銀ちゃんの愛する女の子
おいしい牛乳(恋人)
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※※※大人向け/やや注意※※※
☆若干ですが大人向けな表現があります
☆ぬるいですが性的描写を含む為、苦手な方はお戻りください
【(16)震える】
「おっせぇんだよ、お前はぁ!銀さんが風邪ひいちゃうでしょうがぁ!」
「ぎゃっ!痛いよ銀ちゃん!ごめんってば!」
ゴン、と音を立てて脳天にゲンコツを落とされる。そのまま骨ばった握りこぶしで頭をぐりぐりとされて、***は目に涙を浮かべた。ごめんごめん、と言って痛がりながら見上げると、いつも通りの死んだ魚のような目があった。
———アレ?……いつもの銀ちゃんだ……
さっき感じた違和感は気のせいだったのか、そう思って***はホッと小さく息をついた。今にも取って食われそうに思えた気迫は、見間違いだったのだ。月明かりに照らされたあの赤い瞳が、やけに光っていたから、そう見えた気がしただけなのだ、きっと。
「さぁどうぞ、上がってください。ごめんね銀ちゃん、うちストーブとか暖房とか無いけど、お湯沸かすとすぐに温かくなるから」
部屋の鍵を開けながら、改めて***は銀時をじっと見た。いつもの白い着物姿で上着も羽織ってない。風呂上がりのぽかぽかの身体に、厚手の半纏を着てちょうどいい位なのだから、初冬の寒さのなか長く待たされて、さぞや冷えたことだろう。さすがに今は両袖に腕を通してはいるが、着物の中の黒いインナーはお馴染みの半袖のようだった。
「ちょ、嘘だろ、お前んちストーブもねぇの?オイオイ***~、お前それなりに稼いでんだから、そんくらい買えよ~。ケチケチしねぇで、たまにはパッと金使えって、前から銀さん言ってんだろぉ。ついでに万事屋のエアコンも見つけてくっからさぁ、冷暖房どっちも使えるヤツ、パッとお会計、お願いしますよ***さぁ~ん」
「なんで万事屋のエアコンまで私が買わなきゃいけないんですか!銀ちゃんだってそれなりに稼いでるんだから、エアコンくらい自分で買えるでしょう」
そもそもエアコンの前に神楽ちゃんと新八くんのお給金払ってあげてください、なんて軽口を言いつつ扉を開けると、銀時は我先に部屋へと入って行った。
「あーさみさみ」と言いながらブーツを脱ぎ捨て、慣れた仕草で蛍光灯の紐を引く。明かりが点いた部屋を勝手知ったるという顔で歩き、押し入れから座布団を出す。あぐらをかいてどかっと座り、まだ玄関にぽつんと立ったままの***に向かって「何してんの***、早く上がれよ」と言った。
まるで自分の部屋のようにくつろぐ銀時を見て、笑いが込み上げてくる。いつも通りの遠慮のない振る舞いは、何も深刻なことは考えていない証拠に見えた。色々考えすぎたけど、銀ちゃんは本当にただ泊まりに来ただけなのかも。そう思うとさっきまでの緊張は一気に解けて、思わず***は「ぷっ」と吹き出した。
「あ゙?オイ、人の顔見てなに笑ってんだよ***」
「ううん、なんか……銀ちゃんがうちに来てくれるの嬉しいなぁって、家族と一緒に暮らしてるみたいで」
部屋はやはり冷えていて、下駄を脱いで上がると素足の裏がひんやりとした。急いでやかんに水を入れて火にかける。ガスコンロに青い火が点いて、台所だけ温かくなったが、部屋全体が温まるまでには時間がかかりそうだった。
「銀ちゃん、身体冷えちゃってるよね?良かったらこれ、着ててください。そのうち温かくなるから」
部屋の真ん中で所在なく座る銀時の前に、正座で向き合った***は着ている半纏を脱いだ。銭湯から着てきた綿入は体温を吸って、充分ぬくもりが残っている。
***は膝立ちになって、ぽかんとした銀時の背中に腕を回すと、肩から半纏を羽織らせた。女性ものだけど大きめのサイズでよかった、そう言って微笑むと銀時の両肩をぽんぽんと叩く。首を傾げて「ね、これでちょっとはマシでしょ?」と言っても、銀時は何も言わずに、ただじっと***を見つめていた。
「ん?……どしたの、銀ちゃん。あ、そうだ、いちご牛乳飲みますか?冷やしてあるけど……いや、冷たいのは今は欲しくないか。お鍋で温めてホットのいちご牛乳にしましょうか?」
そう言って立ち上がり、冷蔵庫からいちご牛乳のパックを取り出す。台所に立って小鍋に注ごうとしたところで突然、***は身動きが取れなくなった。
「えっ…………?」
銀時の腕の中にいると気が付くまでには、ずいぶん時間がかかった。音もなく真後ろに立たれて、気配すら感じなかった。ほんのわずか後ろに身体が引かれたような気がして、その次の瞬間にはもう背中から包み込まれていた。声も無くうつむいて、胸に回された筋肉質な腕を見て初めて、銀時に後ろから抱きすくめられていることに気付いた。
「わわっ!ぇ、えぁっ!?ぎ、銀ちゃん!?」
ガタンッ———
すっとんきょうな声を上げて驚いた拍子に、持っていたパックが手から滑り落ちた。そのままシンクに向かって倒れた容器から、薄いピンク色の液体がこぼれ出る。いちご牛乳は甘い香りと共に、どばどばと勢いよく排水溝に吸い込まれていった。
「やっ、ちょっと、まっ……いち、いちご牛乳がっ!」
「***、お前さ、」
「ひゃぁっ!」
想像以上に顔のすぐそばで低い声がして、肩がびくりと跳ねた。声よりも先に吐息が耳に触れるほど、銀時の顔が間近にある。あまりの驚きと恥ずかしさに、***の身体は石のように硬くなった。
「今日なんで俺がここに来たか、分かってんだろ」
「っっ………!」
普段の声よりもうんと低い声でささやかれる。地を這うような声と一緒に耳に注ぎ込まれた銀時の息は、信じられないほど熱い。そして、その熱を肌で感じた瞬間、***は銀時の身体がとてつもなく欲情していることに気付いた。少し汗ばむほど熱っぽい身体全部で、銀時は***の身体を求めている。
———あぁ、そうか……銀ちゃん、私のことを抱きたいって思ってるんだ。それも……今すぐにでも———
そう理解した途端、身動きの取れない全身の皮膚が、ぶわわっと粟立った。肩や背中の触れ合っている肌から、銀時の情欲の猛りが注ぎ込まれているような気がして。
「ぁあああの、銀ちゃん!そ、そのっ、わた、私っ……まだ心の準備ができてな、」
「銭湯行って風呂まで入ってきたくせに?」
「そ、それは、だってお風呂は、仕事帰りにいつも」
「いつも入るから?違うだろ***、俺が来るから入ってきたんだろ。なんだよお前、男の経験ねぇって言うくせに、いっちょ前に準備万端じゃねぇかコノヤロー。いつでも食べてくださいっつってるよーな、ゆで卵みてぇにつるんとした顔で帰ってきやがって」
「なっ……!ち、ちがっ……やっ!!」
銀時はうつむいた***の首筋に顔を寄せると、耳の後ろの髪に鼻を押し付けて、スンと息を吸った。洗い立ての髪が揺れて、シャンプーの香りが漂う。その清潔な香りのせいで、***の眼前に“準備万端”という文字が浮かぶ。あまりの恥ずかしさに顔がかぁーっと熱くなった。
肩を抱いていた腕が解かれて、銀時の手が少しづつ下に降りていく。流し台に身体を強く抑えつけられて、***は指一本動かせない。ただ口をぱくぱくとさせたまま、胸とお腹の上をゆっくりと撫で降りていく、銀時の手を見ていた。
「ちょ、ちょっと……銀ちゃん待ってっ……ぁ!」
熱っぽい手が太ももの裏を軽く撫でた。「んっ」という小さな声が出て、***は慌てて手で口を覆った。汗ばんだ手でじっとりと撫でられたところが湿り気を帯びて、弱い電流が走る気がする。こんな手つきで身体を触られたことなんてない。はじめての淫らな感覚に、***の膝はガクガクと震えはじめた。
「なに***、お前、もう立ってらんねぇの」
「だ、ってぇ……く、くすぐったくて、やっ、」
「そりゃ、くすぐったくしてるからな」
くつくつ、と噛み殺すような笑いを漏らす銀時の声は、やけに意地悪で楽しそう。太ももを撫でる手は、浴衣越しに***の肌の温度を確かめているかのように動く。声を押し殺す***が気付いた時にはもう、焦らすような手つきでお尻を下から上へとさすり上げられていた。
「んんっ……ゃめ、ぎん、ちゃっ」
初めての事にどうしたらいいのか全然分からない。ただ顔を真っ赤にして、口から出そうな変な声をこらえるだけで精いっぱいだ。でも、せめて自分の足で立っていなければ。腰を抜かすなんて情けない。そう思って***はぎゅっと唇を噛んだ。細い膝に力を入れて足を踏みしめると、ステンレスの台に両手をついた。
ふっ、と小さな笑い声が後ろから聞こえると同時に、銀時の片手が***の顎をつかんだ。ぐいっと顔を横に向けられて、斜め上に持ち上げられる。ダメ、と言う間も無く唇に噛みつかれていた。
「んぅっ!!っ……ふっ、っっん、んんっ!?」
驚きに見開いた目を閉じることができなかった。まつ毛が触れ合うほど近くに寄せられた銀時の赤い瞳が、異様なまでにギラギラと光っていたから。
今まで見たことのない男がそこにはいた。それは死んだ魚のような無気力な目じゃない。たまにきらめく時とも違う。少年のようないたずら好きの瞳とも違う。その目は***が初めて見る、欲情して艶っぽい顔をした、大人の男の目だった。
———やっぱり!……さっきのは勘違いじゃなかったんだ!見間違いなんかじゃなかった!銀ちゃんは最初っからずっと、この獣みたいな目で様子を伺ってたんだ……全然気づかない馬鹿な私に、いつ襲いかかろうかって、その瞬間をずっと、ずっと待ってたんだっ……!
「ぁぁッ、っんぅ……んぁっ!」
顎を掴んでいた銀時の指が動いて、噛みしめる***の唇を強引に開かせた。なすすべもなく開いた隙間から、ずるん、と熱い舌がさし込まれた。ざらついた感触が一気に口の奥まで入ってきて、息もできない。
ぐにゅぐにゅと動く舌で震える歯列ひとつひとつなぞられて、尖った舌先で上あごの奥をつんつんと刺激されたら、くすぐったさとは違う感覚が***の背中を走った。びくびくと震えながら、思わず片手で白い着物の腕にすがりついたら、赤い瞳が嬉しそうに細められた。
———なにこれっ、やだ、こんなの知らないっ……!
「ふぁっ……ぁうッ、んぁ、ぁッ……っっ、」
ますます柔軟に動く熱い舌に、意識が飛ばされそうになっているうちに、浴衣の裾がめくり上げられていた。ショーツ一枚のお尻をぎゅっと握るように強く揉まれて、細い足がぐらついてしまう。
もう一方の手で***の後頭部を固定して、銀時は口づけを更に深めようと首を傾けた。一瞬できた唇の隙間から、どちらのものか分からない唾液が零れ落ちる。てらてらと光る透明な液体が、***の顎をつぅっと伝って、はだけた浴衣の胸元にぽたりと落ちた。じゅるるっ、という大きな音と共に、震える舌と唾液を銀時に吸われたら、とてつもない恥ずかしさに襲われた。
シュゥゥ———ッ!!!!
その時、沸騰したヤカンから蒸気が吹き出た。ゴボゴボという湯の沸く大きな音で***はハッとして、つかまっていた銀時の腕を渾身の力で後ろへ押した。必死で顔を背けて唇から逃れた。
「ッ、オィィィ、逃げんなよぉぉ!!」
不機嫌な銀時の声が聞こえたが、構わず身をよじって腕の中から脱け出す。お尻を揉む手をふり払うと、浴衣の裾がすとんと落ちた。よろけながら何とかコンロの火を止めた途端、がくんと膝が折れて、***はその場に座り込む。心臓がバクバクして酸素が足りない。必死で息を吸ったら目頭がじわりと熱くなった。
「はぁっ、はぁぅ、ん、はぁっ……!」
「っんだよ***~~、お前、もしかしてキスだけで腰抜けちまった?おいおい、そりゃいくらなんでも敏感すぎやしねぇか?ケツ撫でただけでビクビク震えちまってさぁ、お前おぼこいくせに感度抜群だから、銀さんびっくりなんですけどぉ~」
「なっ…~~~っっっ、って、ぎ、ちゃんが」
「え、俺のせい?俺のせいじゃねぇだろ」
「急にっ……する、からぁッ……ま、待って、て言った、のにぃ~~~っ、ば、バカァッ」
「はぁ?っんだよそれぇ。急じゃねぇよ。もうお前も分かってんだろ***」
「はぁっ、わか、ってるて……な、何が……?」
ぺたりと座り込む***の両肩を、大きな手がつかんで持ち上げた。よっこいせ、という声と共に狭い部屋の真ん中までずるずると引きずられていく。力の入らない身体を軽く押されて、ぱたりと背中から倒れる。畳にはさっき銀時に貸したはずの半纏が脱ぎ捨てられていて、その上に***は押し倒された。避ける間もなく銀時にのしかかられて、太ももの上に馬乗りされたら、「ゔっ」と苦し気な声が出た。***の肩を両手で抑えつける銀時が、ゆっくりと口を開いた。
「ずっと前から……っっとに、気が狂いそうなくれぇ前から、俺が***に触りてぇって思ってたこと、お前だってもうよく分かってんだろ」
「っっっ!!!」
「なぁ、お子ちゃまな***は知らねぇみてーだから教えてやっけど、好きな女とふたりってだけで男は期待する生き物なんだからね?そんな野郎のとこに湯上りで、顔火照らせて、髪もしっとりさせてのこのこ帰ってくるって、そりゃもう抱かれに来てんのと一緒だからね?」
「っ、な、なななに言ってるんですか!?わ、私は、そんなつもりないもん!」
「はぁぁぁ~……、これだからこのお嬢さんには呆れちまうよなぁ……こっちはどうやって押し倒して服脱がそうかって必死に考えてたっつーのに、‟銀ちゃんが来てくれて嬉しい” なぁ~んて無邪気に言って、浴衣姿あっさりさらしてくれちゃってさぁ。そんなんでおあずけは無理だろ、そんなんで準備がまだなんて嘘に決まってんだろぉぉぉ!」
「う、嘘じゃないっ、ほんとに私まだ……こ、心の準備も、覚悟もできてないからっ……」
「いや、でも俺、ばっちし見たし」
え、と言ってきょとんとした***を、ニヤニヤとした顔で銀時が見下ろす。肩を抑えつけていた大きな手が動いて、水色のリボンがついた髪留めのバレッタをするりと外した。銀時はほどけた髪をひと房すくい取るとそこに口付けて、心底楽しそうに笑って***に顔を寄せた。
「お前が……家の前で行ったり来たりして、どうしよ~銀ちゃんに抱かれちゃう~って顔真っ赤っかで、ウロチョロしてた一部始終」
「なっっっ!!!!み、見てたのっ!!?」
「見てた見てた、ばっちし見てた。お前いつまでたってもグルグル回って、あのまま目ぇ回してぶっ倒れちまうかと思ったけど……まぁ、でも***さぁ、お前も覚悟決めてきたんだろ?その証拠にホラ……」
髪がぱさりと落ちて畳に広がった。銀時はもう***の肩を抑えつけていない、髪にも触れてない、どこにも触っていないと思った大きなふたつの手が、気付いた時には***の腹の上にあった。するすると登ってきた手は、ひかえめな胸のふたつの膨らみをぎゅっと下から揉み上げた。
「あぁっ!っや、っっ!!」
「ホラな、ブラジャーつけてねぇもんな。なぁ、お前も結構ノリ気だったんだろ?こうされるつもりで帰ってきたんだろ?銀ちゃん早く***のおっぱい触ってぇ~って、思ってんだろ?そうだろ、そうだって言えよ、なぁ」
「やだっ、そ、そんなことっ、ぉ、思ってな、いッ、ぎ、ちゃぁっ……ぁんっ!」
いつも眠るときは下着をつけないからつい癖で、という弁解の言葉が出ない。かわりに変な喘ぎ声が漏れ出る。そんな声を出したくないのに止められない。強弱をつけて両胸を揉みしだかれるせいで、どんどん変な気持ちになり、身体中が汗ばむほど熱くなった。
「ぎ、銀ちゃ……ま、ってっ、…あぅ、っぁ……っあぁんっ!」
浴衣の上を大きな両手がゆるゆると動く。***の胸が震える感触を味わうように、何度も円を描いた。骨ばった指が乳房に少し食い込むほどの力強さで。
その手首を掴んで***は必死で止めようとしたが、手に力が入らない。ぽーっとする頭では何も考えられず、どうしようどうしよう、とただ繰り返すばかり。真っ赤に染まった顔をふるふると振って、涙目で銀時を見上げるしか出来なかった。
「んな顔しても、逆効果だっつーの。なぁ***、お前、いま自分がどんだけやらしい顔で銀さんのこと誘ってるか分かってんの?」
「や、だぁッ……ぎっ、んぁぁあっ!」
ふんわりとした胸の先端、そのほんの小さなぷくりとした所に、銀時の指先が触れた途端、***の腰がびくんと跳ねた。指の腹でさする程度に触られただけなのに、そこからびりびりとした刺激が身体中に広がっていく。
「……ほら、ここ……ここな。気持ちいだろ***、乳首こうされっと」
「ぎ、ちゃ、は、恥ずかし、ぃ……っん、ゃぁあ!」
「んなこと言ってぇ、ちゃんと硬くしてんじゃん」
嬉しそうにそう言う銀時の大きな手のひらが乳房を包む。ぐにゅぐにゅと胸の形が変わるほど揉まれて、指先できゅっと先端を挟まれたら、つんと尖った乳首が浴衣ごしに主張しているのが見えた。言葉さえ出せずに***は、あぁぁ、と情けない声を上げた。
小さな蕾のように、ぷくりと布を押しあげる胸の先端を、銀時がじっと見ている。それだけで死にそうなほど恥ずかしい。それなのにそこに銀時が顔を近づけたから、***は慌てて寄せられた銀色の頭を両手で掴んで離そうとした。しかし抵抗も空しく、ぱくりと開いた口が***の右胸にたやすく吸い付いた。
「ゃぁああっ!っっ、~~~っん、ぃやぁっ」
「んぁ?やじゃねぇって、ちょっとくらい食わせろよ」
「っは、ぁん、だめぇ……っ」
浴衣ごと胸をきゅうきゅうと吸われる。薄い布に唾液がどんどん染みてきて、敏感に尖った先端までたっぷり濡れているのが分かった。
「っっんぅ……はぁ、ぎんちゃ、ひっ、ぁあッ」
小さな乳輪のまわりを熱い舌がぐるりと舐める。舌先でつつかれてますます硬くなった胸の先っぽに、軽く歯を立てられる。くにゅくにゅとその硬いところを甘噛みをされたら、あぁぁん、といっそう大きな喘ぎ声が漏れ出てしまった。びくびくと震える下腹部の奥の方に、感じたことのない疼きが広がっていく。
止まらない喘ぎ声と勝手に疼く身体に、自分が自分でなくなるような気がして、***は急に怖くなった。
「ぁッ、んゃっ……ぎ、ぎんっ、銀ちゃんっ!」
泣きそうな声で必死に呼んだら、銀時は「ん」と言って、ようやく胸から口を離してくれた。浴衣だけでなく銀時の口元も唾液で濡れそぼっていて、顔を上げると同時に手の甲で拭っていた。その仕草がまるで捕食中の肉食動物ように荒々しく見えて、きゅっと身体が強張った。
「なに、お前、泣きそうじゃん」
「っっ……だ、だってぇっ……銀ちゃ、私、なんかっ、おかしくなっちゃいそうで……っ、」
怖い、と言ったら、動きを止めた銀時が目を丸くして***をじっと見つめた。胸をぐにぐにと揉んでいた手も止めて、様子をうかがうように上目遣いで***を見つめる銀時は、何かを推し量っているようだった。
「ゃ、やだ……そんなに、じっと見ないでよぉっ」
「……なぁ、まぁ確かに俺も悪かったっつーか、処女の***相手に遠慮が足りなかったっつーか、なんつーか……ちょ~っとがっつきすぎたかもしんねぇけどさぁ……でもさぁ、お前が煽ったのが悪いんだからね?」
「あ、煽ってなんか、ない」
「いやいやいやいや、めっっっさ煽ってっから!ごっっっさそそられてっから俺はぁぁぁ!っんなトロンとした目で“おかしくなっちゃいそう”とか言うなよ馬鹿!こっちはもうとっくにおかしくなってるっつーの!限界なんだよコノヤロー!!!!!」
はぁぁぁ~、と深い溜息をついた銀時が前に倒れ込んで、***の肩に顔を伏せた。顔のすぐ横から「っとに、ふざんけんなよぉ」と言う不機嫌な子供のような声が聞こえてくる。思わず***は銀髪の髪に指を差し入れて、そっと銀時の後頭部を撫でた。
「ぎ、銀ちゃん?……あの、ごめんね?私、ちょっと怖くなっちゃっただけで、銀ちゃんが嫌なんじゃないんだよ……?」
「んなこた分かってるわ!!嫌な奴に身体あちこち触られて、そんなとろけた顔されてたまるかよ!!!」
ぎりぎりと歯を噛みしめた銀時が顔を上げて、***をじっと見つめた。再びその手が唾液に濡れそぼった乳房に戻ってきて、強くぎゅっと掴んだから、「んんっ!」と声が出る。
「***……俺は、お前がおかしくなっちまうとこが見てぇ。もう限界ってくらい、見たくて見たくてしょうがねぇんだよ。自分でもいい歳こいたオッサンが焦っててダセェって思うけど、こちとら必死なんだっつーの……なぁ頼むから、***の誰にも見せたことねぇ顔、銀さんに見して。誰も知らねぇお前を見せろよ。嫌じゃねんだろ俺のこと……頼むよマジでぇ~~~、怖かったらぶん殴っていいからぁ。ほんとに嫌そーだったら、ちゃんとやめるからぁぁぁ、なぁ、***~~~!!!」
駄々っ子のようにそう言った銀時に、***の心臓がきゅんと締め付けられた。そんなこと言われても困る、そんなの恥ずかしくて嫌、と頭が思っても、それに反して心が喜んでいる。
目の前の銀時があまりに必死で。そしてそれが全て自分のせいだと思うと、好きな人に求められているという実感に、***の胸は満たされて、舞い上がりそうなほど嬉しくて。
———銀ちゃんの、こんなに必死で苦しそうな顔、はじめて見た……好きな人がこんなに求めてくれるって、もしかして実は……すっごく幸せなことかもしれない……
「あ、あの、銀ちゃん……そのっ……」
どんな言葉を言えばいいのか分からない。ただ***は震える手を伸ばした。その手を銀時が取り、指先にちゅっと口づけを落とされたら、あまりの幸福感に涙が出そうだった。
見せてあげたい、と***は思う。大好きな銀時が見たいと思うものを何もかも。銀時が求めるのならば、この心まで開いて全部見せてあげたい。でもこのコンプレックスだらけの身体を、好きな人に見られるのは、あまりに恥ずかしい。
葛藤する心がようやくたどり着いた答えを、震える小さな声で、***は呟いた。
「お願い銀ちゃん……で、電気は消してください……」
(私も知らない私を見られるのは震えるほど怖いから)
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【(16)震える】end
"きみは天使(2)"
なぜなら君に触りたくて仕方がないから
☆若干ですが大人向けな表現があります
☆ぬるいですが性的描写を含む為、苦手な方はお戻りください
【(16)震える】
「おっせぇんだよ、お前はぁ!銀さんが風邪ひいちゃうでしょうがぁ!」
「ぎゃっ!痛いよ銀ちゃん!ごめんってば!」
ゴン、と音を立てて脳天にゲンコツを落とされる。そのまま骨ばった握りこぶしで頭をぐりぐりとされて、***は目に涙を浮かべた。ごめんごめん、と言って痛がりながら見上げると、いつも通りの死んだ魚のような目があった。
———アレ?……いつもの銀ちゃんだ……
さっき感じた違和感は気のせいだったのか、そう思って***はホッと小さく息をついた。今にも取って食われそうに思えた気迫は、見間違いだったのだ。月明かりに照らされたあの赤い瞳が、やけに光っていたから、そう見えた気がしただけなのだ、きっと。
「さぁどうぞ、上がってください。ごめんね銀ちゃん、うちストーブとか暖房とか無いけど、お湯沸かすとすぐに温かくなるから」
部屋の鍵を開けながら、改めて***は銀時をじっと見た。いつもの白い着物姿で上着も羽織ってない。風呂上がりのぽかぽかの身体に、厚手の半纏を着てちょうどいい位なのだから、初冬の寒さのなか長く待たされて、さぞや冷えたことだろう。さすがに今は両袖に腕を通してはいるが、着物の中の黒いインナーはお馴染みの半袖のようだった。
「ちょ、嘘だろ、お前んちストーブもねぇの?オイオイ***~、お前それなりに稼いでんだから、そんくらい買えよ~。ケチケチしねぇで、たまにはパッと金使えって、前から銀さん言ってんだろぉ。ついでに万事屋のエアコンも見つけてくっからさぁ、冷暖房どっちも使えるヤツ、パッとお会計、お願いしますよ***さぁ~ん」
「なんで万事屋のエアコンまで私が買わなきゃいけないんですか!銀ちゃんだってそれなりに稼いでるんだから、エアコンくらい自分で買えるでしょう」
そもそもエアコンの前に神楽ちゃんと新八くんのお給金払ってあげてください、なんて軽口を言いつつ扉を開けると、銀時は我先に部屋へと入って行った。
「あーさみさみ」と言いながらブーツを脱ぎ捨て、慣れた仕草で蛍光灯の紐を引く。明かりが点いた部屋を勝手知ったるという顔で歩き、押し入れから座布団を出す。あぐらをかいてどかっと座り、まだ玄関にぽつんと立ったままの***に向かって「何してんの***、早く上がれよ」と言った。
まるで自分の部屋のようにくつろぐ銀時を見て、笑いが込み上げてくる。いつも通りの遠慮のない振る舞いは、何も深刻なことは考えていない証拠に見えた。色々考えすぎたけど、銀ちゃんは本当にただ泊まりに来ただけなのかも。そう思うとさっきまでの緊張は一気に解けて、思わず***は「ぷっ」と吹き出した。
「あ゙?オイ、人の顔見てなに笑ってんだよ***」
「ううん、なんか……銀ちゃんがうちに来てくれるの嬉しいなぁって、家族と一緒に暮らしてるみたいで」
部屋はやはり冷えていて、下駄を脱いで上がると素足の裏がひんやりとした。急いでやかんに水を入れて火にかける。ガスコンロに青い火が点いて、台所だけ温かくなったが、部屋全体が温まるまでには時間がかかりそうだった。
「銀ちゃん、身体冷えちゃってるよね?良かったらこれ、着ててください。そのうち温かくなるから」
部屋の真ん中で所在なく座る銀時の前に、正座で向き合った***は着ている半纏を脱いだ。銭湯から着てきた綿入は体温を吸って、充分ぬくもりが残っている。
***は膝立ちになって、ぽかんとした銀時の背中に腕を回すと、肩から半纏を羽織らせた。女性ものだけど大きめのサイズでよかった、そう言って微笑むと銀時の両肩をぽんぽんと叩く。首を傾げて「ね、これでちょっとはマシでしょ?」と言っても、銀時は何も言わずに、ただじっと***を見つめていた。
「ん?……どしたの、銀ちゃん。あ、そうだ、いちご牛乳飲みますか?冷やしてあるけど……いや、冷たいのは今は欲しくないか。お鍋で温めてホットのいちご牛乳にしましょうか?」
そう言って立ち上がり、冷蔵庫からいちご牛乳のパックを取り出す。台所に立って小鍋に注ごうとしたところで突然、***は身動きが取れなくなった。
「えっ…………?」
銀時の腕の中にいると気が付くまでには、ずいぶん時間がかかった。音もなく真後ろに立たれて、気配すら感じなかった。ほんのわずか後ろに身体が引かれたような気がして、その次の瞬間にはもう背中から包み込まれていた。声も無くうつむいて、胸に回された筋肉質な腕を見て初めて、銀時に後ろから抱きすくめられていることに気付いた。
「わわっ!ぇ、えぁっ!?ぎ、銀ちゃん!?」
ガタンッ———
すっとんきょうな声を上げて驚いた拍子に、持っていたパックが手から滑り落ちた。そのままシンクに向かって倒れた容器から、薄いピンク色の液体がこぼれ出る。いちご牛乳は甘い香りと共に、どばどばと勢いよく排水溝に吸い込まれていった。
「やっ、ちょっと、まっ……いち、いちご牛乳がっ!」
「***、お前さ、」
「ひゃぁっ!」
想像以上に顔のすぐそばで低い声がして、肩がびくりと跳ねた。声よりも先に吐息が耳に触れるほど、銀時の顔が間近にある。あまりの驚きと恥ずかしさに、***の身体は石のように硬くなった。
「今日なんで俺がここに来たか、分かってんだろ」
「っっ………!」
普段の声よりもうんと低い声でささやかれる。地を這うような声と一緒に耳に注ぎ込まれた銀時の息は、信じられないほど熱い。そして、その熱を肌で感じた瞬間、***は銀時の身体がとてつもなく欲情していることに気付いた。少し汗ばむほど熱っぽい身体全部で、銀時は***の身体を求めている。
———あぁ、そうか……銀ちゃん、私のことを抱きたいって思ってるんだ。それも……今すぐにでも———
そう理解した途端、身動きの取れない全身の皮膚が、ぶわわっと粟立った。肩や背中の触れ合っている肌から、銀時の情欲の猛りが注ぎ込まれているような気がして。
「ぁあああの、銀ちゃん!そ、そのっ、わた、私っ……まだ心の準備ができてな、」
「銭湯行って風呂まで入ってきたくせに?」
「そ、それは、だってお風呂は、仕事帰りにいつも」
「いつも入るから?違うだろ***、俺が来るから入ってきたんだろ。なんだよお前、男の経験ねぇって言うくせに、いっちょ前に準備万端じゃねぇかコノヤロー。いつでも食べてくださいっつってるよーな、ゆで卵みてぇにつるんとした顔で帰ってきやがって」
「なっ……!ち、ちがっ……やっ!!」
銀時はうつむいた***の首筋に顔を寄せると、耳の後ろの髪に鼻を押し付けて、スンと息を吸った。洗い立ての髪が揺れて、シャンプーの香りが漂う。その清潔な香りのせいで、***の眼前に“準備万端”という文字が浮かぶ。あまりの恥ずかしさに顔がかぁーっと熱くなった。
肩を抱いていた腕が解かれて、銀時の手が少しづつ下に降りていく。流し台に身体を強く抑えつけられて、***は指一本動かせない。ただ口をぱくぱくとさせたまま、胸とお腹の上をゆっくりと撫で降りていく、銀時の手を見ていた。
「ちょ、ちょっと……銀ちゃん待ってっ……ぁ!」
熱っぽい手が太ももの裏を軽く撫でた。「んっ」という小さな声が出て、***は慌てて手で口を覆った。汗ばんだ手でじっとりと撫でられたところが湿り気を帯びて、弱い電流が走る気がする。こんな手つきで身体を触られたことなんてない。はじめての淫らな感覚に、***の膝はガクガクと震えはじめた。
「なに***、お前、もう立ってらんねぇの」
「だ、ってぇ……く、くすぐったくて、やっ、」
「そりゃ、くすぐったくしてるからな」
くつくつ、と噛み殺すような笑いを漏らす銀時の声は、やけに意地悪で楽しそう。太ももを撫でる手は、浴衣越しに***の肌の温度を確かめているかのように動く。声を押し殺す***が気付いた時にはもう、焦らすような手つきでお尻を下から上へとさすり上げられていた。
「んんっ……ゃめ、ぎん、ちゃっ」
初めての事にどうしたらいいのか全然分からない。ただ顔を真っ赤にして、口から出そうな変な声をこらえるだけで精いっぱいだ。でも、せめて自分の足で立っていなければ。腰を抜かすなんて情けない。そう思って***はぎゅっと唇を噛んだ。細い膝に力を入れて足を踏みしめると、ステンレスの台に両手をついた。
ふっ、と小さな笑い声が後ろから聞こえると同時に、銀時の片手が***の顎をつかんだ。ぐいっと顔を横に向けられて、斜め上に持ち上げられる。ダメ、と言う間も無く唇に噛みつかれていた。
「んぅっ!!っ……ふっ、っっん、んんっ!?」
驚きに見開いた目を閉じることができなかった。まつ毛が触れ合うほど近くに寄せられた銀時の赤い瞳が、異様なまでにギラギラと光っていたから。
今まで見たことのない男がそこにはいた。それは死んだ魚のような無気力な目じゃない。たまにきらめく時とも違う。少年のようないたずら好きの瞳とも違う。その目は***が初めて見る、欲情して艶っぽい顔をした、大人の男の目だった。
———やっぱり!……さっきのは勘違いじゃなかったんだ!見間違いなんかじゃなかった!銀ちゃんは最初っからずっと、この獣みたいな目で様子を伺ってたんだ……全然気づかない馬鹿な私に、いつ襲いかかろうかって、その瞬間をずっと、ずっと待ってたんだっ……!
「ぁぁッ、っんぅ……んぁっ!」
顎を掴んでいた銀時の指が動いて、噛みしめる***の唇を強引に開かせた。なすすべもなく開いた隙間から、ずるん、と熱い舌がさし込まれた。ざらついた感触が一気に口の奥まで入ってきて、息もできない。
ぐにゅぐにゅと動く舌で震える歯列ひとつひとつなぞられて、尖った舌先で上あごの奥をつんつんと刺激されたら、くすぐったさとは違う感覚が***の背中を走った。びくびくと震えながら、思わず片手で白い着物の腕にすがりついたら、赤い瞳が嬉しそうに細められた。
———なにこれっ、やだ、こんなの知らないっ……!
「ふぁっ……ぁうッ、んぁ、ぁッ……っっ、」
ますます柔軟に動く熱い舌に、意識が飛ばされそうになっているうちに、浴衣の裾がめくり上げられていた。ショーツ一枚のお尻をぎゅっと握るように強く揉まれて、細い足がぐらついてしまう。
もう一方の手で***の後頭部を固定して、銀時は口づけを更に深めようと首を傾けた。一瞬できた唇の隙間から、どちらのものか分からない唾液が零れ落ちる。てらてらと光る透明な液体が、***の顎をつぅっと伝って、はだけた浴衣の胸元にぽたりと落ちた。じゅるるっ、という大きな音と共に、震える舌と唾液を銀時に吸われたら、とてつもない恥ずかしさに襲われた。
シュゥゥ———ッ!!!!
その時、沸騰したヤカンから蒸気が吹き出た。ゴボゴボという湯の沸く大きな音で***はハッとして、つかまっていた銀時の腕を渾身の力で後ろへ押した。必死で顔を背けて唇から逃れた。
「ッ、オィィィ、逃げんなよぉぉ!!」
不機嫌な銀時の声が聞こえたが、構わず身をよじって腕の中から脱け出す。お尻を揉む手をふり払うと、浴衣の裾がすとんと落ちた。よろけながら何とかコンロの火を止めた途端、がくんと膝が折れて、***はその場に座り込む。心臓がバクバクして酸素が足りない。必死で息を吸ったら目頭がじわりと熱くなった。
「はぁっ、はぁぅ、ん、はぁっ……!」
「っんだよ***~~、お前、もしかしてキスだけで腰抜けちまった?おいおい、そりゃいくらなんでも敏感すぎやしねぇか?ケツ撫でただけでビクビク震えちまってさぁ、お前おぼこいくせに感度抜群だから、銀さんびっくりなんですけどぉ~」
「なっ…~~~っっっ、って、ぎ、ちゃんが」
「え、俺のせい?俺のせいじゃねぇだろ」
「急にっ……する、からぁッ……ま、待って、て言った、のにぃ~~~っ、ば、バカァッ」
「はぁ?っんだよそれぇ。急じゃねぇよ。もうお前も分かってんだろ***」
「はぁっ、わか、ってるて……な、何が……?」
ぺたりと座り込む***の両肩を、大きな手がつかんで持ち上げた。よっこいせ、という声と共に狭い部屋の真ん中までずるずると引きずられていく。力の入らない身体を軽く押されて、ぱたりと背中から倒れる。畳にはさっき銀時に貸したはずの半纏が脱ぎ捨てられていて、その上に***は押し倒された。避ける間もなく銀時にのしかかられて、太ももの上に馬乗りされたら、「ゔっ」と苦し気な声が出た。***の肩を両手で抑えつける銀時が、ゆっくりと口を開いた。
「ずっと前から……っっとに、気が狂いそうなくれぇ前から、俺が***に触りてぇって思ってたこと、お前だってもうよく分かってんだろ」
「っっっ!!!」
「なぁ、お子ちゃまな***は知らねぇみてーだから教えてやっけど、好きな女とふたりってだけで男は期待する生き物なんだからね?そんな野郎のとこに湯上りで、顔火照らせて、髪もしっとりさせてのこのこ帰ってくるって、そりゃもう抱かれに来てんのと一緒だからね?」
「っ、な、なななに言ってるんですか!?わ、私は、そんなつもりないもん!」
「はぁぁぁ~……、これだからこのお嬢さんには呆れちまうよなぁ……こっちはどうやって押し倒して服脱がそうかって必死に考えてたっつーのに、‟銀ちゃんが来てくれて嬉しい” なぁ~んて無邪気に言って、浴衣姿あっさりさらしてくれちゃってさぁ。そんなんでおあずけは無理だろ、そんなんで準備がまだなんて嘘に決まってんだろぉぉぉ!」
「う、嘘じゃないっ、ほんとに私まだ……こ、心の準備も、覚悟もできてないからっ……」
「いや、でも俺、ばっちし見たし」
え、と言ってきょとんとした***を、ニヤニヤとした顔で銀時が見下ろす。肩を抑えつけていた大きな手が動いて、水色のリボンがついた髪留めのバレッタをするりと外した。銀時はほどけた髪をひと房すくい取るとそこに口付けて、心底楽しそうに笑って***に顔を寄せた。
「お前が……家の前で行ったり来たりして、どうしよ~銀ちゃんに抱かれちゃう~って顔真っ赤っかで、ウロチョロしてた一部始終」
「なっっっ!!!!み、見てたのっ!!?」
「見てた見てた、ばっちし見てた。お前いつまでたってもグルグル回って、あのまま目ぇ回してぶっ倒れちまうかと思ったけど……まぁ、でも***さぁ、お前も覚悟決めてきたんだろ?その証拠にホラ……」
髪がぱさりと落ちて畳に広がった。銀時はもう***の肩を抑えつけていない、髪にも触れてない、どこにも触っていないと思った大きなふたつの手が、気付いた時には***の腹の上にあった。するすると登ってきた手は、ひかえめな胸のふたつの膨らみをぎゅっと下から揉み上げた。
「あぁっ!っや、っっ!!」
「ホラな、ブラジャーつけてねぇもんな。なぁ、お前も結構ノリ気だったんだろ?こうされるつもりで帰ってきたんだろ?銀ちゃん早く***のおっぱい触ってぇ~って、思ってんだろ?そうだろ、そうだって言えよ、なぁ」
「やだっ、そ、そんなことっ、ぉ、思ってな、いッ、ぎ、ちゃぁっ……ぁんっ!」
いつも眠るときは下着をつけないからつい癖で、という弁解の言葉が出ない。かわりに変な喘ぎ声が漏れ出る。そんな声を出したくないのに止められない。強弱をつけて両胸を揉みしだかれるせいで、どんどん変な気持ちになり、身体中が汗ばむほど熱くなった。
「ぎ、銀ちゃ……ま、ってっ、…あぅ、っぁ……っあぁんっ!」
浴衣の上を大きな両手がゆるゆると動く。***の胸が震える感触を味わうように、何度も円を描いた。骨ばった指が乳房に少し食い込むほどの力強さで。
その手首を掴んで***は必死で止めようとしたが、手に力が入らない。ぽーっとする頭では何も考えられず、どうしようどうしよう、とただ繰り返すばかり。真っ赤に染まった顔をふるふると振って、涙目で銀時を見上げるしか出来なかった。
「んな顔しても、逆効果だっつーの。なぁ***、お前、いま自分がどんだけやらしい顔で銀さんのこと誘ってるか分かってんの?」
「や、だぁッ……ぎっ、んぁぁあっ!」
ふんわりとした胸の先端、そのほんの小さなぷくりとした所に、銀時の指先が触れた途端、***の腰がびくんと跳ねた。指の腹でさする程度に触られただけなのに、そこからびりびりとした刺激が身体中に広がっていく。
「……ほら、ここ……ここな。気持ちいだろ***、乳首こうされっと」
「ぎ、ちゃ、は、恥ずかし、ぃ……っん、ゃぁあ!」
「んなこと言ってぇ、ちゃんと硬くしてんじゃん」
嬉しそうにそう言う銀時の大きな手のひらが乳房を包む。ぐにゅぐにゅと胸の形が変わるほど揉まれて、指先できゅっと先端を挟まれたら、つんと尖った乳首が浴衣ごしに主張しているのが見えた。言葉さえ出せずに***は、あぁぁ、と情けない声を上げた。
小さな蕾のように、ぷくりと布を押しあげる胸の先端を、銀時がじっと見ている。それだけで死にそうなほど恥ずかしい。それなのにそこに銀時が顔を近づけたから、***は慌てて寄せられた銀色の頭を両手で掴んで離そうとした。しかし抵抗も空しく、ぱくりと開いた口が***の右胸にたやすく吸い付いた。
「ゃぁああっ!っっ、~~~っん、ぃやぁっ」
「んぁ?やじゃねぇって、ちょっとくらい食わせろよ」
「っは、ぁん、だめぇ……っ」
浴衣ごと胸をきゅうきゅうと吸われる。薄い布に唾液がどんどん染みてきて、敏感に尖った先端までたっぷり濡れているのが分かった。
「っっんぅ……はぁ、ぎんちゃ、ひっ、ぁあッ」
小さな乳輪のまわりを熱い舌がぐるりと舐める。舌先でつつかれてますます硬くなった胸の先っぽに、軽く歯を立てられる。くにゅくにゅとその硬いところを甘噛みをされたら、あぁぁん、といっそう大きな喘ぎ声が漏れ出てしまった。びくびくと震える下腹部の奥の方に、感じたことのない疼きが広がっていく。
止まらない喘ぎ声と勝手に疼く身体に、自分が自分でなくなるような気がして、***は急に怖くなった。
「ぁッ、んゃっ……ぎ、ぎんっ、銀ちゃんっ!」
泣きそうな声で必死に呼んだら、銀時は「ん」と言って、ようやく胸から口を離してくれた。浴衣だけでなく銀時の口元も唾液で濡れそぼっていて、顔を上げると同時に手の甲で拭っていた。その仕草がまるで捕食中の肉食動物ように荒々しく見えて、きゅっと身体が強張った。
「なに、お前、泣きそうじゃん」
「っっ……だ、だってぇっ……銀ちゃ、私、なんかっ、おかしくなっちゃいそうで……っ、」
怖い、と言ったら、動きを止めた銀時が目を丸くして***をじっと見つめた。胸をぐにぐにと揉んでいた手も止めて、様子をうかがうように上目遣いで***を見つめる銀時は、何かを推し量っているようだった。
「ゃ、やだ……そんなに、じっと見ないでよぉっ」
「……なぁ、まぁ確かに俺も悪かったっつーか、処女の***相手に遠慮が足りなかったっつーか、なんつーか……ちょ~っとがっつきすぎたかもしんねぇけどさぁ……でもさぁ、お前が煽ったのが悪いんだからね?」
「あ、煽ってなんか、ない」
「いやいやいやいや、めっっっさ煽ってっから!ごっっっさそそられてっから俺はぁぁぁ!っんなトロンとした目で“おかしくなっちゃいそう”とか言うなよ馬鹿!こっちはもうとっくにおかしくなってるっつーの!限界なんだよコノヤロー!!!!!」
はぁぁぁ~、と深い溜息をついた銀時が前に倒れ込んで、***の肩に顔を伏せた。顔のすぐ横から「っとに、ふざんけんなよぉ」と言う不機嫌な子供のような声が聞こえてくる。思わず***は銀髪の髪に指を差し入れて、そっと銀時の後頭部を撫でた。
「ぎ、銀ちゃん?……あの、ごめんね?私、ちょっと怖くなっちゃっただけで、銀ちゃんが嫌なんじゃないんだよ……?」
「んなこた分かってるわ!!嫌な奴に身体あちこち触られて、そんなとろけた顔されてたまるかよ!!!」
ぎりぎりと歯を噛みしめた銀時が顔を上げて、***をじっと見つめた。再びその手が唾液に濡れそぼった乳房に戻ってきて、強くぎゅっと掴んだから、「んんっ!」と声が出る。
「***……俺は、お前がおかしくなっちまうとこが見てぇ。もう限界ってくらい、見たくて見たくてしょうがねぇんだよ。自分でもいい歳こいたオッサンが焦っててダセェって思うけど、こちとら必死なんだっつーの……なぁ頼むから、***の誰にも見せたことねぇ顔、銀さんに見して。誰も知らねぇお前を見せろよ。嫌じゃねんだろ俺のこと……頼むよマジでぇ~~~、怖かったらぶん殴っていいからぁ。ほんとに嫌そーだったら、ちゃんとやめるからぁぁぁ、なぁ、***~~~!!!」
駄々っ子のようにそう言った銀時に、***の心臓がきゅんと締め付けられた。そんなこと言われても困る、そんなの恥ずかしくて嫌、と頭が思っても、それに反して心が喜んでいる。
目の前の銀時があまりに必死で。そしてそれが全て自分のせいだと思うと、好きな人に求められているという実感に、***の胸は満たされて、舞い上がりそうなほど嬉しくて。
———銀ちゃんの、こんなに必死で苦しそうな顔、はじめて見た……好きな人がこんなに求めてくれるって、もしかして実は……すっごく幸せなことかもしれない……
「あ、あの、銀ちゃん……そのっ……」
どんな言葉を言えばいいのか分からない。ただ***は震える手を伸ばした。その手を銀時が取り、指先にちゅっと口づけを落とされたら、あまりの幸福感に涙が出そうだった。
見せてあげたい、と***は思う。大好きな銀時が見たいと思うものを何もかも。銀時が求めるのならば、この心まで開いて全部見せてあげたい。でもこのコンプレックスだらけの身体を、好きな人に見られるのは、あまりに恥ずかしい。
葛藤する心がようやくたどり着いた答えを、震える小さな声で、***は呟いた。
「お願い銀ちゃん……で、電気は消してください……」
(私も知らない私を見られるのは震えるほど怖いから)
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【(16)震える】end
"きみは天使(2)"
なぜなら君に触りたくて仕方がないから