銀ちゃんが好きな女の子
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【嘘の味】
2021-04-01 / エイプリルフール記念
エイプリルフールの万事屋は騒がしい。
神楽は酢昆布が頭から生えたと謎の嘘を言い、新八は寺門通と結婚したと悲しい嘘をつく。
***はくだらない戯言にけらけらと笑って、子ども達にそそのかされるがまま、普段はつかない嘘をついた。
「えーと……私、銀ちゃんのこと大嫌い」
桃色の唇が言い放った瞬間、銀時の脳天に隕石が落ちた。ドゴォンという衝撃で頭蓋骨がぱっかり割れ、背骨が真っ二つに裂けた、ような気がした。驚きすぎて「へぁ」と声を上げ、そこからの記憶が無い。
———え、え、嫌い?コイツ今、俺のこと大嫌いって言った?は?なんで?俺なんかした?あ、アレか?こないだ風呂入ってる時に下着隠してノーパンにさせたのまだ怒ってんのか?それか昨日寝てる時に胸揉みまくったのバレてたか?
嫌われる理由が浮かんでは消えた。心当たりがありすぎて汗が吹き出す。気づいた時にはソファに横たわっていて、真上から心配そうな顔の***が見下ろしていた。
「ぎ、銀ちゃん、大丈夫ですか!?いきなり白目剥いて、ばったり倒れちゃったんだよ!」
新八と神楽は、大笑いしながら出て行ったという。
あのふたりのことだから今頃、下の階のお登勢やキャサリンに"銀さんのダサいエピソード"を言いふらしてるだろう。
熱はないねぇ、と冷たい手で頬や額をぺたぺた触られて気持ちよかった。不安げに首を傾げる***は、まごうことなく銀時に惚れている。銀ちゃん銀ちゃんと金魚の糞みたいについてきて、好きです好きですと何かにつけてのたまう、正真正銘の恋人。その存在に慣れ過ぎて、初めて言われた「大嫌い」はすさまじい威力だった。
しょせん嘘だと知っていても、死ぬかと思うほどショックだった。
「お前さぁ、俺のこと嫌いっつった?」
「え?あ、うん……でも、嘘ですよ?」
ほらエイプリルフールの、とへらへらした声が途切れた。ソファに起き上がった銀時を、床に膝まずいて見上げた***の表情が、ぎくりと強張る。
言葉なんてなくても見つめ合えば、お互いの感情は伝わる。銀時の静かな怒りに気づいた途端、***の大きな黒目がゆらゆらと揺れはじめた。
「俺も、***のこと大嫌いだ」
「っ……、ぎっ、銀ちゃ、」
「俺を嫌いなお前なんて、大嫌ぇだ」
「ご、ごめ、」
「大っ嫌いだ」
青ざめた頬を両手で掴んで引き寄せる。睫毛が触れるほど顔を寄せて、のぞき込んだ瞳が涙で潤むまで何度も「大っ嫌いだ」と言い続けた。
「どーよ***?大好きな俺に嫌われて楽しいか?心底惚れてるヤツに嫌いって言われて笑えるかよ、なぁ?」
「うぅ、ごめんね……私、馬鹿な嘘をつきました」
「嘘つくとどんなバチが当たるか、お前知ってる?」
ふるふると振った顔を両手で包み、指先で口を開く。ふわふわした唇の隙間に、親指と人さし指を差し込んで震える舌を引っぱり出した。「んぁ」という声と共に、赤い舌がぺろりと出てきた。
「嘘つくとなァ、舌、引っこ抜かれんだよ」
「ぎ、んぁあっ……!」
指を離すと同時に唇にがぶりと噛みついた。
小さな舌は強く噛むと奥へ逃げようとする。そうはさせないと顔を傾けて深く口づけたら、***は潤んだ瞳でセックスの時みたいに、とろけたまなざしを寄こした。細い腕が首に抱き着いてきたから、銀時は思わず吹き出しそうになる。
———嘘ってのが、本心とは真逆っつー意味なら、馬鹿がつくほど素直な***が言う「大嫌い」ってのはつまり「大好き」ってことだろーよ……
息も出来ないキスをして、強く絡めた舌をこのまま食いちぎってしまいたい。きつく噛みしめた柔くて温い***の舌からは、いくら味わっても味わい尽きない程、甘ったるい嘘の味がした。
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【嘘の味】2021-4-2
2021-04-01 / エイプリルフール記念
エイプリルフールの万事屋は騒がしい。
神楽は酢昆布が頭から生えたと謎の嘘を言い、新八は寺門通と結婚したと悲しい嘘をつく。
***はくだらない戯言にけらけらと笑って、子ども達にそそのかされるがまま、普段はつかない嘘をついた。
「えーと……私、銀ちゃんのこと大嫌い」
桃色の唇が言い放った瞬間、銀時の脳天に隕石が落ちた。ドゴォンという衝撃で頭蓋骨がぱっかり割れ、背骨が真っ二つに裂けた、ような気がした。驚きすぎて「へぁ」と声を上げ、そこからの記憶が無い。
———え、え、嫌い?コイツ今、俺のこと大嫌いって言った?は?なんで?俺なんかした?あ、アレか?こないだ風呂入ってる時に下着隠してノーパンにさせたのまだ怒ってんのか?それか昨日寝てる時に胸揉みまくったのバレてたか?
嫌われる理由が浮かんでは消えた。心当たりがありすぎて汗が吹き出す。気づいた時にはソファに横たわっていて、真上から心配そうな顔の***が見下ろしていた。
「ぎ、銀ちゃん、大丈夫ですか!?いきなり白目剥いて、ばったり倒れちゃったんだよ!」
新八と神楽は、大笑いしながら出て行ったという。
あのふたりのことだから今頃、下の階のお登勢やキャサリンに"銀さんのダサいエピソード"を言いふらしてるだろう。
熱はないねぇ、と冷たい手で頬や額をぺたぺた触られて気持ちよかった。不安げに首を傾げる***は、まごうことなく銀時に惚れている。銀ちゃん銀ちゃんと金魚の糞みたいについてきて、好きです好きですと何かにつけてのたまう、正真正銘の恋人。その存在に慣れ過ぎて、初めて言われた「大嫌い」はすさまじい威力だった。
しょせん嘘だと知っていても、死ぬかと思うほどショックだった。
「お前さぁ、俺のこと嫌いっつった?」
「え?あ、うん……でも、嘘ですよ?」
ほらエイプリルフールの、とへらへらした声が途切れた。ソファに起き上がった銀時を、床に膝まずいて見上げた***の表情が、ぎくりと強張る。
言葉なんてなくても見つめ合えば、お互いの感情は伝わる。銀時の静かな怒りに気づいた途端、***の大きな黒目がゆらゆらと揺れはじめた。
「俺も、***のこと大嫌いだ」
「っ……、ぎっ、銀ちゃ、」
「俺を嫌いなお前なんて、大嫌ぇだ」
「ご、ごめ、」
「大っ嫌いだ」
青ざめた頬を両手で掴んで引き寄せる。睫毛が触れるほど顔を寄せて、のぞき込んだ瞳が涙で潤むまで何度も「大っ嫌いだ」と言い続けた。
「どーよ***?大好きな俺に嫌われて楽しいか?心底惚れてるヤツに嫌いって言われて笑えるかよ、なぁ?」
「うぅ、ごめんね……私、馬鹿な嘘をつきました」
「嘘つくとどんなバチが当たるか、お前知ってる?」
ふるふると振った顔を両手で包み、指先で口を開く。ふわふわした唇の隙間に、親指と人さし指を差し込んで震える舌を引っぱり出した。「んぁ」という声と共に、赤い舌がぺろりと出てきた。
「嘘つくとなァ、舌、引っこ抜かれんだよ」
「ぎ、んぁあっ……!」
指を離すと同時に唇にがぶりと噛みついた。
小さな舌は強く噛むと奥へ逃げようとする。そうはさせないと顔を傾けて深く口づけたら、***は潤んだ瞳でセックスの時みたいに、とろけたまなざしを寄こした。細い腕が首に抱き着いてきたから、銀時は思わず吹き出しそうになる。
———嘘ってのが、本心とは真逆っつー意味なら、馬鹿がつくほど素直な***が言う「大嫌い」ってのはつまり「大好き」ってことだろーよ……
息も出来ないキスをして、強く絡めた舌をこのまま食いちぎってしまいたい。きつく噛みしめた柔くて温い***の舌からは、いくら味わっても味わい尽きない程、甘ったるい嘘の味がした。
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【嘘の味】2021-4-2