銀ちゃんが愛する女の子
ふたりの夢のくに
おなまえをどうぞ
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【11:00】
(問1)
高所恐怖症の人間がジェットコースターを楽しめるか?
タンタンタン……と軽い音を立てて登っていくコースター。傾斜のきつい登り坂を描くレールは、途中から折れて急降下しているため、まるで先のない崖のように***には見えた。
「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!とま、止まって……いったん止まってくださいぃぃぃ!降りる!私、降りますぅぅぅぅ!!!!!」
「うるっせぇぇぇぇ!!!オイィィィ***!ここまで来て降りられるわけねーだろ!よく考えてみろ、こんな高ぇところで止まった方がよっぽど怖ぇっつーの!!!」
「だだだだだだって、こんなに高いって聞いてない!!なんで乗る前に言ってくれなかったんですか!?銀ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁ!!!」
「馬鹿はお前だゴラァァァ!こんなもん下から見ただけで、アホみてぇな高さってフツー分かるだろーがぁぁぁ!***の目は節穴かよぉぉぉ!!!!」
ジェットコースターの最前列で、銀時と***はギャーギャーと騒いだ。愚かなことを口走り続ける***の抵抗もむなしく、あっという間に頂上に辿り着いた。ついに先が見えなくなったレールの上で、ガッタンと重い音を立てて止まった。しかし、それはたった一瞬のことで、ぐらりと視界が揺れたかと思ったら、すでに落下がはじまっていた。
「ひっっっ!!!!!」
悲鳴を上げる間もなく猛スピードで落ちていく。ガタガタと揺れながら落ちては登り、登っては落ちるを繰り返す絶叫マシンに、***は命の危険すら感じる。落下の浮遊感が最も苦手な***は、身体を覆う安全棒から手を離し、ゆらゆらと迷った挙句、銀時の手首を無意識に強くつかんだ。
「はっ!?ちょ、***ッ、イデデデデデッ!!!」
全身の力を指にこめて、ぎゅうっとにぎったら、細い指先が銀時の手首にめりこんだ。
「痛ってぇぇぇ!!!オイ、お前、離せっ!もげるっ、手首もげるってぇぇぇ!」
「ぎ、銀ちゃぁぁぁん!助けてぇぇぇぇ!!!!!」
自分が何をつかんでいるのかも分からない状態の***には、隣の銀時の声も聞こえない。正味たった2分程度のジェットコースターが、永遠に続くように思えた。ようやくゴールに戻ってきても、ふらふらの***はひとりでは降りることすらできなかった。震える腕を銀時につかまれて、ひっぱり上げられてやっと歩き出す。膝がガクガクして力を抜くと座り込みそうになった。
「し、死ぬかと思いました……」
ぶらさがるように銀時の腕につかまったまま、よろよろと歩いていた***が、腰が抜けたようにベンチに座り込んだ。恐怖が残っているのか、その手は銀時の手を強く握り続けていた。
「ったく……高いところが苦手なヤツが、絶叫マシンになんて乗れるわけねぇだろ~。あとさぁ、そんなにぎゅうぎゅう銀さんの手ぇつかんだところで、怖いのに変わりはねぇっつーのぉ」
「だ、だってぇ~……」
泣きそうになりながらも、***は言い訳すらできない。はぁぁぁ~、と呆れたようなため息をついた銀時が、隣に座って背中を撫でてくれた。温かい手で身体を優しくさすってもらっていたら、だんだんと気持ちが落ち着いてきた。
青ざめていた顔に血色が戻った頃、ジェットコースターに乗っている間ずっと、叫び続けていた自分を思い出して***は急に恥ずかしくなった。冷静に考えれば馬鹿げたことを言っていたと思い、ほほがぼんやりと赤くなる。まだ瞳にはじんわりと涙が浮かんでいて、ふぅと吐いた息はやけに鼻声だった。
「銀ちゃん……ぎゃーぎゃー騒いでうるさくしてごめんね。思い出したら恥ずかしくなっちゃった……銀ちゃんと一緒だし、怖くないかなって思ったんですけど、やっぱり高所恐怖症の私には無理だったみたいです……」
こんなにフラフラな姿を銀時に見られるのは恥ずかしい。さっきまで子供みたいに浮かれていたくせに、たった一度ジェットコースターに乗っただけで腰砕けになってしまうなんて。きっと銀時も呆れている。
せっかく遊園地の下調べをしてきたのだから、***が銀時を色んな所に案内して楽しませるつもりだった。それなのにこんな彼女と一緒じゃ、きっと楽しむどころか疲れさせてしまう一方だろう。
「私、情けなくってごめんね銀ちゃん……こんなんじゃ、楽しくないよね……」
ため息をつきながら***は顔を上げて、銀時を見た瞬間、あまりの驚きで目を見開いた。てっきり呆れているか、退屈そうにしているだろうと思っていた銀時の顔は、心底楽しそうにニヤニヤと笑っていた。瞳はらんらんと輝いて、その表情はまるで新しいオモチャを見つけた少年のようですらある。
「えっ!!!?」
「楽しくないわけないだろ、***。お前さぁ、いま自分がどんだけ危険な姿さらしてるか分かってる?すっげぇ泣きそうな顔してんだけど?いかにもいじめられっ子みたいになってんだけど?自分の彼女がそんなんなってんの見て、根っからドSの銀さんが喜ばねぇわけねぇだろ。めっさ楽しいんですけど。ものっそいワクワクすんですけどぉ~。1回アレ乗っただけで目ぇうるうるさせて、銀ちゃん助けてぇっつってすがりついてきたってことは、もっと乗ったらお前どーなっちまうの?フラフラどころか、ふにゃふにゃじゃね?10回くらい乗ったら、わらび餅みてぇにとろっとろになって銀さんにまとわりついてくんじゃねぇ~!?よぉ~~し***~~!!もっぺん乗るぞコノヤロォォォ―――!!!!」
「えぇぇぇぇぇ!!!!!」
宣言通り銀時は、まだ力の入らない***の腕を取ると、再びジェットコースター乗り場を目指して走り出した。驚いて言葉も出ない***は、されるがままにずるずると引きずられていく。
頭上に迫りくる乗り物から「キャー!」という悲鳴が聞こえて、あの落下の恐怖を思い出す。脳内で「ひぃっ!」と悲鳴を上げたが、前を走る銀時の横顔がとびっきり楽しそうで声は出せなかった。もう一度あの絶叫マシンを体験するなんて死ぬほど嫌だ。けど今日は銀時の誕生日だと思ったら、子供みたいにご機嫌な笑顔をどうしても壊したくなくて、1ミリも抵抗できなかった。
―――忘れてた!忘れてたよ!!銀ちゃんが根っからのいじめっ子気質ってことを!!!私が赤くなればなるほど、ぎゃーぎゃー泣けば泣くほど、この人は喜んで嬉しそうにすることを!!!これは……や、やばい!!!でも、どうしたらいいの!!!?
数十分後、銀時がようやくその乗り場を離れたのは、嫌がる***を無理矢理ジェットコースターに乗せ続け、もう4周した後だった。銀時の期待通り***は大泣きしながら「銀ちゃん、助けてッ!!!」と繰り返し叫び、5回目の滑走を終えてゴールに戻ってきた時には、ところてんのようにトロトロの骨抜きになっていた。
「いやぁ~***~、銀さん間違ってた。オッサンの濁った目にも遊園地の魔法は効果あったわ。可愛い彼女のこ〜んなにとろけちまう姿が見られるなんて、ここはお前の言うとおり、楽しい楽しい夢の国だったわぁ~。なぁ、***よかったな、大好きな銀さんと楽しい夢の時間を過ごせてぇ!!」
腰が抜けて歩けない***を背中におぶった銀時が、わざとらしいほど明るい声で呼びかけてきた。肩越しに至近距離で見つめ合った銀時の目は、その日いちばん楽しそうで、その笑顔はまるでパチンコで勝った時のようにほくほくと幸せそうだった。
対照的に全身の力が抜けて、ただ銀時の背中に身体を預けるしかできない***は、青白い顔にうっすらと笑顔を浮かべて、弱々しい声でつぶやくのが精いっぱいだった。
「た、楽しんでもらえて何よりだよ、銀ちゃん……」
(問1)
高所恐怖症の人間がジェットコースターを楽しめるか?
(解1)
人を楽しませることはできる(ただし銀時限定)
-----------------------------------------------
【11:00】to be continued.
(問1)
高所恐怖症の人間がジェットコースターを楽しめるか?
タンタンタン……と軽い音を立てて登っていくコースター。傾斜のきつい登り坂を描くレールは、途中から折れて急降下しているため、まるで先のない崖のように***には見えた。
「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!とま、止まって……いったん止まってくださいぃぃぃ!降りる!私、降りますぅぅぅぅ!!!!!」
「うるっせぇぇぇぇ!!!オイィィィ***!ここまで来て降りられるわけねーだろ!よく考えてみろ、こんな高ぇところで止まった方がよっぽど怖ぇっつーの!!!」
「だだだだだだって、こんなに高いって聞いてない!!なんで乗る前に言ってくれなかったんですか!?銀ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁ!!!」
「馬鹿はお前だゴラァァァ!こんなもん下から見ただけで、アホみてぇな高さってフツー分かるだろーがぁぁぁ!***の目は節穴かよぉぉぉ!!!!」
ジェットコースターの最前列で、銀時と***はギャーギャーと騒いだ。愚かなことを口走り続ける***の抵抗もむなしく、あっという間に頂上に辿り着いた。ついに先が見えなくなったレールの上で、ガッタンと重い音を立てて止まった。しかし、それはたった一瞬のことで、ぐらりと視界が揺れたかと思ったら、すでに落下がはじまっていた。
「ひっっっ!!!!!」
悲鳴を上げる間もなく猛スピードで落ちていく。ガタガタと揺れながら落ちては登り、登っては落ちるを繰り返す絶叫マシンに、***は命の危険すら感じる。落下の浮遊感が最も苦手な***は、身体を覆う安全棒から手を離し、ゆらゆらと迷った挙句、銀時の手首を無意識に強くつかんだ。
「はっ!?ちょ、***ッ、イデデデデデッ!!!」
全身の力を指にこめて、ぎゅうっとにぎったら、細い指先が銀時の手首にめりこんだ。
「痛ってぇぇぇ!!!オイ、お前、離せっ!もげるっ、手首もげるってぇぇぇ!」
「ぎ、銀ちゃぁぁぁん!助けてぇぇぇぇ!!!!!」
自分が何をつかんでいるのかも分からない状態の***には、隣の銀時の声も聞こえない。正味たった2分程度のジェットコースターが、永遠に続くように思えた。ようやくゴールに戻ってきても、ふらふらの***はひとりでは降りることすらできなかった。震える腕を銀時につかまれて、ひっぱり上げられてやっと歩き出す。膝がガクガクして力を抜くと座り込みそうになった。
「し、死ぬかと思いました……」
ぶらさがるように銀時の腕につかまったまま、よろよろと歩いていた***が、腰が抜けたようにベンチに座り込んだ。恐怖が残っているのか、その手は銀時の手を強く握り続けていた。
「ったく……高いところが苦手なヤツが、絶叫マシンになんて乗れるわけねぇだろ~。あとさぁ、そんなにぎゅうぎゅう銀さんの手ぇつかんだところで、怖いのに変わりはねぇっつーのぉ」
「だ、だってぇ~……」
泣きそうになりながらも、***は言い訳すらできない。はぁぁぁ~、と呆れたようなため息をついた銀時が、隣に座って背中を撫でてくれた。温かい手で身体を優しくさすってもらっていたら、だんだんと気持ちが落ち着いてきた。
青ざめていた顔に血色が戻った頃、ジェットコースターに乗っている間ずっと、叫び続けていた自分を思い出して***は急に恥ずかしくなった。冷静に考えれば馬鹿げたことを言っていたと思い、ほほがぼんやりと赤くなる。まだ瞳にはじんわりと涙が浮かんでいて、ふぅと吐いた息はやけに鼻声だった。
「銀ちゃん……ぎゃーぎゃー騒いでうるさくしてごめんね。思い出したら恥ずかしくなっちゃった……銀ちゃんと一緒だし、怖くないかなって思ったんですけど、やっぱり高所恐怖症の私には無理だったみたいです……」
こんなにフラフラな姿を銀時に見られるのは恥ずかしい。さっきまで子供みたいに浮かれていたくせに、たった一度ジェットコースターに乗っただけで腰砕けになってしまうなんて。きっと銀時も呆れている。
せっかく遊園地の下調べをしてきたのだから、***が銀時を色んな所に案内して楽しませるつもりだった。それなのにこんな彼女と一緒じゃ、きっと楽しむどころか疲れさせてしまう一方だろう。
「私、情けなくってごめんね銀ちゃん……こんなんじゃ、楽しくないよね……」
ため息をつきながら***は顔を上げて、銀時を見た瞬間、あまりの驚きで目を見開いた。てっきり呆れているか、退屈そうにしているだろうと思っていた銀時の顔は、心底楽しそうにニヤニヤと笑っていた。瞳はらんらんと輝いて、その表情はまるで新しいオモチャを見つけた少年のようですらある。
「えっ!!!?」
「楽しくないわけないだろ、***。お前さぁ、いま自分がどんだけ危険な姿さらしてるか分かってる?すっげぇ泣きそうな顔してんだけど?いかにもいじめられっ子みたいになってんだけど?自分の彼女がそんなんなってんの見て、根っからドSの銀さんが喜ばねぇわけねぇだろ。めっさ楽しいんですけど。ものっそいワクワクすんですけどぉ~。1回アレ乗っただけで目ぇうるうるさせて、銀ちゃん助けてぇっつってすがりついてきたってことは、もっと乗ったらお前どーなっちまうの?フラフラどころか、ふにゃふにゃじゃね?10回くらい乗ったら、わらび餅みてぇにとろっとろになって銀さんにまとわりついてくんじゃねぇ~!?よぉ~~し***~~!!もっぺん乗るぞコノヤロォォォ―――!!!!」
「えぇぇぇぇぇ!!!!!」
宣言通り銀時は、まだ力の入らない***の腕を取ると、再びジェットコースター乗り場を目指して走り出した。驚いて言葉も出ない***は、されるがままにずるずると引きずられていく。
頭上に迫りくる乗り物から「キャー!」という悲鳴が聞こえて、あの落下の恐怖を思い出す。脳内で「ひぃっ!」と悲鳴を上げたが、前を走る銀時の横顔がとびっきり楽しそうで声は出せなかった。もう一度あの絶叫マシンを体験するなんて死ぬほど嫌だ。けど今日は銀時の誕生日だと思ったら、子供みたいにご機嫌な笑顔をどうしても壊したくなくて、1ミリも抵抗できなかった。
―――忘れてた!忘れてたよ!!銀ちゃんが根っからのいじめっ子気質ってことを!!!私が赤くなればなるほど、ぎゃーぎゃー泣けば泣くほど、この人は喜んで嬉しそうにすることを!!!これは……や、やばい!!!でも、どうしたらいいの!!!?
数十分後、銀時がようやくその乗り場を離れたのは、嫌がる***を無理矢理ジェットコースターに乗せ続け、もう4周した後だった。銀時の期待通り***は大泣きしながら「銀ちゃん、助けてッ!!!」と繰り返し叫び、5回目の滑走を終えてゴールに戻ってきた時には、ところてんのようにトロトロの骨抜きになっていた。
「いやぁ~***~、銀さん間違ってた。オッサンの濁った目にも遊園地の魔法は効果あったわ。可愛い彼女のこ〜んなにとろけちまう姿が見られるなんて、ここはお前の言うとおり、楽しい楽しい夢の国だったわぁ~。なぁ、***よかったな、大好きな銀さんと楽しい夢の時間を過ごせてぇ!!」
腰が抜けて歩けない***を背中におぶった銀時が、わざとらしいほど明るい声で呼びかけてきた。肩越しに至近距離で見つめ合った銀時の目は、その日いちばん楽しそうで、その笑顔はまるでパチンコで勝った時のようにほくほくと幸せそうだった。
対照的に全身の力が抜けて、ただ銀時の背中に身体を預けるしかできない***は、青白い顔にうっすらと笑顔を浮かべて、弱々しい声でつぶやくのが精いっぱいだった。
「た、楽しんでもらえて何よりだよ、銀ちゃん……」
(問1)
高所恐怖症の人間がジェットコースターを楽しめるか?
(解1)
人を楽しませることはできる(ただし銀時限定)
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【11:00】to be continued.