銀ちゃんの愛する女の子
おいしい牛乳(恋人)
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☆指定年齢に満たない方はご遠慮ください
☆性的描写を含むため、苦手な方はお戻りください
【(32)どういうつもり】
事件は土曜日の午前9時に起こった。牛乳屋の仕事を終えて帰宅すると、アパートの大家のおばさんが青い顔で飛び出してきた。大変なことでも起きたかと***は不安になった。
「ちょっと***ちゃん!変な男に会わなかった!?」
「えっ、へ、変な男!?いいえ会ってないですけど、どうしたんですか?何かあったんですか?」
アパートの周りを怪しい男がうろついていた、と大家さんは言った。帽子を深く被った男が窓をのぞいていたので、下着泥棒だと思い通報したが、警察が来る前に逃げられてしまった。早口でまくし立てた大家さんは、***の両肩をさすりながら心配そうな顔で言った。
「ほら、前に住んでた子の下着が盗まれたことあったでしょう?きっとまた同じような変質者よ。でも逃げ足が速くて捕まえ損ねたわぁ~……あ、そうだ、それで***ちゃん、不審者が出たってのに、女の子ひとりにさせとくのは心配だから、しばらく避難してもらえるかしら?一週間くらい銀さんのとこにでも泊めさせてもらいなさいよ。さっき万事屋さんへ電話しといたから、もうすぐ来るわよ」
「へ!?えぇ!?く、来るって誰がですか!?」
「だから銀さんよぉ!***ちゃんのカレシ!ただでさえここはボロいのに、住人に何かあったらアタシも困るのよ。家賃は日割りにするし、あの男が捕まるまでの辛抱だから、ねっ!」
ポンッと肩を叩いて去る大家さんに、***はぽかんとした。多すぎる情報を一度に聞いて混乱する。
さらに困ったことには、通りの向こうからバイクの音まで聞こえてきた。
ドドドドドドド……
地響きのようなエンジン音に、アパートの入口をふり返る。予想どおり爆走する白いバイクが現れた。後輪から砂埃を上げながら***の部屋の前に急ブレーキで止まった瞬間、銀時は大声で叫んだ。
「ゴラァァァ!!!下着泥棒はどこだァァァ!!!どれだ***!?どのパンツ盗られた!?ピンクか!?水色か!?ぜってぇ取り返して、犯人を血祭にしてやらぁ、くそったれェェェェェ!!!!!」
「ひぃぃぃぃッ!!!!!」
不審者が出ただけで被害はなく、下着泥棒かも分からないと言っても聞き耳を持たない銀時は、ズカズカと部屋に上がり、迷いなく下着の入った引き出しを開けた。
「あわわっ!ちょちょちょちょっと銀ちゃん!?なにしてるんですか!?」
「いや、お前どんくせぇから、気付かねぇうちにパンツの1枚や2枚パクられてるかもしんねーだろ。だからいちおうチェックな。お、この銀さんとお揃いのイチゴ柄のは無事だぞ。よかったな***」
「ぜんぶ無事だよ馬鹿ァ!もぉ~!恥ずかしいから見ないでくださいぃぃぃ!!!」
リンゴのように真っ赤な顔で背中をバシバシと叩いて、洗濯物は外に干さないから盗まれないと叫ぶと、ようやく銀時は棚から離れた。そもそも下着の種類と収納場所を把握されていることがおかしいのだが、慌てふためいた***は気付かなかった。
「それにしたってこのボロ部屋は、若ぇ女がひとりで住むには危険すぎんだっつーの!」
銀時は部屋をぐるりと見回した。窓からのぞきに遭うかもしれない。安っぽい扉や鍵は暴漢に蹴破られるかもしれない。そう言いながら四畳半の部屋をうろつき、玄関の扉の郵便受けまでゴソゴソとする銀時に向かって、苦笑いの***が声を掛けた。
「心配してくれるのは嬉しいけど、銀ちゃんは考えすぎですよ。この辺ひとり暮らしの人多いけど、そんな事件起きたことな、」
「オイ***、お前、最後にここ見たのいつだ」
「えっ?」
***の声を遮って、銀時が郵便受けを指さしながら聞いた。そこに入っていた数枚の紙を、大きな手がグシャグシャと握りつぶす。
「あ、えぇっと……今朝の配達に行く前だから4時くらいかなぁ?あ、何か入ってました?」
ずいっと眼前に出されたのは、風俗嬢募集のチラシだった。そんな求人はかぶき町には腐るほど出回っている。だが銀時は、***の部屋に投函されたことが許せないようで、顔にビキビキと血管を浮かべて怒っていた。
「っんだよ、この部屋はァァァ!?下着は盗まれるわ、変態は出るわ、身体を売らせようとするわ!大事な彼女をこんなトコに置きっぱなしにしとけるかっつーの!!とにかく***、落ち着くまでウチに来い!!!」
「えぇぇぇぇ!!!」
そこからの銀時の行動は早かった。勝手に風呂敷を広げ、数日分の着替えや必要なものをどんどん包んでいく。ものの10分もしないうちに荷造りを終えて、***の手を取ると部屋を飛び出す。ふたりを乗せたバイクは来た時と同じように砂煙を上げて、まるで逃げるように万事屋へと向かった。銀時の腰に腕を回しながら***は、大変なことになった、と思っていた。
「***さん、少し早いんですけど、今日は姉上が休みなんで、僕もう帰りますね。神楽ちゃんもお泊りだから、銀さんのこと頼みます」
「し、新八くん、もう帰っちゃうの?ねぇ、神楽ちゃんも本当に行っちゃうの?どうして定春まで一緒なの?せっかくだから今日は私と寝ようよ。トランプとかUNOで遊ぼうよ〜」
「何言ってるネ***~、たったひと晩ヨ?明日には帰ってくるんだから、いい子で待ってるヨロシ。いい大人がそんな甘えんぼしてると、いつまでたっても歌舞伎町の女王様にはなれないネ。しっかりするのヨ!」
女王様になれなくていいから、今夜は新八と神楽に一緒にいてほしかった。そんな願いも空しく、新八は帰宅し、神楽は定春と一緒に友人宅へと行ってしまう。ガックリと肩を落としてふたりを見送ってから、銀時のいる居間を恐々とふり返った。事務机でジャンプを読みつつ鼻をほじる姿は、いつも通り気の抜けたものだった。
———いや、急なお泊りってだけでも困るのに、銀ちゃんとふたりきりなんて無理だよ。え、どうするの?お風呂とか夜とか私いったい、どうしたらいいの……?
さすがの***でも、ふたりで夜を過ごすことの意味は分かっている。そう思うと見慣れたはずの万事屋が落ち着かなかった。一方、銀時は特に関心もなさそうで、ジャンプをめくり、ソファで昼寝をし、時々***に「いちご牛乳とって~」と言った。
冷静を取りつくろって食べた晩ご飯は、全く味がしなかった。ぎこちなく笑って「銀ちゃん、おいしいね」と言うと、呆れ顔の銀時が「***、それ目、目でメシを食うな口で食え」と言った。
夜9時を過ぎた頃「先に入れ」と言われて入ったお風呂では、いつかの夜のように銀時が乱入してくるかもと気が気じゃなった。ソワソワしながら髪と身体を洗って湯船につかり、いそいそと浴衣を着こんだが、今回は最後までひとりだった。
「あの……銀ちゃん、お風呂、お先に頂きました」
「おー……」
肩にバスタオルをかけて居間に戻ると、テレビから目を離さずに銀時は返事をした。向かい合ってソファに座り、濡れた髪を拭いていると、ふとこちらを見た銀時が「オイ、風邪引くぞ」と言っておもむろに近づいてくる。タオルを取り上げられて***が飛び跳ねたら、銀時は眉間にシワを寄せた。
「あぁ?なぁ〜にビクビクしてんだよ***〜、別になんもしてねーだろーが、コラッ!」
「ご、ごめ、うわわっ!?ちょっ、ぎゃッッ!!」
タオルを頭からすっぽりと被せられて、視界が真っ白になる。マヌケな声を上げていると、銀時の手がやたらめったらに動いて、布越しに***の髪をかき乱した。
雑に拭かれた長い髪が顔や首に絡まった頃、タオルが取り払われた。
バサッ———
「ぶははッ!お前、すっげぇ髪型!ぐっちゃぐちゃで鳥の巣みてーになってんぞ***~!!」
「なっ……ぎ、銀ちゃんがやったんじゃないですか!もぉ~!!やめてよぉ!!」
顔を指さしてゲラゲラと笑われたら、***は恥ずかしさに真っ赤になって、銀時の腕をポカポカと殴った。ひとしきり笑った後で***の頭をポンポンと撫でると、ちゃんと乾かせよ、と言って銀時は風呂場へと消えた。
———あ、あれ……?なんか今の感じ、全然そーゆーのじゃなかった……銀ちゃんがどういうつもりなのか分からなくて、私だけ緊張してるけど、そんなの意識しすぎなのかなぁ……
自分だけが期待していたようで恥ずかしくて、ドライヤーを当てながら***は熱い顔をぶんぶんと振った。
ふたりきりのお泊りだからといって、必ずしもそういうことをするとは限らない。そう思って***は少しホッとする。しかし同時に拍子抜けで、なぜか期待を裏切られたような気がした。
パチンッ———
「えっ……?」
髪を乾かした後でテレビを見ていたら、急にリビングの電気が消えた。振り向くと寝間着姿の銀時がソファの真後ろに立っていて、***の手からリモコンを取り上げた。テレビがパッと消えて、部屋は完全な静寂と暗闇に包まれる。
「え、あの、銀ちゃん……?」
何も言わずに***の手を引いて、銀時は寝室へ向かった。襖がスッと開いて、そこに敷かれたひと組の布団を見た瞬間、***は息を飲んで動けなくなった。その場に立ちすくんだ***を置いて、銀時だけが和室に入っていく。腕をつかまれたまま敷居の前で立ち尽くしていると、暗闇から呆れたような声がした。
「……っんだよ、***、早く来いよ」
「ぁっ、あの、銀ちゃん……その、これって、そ、そういうことだよね?」
「はぁ~?それ聞く?聞かなきゃ分かんねーの?ウチに来てからず~っとそわそわしてたくせに、こちとら自分ちなのに居心地悪くてしょーがなかったっつーのぉ……むしろ俺が聞きてぇんだけど、お前の言ってるそーゆーことってどーゆーことだよ。***は俺にどーされてぇんだよ?」
「ど、どうされたいって聞かれても……」
言い淀んでいたら手首を離された。頭を掻きむしった銀時は、ただ***を見つめるだけでそれ以上触れてこない。今までこういう雰囲気の時、銀時はもっと荒っぽかった。求めるがままに***を組み敷いたり押し倒したりしたのに、今日に限って「どうされたい」なんて聞くものだから困ってしまう。
「あのさぁ、***の言ってるそーゆーことってのがセックスのことだったら、それで合ってる。俺はお前を抱きてぇって思ってるよ。ず~~~っと前から」
「っ……ぎ、銀ちゃん、私はっ、」
「けど、お前が嫌なら無理しなくていい。強引に奪っちまうってのも悪かねーが、おぼこい***の覚悟が決まるまで、俺はいくらでも待つって腹ァくくったから。だから***がその気じゃねぇってんならそれでいい。別に急ぐことでもねーし……んじゃ、もういっこ布団敷いてやるから待ってろ」
そう言って背を向けられた瞬間、***は猛烈に悲しくなった。咄嗟にごめんねと謝りそうになったが、それじゃダメだと自分に言い聞かせた。
銀時の声は切なそうだった。眉間にシワを寄せた苦笑いは少し傷ついているように見えた。
ぎゅっと握った***のこぶしの中で、手のひらに爪が突き刺さる。痛いけれど銀時はきっともっと痛い。何度求めても優柔不断な***に無下にされ続けて。
———違うの銀ちゃん、私、嫌だなんて、思ってない……!
えいやっ、と***は一歩踏み出す。敷居を飛び越えて大きな背中にぎゅっと抱き着く。押入れを開けようとしていた銀時が動きを止めて「うおっ」と言った。
「銀ちゃんっ、ゎ、私、覚悟ができたかって聞かれると自信がないです……でも、いつでも銀ちゃんに抱きしめてもらいたいし、それに……さ、触ってもらうのも、嫌じゃ、ないの……だから今日もずっと、そのことばっかり考えちゃって、落ち着かなかったんです……だから、その……」
背中に押し付けていた顔を離して腕を緩めたら、ふり返った銀時が***を見下ろした。気付けば月明かりが部屋に射し込んで、互いの顔がはっきりと見えた。
ぼわわっとほほが熱くなる。真っ赤な顔を見られていると思うと情けなかったが、それでも***は必死で声をふり絞った。
「だ、だから、銀ちゃん、ぉ、お布団はひとつでいいよ……?」
「っ………!」
ドサッッッ———!!!
見開かれた赤い瞳を見たと思った次の瞬間には、もう布団に押し倒されていた。きゃっ、という悲鳴は口付けてくる銀時の唇に飲み込まれた。深く入りこんできた舌に、ほほの内側をねっとりと舐められたら、それだけで意識がぼうっとしてしまう。
「んんっ……っ、ふ、ぁ、」
「っは、……***、」
唇が離れてとろんとした目で見上げると、銀時はいたずらっ子のような顔をしていた。親指で***の口の端に垂れた唾液をすくうと、赤い舌でぺろりと舐めた。
「布団もういっこ敷く気なんざ、さらさらねぇよ」
「っ……ぎ、んちゃん……」
するすると細帯を解かれて、緩んだ襟の合わせ目から手が入ってくる。下着をつけない乳房をふにふにと揉まれ、胸の小さな蕾も指先で挟まれたら「んっ」と声が出てしまった。
「あッ、銀ちゃっ……ゃ、優しく、してください」
「んー……できるか分かんねぇけど、まぁ、やってみるわ」
フッと笑って***のほっぺたを片手で撫でた。その手つきがやけに優しくて涙が出そうになる。
浴衣と襦袢とショーツをゆっくりと脱がされていく。自分だけ裸になるのが恥ずかしくて「銀ちゃんは脱がないの?」と小さな声で聞いたら「脱いでほしいの?***のエッチ」とニヤついた声で返されて、頭が爆発するかと思った。
真っ赤な顔であわあわしているうちに、銀時がバッと寝間着の上を脱いで放り投げた。目の前に現れた筋肉質な上半身を見たら、***はもっと恥ずかしくなって、視線をふいっと反らした。
***のお願いを聞き入れて、銀時の手はゆるゆると優しく動いた。それでも胸の膨らみを揉まれたら、たちまちおかしな気分になる。
唇をついばむようにキスをしていたのが、ほっぺたや首、鎖骨や乳房へと移っていく。ちゅうっと舌先をくっ付けるような接吻を身体中に受けて、くすぐったさが気持ちよさに変わる頃には、***の白い上半身は、銀時の唾液にまみれていた。
乳房を揉みしだいて、胸の先端に吸い付き噛みつかれるたび、***は「あぁん」とか「んぅっ」とか切ない喘ぎ声を上げた。下腹部を撫でていた銀時の手が、気付いた時には秘部へ達していた。ごつごつとした指先が、繊細な動きで小さな花弁を開いて、既に湿っている割れ目をゆっくりと撫でた。
「ははっ……もうすっげぇ濡れてる。びしょびしょだぞここ」
「~~~~っ、言わな、で、銀ちゃ、んぁあ!」
気が遠くなるほどじわじわと撫でられる度に、くちゅくちゅという淫らな水音が大きくなっていく。溢れ出す愛液がどんどん銀時の手を濡らす。指先でそれをすくって、蜜口の上の感じやすい突起に塗り付けられたら、脳天までビリビリと痺れるほどの強い快感に、***の背中は自然とのけ反った。
「指、入れるぞ」
「はあっ……んぅ、っふ……んっ、く」
何度されてもそれは慣れない。たくさん触られてとっくにとろけているはずなのに、つっと指が入ってきた途端、身体が強張ってしまう。力を抜いて、と***は自分に言い聞かせて、必死で息を吐く。
何も言わずにこくりとうなずいた銀時が、真剣な眼差しで***の恥ずかしいところを見つめるから、羞恥心で気が狂いそうだった。
「中指ぜんぶ入った……***、俺の指、好き?」
「ひゃ、ぁあ……っんぅあぁ、はっ……す、きぃっ、あっ、ぎ、ぎんちゃっ……!!」
挿しこまれた指が出たり入ったりをくり返す。最初はゆっくりと、少しづつ速度を上げて。狭くこわばっていた蜜壺の中を、長い指がほぐしていく。押し広げられ慣れさせられ、形を教え込まれた***のそこは、最初の頃よりずっとすんなり、銀時の指を受け入れた。
お腹の奥のじりじりとした疼きと溜まっていく熱を、目をぎゅっと閉じて我慢していたら、笑いまじりの声で銀時がささやいた。
「イケよ***」
「っっ、ひ、あっ……~~~~~ッッ!!!」
びくびくと全身を痙攣させて、***は絶頂を迎える。なかの指をぎゅうぅぅと締め付けた後で、ふわっと宙に浮いたように脱力した。
指を入れたまま身体を起こした銀時が、***のおでこに口付けた。ちゅっと音を立てたキスはまるで「よくできました」と褒めているようで嬉しい。でも、そんな風に思っていられたのも一瞬で、再び動き出した銀時の指が、果てたばかりで敏感な***の中をまた愛撫しはじめた。
「んゃぁあっ……!?なっ、ぎ、っちゃぁ、まっ、あっ、だ、めぇッ……ゃぁああんっ!!」
「ダメじゃねぇくせに。ホラ、もっかいな」
「あっ、ぎ……ひゃぁあ、ああんッ———!!」
ぐにゅぐにゅと刺激されて、びくびくと絶頂を迎え、がくっと脱力すると、またすぐに指が動く。小刻みな痙攣とふにゃふにゃと力が抜けるのを何度も繰り返して、ついに***はぐったりして声も出なくなった。
雨のようにキスを降らされた全身が、銀時の唾液でどろどろになる。指でいじられたそこは愛液でとろとろだ。視界がぼやけて脱力していたのに、ビリッという何かを破る音が聞こえて、急に意識が引き戻された。
「ぁっ……ぎ、んちゃん……?」
「ん、ちょっと待ってろって」
ひざをそろえて力なく倒した脚の向こうで、銀時がうつむいている。首を上げてもよく見えない。ひじをついてよろよろと上体を起こしたら、脱ぎ捨てられた銀時の寝間着のズボンと封の切られた四角い袋が見えた。あ、と開いた口が閉じれない。イチゴ柄のトランクスを下げたところから飛び出しているものを目にした瞬間、***のノドがひゅっと狭まって息ができなくなった。
赤黒くて太いそれは、触らなくとも硬いと分かる。血管が浮き出るほど反り返ったそれに、銀時は薄いゴムの膜を被せていた。するりと根元まで覆った後、***にのしかかってくる。
「っっ……あ、やっ、ぎん、ちゃ、ま、待って!」
「んな顔しなくても大丈夫だって***~、お前さっき上手に出来てたじゃん。力抜けばいいだけだから。指だって簡単に入ったろ、な?」
「ゆ、指って、あぁっ……!!」
肩を強く押されて布団に背中が沈む。両脚のひざをつかんでガバッと開かれて、あられもない体勢にされた。脚の間に銀時が腰をずいっと入れてくる。濡れそぼった蜜口に猛ったものの先端がぐいっと押し付けられた。
っっ、と息を飲んで***はぎゅっと目をつむった。
———どどどどどうしようっ、こ、怖い怖い怖いっ……指とちがう、全然ちがう!大きさも太さも熱さも全然ちがうよっ!!!
「は……?オイ、***、力抜けって」
「ぬ、抜いてますっ!」
「いやいやいや!なに嘘ついてんだよ!これじゃ銀さんの銀さんの先っぽの先っぽも入んねーから!ホラ!深呼吸しろ深呼吸!!」
「ふぁっ、あぁ、ぎ、銀ちゃんッ……っ、」
深呼吸をしようとしたが、ぐりぐりと押し付けられたそれが、ぐにゅんっと少しだけ中に入ってきて、***の全身は石のように硬くなった。ギッと歯を食いしばってお腹を丸めると、銀時の肩を両手で押し返した。
「ああああっ!い゙ッ…たぁぁぃい……!!」
「うぐっ!……はッ、***、ちょ、おま」
力抜けって!と再び言われたが、***の耳には入らない。悲鳴が出そうな口を両手で抑えて見上げると、汗ばんだ前髪の向こうで眉間にシワを寄せる銀時の顔が見えた。まぶたとほほが紅潮して興奮しているのがよく分かる。***を見下ろす細まった赤い瞳は「気持ちいい」「もっと奥までいれたい」とはっきり言っていた。
その銀時の姿が***は怖かった。
私はこんなに痛いのに。大きくて硬い熱が入ってくる所から、身体が真っ二つに裂けそうなほど痛いのに、それが銀ちゃんにとっては気持ちいいなんて!そう思ったら恐ろしくて、全身がガタガタと震えた。
「やだぁ!ぎ、んちゃ、んぁあッ、痛いッ、ったぃぃッ……!!」
「くそ、ヤダっつっても、これムリ、だってッ……!」
見開いた瞳からボタボタと涙を零して、逃げようと腰を引いたら脚の付け根をつかまれた。ぶ厚い胸板を必死で押し返しても、銀時が腰を進めてくるから恐怖が弾けて、***はもうワケが分からなくなった。
「やだぁぁぁあッ!い゙たぃっ、痛いの、~~~~っ、こ、わい、やめッ……っねがぃ、ぉねがいッ、銀ちゃん怖い!やめ、やめてよぉ……!!」
足をバタつかせて暴れたら、ひざ頭が銀時の脇腹に当たった。広い胸と肩を手のひらで叩いたら、勢い余ってほっぺたまでパチンと叩いていた。細い腰を引き戻そうとする銀時の腕から逃れたくて、指先がめりこむほど強く押し返したら、いくつもひっかき傷をつけてしまった。でも、どれも***は無意識だったのだ。
ぐぐぐ、と中へ入ろうとしていたものが「はぁッ」という苦しげな吐息と共に出て行った。めり込むような痛みが消えると同時に***は力が抜けて、「うぇえん」と子どものような嗚咽を上げた。丸まって泣きじゃくっていると、向き合って横になった銀時に抱き寄せられて、震える背中を手でトントンと叩かれた。
「悪かった、もうしねぇって……」
頭上でぼそぼそとつぶやく声が聞こえて、しゃくりあげる***の声は少しずつおさまっていく。涙で濡れた銀時の胸に顔を押し当てて、ひっかき傷だらけの温かい腕で抱きしめられているうちに、とてつもない申し訳なさが襲ってきた。
「ぐすっ、うぅ~~~、ごめ、銀ちゃッ……ご、ごめんなさいっ、ぅ、うまくできなくって……」
「あーハイハイ、も~分かったっつーのぉぉぉ~」
そのやり取りが三回繰り返されて、熱かった***の身体は平熱に戻っていた。しかし銀時はまだ汗ばんでいて、胸も腕も下半身も触れるところ全てが熱を持っていた。ああ、銀ちゃんは満足できなかったんだ、そう思ったら情けなさと心苦しさでいっぱいになった。
「銀ちゃん、蹴ったり叩いたりしてごめんね。あんなことするつもりなかったのに……ちゃんと最後までできると思ったのに、私、全然ダメだった」
すん、と鼻をすすると頭を撫でていた手が***のおでこをパチンッと叩いた。「もーいいっつってんだろ、最初っからうまくいくなんて俺も思ってねーよ」と投げやりに言うくせに、ちらりと***を伺う銀時の瞳は、恋人を気遣っていた。
「それとさぁ、言っとくけど最後までできたかどーかなんて、どーだっていいんだよ!セックスっつーのはぁ、女が気持ちいいかどーかだから!***が良かったかどーかだから!お前さんざん俺に触られてひーひー言ってたよな?何度もイキまくってよがってたよなぁ?まぁ、半分も入んなかったし、猫みてぇに引っかかれたりもしたけど俺は別にそれでいいんだって。そこまでにお前を気持ちよくできたっつーだけで、こちとら万々歳なんだよ!わかったか!!」
まっすぐな目で「イキまくってよがってた」なんて言われるのは恥ずかしい。さっきまでのことを思い出して顔がぼわわっと熱くなる。
でも、***が自分を責めないよう、銀時なりの優しさで発せられた言葉に胸が締めつけられた。愛しさが溢れた***は思わず銀時の首に腕を回して、ぎゅうっと強く抱き着いた。
「すき、銀ちゃん……好きです。大好きです」
「なっ……!ッあ゙ぁぁぁ~~~~!!っだよコノヤロォォォ~~~!!!」
突然大きな声を出して、銀時は***をべりっと引き剥がした。見てられないと言わんばかりに、拾い上げた浴衣を大雑把に羽織らせる。立ち上がった銀時に驚いて「えっ、えっ」と唖然としている***の頭から、掛け布団を被せた。
「もーいーから、お前は寝ろ!!!」
「えぇぇ!?な、なんで!?銀ちゃんはどこに行くの?銀ちゃんも一緒にいて、近くで寝てください!!」
「ぐっ……~~~ッ、それができんならとっくにやってるっつーの!ったくよォォォ!ガキンチョの***は知らねぇだろーが、男っつーのはいっぺんこーなっちまったら、そう簡単におさまんねーの!溜まったもんは吐き出さねーと苦しくて死んじまうんだよ!!」
「へっ………!?」
こーなっちまった、と言って指さされたそれを見て***は口をあんぐりとした。コンドームを纏ったままでまだ硬いそれは、相変わらず天を仰いでいた。
バッと目をそらして見上げた銀時の顔は、我慢を強いられて苦しそうだった。とにかくお前は寝ろ、と言って寝室から出ようとするその手首をつかんで、咄嗟に引き留めた。脚に力が入らなくて、ぺたりと座り込んだまま***が見上げると、銀時は「オイ勘弁しろってマジで、どーゆーつもりだっつーの」と呆れたように言った。
自分でもなぜそんなことをしたのか分からない。ただ***は銀時への申し訳なさで、突き動かされていた。
「ぎぎぎぎ、銀ちゃんっ、ま、待って!あっ……えぇっと、そのっ、ゎ、私に、な、何かできない、ですか?」
「はぁぁぁぁ!?何かってなんだよ!?」
「そ、それは……、~~~~~っ、ま、前に……っ、ぉ、お風呂でしたみたいに、て、手で、触ったり、とか……?」
「いやいやいやムリだって!俺もう限界なんだって!***のちっせぇ手で生ぬるくしごかれても苦しいだけなんだって!いいって別に、もー銀さんは大丈夫だから、お前はなんも気にしねーで寝ちまえよコノヤロー!!」
気まずそうな銀時に、***はますます心苦しくなる。自分のせいで銀時が苦しんでいるのなら、できる限りのことをしたいと必死で考える。お風呂場で触れ合った夜のことを思い返すと、挿入はせずに脚の間で銀時は熱を吐き出していた。
ハッとした***の頭上に豆電球が浮かぶ。ポンッと片手を打ちたい気分だ。きっとそれで銀時は楽になるはず。大した知識もない***は安直に、思ったことをそのまま言葉に出した。
「て、手じゃなくて別のとこでもいいよ、銀ちゃん」
「へっ……………………え、い、いーの、マジで?」
驚いて振り返った銀時は信じられないという顔をしていたが、どこか期待するような目で***を見下ろしていた———
その時に「うん」とうなずいたことを、***は猛烈に後悔している。薄暗いリビングにひざまずいて、ソファに座った銀時に見下ろされて、ずり下ろしたイチゴ柄パンツから露わになるものを、目の前に突き付けられて。
「なー、***ー、早くしろって」
「あっ、うぅ、ぇっと銀ちゃん、あの、ちょっと……」
大きな手で肩を押されて、銀時の脚の間に顔がどんどん近づいていく。チラリと見上げた銀時は、いたずらっ子というより、いじめっ子の顔をしていた。
眉を八の字に下げて困りきった***を見つめる赤い瞳は、このチャンスを絶対に逃さないというように、ギラギラと熱っぽく輝いていた。
これは大変なことになった、と***は今日何度目かになることを思っていた。
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【(32)どういうつもり】end
"お泊り"前篇 / 瀬戸際の見栄っぱりがその首を絞める
☆指定年齢に満たない方はご遠慮ください
☆性的描写を含むため、苦手な方はお戻りください
【(32)どういうつもり】
事件は土曜日の午前9時に起こった。牛乳屋の仕事を終えて帰宅すると、アパートの大家のおばさんが青い顔で飛び出してきた。大変なことでも起きたかと***は不安になった。
「ちょっと***ちゃん!変な男に会わなかった!?」
「えっ、へ、変な男!?いいえ会ってないですけど、どうしたんですか?何かあったんですか?」
アパートの周りを怪しい男がうろついていた、と大家さんは言った。帽子を深く被った男が窓をのぞいていたので、下着泥棒だと思い通報したが、警察が来る前に逃げられてしまった。早口でまくし立てた大家さんは、***の両肩をさすりながら心配そうな顔で言った。
「ほら、前に住んでた子の下着が盗まれたことあったでしょう?きっとまた同じような変質者よ。でも逃げ足が速くて捕まえ損ねたわぁ~……あ、そうだ、それで***ちゃん、不審者が出たってのに、女の子ひとりにさせとくのは心配だから、しばらく避難してもらえるかしら?一週間くらい銀さんのとこにでも泊めさせてもらいなさいよ。さっき万事屋さんへ電話しといたから、もうすぐ来るわよ」
「へ!?えぇ!?く、来るって誰がですか!?」
「だから銀さんよぉ!***ちゃんのカレシ!ただでさえここはボロいのに、住人に何かあったらアタシも困るのよ。家賃は日割りにするし、あの男が捕まるまでの辛抱だから、ねっ!」
ポンッと肩を叩いて去る大家さんに、***はぽかんとした。多すぎる情報を一度に聞いて混乱する。
さらに困ったことには、通りの向こうからバイクの音まで聞こえてきた。
ドドドドドドド……
地響きのようなエンジン音に、アパートの入口をふり返る。予想どおり爆走する白いバイクが現れた。後輪から砂埃を上げながら***の部屋の前に急ブレーキで止まった瞬間、銀時は大声で叫んだ。
「ゴラァァァ!!!下着泥棒はどこだァァァ!!!どれだ***!?どのパンツ盗られた!?ピンクか!?水色か!?ぜってぇ取り返して、犯人を血祭にしてやらぁ、くそったれェェェェェ!!!!!」
「ひぃぃぃぃッ!!!!!」
不審者が出ただけで被害はなく、下着泥棒かも分からないと言っても聞き耳を持たない銀時は、ズカズカと部屋に上がり、迷いなく下着の入った引き出しを開けた。
「あわわっ!ちょちょちょちょっと銀ちゃん!?なにしてるんですか!?」
「いや、お前どんくせぇから、気付かねぇうちにパンツの1枚や2枚パクられてるかもしんねーだろ。だからいちおうチェックな。お、この銀さんとお揃いのイチゴ柄のは無事だぞ。よかったな***」
「ぜんぶ無事だよ馬鹿ァ!もぉ~!恥ずかしいから見ないでくださいぃぃぃ!!!」
リンゴのように真っ赤な顔で背中をバシバシと叩いて、洗濯物は外に干さないから盗まれないと叫ぶと、ようやく銀時は棚から離れた。そもそも下着の種類と収納場所を把握されていることがおかしいのだが、慌てふためいた***は気付かなかった。
「それにしたってこのボロ部屋は、若ぇ女がひとりで住むには危険すぎんだっつーの!」
銀時は部屋をぐるりと見回した。窓からのぞきに遭うかもしれない。安っぽい扉や鍵は暴漢に蹴破られるかもしれない。そう言いながら四畳半の部屋をうろつき、玄関の扉の郵便受けまでゴソゴソとする銀時に向かって、苦笑いの***が声を掛けた。
「心配してくれるのは嬉しいけど、銀ちゃんは考えすぎですよ。この辺ひとり暮らしの人多いけど、そんな事件起きたことな、」
「オイ***、お前、最後にここ見たのいつだ」
「えっ?」
***の声を遮って、銀時が郵便受けを指さしながら聞いた。そこに入っていた数枚の紙を、大きな手がグシャグシャと握りつぶす。
「あ、えぇっと……今朝の配達に行く前だから4時くらいかなぁ?あ、何か入ってました?」
ずいっと眼前に出されたのは、風俗嬢募集のチラシだった。そんな求人はかぶき町には腐るほど出回っている。だが銀時は、***の部屋に投函されたことが許せないようで、顔にビキビキと血管を浮かべて怒っていた。
「っんだよ、この部屋はァァァ!?下着は盗まれるわ、変態は出るわ、身体を売らせようとするわ!大事な彼女をこんなトコに置きっぱなしにしとけるかっつーの!!とにかく***、落ち着くまでウチに来い!!!」
「えぇぇぇぇ!!!」
そこからの銀時の行動は早かった。勝手に風呂敷を広げ、数日分の着替えや必要なものをどんどん包んでいく。ものの10分もしないうちに荷造りを終えて、***の手を取ると部屋を飛び出す。ふたりを乗せたバイクは来た時と同じように砂煙を上げて、まるで逃げるように万事屋へと向かった。銀時の腰に腕を回しながら***は、大変なことになった、と思っていた。
「***さん、少し早いんですけど、今日は姉上が休みなんで、僕もう帰りますね。神楽ちゃんもお泊りだから、銀さんのこと頼みます」
「し、新八くん、もう帰っちゃうの?ねぇ、神楽ちゃんも本当に行っちゃうの?どうして定春まで一緒なの?せっかくだから今日は私と寝ようよ。トランプとかUNOで遊ぼうよ〜」
「何言ってるネ***~、たったひと晩ヨ?明日には帰ってくるんだから、いい子で待ってるヨロシ。いい大人がそんな甘えんぼしてると、いつまでたっても歌舞伎町の女王様にはなれないネ。しっかりするのヨ!」
女王様になれなくていいから、今夜は新八と神楽に一緒にいてほしかった。そんな願いも空しく、新八は帰宅し、神楽は定春と一緒に友人宅へと行ってしまう。ガックリと肩を落としてふたりを見送ってから、銀時のいる居間を恐々とふり返った。事務机でジャンプを読みつつ鼻をほじる姿は、いつも通り気の抜けたものだった。
———いや、急なお泊りってだけでも困るのに、銀ちゃんとふたりきりなんて無理だよ。え、どうするの?お風呂とか夜とか私いったい、どうしたらいいの……?
さすがの***でも、ふたりで夜を過ごすことの意味は分かっている。そう思うと見慣れたはずの万事屋が落ち着かなかった。一方、銀時は特に関心もなさそうで、ジャンプをめくり、ソファで昼寝をし、時々***に「いちご牛乳とって~」と言った。
冷静を取りつくろって食べた晩ご飯は、全く味がしなかった。ぎこちなく笑って「銀ちゃん、おいしいね」と言うと、呆れ顔の銀時が「***、それ目、目でメシを食うな口で食え」と言った。
夜9時を過ぎた頃「先に入れ」と言われて入ったお風呂では、いつかの夜のように銀時が乱入してくるかもと気が気じゃなった。ソワソワしながら髪と身体を洗って湯船につかり、いそいそと浴衣を着こんだが、今回は最後までひとりだった。
「あの……銀ちゃん、お風呂、お先に頂きました」
「おー……」
肩にバスタオルをかけて居間に戻ると、テレビから目を離さずに銀時は返事をした。向かい合ってソファに座り、濡れた髪を拭いていると、ふとこちらを見た銀時が「オイ、風邪引くぞ」と言っておもむろに近づいてくる。タオルを取り上げられて***が飛び跳ねたら、銀時は眉間にシワを寄せた。
「あぁ?なぁ〜にビクビクしてんだよ***〜、別になんもしてねーだろーが、コラッ!」
「ご、ごめ、うわわっ!?ちょっ、ぎゃッッ!!」
タオルを頭からすっぽりと被せられて、視界が真っ白になる。マヌケな声を上げていると、銀時の手がやたらめったらに動いて、布越しに***の髪をかき乱した。
雑に拭かれた長い髪が顔や首に絡まった頃、タオルが取り払われた。
バサッ———
「ぶははッ!お前、すっげぇ髪型!ぐっちゃぐちゃで鳥の巣みてーになってんぞ***~!!」
「なっ……ぎ、銀ちゃんがやったんじゃないですか!もぉ~!!やめてよぉ!!」
顔を指さしてゲラゲラと笑われたら、***は恥ずかしさに真っ赤になって、銀時の腕をポカポカと殴った。ひとしきり笑った後で***の頭をポンポンと撫でると、ちゃんと乾かせよ、と言って銀時は風呂場へと消えた。
———あ、あれ……?なんか今の感じ、全然そーゆーのじゃなかった……銀ちゃんがどういうつもりなのか分からなくて、私だけ緊張してるけど、そんなの意識しすぎなのかなぁ……
自分だけが期待していたようで恥ずかしくて、ドライヤーを当てながら***は熱い顔をぶんぶんと振った。
ふたりきりのお泊りだからといって、必ずしもそういうことをするとは限らない。そう思って***は少しホッとする。しかし同時に拍子抜けで、なぜか期待を裏切られたような気がした。
パチンッ———
「えっ……?」
髪を乾かした後でテレビを見ていたら、急にリビングの電気が消えた。振り向くと寝間着姿の銀時がソファの真後ろに立っていて、***の手からリモコンを取り上げた。テレビがパッと消えて、部屋は完全な静寂と暗闇に包まれる。
「え、あの、銀ちゃん……?」
何も言わずに***の手を引いて、銀時は寝室へ向かった。襖がスッと開いて、そこに敷かれたひと組の布団を見た瞬間、***は息を飲んで動けなくなった。その場に立ちすくんだ***を置いて、銀時だけが和室に入っていく。腕をつかまれたまま敷居の前で立ち尽くしていると、暗闇から呆れたような声がした。
「……っんだよ、***、早く来いよ」
「ぁっ、あの、銀ちゃん……その、これって、そ、そういうことだよね?」
「はぁ~?それ聞く?聞かなきゃ分かんねーの?ウチに来てからず~っとそわそわしてたくせに、こちとら自分ちなのに居心地悪くてしょーがなかったっつーのぉ……むしろ俺が聞きてぇんだけど、お前の言ってるそーゆーことってどーゆーことだよ。***は俺にどーされてぇんだよ?」
「ど、どうされたいって聞かれても……」
言い淀んでいたら手首を離された。頭を掻きむしった銀時は、ただ***を見つめるだけでそれ以上触れてこない。今までこういう雰囲気の時、銀時はもっと荒っぽかった。求めるがままに***を組み敷いたり押し倒したりしたのに、今日に限って「どうされたい」なんて聞くものだから困ってしまう。
「あのさぁ、***の言ってるそーゆーことってのがセックスのことだったら、それで合ってる。俺はお前を抱きてぇって思ってるよ。ず~~~っと前から」
「っ……ぎ、銀ちゃん、私はっ、」
「けど、お前が嫌なら無理しなくていい。強引に奪っちまうってのも悪かねーが、おぼこい***の覚悟が決まるまで、俺はいくらでも待つって腹ァくくったから。だから***がその気じゃねぇってんならそれでいい。別に急ぐことでもねーし……んじゃ、もういっこ布団敷いてやるから待ってろ」
そう言って背を向けられた瞬間、***は猛烈に悲しくなった。咄嗟にごめんねと謝りそうになったが、それじゃダメだと自分に言い聞かせた。
銀時の声は切なそうだった。眉間にシワを寄せた苦笑いは少し傷ついているように見えた。
ぎゅっと握った***のこぶしの中で、手のひらに爪が突き刺さる。痛いけれど銀時はきっともっと痛い。何度求めても優柔不断な***に無下にされ続けて。
———違うの銀ちゃん、私、嫌だなんて、思ってない……!
えいやっ、と***は一歩踏み出す。敷居を飛び越えて大きな背中にぎゅっと抱き着く。押入れを開けようとしていた銀時が動きを止めて「うおっ」と言った。
「銀ちゃんっ、ゎ、私、覚悟ができたかって聞かれると自信がないです……でも、いつでも銀ちゃんに抱きしめてもらいたいし、それに……さ、触ってもらうのも、嫌じゃ、ないの……だから今日もずっと、そのことばっかり考えちゃって、落ち着かなかったんです……だから、その……」
背中に押し付けていた顔を離して腕を緩めたら、ふり返った銀時が***を見下ろした。気付けば月明かりが部屋に射し込んで、互いの顔がはっきりと見えた。
ぼわわっとほほが熱くなる。真っ赤な顔を見られていると思うと情けなかったが、それでも***は必死で声をふり絞った。
「だ、だから、銀ちゃん、ぉ、お布団はひとつでいいよ……?」
「っ………!」
ドサッッッ———!!!
見開かれた赤い瞳を見たと思った次の瞬間には、もう布団に押し倒されていた。きゃっ、という悲鳴は口付けてくる銀時の唇に飲み込まれた。深く入りこんできた舌に、ほほの内側をねっとりと舐められたら、それだけで意識がぼうっとしてしまう。
「んんっ……っ、ふ、ぁ、」
「っは、……***、」
唇が離れてとろんとした目で見上げると、銀時はいたずらっ子のような顔をしていた。親指で***の口の端に垂れた唾液をすくうと、赤い舌でぺろりと舐めた。
「布団もういっこ敷く気なんざ、さらさらねぇよ」
「っ……ぎ、んちゃん……」
するすると細帯を解かれて、緩んだ襟の合わせ目から手が入ってくる。下着をつけない乳房をふにふにと揉まれ、胸の小さな蕾も指先で挟まれたら「んっ」と声が出てしまった。
「あッ、銀ちゃっ……ゃ、優しく、してください」
「んー……できるか分かんねぇけど、まぁ、やってみるわ」
フッと笑って***のほっぺたを片手で撫でた。その手つきがやけに優しくて涙が出そうになる。
浴衣と襦袢とショーツをゆっくりと脱がされていく。自分だけ裸になるのが恥ずかしくて「銀ちゃんは脱がないの?」と小さな声で聞いたら「脱いでほしいの?***のエッチ」とニヤついた声で返されて、頭が爆発するかと思った。
真っ赤な顔であわあわしているうちに、銀時がバッと寝間着の上を脱いで放り投げた。目の前に現れた筋肉質な上半身を見たら、***はもっと恥ずかしくなって、視線をふいっと反らした。
***のお願いを聞き入れて、銀時の手はゆるゆると優しく動いた。それでも胸の膨らみを揉まれたら、たちまちおかしな気分になる。
唇をついばむようにキスをしていたのが、ほっぺたや首、鎖骨や乳房へと移っていく。ちゅうっと舌先をくっ付けるような接吻を身体中に受けて、くすぐったさが気持ちよさに変わる頃には、***の白い上半身は、銀時の唾液にまみれていた。
乳房を揉みしだいて、胸の先端に吸い付き噛みつかれるたび、***は「あぁん」とか「んぅっ」とか切ない喘ぎ声を上げた。下腹部を撫でていた銀時の手が、気付いた時には秘部へ達していた。ごつごつとした指先が、繊細な動きで小さな花弁を開いて、既に湿っている割れ目をゆっくりと撫でた。
「ははっ……もうすっげぇ濡れてる。びしょびしょだぞここ」
「~~~~っ、言わな、で、銀ちゃ、んぁあ!」
気が遠くなるほどじわじわと撫でられる度に、くちゅくちゅという淫らな水音が大きくなっていく。溢れ出す愛液がどんどん銀時の手を濡らす。指先でそれをすくって、蜜口の上の感じやすい突起に塗り付けられたら、脳天までビリビリと痺れるほどの強い快感に、***の背中は自然とのけ反った。
「指、入れるぞ」
「はあっ……んぅ、っふ……んっ、く」
何度されてもそれは慣れない。たくさん触られてとっくにとろけているはずなのに、つっと指が入ってきた途端、身体が強張ってしまう。力を抜いて、と***は自分に言い聞かせて、必死で息を吐く。
何も言わずにこくりとうなずいた銀時が、真剣な眼差しで***の恥ずかしいところを見つめるから、羞恥心で気が狂いそうだった。
「中指ぜんぶ入った……***、俺の指、好き?」
「ひゃ、ぁあ……っんぅあぁ、はっ……す、きぃっ、あっ、ぎ、ぎんちゃっ……!!」
挿しこまれた指が出たり入ったりをくり返す。最初はゆっくりと、少しづつ速度を上げて。狭くこわばっていた蜜壺の中を、長い指がほぐしていく。押し広げられ慣れさせられ、形を教え込まれた***のそこは、最初の頃よりずっとすんなり、銀時の指を受け入れた。
お腹の奥のじりじりとした疼きと溜まっていく熱を、目をぎゅっと閉じて我慢していたら、笑いまじりの声で銀時がささやいた。
「イケよ***」
「っっ、ひ、あっ……~~~~~ッッ!!!」
びくびくと全身を痙攣させて、***は絶頂を迎える。なかの指をぎゅうぅぅと締め付けた後で、ふわっと宙に浮いたように脱力した。
指を入れたまま身体を起こした銀時が、***のおでこに口付けた。ちゅっと音を立てたキスはまるで「よくできました」と褒めているようで嬉しい。でも、そんな風に思っていられたのも一瞬で、再び動き出した銀時の指が、果てたばかりで敏感な***の中をまた愛撫しはじめた。
「んゃぁあっ……!?なっ、ぎ、っちゃぁ、まっ、あっ、だ、めぇッ……ゃぁああんっ!!」
「ダメじゃねぇくせに。ホラ、もっかいな」
「あっ、ぎ……ひゃぁあ、ああんッ———!!」
ぐにゅぐにゅと刺激されて、びくびくと絶頂を迎え、がくっと脱力すると、またすぐに指が動く。小刻みな痙攣とふにゃふにゃと力が抜けるのを何度も繰り返して、ついに***はぐったりして声も出なくなった。
雨のようにキスを降らされた全身が、銀時の唾液でどろどろになる。指でいじられたそこは愛液でとろとろだ。視界がぼやけて脱力していたのに、ビリッという何かを破る音が聞こえて、急に意識が引き戻された。
「ぁっ……ぎ、んちゃん……?」
「ん、ちょっと待ってろって」
ひざをそろえて力なく倒した脚の向こうで、銀時がうつむいている。首を上げてもよく見えない。ひじをついてよろよろと上体を起こしたら、脱ぎ捨てられた銀時の寝間着のズボンと封の切られた四角い袋が見えた。あ、と開いた口が閉じれない。イチゴ柄のトランクスを下げたところから飛び出しているものを目にした瞬間、***のノドがひゅっと狭まって息ができなくなった。
赤黒くて太いそれは、触らなくとも硬いと分かる。血管が浮き出るほど反り返ったそれに、銀時は薄いゴムの膜を被せていた。するりと根元まで覆った後、***にのしかかってくる。
「っっ……あ、やっ、ぎん、ちゃ、ま、待って!」
「んな顔しなくても大丈夫だって***~、お前さっき上手に出来てたじゃん。力抜けばいいだけだから。指だって簡単に入ったろ、な?」
「ゆ、指って、あぁっ……!!」
肩を強く押されて布団に背中が沈む。両脚のひざをつかんでガバッと開かれて、あられもない体勢にされた。脚の間に銀時が腰をずいっと入れてくる。濡れそぼった蜜口に猛ったものの先端がぐいっと押し付けられた。
っっ、と息を飲んで***はぎゅっと目をつむった。
———どどどどどうしようっ、こ、怖い怖い怖いっ……指とちがう、全然ちがう!大きさも太さも熱さも全然ちがうよっ!!!
「は……?オイ、***、力抜けって」
「ぬ、抜いてますっ!」
「いやいやいや!なに嘘ついてんだよ!これじゃ銀さんの銀さんの先っぽの先っぽも入んねーから!ホラ!深呼吸しろ深呼吸!!」
「ふぁっ、あぁ、ぎ、銀ちゃんッ……っ、」
深呼吸をしようとしたが、ぐりぐりと押し付けられたそれが、ぐにゅんっと少しだけ中に入ってきて、***の全身は石のように硬くなった。ギッと歯を食いしばってお腹を丸めると、銀時の肩を両手で押し返した。
「ああああっ!い゙ッ…たぁぁぃい……!!」
「うぐっ!……はッ、***、ちょ、おま」
力抜けって!と再び言われたが、***の耳には入らない。悲鳴が出そうな口を両手で抑えて見上げると、汗ばんだ前髪の向こうで眉間にシワを寄せる銀時の顔が見えた。まぶたとほほが紅潮して興奮しているのがよく分かる。***を見下ろす細まった赤い瞳は「気持ちいい」「もっと奥までいれたい」とはっきり言っていた。
その銀時の姿が***は怖かった。
私はこんなに痛いのに。大きくて硬い熱が入ってくる所から、身体が真っ二つに裂けそうなほど痛いのに、それが銀ちゃんにとっては気持ちいいなんて!そう思ったら恐ろしくて、全身がガタガタと震えた。
「やだぁ!ぎ、んちゃ、んぁあッ、痛いッ、ったぃぃッ……!!」
「くそ、ヤダっつっても、これムリ、だってッ……!」
見開いた瞳からボタボタと涙を零して、逃げようと腰を引いたら脚の付け根をつかまれた。ぶ厚い胸板を必死で押し返しても、銀時が腰を進めてくるから恐怖が弾けて、***はもうワケが分からなくなった。
「やだぁぁぁあッ!い゙たぃっ、痛いの、~~~~っ、こ、わい、やめッ……っねがぃ、ぉねがいッ、銀ちゃん怖い!やめ、やめてよぉ……!!」
足をバタつかせて暴れたら、ひざ頭が銀時の脇腹に当たった。広い胸と肩を手のひらで叩いたら、勢い余ってほっぺたまでパチンと叩いていた。細い腰を引き戻そうとする銀時の腕から逃れたくて、指先がめりこむほど強く押し返したら、いくつもひっかき傷をつけてしまった。でも、どれも***は無意識だったのだ。
ぐぐぐ、と中へ入ろうとしていたものが「はぁッ」という苦しげな吐息と共に出て行った。めり込むような痛みが消えると同時に***は力が抜けて、「うぇえん」と子どものような嗚咽を上げた。丸まって泣きじゃくっていると、向き合って横になった銀時に抱き寄せられて、震える背中を手でトントンと叩かれた。
「悪かった、もうしねぇって……」
頭上でぼそぼそとつぶやく声が聞こえて、しゃくりあげる***の声は少しずつおさまっていく。涙で濡れた銀時の胸に顔を押し当てて、ひっかき傷だらけの温かい腕で抱きしめられているうちに、とてつもない申し訳なさが襲ってきた。
「ぐすっ、うぅ~~~、ごめ、銀ちゃッ……ご、ごめんなさいっ、ぅ、うまくできなくって……」
「あーハイハイ、も~分かったっつーのぉぉぉ~」
そのやり取りが三回繰り返されて、熱かった***の身体は平熱に戻っていた。しかし銀時はまだ汗ばんでいて、胸も腕も下半身も触れるところ全てが熱を持っていた。ああ、銀ちゃんは満足できなかったんだ、そう思ったら情けなさと心苦しさでいっぱいになった。
「銀ちゃん、蹴ったり叩いたりしてごめんね。あんなことするつもりなかったのに……ちゃんと最後までできると思ったのに、私、全然ダメだった」
すん、と鼻をすすると頭を撫でていた手が***のおでこをパチンッと叩いた。「もーいいっつってんだろ、最初っからうまくいくなんて俺も思ってねーよ」と投げやりに言うくせに、ちらりと***を伺う銀時の瞳は、恋人を気遣っていた。
「それとさぁ、言っとくけど最後までできたかどーかなんて、どーだっていいんだよ!セックスっつーのはぁ、女が気持ちいいかどーかだから!***が良かったかどーかだから!お前さんざん俺に触られてひーひー言ってたよな?何度もイキまくってよがってたよなぁ?まぁ、半分も入んなかったし、猫みてぇに引っかかれたりもしたけど俺は別にそれでいいんだって。そこまでにお前を気持ちよくできたっつーだけで、こちとら万々歳なんだよ!わかったか!!」
まっすぐな目で「イキまくってよがってた」なんて言われるのは恥ずかしい。さっきまでのことを思い出して顔がぼわわっと熱くなる。
でも、***が自分を責めないよう、銀時なりの優しさで発せられた言葉に胸が締めつけられた。愛しさが溢れた***は思わず銀時の首に腕を回して、ぎゅうっと強く抱き着いた。
「すき、銀ちゃん……好きです。大好きです」
「なっ……!ッあ゙ぁぁぁ~~~~!!っだよコノヤロォォォ~~~!!!」
突然大きな声を出して、銀時は***をべりっと引き剥がした。見てられないと言わんばかりに、拾い上げた浴衣を大雑把に羽織らせる。立ち上がった銀時に驚いて「えっ、えっ」と唖然としている***の頭から、掛け布団を被せた。
「もーいーから、お前は寝ろ!!!」
「えぇぇ!?な、なんで!?銀ちゃんはどこに行くの?銀ちゃんも一緒にいて、近くで寝てください!!」
「ぐっ……~~~ッ、それができんならとっくにやってるっつーの!ったくよォォォ!ガキンチョの***は知らねぇだろーが、男っつーのはいっぺんこーなっちまったら、そう簡単におさまんねーの!溜まったもんは吐き出さねーと苦しくて死んじまうんだよ!!」
「へっ………!?」
こーなっちまった、と言って指さされたそれを見て***は口をあんぐりとした。コンドームを纏ったままでまだ硬いそれは、相変わらず天を仰いでいた。
バッと目をそらして見上げた銀時の顔は、我慢を強いられて苦しそうだった。とにかくお前は寝ろ、と言って寝室から出ようとするその手首をつかんで、咄嗟に引き留めた。脚に力が入らなくて、ぺたりと座り込んだまま***が見上げると、銀時は「オイ勘弁しろってマジで、どーゆーつもりだっつーの」と呆れたように言った。
自分でもなぜそんなことをしたのか分からない。ただ***は銀時への申し訳なさで、突き動かされていた。
「ぎぎぎぎ、銀ちゃんっ、ま、待って!あっ……えぇっと、そのっ、ゎ、私に、な、何かできない、ですか?」
「はぁぁぁぁ!?何かってなんだよ!?」
「そ、それは……、~~~~~っ、ま、前に……っ、ぉ、お風呂でしたみたいに、て、手で、触ったり、とか……?」
「いやいやいやムリだって!俺もう限界なんだって!***のちっせぇ手で生ぬるくしごかれても苦しいだけなんだって!いいって別に、もー銀さんは大丈夫だから、お前はなんも気にしねーで寝ちまえよコノヤロー!!」
気まずそうな銀時に、***はますます心苦しくなる。自分のせいで銀時が苦しんでいるのなら、できる限りのことをしたいと必死で考える。お風呂場で触れ合った夜のことを思い返すと、挿入はせずに脚の間で銀時は熱を吐き出していた。
ハッとした***の頭上に豆電球が浮かぶ。ポンッと片手を打ちたい気分だ。きっとそれで銀時は楽になるはず。大した知識もない***は安直に、思ったことをそのまま言葉に出した。
「て、手じゃなくて別のとこでもいいよ、銀ちゃん」
「へっ……………………え、い、いーの、マジで?」
驚いて振り返った銀時は信じられないという顔をしていたが、どこか期待するような目で***を見下ろしていた———
その時に「うん」とうなずいたことを、***は猛烈に後悔している。薄暗いリビングにひざまずいて、ソファに座った銀時に見下ろされて、ずり下ろしたイチゴ柄パンツから露わになるものを、目の前に突き付けられて。
「なー、***ー、早くしろって」
「あっ、うぅ、ぇっと銀ちゃん、あの、ちょっと……」
大きな手で肩を押されて、銀時の脚の間に顔がどんどん近づいていく。チラリと見上げた銀時は、いたずらっ子というより、いじめっ子の顔をしていた。
眉を八の字に下げて困りきった***を見つめる赤い瞳は、このチャンスを絶対に逃さないというように、ギラギラと熱っぽく輝いていた。
これは大変なことになった、と***は今日何度目かになることを思っていた。
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【(32)どういうつもり】end
"お泊り"前篇 / 瀬戸際の見栄っぱりがその首を絞める