銀ちゃんが好きな女の子
お礼画面(超短編小説)
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【雨にジャンプ】
わざわざこんな雨の中を、と自分でも思う。
でも今日はジャンプの発売日と気づいたら、コンビニに行かずにいられなかったのだ。***が買ったところで銀時はせいぜい鼻をほじりながら「あんがとよ」と言うだけ。けれどジャンプを読みながらあーだこーだ言う姿は、大きな子どもみたいで可愛い。
それでウキウキ買った一冊をビニール袋に入れて店を出ると、雨が強まっていた。おまけに傘立てからは***の傘が消えていた。どうしようと悩んだけれど、走れば万事屋はすぐそこと思い直して歩道にぴょんっと踏み出した。
「うおぉっと!!ちょ、おま、何してんだよ!?」
俯いて走っていたから、急に呼ばれて驚いた。
前から来てぶつかりそうになったのは、今まさに会いに行こうとしてた人で、***と同じく傘を持っていなかった。
「えっ!?銀ちゃんこそ何してるんですか!?」
立ち尽くす***の腕を濡れた手が掴む。近くの軒下に入ると、雨垂れの厚いカーテンで通りが見えなかった。全身ずぶ濡れの銀時が溜息まじりに言った。
「ったく、嫁入り前の娘がこんな雨んなかドタバタ走ってんじゃねーよ。びっくりすんだろーが。傘ぐらい差せっての」
「ご、ごめんね。そう言う銀ちゃんも、雨のなかどこへ行くつもりだったんですか?」
懐から出したハンカチを銀時の頬に押し当てると、うずまき模様の着物の袖が***の顔をごしごしと拭いた。拭きながら、コンビニに行くつもりで小雨だったから手ぶらで出たら急に降られちまった、と言う。得意げに笑った***が手にしていた袋を掲げた。
「お目当てのものはコレですね?」
「は?なに***、わざわざ銀さんのジャンプ買いに行ったの?この雨んなかを?」
「うん、そうですよ。あ、もう買っちゃってた?」
「いや買ってねぇけど……あー、あっそぉ……」
銀時はおもむろに着流しを脱ぐと、風邪ひかれたら困る、と言って***の肩に掛けた。お礼を言って濡れた髪をまとめ、ぎゅっと絞りながらチラッと隣を見上げた。
銀色でいつもはふわふわのくせっ毛が今はしなっとしている。湿った黒いシャツが胸や腕にぴたりと張りついている。銀髪から垂れた水滴が太い首をつーっと伝っていくのを見た瞬間、***は「あっ」と固まった。
そんなつもりはないのに自然と、お布団に組み敷かれて恥ずかしいことをしている時の情景が目に浮かんだ。前髪や襟足から雫が垂れるほど汗だくになって、***の上で動く銀時を思い出してしまって、慌てて目を逸らす。
———なんてこと考えてるんだ私は!バカッ!
雑念を払おうと頭をぶんぶん振っていると、突然背中に重たいものが乗った。「わっ」と驚いて肩越しに振り返ると、銀時は***のうなじに顔を寄せて、そこに流れる雨の雫をぺろりと舐めた。
「ひゃぁあっ!?なっ、なにすんですか!?」
「なにって、何か美味そうだったから、つい」
ニヤつきながらそう言って抱きすくめられた。首に吸いつかれるのがくすぐったくて、恥ずかしさに顔が熱くなる。ヤダヤダと叫んでお腹に回る腕を叩いた。
「こ、こんなとこでダメです!人が、来ちゃう」
「んー?……いや、大丈夫だって。こんな雨んなか歩いてるヤツなんかいねぇし、家帰ったら神楽達がいるし、こんなとこでしかイチャイチャできねぇしぃ〜。それに***だってその気なんだろ?銀さんのこと、やらしい目で見ちゃってさぁ」
「んなっ、みみみみみ、見てないよっ!!」
「うそうそ、見てたって。っつーかお前、いま自分がどんな状態か分かってる?びしょ濡れで色っぺぇし、走ったせいでほっぺた赤ぇし、息も上がってるし……そんなえっろい顔した女に欲しそうな目で見られて、こちとら気が気じゃねぇっつーの」
反論する前に胸をまさぐられてギョッとした。いつ誰が来るか分からない場所で嫌だ。わめきながら必死に抵抗すると、耳元で低い声がぼそぼそと何かを囁いた。それが何度か泊まったことのあるラブホテルの名前だと***が気づくのには数秒かかった。たくましい腕の中で身をよじって向き合うと、恐る恐る尋ねた。
「銀ちゃん、えぇっと、その……し、したいの?」
ふっと笑った銀時に肩を押され、壁に背中を抑えつけられた。世界が雨音だけになって、赤い瞳と見つめ合っているうちに唇を奪われていた。雨で冷えたはずの唇が触れては離れて、吸って噛んでを繰り返すうちに腫れそうなほど熱くなる。息が切れた頃にキスは途絶えて、長い指が***の頬を撫でた。雨で張りついた髪をそっと払いながら、艶っぽく熱を帯びた銀時の声が、吐息と一緒に唇をかすめた。
「……すっげぇ、してぇ」
「っ……!」
おでこをこつんとくっ付けて「お前は?お前もしてぇ?」と矢継ぎ早に聞かれたらたまらなくなって、***は黒いシャツの胸元をギュッとつかんだ。恥ずかしくて答えられずにいたけれど「なぁ、どーなの?」と何度も迫られて、ついにこくんと頷いてしまう。
その瞬間、銀時は新しいジャンプを開く時みたいに楽しそうな顔になって、着流しで包んだ***を横向きに抱え上げた。
「そんじゃァ、ひとっ走りと行きますか」
「降ろしてください!これじゃ銀ちゃん濡れちゃう」
「濡れてもいーの。後で***にあっためて貰うから」
ニッと笑った顔が大きな子どもみたいで、ドキドキした***は声も出せない。いつ読んで貰えるか分からない少年ジャンプを胸に抱えた***を、太い腕でしっかりと抱いた銀時が、どしゃ降りの雨の中にぴょんっと飛び出して行った。
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【雨にジャンプ】
2021-6-6
わざわざこんな雨の中を、と自分でも思う。
でも今日はジャンプの発売日と気づいたら、コンビニに行かずにいられなかったのだ。***が買ったところで銀時はせいぜい鼻をほじりながら「あんがとよ」と言うだけ。けれどジャンプを読みながらあーだこーだ言う姿は、大きな子どもみたいで可愛い。
それでウキウキ買った一冊をビニール袋に入れて店を出ると、雨が強まっていた。おまけに傘立てからは***の傘が消えていた。どうしようと悩んだけれど、走れば万事屋はすぐそこと思い直して歩道にぴょんっと踏み出した。
「うおぉっと!!ちょ、おま、何してんだよ!?」
俯いて走っていたから、急に呼ばれて驚いた。
前から来てぶつかりそうになったのは、今まさに会いに行こうとしてた人で、***と同じく傘を持っていなかった。
「えっ!?銀ちゃんこそ何してるんですか!?」
立ち尽くす***の腕を濡れた手が掴む。近くの軒下に入ると、雨垂れの厚いカーテンで通りが見えなかった。全身ずぶ濡れの銀時が溜息まじりに言った。
「ったく、嫁入り前の娘がこんな雨んなかドタバタ走ってんじゃねーよ。びっくりすんだろーが。傘ぐらい差せっての」
「ご、ごめんね。そう言う銀ちゃんも、雨のなかどこへ行くつもりだったんですか?」
懐から出したハンカチを銀時の頬に押し当てると、うずまき模様の着物の袖が***の顔をごしごしと拭いた。拭きながら、コンビニに行くつもりで小雨だったから手ぶらで出たら急に降られちまった、と言う。得意げに笑った***が手にしていた袋を掲げた。
「お目当てのものはコレですね?」
「は?なに***、わざわざ銀さんのジャンプ買いに行ったの?この雨んなかを?」
「うん、そうですよ。あ、もう買っちゃってた?」
「いや買ってねぇけど……あー、あっそぉ……」
銀時はおもむろに着流しを脱ぐと、風邪ひかれたら困る、と言って***の肩に掛けた。お礼を言って濡れた髪をまとめ、ぎゅっと絞りながらチラッと隣を見上げた。
銀色でいつもはふわふわのくせっ毛が今はしなっとしている。湿った黒いシャツが胸や腕にぴたりと張りついている。銀髪から垂れた水滴が太い首をつーっと伝っていくのを見た瞬間、***は「あっ」と固まった。
そんなつもりはないのに自然と、お布団に組み敷かれて恥ずかしいことをしている時の情景が目に浮かんだ。前髪や襟足から雫が垂れるほど汗だくになって、***の上で動く銀時を思い出してしまって、慌てて目を逸らす。
———なんてこと考えてるんだ私は!バカッ!
雑念を払おうと頭をぶんぶん振っていると、突然背中に重たいものが乗った。「わっ」と驚いて肩越しに振り返ると、銀時は***のうなじに顔を寄せて、そこに流れる雨の雫をぺろりと舐めた。
「ひゃぁあっ!?なっ、なにすんですか!?」
「なにって、何か美味そうだったから、つい」
ニヤつきながらそう言って抱きすくめられた。首に吸いつかれるのがくすぐったくて、恥ずかしさに顔が熱くなる。ヤダヤダと叫んでお腹に回る腕を叩いた。
「こ、こんなとこでダメです!人が、来ちゃう」
「んー?……いや、大丈夫だって。こんな雨んなか歩いてるヤツなんかいねぇし、家帰ったら神楽達がいるし、こんなとこでしかイチャイチャできねぇしぃ〜。それに***だってその気なんだろ?銀さんのこと、やらしい目で見ちゃってさぁ」
「んなっ、みみみみみ、見てないよっ!!」
「うそうそ、見てたって。っつーかお前、いま自分がどんな状態か分かってる?びしょ濡れで色っぺぇし、走ったせいでほっぺた赤ぇし、息も上がってるし……そんなえっろい顔した女に欲しそうな目で見られて、こちとら気が気じゃねぇっつーの」
反論する前に胸をまさぐられてギョッとした。いつ誰が来るか分からない場所で嫌だ。わめきながら必死に抵抗すると、耳元で低い声がぼそぼそと何かを囁いた。それが何度か泊まったことのあるラブホテルの名前だと***が気づくのには数秒かかった。たくましい腕の中で身をよじって向き合うと、恐る恐る尋ねた。
「銀ちゃん、えぇっと、その……し、したいの?」
ふっと笑った銀時に肩を押され、壁に背中を抑えつけられた。世界が雨音だけになって、赤い瞳と見つめ合っているうちに唇を奪われていた。雨で冷えたはずの唇が触れては離れて、吸って噛んでを繰り返すうちに腫れそうなほど熱くなる。息が切れた頃にキスは途絶えて、長い指が***の頬を撫でた。雨で張りついた髪をそっと払いながら、艶っぽく熱を帯びた銀時の声が、吐息と一緒に唇をかすめた。
「……すっげぇ、してぇ」
「っ……!」
おでこをこつんとくっ付けて「お前は?お前もしてぇ?」と矢継ぎ早に聞かれたらたまらなくなって、***は黒いシャツの胸元をギュッとつかんだ。恥ずかしくて答えられずにいたけれど「なぁ、どーなの?」と何度も迫られて、ついにこくんと頷いてしまう。
その瞬間、銀時は新しいジャンプを開く時みたいに楽しそうな顔になって、着流しで包んだ***を横向きに抱え上げた。
「そんじゃァ、ひとっ走りと行きますか」
「降ろしてください!これじゃ銀ちゃん濡れちゃう」
「濡れてもいーの。後で***にあっためて貰うから」
ニッと笑った顔が大きな子どもみたいで、ドキドキした***は声も出せない。いつ読んで貰えるか分からない少年ジャンプを胸に抱えた***を、太い腕でしっかりと抱いた銀時が、どしゃ降りの雨の中にぴょんっと飛び出して行った。
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【雨にジャンプ】
2021-6-6