銀ちゃんが好きな女の子
お礼画面(超短編小説)
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☆牛乳シリーズ第3部後想定のお話なのでふたりは経験済です
☆下ネタ有ります、苦手な方はお戻りください
【初詣を君と】2021-01-02
パンパンッと柏手を打ち、目を瞑るのもせいぜい1、2秒。神様を信じないから何も願わない。恒例の初詣で形だけの参拝を終えた銀時は、隣で手を合わせる恋人を見て溜息をついた。
背筋の伸びた佇まいは凛としている。が、眉間にシワの寄る横顔が切実すぎる。***が賽銭を投げて手を合わせてから、かれこれもう2分は経ってる。いや長くね?いくら何でも長すぎね?じっと見つめたら、小さな唇がわずかに動いていた。顔を寄せて耳を澄ますと、虫の羽音ほどの声が聞こえた。
「……に、万事屋が商売繁盛しますように。家内安全で皆が元気でありますように。銀ちゃんがパチンコですりませんように。銀ちゃんの血糖値が下がりますように。銀ちゃんの水虫が治りますように。銀ちゃんが怪我しませんように。銀ちゃんが健康で長生きしますように。銀ちゃんの足の臭いがこれ以上、」
「オイィィィ!お前は何を言ってんだゴラァァァ!」
首根っこを掴んで引き寄せたら、***は「何するんですか!?」と騒いだ。それを無視してむりやり階段を降りて参拝は強制終了させた。境内の人のいない所まで引きずるように連れて来て、ようやく手を離す。すると***は銀時を咎めるように睨んで「まだ途中だったのに!」と叫んだ。
「途中も何も、んな細けぇことまで神頼みしてんじゃねーよ!神様だってびっくりだよ!コイツめっさ頼んでくんじゃん、たった5円でごっさ言ってくんじゃんって神様も苦笑いだよ!それと俺水虫じゃねーから!足は臭ぇけど患ってねーから!年始早々なんつー勘ちがい暴露してんだ、このバカタレ!!」
「ご、5円じゃなくて50円入れたもん!真剣なお祈りを遮るなんて酷いです!まだお登勢さんの健康祈願してないからもう一回行ってくる!」
また列に並ぼうとするから、銀時は小さな背中を羽交い絞めにして制した。殺しても死なないくらい頑丈なお登勢に健康祈願は必要ない。神様が手ぇ下したって返り討ちにするようなババァの為に賽銭を無駄にするな。吐き捨てるようにそう言うと、***は唇を尖らせて「そういう問題じゃない」と反論してくる。大人げなくふたりでギャーギャー言い争っていると、出店を見に行っていた神楽が戻ってきた。
「まったく正月早々喧嘩するなんて、ふたりとも情けないアルな~。ホイ、これおみくじヨ。銀ちゃんと***の分も引いといたから、あげるネ!」
そう言って神楽は小さな紙を押し付けた。
「なんで俺の分をお前が引くんだよ」
銀時がそう文句を言ったが、それを聞く前に神楽は既に駆け出していて、たこ焼き屋めがけて人ごみの中へと舞い戻っていた。隣では***がさっそくおみくじを開いて「中吉だ!」と喜んでいた。
「えぇっとなになに……願い事、努力すれば叶う。商売、大損はない。恋愛は素直になると吉、だって!見て見て銀ちゃん!いいことばっかり書いてあります!やったー!」
人に貰ったおみくじで、よくそんなに喜べるな。呆れかえった銀時の目には、弾けるような笑顔が眩しかった。子どものように純粋な心を持つ女だから、初詣もおみくじも重要なんだと思う。だがハタチもとうに過ぎて、世間擦れした成人男性の銀時にとって、この年明けに最も重要なことと言えば、それはもちろん、
「んで、姫はじめはいつにするよ、***さん」
「え?なんですか?ひ、ひめ……?」
姫はじめの意味も知らない田舎娘の腰を抱き寄せると、銀時はニヤつきながら耳元に唇を近づけた。ぼそぼそと説明した途端、ぼんっと真っ赤になった***が口をぱくぱくさせながら銀時を見上げた。
「っんだよ、***~、んな顔したって俺たち付き合ってんだから、そりゃァ姫はじめだってするだろーが。別にしたことねぇワケじゃあるまいし……それにお前さっき、銀ちゃんが健康でありますようにって手ぇすり合わせてたろ?そんなに心配なら、俺の現役具合を見せてやるよ。現役どころか銀さんまだまだ育ち盛りだからぁ。ひと晩かけて彼氏の元気っぷりを***にしっかり堪能させてやるからぁ!なぁなぁ、それでいつにする?もう今日の夜でいい?」
得意の減らず口でまくし立てて愉快だった。照れ屋な***がどんな反応をするかも、銀時には分かりきっていた。どうせ「銀ちゃんの馬鹿!」とか叫びながら、小さな拳でポカポカ殴ってくるだろう。いつもそうだし、それが見たくてわざとからかっているのだ。ホレホレ来るなら来いよ、と得意げに待つ銀時の耳に返ってきたのは、思いも寄らない言葉だった。
「い、いいですよ、今夜でも」
「かぁぁ~っ、つれねぇ返事しやがってって、えっ……いいですよ?えっっっ……、ちょっ、***、お前いま、いいですよっつった!?」
「~~~~~っ、い、言ったけど聞き返さないで下さいよ、恥ずかしい!銀ちゃんの馬鹿!」
「んなっ……なんでだよ!?いっつも嫌がるじゃねーか!変態って怒るじゃねーかよ!なんで今日はそんな素直なんだよ!?あ、もしかしてアレか!?俺が取っといたプリン、***がこっそり食っちまったとか、そーゆーのか!?」
「ち、ちがうよ!!」
じゃ何でだよ、と銀時が食い下がると、***はふいっと目を逸らして逃げようとした。細い手首を掴んで引き留めて、後ろからまじまじと眺めたら耳の裏まで真っ赤だった。顔を背けたままで***は、それはそれは小さな声で言った。
「か、書いてあったから……おみくじに。恋愛は素直になるといいって。銀ちゃんが、その、しっ、したいんなら、してもいいよって、あの……す、素直になってみただけです」
「うぐっ……!!」
予想外の***の返事に銀時は片手で口を覆った。いま、***に振り返られた困る。動揺して赤らんだ顔を見られたくないから。付き合って随分経つが、***はいつまでも初心で子どもっぽいから、こんなことを言うとは思わなかった。自分の彼女は全てお見通しだと銀時は高を括っていたのに、まさかこんな嬉しい方法で裏切られるとは。バクバクする心臓を知らんふりして、ガリガリと頭を掻きながら、銀時は必死で冷静を装った。そして何気なく手の中のおみくじを開いてみた。
「おっ……俺、大吉だわ」
紙切れを見て銀時がぼそっと呟く。すると***が、ぱっと振り返って「わぁ!よかったね銀ちゃん!」と笑った。花が咲いたような笑顔が元旦の陽ざしで輝いた。
おみくじなんて馬鹿らしい。神様なんて信じない。だがほんの少し、鼻くそほど少しだけ、その加護を受けてもいいような気分になった。
人の大吉を喜んで、***はふにゃりと微笑んだ。そのほころぶ唇が愛らしくてたまらなくて、すぐにでも噛みつきたいのを、銀時はぐっとこらえた。これぞ正月という晴天の空を見上げ、おみくじを握りしめると、心の中で今年はじめての雄たけびを上げた。
———神様ァ!ありがとうございまぁぁぁす!!
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【2021-0102】初詣を君と
☆下ネタ有ります、苦手な方はお戻りください
【初詣を君と】2021-01-02
パンパンッと柏手を打ち、目を瞑るのもせいぜい1、2秒。神様を信じないから何も願わない。恒例の初詣で形だけの参拝を終えた銀時は、隣で手を合わせる恋人を見て溜息をついた。
背筋の伸びた佇まいは凛としている。が、眉間にシワの寄る横顔が切実すぎる。***が賽銭を投げて手を合わせてから、かれこれもう2分は経ってる。いや長くね?いくら何でも長すぎね?じっと見つめたら、小さな唇がわずかに動いていた。顔を寄せて耳を澄ますと、虫の羽音ほどの声が聞こえた。
「……に、万事屋が商売繁盛しますように。家内安全で皆が元気でありますように。銀ちゃんがパチンコですりませんように。銀ちゃんの血糖値が下がりますように。銀ちゃんの水虫が治りますように。銀ちゃんが怪我しませんように。銀ちゃんが健康で長生きしますように。銀ちゃんの足の臭いがこれ以上、」
「オイィィィ!お前は何を言ってんだゴラァァァ!」
首根っこを掴んで引き寄せたら、***は「何するんですか!?」と騒いだ。それを無視してむりやり階段を降りて参拝は強制終了させた。境内の人のいない所まで引きずるように連れて来て、ようやく手を離す。すると***は銀時を咎めるように睨んで「まだ途中だったのに!」と叫んだ。
「途中も何も、んな細けぇことまで神頼みしてんじゃねーよ!神様だってびっくりだよ!コイツめっさ頼んでくんじゃん、たった5円でごっさ言ってくんじゃんって神様も苦笑いだよ!それと俺水虫じゃねーから!足は臭ぇけど患ってねーから!年始早々なんつー勘ちがい暴露してんだ、このバカタレ!!」
「ご、5円じゃなくて50円入れたもん!真剣なお祈りを遮るなんて酷いです!まだお登勢さんの健康祈願してないからもう一回行ってくる!」
また列に並ぼうとするから、銀時は小さな背中を羽交い絞めにして制した。殺しても死なないくらい頑丈なお登勢に健康祈願は必要ない。神様が手ぇ下したって返り討ちにするようなババァの為に賽銭を無駄にするな。吐き捨てるようにそう言うと、***は唇を尖らせて「そういう問題じゃない」と反論してくる。大人げなくふたりでギャーギャー言い争っていると、出店を見に行っていた神楽が戻ってきた。
「まったく正月早々喧嘩するなんて、ふたりとも情けないアルな~。ホイ、これおみくじヨ。銀ちゃんと***の分も引いといたから、あげるネ!」
そう言って神楽は小さな紙を押し付けた。
「なんで俺の分をお前が引くんだよ」
銀時がそう文句を言ったが、それを聞く前に神楽は既に駆け出していて、たこ焼き屋めがけて人ごみの中へと舞い戻っていた。隣では***がさっそくおみくじを開いて「中吉だ!」と喜んでいた。
「えぇっとなになに……願い事、努力すれば叶う。商売、大損はない。恋愛は素直になると吉、だって!見て見て銀ちゃん!いいことばっかり書いてあります!やったー!」
人に貰ったおみくじで、よくそんなに喜べるな。呆れかえった銀時の目には、弾けるような笑顔が眩しかった。子どものように純粋な心を持つ女だから、初詣もおみくじも重要なんだと思う。だがハタチもとうに過ぎて、世間擦れした成人男性の銀時にとって、この年明けに最も重要なことと言えば、それはもちろん、
「んで、姫はじめはいつにするよ、***さん」
「え?なんですか?ひ、ひめ……?」
姫はじめの意味も知らない田舎娘の腰を抱き寄せると、銀時はニヤつきながら耳元に唇を近づけた。ぼそぼそと説明した途端、ぼんっと真っ赤になった***が口をぱくぱくさせながら銀時を見上げた。
「っんだよ、***~、んな顔したって俺たち付き合ってんだから、そりゃァ姫はじめだってするだろーが。別にしたことねぇワケじゃあるまいし……それにお前さっき、銀ちゃんが健康でありますようにって手ぇすり合わせてたろ?そんなに心配なら、俺の現役具合を見せてやるよ。現役どころか銀さんまだまだ育ち盛りだからぁ。ひと晩かけて彼氏の元気っぷりを***にしっかり堪能させてやるからぁ!なぁなぁ、それでいつにする?もう今日の夜でいい?」
得意の減らず口でまくし立てて愉快だった。照れ屋な***がどんな反応をするかも、銀時には分かりきっていた。どうせ「銀ちゃんの馬鹿!」とか叫びながら、小さな拳でポカポカ殴ってくるだろう。いつもそうだし、それが見たくてわざとからかっているのだ。ホレホレ来るなら来いよ、と得意げに待つ銀時の耳に返ってきたのは、思いも寄らない言葉だった。
「い、いいですよ、今夜でも」
「かぁぁ~っ、つれねぇ返事しやがってって、えっ……いいですよ?えっっっ……、ちょっ、***、お前いま、いいですよっつった!?」
「~~~~~っ、い、言ったけど聞き返さないで下さいよ、恥ずかしい!銀ちゃんの馬鹿!」
「んなっ……なんでだよ!?いっつも嫌がるじゃねーか!変態って怒るじゃねーかよ!なんで今日はそんな素直なんだよ!?あ、もしかしてアレか!?俺が取っといたプリン、***がこっそり食っちまったとか、そーゆーのか!?」
「ち、ちがうよ!!」
じゃ何でだよ、と銀時が食い下がると、***はふいっと目を逸らして逃げようとした。細い手首を掴んで引き留めて、後ろからまじまじと眺めたら耳の裏まで真っ赤だった。顔を背けたままで***は、それはそれは小さな声で言った。
「か、書いてあったから……おみくじに。恋愛は素直になるといいって。銀ちゃんが、その、しっ、したいんなら、してもいいよって、あの……す、素直になってみただけです」
「うぐっ……!!」
予想外の***の返事に銀時は片手で口を覆った。いま、***に振り返られた困る。動揺して赤らんだ顔を見られたくないから。付き合って随分経つが、***はいつまでも初心で子どもっぽいから、こんなことを言うとは思わなかった。自分の彼女は全てお見通しだと銀時は高を括っていたのに、まさかこんな嬉しい方法で裏切られるとは。バクバクする心臓を知らんふりして、ガリガリと頭を掻きながら、銀時は必死で冷静を装った。そして何気なく手の中のおみくじを開いてみた。
「おっ……俺、大吉だわ」
紙切れを見て銀時がぼそっと呟く。すると***が、ぱっと振り返って「わぁ!よかったね銀ちゃん!」と笑った。花が咲いたような笑顔が元旦の陽ざしで輝いた。
おみくじなんて馬鹿らしい。神様なんて信じない。だがほんの少し、鼻くそほど少しだけ、その加護を受けてもいいような気分になった。
人の大吉を喜んで、***はふにゃりと微笑んだ。そのほころぶ唇が愛らしくてたまらなくて、すぐにでも噛みつきたいのを、銀時はぐっとこらえた。これぞ正月という晴天の空を見上げ、おみくじを握りしめると、心の中で今年はじめての雄たけびを上げた。
———神様ァ!ありがとうございまぁぁぁす!!
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【2021-0102】初詣を君と