銀ちゃんが好きな女の子
お礼画面(超短編小説)
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【キスの日】
2021-0523 / キスの日記念
唇を合わせたまま、名前を呼ばれるのが好きだ。
絡めとった***の舌は小さく短い。
長すぎるキスに疲れ切って「銀ちゃん」と言うが、声はくぐもって銀時の口の中で「ひ、ちゃ、ん」と響く。
その響きを唾液と共に、ごくんと飲み込むと、好きな女の声と息まで自分のものに出来る、ような気がする。
支配欲が満たされる快感がたまらなくて、キスをするたび銀時は、***を呼吸の限界まで追い詰めてしまう。
「はぁっ……ね、もぉ、くるしぃっ」
わずかな口の隙間から、喘ぐような声が漏れた。
いつもはほんのり桜色の唇が、濃い朱色に染まる。顔を逸らせないよう手で抑えたうなじは、かすかに汗ばんでいた。親指の先で耳たぶを弾くと、熟れたさくらんぼみたいに赤く色づいて美味そうだった。
何十分も口を塞がれて、そりゃあ苦しいだろう。唇を噛まれ、舌を吸われ、歯列をなぞり頬の内側を舐められ、のどの奥まで厚い舌をねじ込まれて苦しくないはずがない。そう分かっていても止めてやれない。
「オイオイ、まだ終わってねーぞコラ。***がキスしたいっつったんだろ。せっかく銀さんがしてやってんだから、へばってねぇでシャキッとしろよ」
「や、もムリ、ごめんなさ、あッ———!」
恥ずかしがり屋の***が、自分からキスをねだるなんて珍しい。万事屋の居間のソファで、ふたりきりになったのを見計らうように「銀ちゃん、キキキ、キスしたいです」と発した声は、ロボットみたいに強張っていた。
銀時は耳を疑って唖然としたが「テレビで今日はキスの日って」とごにょごにょ言いわけが聞こえた瞬間、その口を唇で塞いだ。自分から欲してばかりの口づけを、***から求められたことに内心喜んでるなんて、格好悪くて知られたくなかった。
「ふぁ、あ、ひっ、ぁ……っ」
延々と続くキスは、顔の角度を何度も変えてますます深まっていく。吐息まじりの弱々しい声がやけに色っぽくて、もっと鳴かせたくなる。舌をずるんっと無遠慮に差し込み、その先端で上顎をくすぐってやれば、抱き寄せた腰のくびれがぴくぴく痙攣した。
身を乗り出すとたやすく押し倒せて、狭いソファにふたりで重なる。恥ずかしさも息苦しさも限界を超え、抵抗ひとつせずにとろんとした目が見つめ返してくる。その艶めいた目つきが、どれほど銀時を煽ることになるかなんて、愚かな***は気づいてすらいないだろう。
———ったく……付き合ったばっかの頃は、手ぇ繋ぐのも目ぇ見んのもひと苦労だったくせに、いつの間にこんな顔するようになったんだよ……
男性経験の無い***と付き合って、キスを教えたのは他でもなく銀時だ。触れるだけで唇をギュッと噛みしめたり、息が出来ないと泣いたり、それでも必死に応えようとするのが可愛いと思っていた。なのに最近は女っぽい反応を返すようになって、女に慣れているはずの自分が童貞みたいにがっついているのが少し癪だった。その悔しさを紛らわそうと、唇を重ねたままニヤけた声で銀時は尋ねた。
「***は俺と……そんなにキスしてぇ?」
「~~~~っ、て、だって、きょ、うはっ」
「キスの日だから?今日だけでいーの?今日だけキスしたら、後はもう出来なくてもいーのかよ?」
「っ……!ちがっ、んぁっ!」
いじわるな質問をされて、見開かれた瞳に涙がぶわっと浮かぶ。それを銀時は笑いながら眺めていた。
違う、という答えは聞くまでもない。
もとから答えなんて求めてもなかった。
ソファに頭が沈むほど強く唇を押し付けると、口の中で「ひ、ちゃ、ん」と響く。
その響きを溢れかけた涎と一緒にごくんと飲み干す。
今日だけなんて死んでも無理、と銀時は自分の質問に自分で答えていた。
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【キスの日】2021-5-23
2021-0523 / キスの日記念
唇を合わせたまま、名前を呼ばれるのが好きだ。
絡めとった***の舌は小さく短い。
長すぎるキスに疲れ切って「銀ちゃん」と言うが、声はくぐもって銀時の口の中で「ひ、ちゃ、ん」と響く。
その響きを唾液と共に、ごくんと飲み込むと、好きな女の声と息まで自分のものに出来る、ような気がする。
支配欲が満たされる快感がたまらなくて、キスをするたび銀時は、***を呼吸の限界まで追い詰めてしまう。
「はぁっ……ね、もぉ、くるしぃっ」
わずかな口の隙間から、喘ぐような声が漏れた。
いつもはほんのり桜色の唇が、濃い朱色に染まる。顔を逸らせないよう手で抑えたうなじは、かすかに汗ばんでいた。親指の先で耳たぶを弾くと、熟れたさくらんぼみたいに赤く色づいて美味そうだった。
何十分も口を塞がれて、そりゃあ苦しいだろう。唇を噛まれ、舌を吸われ、歯列をなぞり頬の内側を舐められ、のどの奥まで厚い舌をねじ込まれて苦しくないはずがない。そう分かっていても止めてやれない。
「オイオイ、まだ終わってねーぞコラ。***がキスしたいっつったんだろ。せっかく銀さんがしてやってんだから、へばってねぇでシャキッとしろよ」
「や、もムリ、ごめんなさ、あッ———!」
恥ずかしがり屋の***が、自分からキスをねだるなんて珍しい。万事屋の居間のソファで、ふたりきりになったのを見計らうように「銀ちゃん、キキキ、キスしたいです」と発した声は、ロボットみたいに強張っていた。
銀時は耳を疑って唖然としたが「テレビで今日はキスの日って」とごにょごにょ言いわけが聞こえた瞬間、その口を唇で塞いだ。自分から欲してばかりの口づけを、***から求められたことに内心喜んでるなんて、格好悪くて知られたくなかった。
「ふぁ、あ、ひっ、ぁ……っ」
延々と続くキスは、顔の角度を何度も変えてますます深まっていく。吐息まじりの弱々しい声がやけに色っぽくて、もっと鳴かせたくなる。舌をずるんっと無遠慮に差し込み、その先端で上顎をくすぐってやれば、抱き寄せた腰のくびれがぴくぴく痙攣した。
身を乗り出すとたやすく押し倒せて、狭いソファにふたりで重なる。恥ずかしさも息苦しさも限界を超え、抵抗ひとつせずにとろんとした目が見つめ返してくる。その艶めいた目つきが、どれほど銀時を煽ることになるかなんて、愚かな***は気づいてすらいないだろう。
———ったく……付き合ったばっかの頃は、手ぇ繋ぐのも目ぇ見んのもひと苦労だったくせに、いつの間にこんな顔するようになったんだよ……
男性経験の無い***と付き合って、キスを教えたのは他でもなく銀時だ。触れるだけで唇をギュッと噛みしめたり、息が出来ないと泣いたり、それでも必死に応えようとするのが可愛いと思っていた。なのに最近は女っぽい反応を返すようになって、女に慣れているはずの自分が童貞みたいにがっついているのが少し癪だった。その悔しさを紛らわそうと、唇を重ねたままニヤけた声で銀時は尋ねた。
「***は俺と……そんなにキスしてぇ?」
「~~~~っ、て、だって、きょ、うはっ」
「キスの日だから?今日だけでいーの?今日だけキスしたら、後はもう出来なくてもいーのかよ?」
「っ……!ちがっ、んぁっ!」
いじわるな質問をされて、見開かれた瞳に涙がぶわっと浮かぶ。それを銀時は笑いながら眺めていた。
違う、という答えは聞くまでもない。
もとから答えなんて求めてもなかった。
ソファに頭が沈むほど強く唇を押し付けると、口の中で「ひ、ちゃ、ん」と響く。
その響きを溢れかけた涎と一緒にごくんと飲み干す。
今日だけなんて死んでも無理、と銀時は自分の質問に自分で答えていた。
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【キスの日】2021-5-23