銀ちゃんが好きな女の子
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【日常】no.2 ドラマの再放送
パチンコでも行くかな、でも金ねぇしなぁ。
そうぼんやりと銀時が考えていた時に、玄関のチャイムが鳴った。家賃なら払わねぇぞ、と言いながら扉を開けると、来訪者は予想のお登勢でも、たまでもなかった。
「4時から、ドラマの再放送なんです!見てもいいですか!?」
そう言った***が、銀時の答えもきかずに上がりこんでくる。
「銀ちゃんの分のお菓子もありますから!いちご牛乳も買ってあるから!お願い!」とバタバタとリビングへ駆け込み、すでにテレビリモコンのスイッチを押している。
「あんだよ、***~、今から俺パチンコ行くんですけどぉ~」
「えぇっ、そうだったの?じゃ、じゃぁ、1時間だけ待ってください!再放送見たらすぐに帰るから、銀ちゃんも一緒に見ましょうよ。おもしろいんだから!」
結局はふたり並んでソファに座り、テレビに向かってドラマを見始める。内容は恋愛物で、男と女がくっつきそうになっては離れ、離れたかと思えばまたくっついて、というありきたりなシナリオ。
最初から分かりそうな話の展開だというのに、隣からは***の「あっ!」とか「ええっ!?」とか、いちいち過剰な反応が聞こえてくる。
「オイィィィ!***、オメェさっきからギャーギャーうるせぇんだよコノヤロー!なんなんだこのまどろっこしい奴らは!?キスすんだかしねぇんだか、いつまでもちんたらしやがって!さっさとくっつきゃいいじゃねぇか!!」
「銀ちゃん、全然分かってないですね。どうなるか分からないドキドキが、いちばんおもしろいんじゃないですか!」
テレビ画面から全く目を離さずに***は銀時に反論する。しばらくするとメインと思わしき男女二人のキスシーンがやってきた。
「あっ!きゃ、きゃ———ッ!ヤダヤダ!」
「イテッ!イテイテッ!っんだよオメー、ガキじゃねぇんだから、静かに見やがれ!」
BGMのラブソングとキスシーンに大興奮で、***は片手で銀時の腕をバシバシと叩いた。ついにふたりが結ばれてドラマの放送は終わった。
「あぁ、終わっちゃった……いやぁ、この回はすっごくドキドキしましたね!銀ちゃんテレビ見せてくれて、ありがとう。おかげで明日、バイト先のお友達とドラマの話ができます」
テレビのスイッチを切った***が、満足げに笑って振り返った。
「あっそぉ~…なぁ、ちゃんと友達と話せるように、今のうちに復習しといたほうがいんじゃねぇの?」
「え?何を?」
「だからぁ~……」
そう言った銀時の右手が急に伸ばされて、***の左頬に添えられた。気づくと腰にも手が回っていて、そのままぐいっとひっぱられる。ハッとした時には既に、自分から銀時にしなだれかかるような恰好になっていた。
「ちょっ……!!ぎ、銀ちゃん!!?」
「こーやってぇ、男が女を引き寄せて、そんで顔にかかってる髪を手ではらった後に、スローモーションになってぇ……」
髪をはらった長い指が、ほっぺたを軽く撫でて行く。ついさっき見たドラマのように、銀時の顔がスローモーションで近寄ってきた。
ふっと、いちご牛乳の甘い香りを感じるほど顔が近づいても、***は全く抵抗できなかった。ぼうぜんと目を見開いて、近づいてくる赤い瞳を見つめていたら、急に***のおでこに、ピシャリッという衝撃が走った。
「イダッ!!!」
「ほーい、しっかり覚えたかよ、***~。今んとこテストに出るから、ちゃんと復習しとけよぉ。あと簡単にキスされそうになってんじゃねーよオメーはぁ。無防備すぎる***ちゃんは、廊下に立ってなさい!」
デコピンで我に返った***を、ニヤニヤと笑った銀時が見下ろしている。気付くと身体も離れていて、顔だけがじわじわと熱を持ち始めた。
「ぎぎぎぎぎ、銀ちゃん、な、なにすんですか!せっかくドラマの余韻を感じて、大人の時間にひたってたのに……ぶち壊しですよ!!」
「ははっ!すっげぇ、顔真っ赤!お前ってほんとちょろいな~。あんな子どもだましの安いドラマで喜んでるうちは、いつまでたっても***はガキだっつーの」
うるさい、銀ちゃんの馬鹿!と言いながら、***は来た時と同じようにバタバタと帰っていく。耳の裏まで真っ赤なその後ろ姿を見て、銀時はひとり腹を抱えて笑っていた。
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【日常】no.2 ドラマの再放送
2019-0405
パチンコでも行くかな、でも金ねぇしなぁ。
そうぼんやりと銀時が考えていた時に、玄関のチャイムが鳴った。家賃なら払わねぇぞ、と言いながら扉を開けると、来訪者は予想のお登勢でも、たまでもなかった。
「4時から、ドラマの再放送なんです!見てもいいですか!?」
そう言った***が、銀時の答えもきかずに上がりこんでくる。
「銀ちゃんの分のお菓子もありますから!いちご牛乳も買ってあるから!お願い!」とバタバタとリビングへ駆け込み、すでにテレビリモコンのスイッチを押している。
「あんだよ、***~、今から俺パチンコ行くんですけどぉ~」
「えぇっ、そうだったの?じゃ、じゃぁ、1時間だけ待ってください!再放送見たらすぐに帰るから、銀ちゃんも一緒に見ましょうよ。おもしろいんだから!」
結局はふたり並んでソファに座り、テレビに向かってドラマを見始める。内容は恋愛物で、男と女がくっつきそうになっては離れ、離れたかと思えばまたくっついて、というありきたりなシナリオ。
最初から分かりそうな話の展開だというのに、隣からは***の「あっ!」とか「ええっ!?」とか、いちいち過剰な反応が聞こえてくる。
「オイィィィ!***、オメェさっきからギャーギャーうるせぇんだよコノヤロー!なんなんだこのまどろっこしい奴らは!?キスすんだかしねぇんだか、いつまでもちんたらしやがって!さっさとくっつきゃいいじゃねぇか!!」
「銀ちゃん、全然分かってないですね。どうなるか分からないドキドキが、いちばんおもしろいんじゃないですか!」
テレビ画面から全く目を離さずに***は銀時に反論する。しばらくするとメインと思わしき男女二人のキスシーンがやってきた。
「あっ!きゃ、きゃ———ッ!ヤダヤダ!」
「イテッ!イテイテッ!っんだよオメー、ガキじゃねぇんだから、静かに見やがれ!」
BGMのラブソングとキスシーンに大興奮で、***は片手で銀時の腕をバシバシと叩いた。ついにふたりが結ばれてドラマの放送は終わった。
「あぁ、終わっちゃった……いやぁ、この回はすっごくドキドキしましたね!銀ちゃんテレビ見せてくれて、ありがとう。おかげで明日、バイト先のお友達とドラマの話ができます」
テレビのスイッチを切った***が、満足げに笑って振り返った。
「あっそぉ~…なぁ、ちゃんと友達と話せるように、今のうちに復習しといたほうがいんじゃねぇの?」
「え?何を?」
「だからぁ~……」
そう言った銀時の右手が急に伸ばされて、***の左頬に添えられた。気づくと腰にも手が回っていて、そのままぐいっとひっぱられる。ハッとした時には既に、自分から銀時にしなだれかかるような恰好になっていた。
「ちょっ……!!ぎ、銀ちゃん!!?」
「こーやってぇ、男が女を引き寄せて、そんで顔にかかってる髪を手ではらった後に、スローモーションになってぇ……」
髪をはらった長い指が、ほっぺたを軽く撫でて行く。ついさっき見たドラマのように、銀時の顔がスローモーションで近寄ってきた。
ふっと、いちご牛乳の甘い香りを感じるほど顔が近づいても、***は全く抵抗できなかった。ぼうぜんと目を見開いて、近づいてくる赤い瞳を見つめていたら、急に***のおでこに、ピシャリッという衝撃が走った。
「イダッ!!!」
「ほーい、しっかり覚えたかよ、***~。今んとこテストに出るから、ちゃんと復習しとけよぉ。あと簡単にキスされそうになってんじゃねーよオメーはぁ。無防備すぎる***ちゃんは、廊下に立ってなさい!」
デコピンで我に返った***を、ニヤニヤと笑った銀時が見下ろしている。気付くと身体も離れていて、顔だけがじわじわと熱を持ち始めた。
「ぎぎぎぎぎ、銀ちゃん、な、なにすんですか!せっかくドラマの余韻を感じて、大人の時間にひたってたのに……ぶち壊しですよ!!」
「ははっ!すっげぇ、顔真っ赤!お前ってほんとちょろいな~。あんな子どもだましの安いドラマで喜んでるうちは、いつまでたっても***はガキだっつーの」
うるさい、銀ちゃんの馬鹿!と言いながら、***は来た時と同じようにバタバタと帰っていく。耳の裏まで真っ赤なその後ろ姿を見て、銀時はひとり腹を抱えて笑っていた。
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【日常】no.2 ドラマの再放送
2019-0405