銀ちゃんが好きな女の子
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【四畳半ハロウィン】
四畳半の部屋に住む***は、ハロウィンに関心がない。この土曜の夜に世の恋人たちは、イタズラと称してどうせ卑猥なことをして楽しむんだろう。あーヤダヤダと銀時は言いながらも下心だけはしっかりとある。年に一度のおいしい機会を逃してたまるかと、仮装もせずにボロアパートのドアを叩いた。
「あれ、銀ちゃん、こんな時間にどうしたの?」
「あー……なんだっけ、トリックオアトリートメント?甘ぇもん寄こすかイタズラされるか、どっちか選べ」
開いた扉からひょっこりと出てきた***に向かって、そう言い放ったのは我ながら図々しい男だったと思う。だけど「甘いものならあるよ」とへらっと笑って、カボチャの煮つけを出してくる女も相当おかしい。
「いや、ちょ、待てよ***……お前みてぇな若ぇ女は、こーゆーくだらねぇ年中行事に浮かれんじゃねーの!?ミニスカの魔女っ子コスプレで、彼氏にやらしいイタズラ仕掛けてくんじゃねーの!?っつーか仕掛けてください、お願いします!300円あげるからぁ!!」
「え、やですよ。私ミニスカ履かないし、イタズラもしたくないもん。それより銀ちゃん、よかったら晩ごはん食べてきませんか?」
煮物つくりすぎちゃってと言って、***は丸いちゃぶ台に皿を並べはじめた。米と味噌汁、焼き魚に煮物。笑えるほど質素な食事。でも丁寧に作られた料理は予想通り美味かった。味付け大丈夫ですか?と不安そうに聞く顔を見て、銀時は思わず「ぶっ」と吹き出した。
「え、なんで笑うんですか?」
「いや、なんつーか俺たち年寄りくさくね?長年連れ添った夫婦っぽくね?なに顔付き合わせてカボチャ食ってんだよ。なにこれ、何この地味なハロウィン。じーさんとばーさんかっつーの!」
箸を動かしながらそう言うと、くすくす笑いが返ってきた。はにかむように微笑んだ***が正座のまま膝だけ動かして、すりすりと近づいてくる。横並びで寄り添い銀時を見上げた顔は、幸せでたまらないというようにふんわりと笑っていた。
「銀ちゃんと長年連れ添うおばあちゃんのコスプレだったら、私、一生してたいな」
「なっ……んだよソレ、そーゆーアホっぽいこと言うのやめろって。っとにオメェは小っ恥ずかしいヤツだなコノヤロー!」
こんな風に***は時々、銀時には到底言えないセリフをあっさりと口にする。たまらなく恥ずかしくてこそばゆい言葉を、ふにゃふにゃした笑顔と、めいっぱい柔らかな声で。
あーヤダヤダ。こんな小娘の言うことにいい歳したおっさんがときめくなんてダサすぎる。やめろとか言いつつ内心喜んで、口元が緩みかけてるなんて、かっこ悪すぎて死んでも知られたくない。
やられたらやり返すのがドSの性分で、銀時はしれっとした顔で平静を装った。ズボッと箸を突き刺したカボチャをひと切れ、口に放り込みながら言った。
「ま、甘いモンが無ぇからイタズラはするけどな」
「へっ?いや、カボチャ出したじゃないですか。ちゃんと甘い物あげたんだからイタズラは無しだよ」
「甘いっつってもこれお菓子じゃなくておかずだろーが!こんなんで銀さんのハロウィンが終われるかよ。今日は泊まってくし、明日はお前休みだろ?老いぼれみてーに***が足腰立たなくなるくらい、ひと晩中いじめまくって朝が来るまで可愛がってやるっつーの!!」
「は!?何それ、そ、そんなの駄目だよバカ!!」
熟れたカボチャのように顔を赤く染めて後ずさる姿に、銀時はゲラゲラと笑った。この可愛い女にどんなイタズラを仕掛けて、秋の夜長を楽しもうかと考えながら。
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【2020ハロウィン記念】四畳半ハロウィン
2020-10-31
四畳半の部屋に住む***は、ハロウィンに関心がない。この土曜の夜に世の恋人たちは、イタズラと称してどうせ卑猥なことをして楽しむんだろう。あーヤダヤダと銀時は言いながらも下心だけはしっかりとある。年に一度のおいしい機会を逃してたまるかと、仮装もせずにボロアパートのドアを叩いた。
「あれ、銀ちゃん、こんな時間にどうしたの?」
「あー……なんだっけ、トリックオアトリートメント?甘ぇもん寄こすかイタズラされるか、どっちか選べ」
開いた扉からひょっこりと出てきた***に向かって、そう言い放ったのは我ながら図々しい男だったと思う。だけど「甘いものならあるよ」とへらっと笑って、カボチャの煮つけを出してくる女も相当おかしい。
「いや、ちょ、待てよ***……お前みてぇな若ぇ女は、こーゆーくだらねぇ年中行事に浮かれんじゃねーの!?ミニスカの魔女っ子コスプレで、彼氏にやらしいイタズラ仕掛けてくんじゃねーの!?っつーか仕掛けてください、お願いします!300円あげるからぁ!!」
「え、やですよ。私ミニスカ履かないし、イタズラもしたくないもん。それより銀ちゃん、よかったら晩ごはん食べてきませんか?」
煮物つくりすぎちゃってと言って、***は丸いちゃぶ台に皿を並べはじめた。米と味噌汁、焼き魚に煮物。笑えるほど質素な食事。でも丁寧に作られた料理は予想通り美味かった。味付け大丈夫ですか?と不安そうに聞く顔を見て、銀時は思わず「ぶっ」と吹き出した。
「え、なんで笑うんですか?」
「いや、なんつーか俺たち年寄りくさくね?長年連れ添った夫婦っぽくね?なに顔付き合わせてカボチャ食ってんだよ。なにこれ、何この地味なハロウィン。じーさんとばーさんかっつーの!」
箸を動かしながらそう言うと、くすくす笑いが返ってきた。はにかむように微笑んだ***が正座のまま膝だけ動かして、すりすりと近づいてくる。横並びで寄り添い銀時を見上げた顔は、幸せでたまらないというようにふんわりと笑っていた。
「銀ちゃんと長年連れ添うおばあちゃんのコスプレだったら、私、一生してたいな」
「なっ……んだよソレ、そーゆーアホっぽいこと言うのやめろって。っとにオメェは小っ恥ずかしいヤツだなコノヤロー!」
こんな風に***は時々、銀時には到底言えないセリフをあっさりと口にする。たまらなく恥ずかしくてこそばゆい言葉を、ふにゃふにゃした笑顔と、めいっぱい柔らかな声で。
あーヤダヤダ。こんな小娘の言うことにいい歳したおっさんがときめくなんてダサすぎる。やめろとか言いつつ内心喜んで、口元が緩みかけてるなんて、かっこ悪すぎて死んでも知られたくない。
やられたらやり返すのがドSの性分で、銀時はしれっとした顔で平静を装った。ズボッと箸を突き刺したカボチャをひと切れ、口に放り込みながら言った。
「ま、甘いモンが無ぇからイタズラはするけどな」
「へっ?いや、カボチャ出したじゃないですか。ちゃんと甘い物あげたんだからイタズラは無しだよ」
「甘いっつってもこれお菓子じゃなくておかずだろーが!こんなんで銀さんのハロウィンが終われるかよ。今日は泊まってくし、明日はお前休みだろ?老いぼれみてーに***が足腰立たなくなるくらい、ひと晩中いじめまくって朝が来るまで可愛がってやるっつーの!!」
「は!?何それ、そ、そんなの駄目だよバカ!!」
熟れたカボチャのように顔を赤く染めて後ずさる姿に、銀時はゲラゲラと笑った。この可愛い女にどんなイタズラを仕掛けて、秋の夜長を楽しもうかと考えながら。
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【2020ハロウィン記念】四畳半ハロウィン
2020-10-31