの有名な殺人鬼が主役(?)のホラー映画は、***のお気に入りだ。今日は13日と金曜日が重なる希少な日。レンタルした映画のディスクを持って、仕事終わりの***はワクワクしながら万事屋を訪ねた。夕ごはんのあと「皆で観よう」と言ったら、新八と神楽は目を輝かせて、銀時は顔を引きつらせた。
「はぁぁぁ!?なんでジェイソンなんだよ!?なんであんな胸くそ悪ぃ映画、観なきゃなんねんだよぉ?めっさ嫌なんだけど、ごっさ観たくねんだけどぉ!」
「なんでって……今日13日の金曜日だし、記念すべきジェイソン誕生のシリーズ1作目を、皆で観たら楽しいかなって思ったんですけど。ねぇ、神楽ちゃん?」
「そうヨ!ジェイソンのはじめての殺戮、わたし観たいネ!新八も観たいって言ってたアル!」
「神楽ちゃん、はじめてのおつかいみたいに言わないで。さっそく観ましょう***さん!」
うぎぎ、と唸った銀時は頭を抱える。それを横目に***と子どもたちは並んでソファに座った。ぐるぐる歩き回っていた銀時は、映画が始まると神楽と***の間に割り込んだ。右手で***の、左手で神楽の手を握った大きな両手は、汗でじっとりと湿っていた。
「しししし、しょーがねーな!お前らが怖がってギャーギャーうるせぇから付き合ってやるよ!ぜぇったい銀さんの手ぇ離すなよ!オイ神楽、ちゃんと握ってろって!***はもっとこっち寄れよ!」
4人でお団子のように並んで騒ぐうちに、画面では1人また1人と殺人鬼の餌食になる。スプラッターらしく血しぶきを上げて新たな犠牲者が出るたびに銀時は「うぐっ」と青ざめた。神楽が「ちょっとトイレ」と一時停止を押して、新八が「お茶淹れますね」と席を立つと、銀時はそわそわしながら***の腰に両腕を回した。
「なぁなぁ、***~、もうこれ観んのやめねぇ?どーせ全員死ぬんだろ?んな、救いのねぇ話のどこがおもしれぇんだよぉ」
「全員じゃなくてひとりは生き残りますよ?あ、でも、ちょ、ちょっとこの後のシーンは少し飛ばすね」
は?と言ってぽかんとする銀時の前で、***は映画を早送りした。画面のなかで若い男女の熱烈なラブシーンが倍速で進む。どうせこの直後に若いカップルは殺されてしまう。でも新八くんと神楽ちゃんにはまだ早いから、と苦笑いする***の腰を、銀時がぐいっと引き寄せた。
お腹をぎゅうぎゅうと締め付けられて「銀ちゃん、苦しいよ」と横を向くと、ニヤつきながら唇を尖らせた銀時の顔が迫ってきていた。
「へぁぁ!?」と素っ頓狂な声を上げて、***はとっさに銀時の口を両手で覆って押し返した。
「な、なに急にっ!?やめてください!!」
「んぶっ!お前なぁ~~、こっちは観たくもねぇ映画に付き合ってやってんだから、ちゅー位させろよ。オラッ、手ぇどけろって!」
「わわっ、ちょ、まっ、んぅっ……!?」
両手首をつかんでどけられて、唇がむぎゅっと押し付けられる。油断して開いていた口は、あっさりと舌まで受け入れてしまう。早送りしたラブシーンさながらの深くねっとりとしたキスに、***は「ふぁっ」とおかしな声を漏らした。
映画を早送りしても、銀時と***が同じことをしているのを見られたら意味がない。ふたりが戻ってきちゃうと涙目で訴えて、硬い胸をバシバシと叩いたら、ようやく銀時は顔を離した。
「っんだよぉ~~~、***が怖いよ~銀ちゃん助けてぇ~ってビビってるから気ぃ紛らわしてやっただけだっつーの。俺と乳繰り合ってりゃ、ジェイソンだって襲ってこねーだろーよ」
「……残念だけど銀ちゃん、この手の映画ではイチャついてるカップルから襲われるっていうお約束があるんですよ?」
じとっとした目で***は、銀時の背後を指さした。へ、とマヌケな声を上げて銀時が振り向くと、そこには穴の開いた白いマスクを被るジェイソンがふたり、並んで立っていた。手にはチェーンソー、ひとりは赤毛、ひとりはマスクの上から眼鏡をかけている。
冷静になれば、明らかに神楽と新八だと分かるが、振り返ってそれを目にした瞬間、銀時は***にぎゅうっと抱き着きながら、大声で叫んだ。
「んぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
13日の金曜日。
楽しい夜はまだ始まったばかり。
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【2020-1113記念】13日の金曜日
2020-11-13
かの有名な殺人鬼が主役(?)のホラー映画は、***のお気に入りだ。今日は13日と金曜日が重なる希少な日。レンタルした映画のディスクを持って、仕事終わりの***はワクワクしながら万事屋を訪ねた。夕ごはんのあと「皆で観よう」と言ったら、新八と神楽は目を輝かせて、銀時は顔を引きつらせた。
「はぁぁぁ!?なんでジェイソンなんだよ!?なんであんな胸くそ悪ぃ映画、観なきゃなんねんだよぉ?めっさ嫌なんだけど、ごっさ観たくねんだけどぉ!」
「なんでって……今日13日の金曜日だし、記念すべきジェイソン誕生のシリーズ1作目を、皆で観たら楽しいかなって思ったんですけど。ねぇ、神楽ちゃん?」
「そうヨ!ジェイソンのはじめての殺戮、わたし観たいネ!新八も観たいって言ってたアル!」
「神楽ちゃん、はじめてのおつかいみたいに言わないで。さっそく観ましょう***さん!」
うぎぎ、と唸った銀時は頭を抱える。それを横目に***と子どもたちは並んでソファに座った。ぐるぐる歩き回っていた銀時は、映画が始まると神楽と***の間に割り込んだ。右手で***の、左手で神楽の手を握った大きな両手は、汗でじっとりと湿っていた。
「しししし、しょーがねーな!お前らが怖がってギャーギャーうるせぇから付き合ってやるよ!ぜぇったい銀さんの手ぇ離すなよ!オイ神楽、ちゃんと握ってろって!***はもっとこっち寄れよ!」
4人でお団子のように並んで騒ぐうちに、画面では1人また1人と殺人鬼の餌食になる。スプラッターらしく血しぶきを上げて新たな犠牲者が出るたびに銀時は「うぐっ」と青ざめた。神楽が「ちょっとトイレ」と一時停止を押して、新八が「お茶淹れますね」と席を立つと、銀時はそわそわしながら***の腰に両腕を回した。
「なぁなぁ、***~、もうこれ観んのやめねぇ?どーせ全員死ぬんだろ?んな、救いのねぇ話のどこがおもしれぇんだよぉ」
「全員じゃなくてひとりは生き残りますよ?あ、でも、ちょ、ちょっとこの後のシーンは少し飛ばすね」
は?と言ってぽかんとする銀時の前で、***は映画を早送りした。画面のなかで若い男女の熱烈なラブシーンが倍速で進む。どうせこの直後に若いカップルは殺されてしまう。でも新八くんと神楽ちゃんにはまだ早いから、と苦笑いする***の腰を、銀時がぐいっと引き寄せた。
お腹をぎゅうぎゅうと締め付けられて「銀ちゃん、苦しいよ」と横を向くと、ニヤつきながら唇を尖らせた銀時の顔が迫ってきていた。
「へぁぁ!?」と素っ頓狂な声を上げて、***はとっさに銀時の口を両手で覆って押し返した。
「な、なに急にっ!?やめてください!!」
「んぶっ!お前なぁ~~、こっちは観たくもねぇ映画に付き合ってやってんだから、ちゅー位させろよ。オラッ、手ぇどけろって!」
「わわっ、ちょ、まっ、んぅっ……!?」
両手首をつかんでどけられて、唇がむぎゅっと押し付けられる。油断して開いていた口は、あっさりと舌まで受け入れてしまう。早送りしたラブシーンさながらの深くねっとりとしたキスに、***は「ふぁっ」とおかしな声を漏らした。
映画を早送りしても、銀時と***が同じことをしているのを見られたら意味がない。ふたりが戻ってきちゃうと涙目で訴えて、硬い胸をバシバシと叩いたら、ようやく銀時は顔を離した。
「っんだよぉ~~~、***が怖いよ~銀ちゃん助けてぇ~ってビビってるから気ぃ紛らわしてやっただけだっつーの。俺と乳繰り合ってりゃ、ジェイソンだって襲ってこねーだろーよ」
「……残念だけど銀ちゃん、この手の映画ではイチャついてるカップルから襲われるっていうお約束があるんですよ?」
じとっとした目で***は、銀時の背後を指さした。へ、とマヌケな声を上げて銀時が振り向くと、そこには穴の開いた白いマスクを被るジェイソンがふたり、並んで立っていた。手にはチェーンソー、ひとりは赤毛、ひとりはマスクの上から眼鏡をかけている。
冷静になれば、明らかに神楽と新八だと分かるが、振り返ってそれを目にした瞬間、銀時は***にぎゅうっと抱き着きながら、大声で叫んだ。
「んぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
13日の金曜日。
楽しい夜はまだ始まったばかり。
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【2020-1113記念】13日の金曜日
2020-11-13