銀ちゃんの恋人
永遠のひと
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【(4)怖がる人】
「銀ちゃん、冷えちゃってる……」
小さな手で包まれた両ほほから、ぬくもりが流れこんできた。冷え性でいつもはひんやりした手が温かいのは、風呂上がりだからと頭では分かっている。なのに今朝は、それが***の命の温度そのものに思えて、たまらなくなった。抱き寄せて吸いついた唇と絡めた舌の甘さに我を忘れた。むさぼるようなキスに赤みが差した顔も、息苦しさに潤んだ瞳も、***が生きている証と思ったら、銀時は目が離せなくなった。
「***の口は甘くて、小せぇ」
自分に言い聞かせるために言った。マシュマロみたいな唇に指を這わせて、そういえばこんな形をしてたとぼんやり思う。ふにふに押した下唇の輪郭は、桜の花びらに似てると気づいた。
この先あと何回、この唇に触れることができるだろう。あと何度キスをすれば、この形や感触を完璧に覚えるだろう。二度と出来なくなった時にも思い出せるくらい、しっかりと———
その問いは背筋が凍るほど怖くて、振りはらうように銀時は***に再び口づけた。一度目よりもっと深く、舌が痛むくらい強く吸う。甘やかな口のすみずみまで味わって、残っていた唐辛子の辛さがようやく薄れた。
「石鹸の匂い、けどそれだけじゃねぇ……花みてぇな匂いだと思ってたが、それだけとも違ぇのな***の匂いって……」
黒髪の香りにうっとりした。深く吸い込んだ***の匂いは慣れ親しんだもので、いくら吸っても薄れないことが心底嬉しかった。
浴衣をはだけさせて白い肌に口づける。ほっそりした鎖骨を見下ろして、この身体をもっと覚えたいと思った。唇の形や髪の香りを、肌の手ざわりや皮膚の震えを、小さな骨の凸凹のひとつひとつまで、全て知り尽くしたい。***を求める興奮と、***を記憶に刻みたいという冷静さが同時に存在していた。
「ぎ、銀ちゃん、明るくてっ、恥ずかしいです……!」
窓からさしこむ朝陽は光の束になって、純白のベールのように***に降りそそいだ。浮遊する塵まで映すほどの強い光のなかで、泣きそうな顔が朱色に染まる。
銀時はあぐらをかいて、目の前で膝立ちする***を眺めていた。細い腕から袖を抜くと浴衣は腰からぷらんと垂れさがり、上半身が全て露わになった。左の乳房の真ん中に赤い歯形が残る。慌てて胸を隠そうとした***の両腕を、銀時がつかんで止めた。
「恥ずかしくねぇよ***、もっとよく見せろ」
「わわわっ!ぁ、あぁっ……!」
ずいっと身を寄せた銀時の眼前で、唾液まみれの膨らみがふるんっと揺れる。両手で包んですがりつくように谷間に顔を埋めた。***は戸惑いながらおずおずと銀時の頭を抱く。触れる場所すべてが温かくて、赤ん坊みたいにふわふわしていた。
胸の先端のピンク色を指でこねると「ひゃぁ、」と声が漏れる。谷間に耳を押し付けたら***の心音が聞こえた。ドクドクと激しい鼓動がものすごい速さで響くのがおかしくて、銀時はふっと笑った。
「***の心臓、すげぇバクバク言ってる」
「だ、だって、急にだから……緊張して」
「急にされてヤだ?初めてでもねぇのに、ガタガタ震えんなよ……俺とすんのがそんなに怖ぇ?」
「怖くない!こ、怖くなんてないです、それに」
ヤじゃないよ、という答えに銀時はくつくつ笑った。慣れない***にとって、セックスは夜にするもの。万事屋の暗い寝室とか真夜中のラブホテルとかでしか、抱かれたことがない。たとえ夜でも***は、銀時に優しく導かれてようやく力を抜くような初心な女だ。
それなのにこんな朝っぱらからいきなり求められて、怖くないわけがない。か細い声には明るい場所で迫られる不安が滲んでいた。
それでも身体は勝手に反応して、胸の飾りは転がされるうちに木苺みたいに赤く色づく。ぷっくりしたそこをひとさし指と中指で挟んで、残りの指と手のひらで乳房を包む。ふたつの膨らみを揉みしだくと、銀時の肩に両手をついた***の、腰のあたりがぴくぴくっとした。
「はぁっ、ぁ、んぅ……ッ」
「ヤッてる時のお前、いちばん最初にここが痙攣すんのな……気持ちよくなってくると、ここから背中の方までこんな風にビクビクッて」
「きゃッ———、っ……!」
こきざみに痙攣するくびれを右手で撫でると、陶器のような肌にぞわぞわと鳥肌が立った。銀時から逃れようと後ろに反った背中を追って、さわさわと手を這わせる。骨盤をさぐるように腰の上へ、背筋の真ん中を肩甲骨の間までゆっくりとのぼる。五本の指でくすぐるように撫で上げたら、***の震えは全身に広がった。
その震えを手のひらに感じながら、もう一方の手では乳首をいじめ続ける。左胸の膨らみをかぷっと噛むと、胸元の肌がぶわぁっと桃色に色づいた。胸から少しづつ唇を動かして、鎖骨のくぼみにキスをする。首筋を通って辿りついた耳の下を「ちゅうっ」と吸って、銀時は***の首と胸を見つめた。
「んッ……、はぁっ、ぁん」
「もうやらしい気分になってる?もっと銀さんに触ってほしいだろ?そーやって期待してる時のお前、いっつも胸まで真っ赤んなるから、ほんっと分かりやすい」
「っ、そ、そんなこと、言われてもっ……、」
どうしようもない身体の反応を指摘されて、***は恥ずかしさに瞳を潤ませた。情事のさなかに言葉でいじめて、***の羞恥心を煽ることは普段もある。でも今日は目的が違う。本人すら知らない***のことを自分は知ってると確信したかった。***のほんの些末な変化も見逃したくなかった。***の全てがこの手の中にあると安心したかった。だからあえて言葉にした。
背中から下ろした手でちんまりした尻をつかむ。***が飛び跳ねると同時に浴衣をたくし上げた。裾が大きく開いてショーツ代わりの腰巻きがずり上がると、太ももが露わになった。裸同然の***が朝陽に照らされるのをしげしげと眺める。目を凝らすと、脚の隙間で何かがキラリと光った。それがまだ触れてもいない所から溢れた愛液だと気づいて、銀時の胸に愛おしさがこみ上げた。
———すぐ触ってやりてぇし、早くイかせてやりてぇけど、でも……もーすこし、あともすこしだけこの身体を見ていてぇ……
脚がカクカクして***は膝立ちもやっとだった。それに構わず銀時は腰巻きごと浴衣を持ち上げる。ついに***の下腹部までさらされた。ごく薄い毛が光で透けて、丸みを帯びたそこの形がくっきりと見える。
「やだぁあっ!み、見えちゃうから、だめ、」
「見えちゃっていいんだっつーのぉ。もっと見せろって言っただろーが。隠さねぇでちゃんと見えるように、ここ抑えといて」
「えっ……!?ちょ、なっ、やだってば!!」
たくし上げて丸まった浴衣の裾を、小さな両手につかませた。落ちないように抑えさせると、***の顔は爆発しそうなほど真っ赤になった。自分で恥部をさらす格好を嫌がって、浴衣を下げようとする。銀時の手がそれを遮って脚の間を割ると、内ももに垂れる透明の液体を指ですくった。「ひッ!」と悲鳴を上げる***の前にその指をかかげて、愛液を太陽に照らした。
「こんな濡れてんのに、いいのかよ?」
「~~~~ッだ、から恥ずかしくて、ヤダって」
「ちげぇよ。この服、借りモンなんだろ?***のやらしい汁で汚しちまっていーのかって、聞いてんだよ」
「っ……!!そ、それは、」
言葉を失った***は長く悩んだすえに、下げかけた裾をまくり上げた。そろそろとさらされた秘部に再び手を伸ばす。淡い毛を分けて触れた小さなひだは、たっぷりの愛液で包まれていた。しっとりしたそこを中指ですくって後ろから割れ目を開くと、***の下半身がぶるぶると震えた。
「ぁっ、ひ、ぁあッ……!」
座り込みそうな***の腰を、銀時が腕で支えた。秘部をなぞる中指から手のひらを伝って手首まで、とろりとした液体が垂れてくる。他の指で割れ目をぱくっと開くと、小さな穴のふちをくるりと撫でた。上の方に隠れる敏感な粒を見つけ出し、親指の腹でくにゅりと押したら予想どおり***は「んぁあッ」と甲高く鳴いた。親指の先に愛液をまとわらせて、秘芽の周りで円を描くようにくすぐる。繊細に可愛がった場所はあっという間にぷっくりと膨らんだ。
「***のここ、少し触っただけですぐ硬くなって乳首みてぇ……まぁ、お前すぐイッちまうから、あんま強くはしてやれねぇけど」
「~~~~っ、あぅ、ぁッ、ぎ、ちゃ、あっ」
「ここもうトロットロ、触られんのそんな気持ちいい?この様子じゃ、早くナカに欲しいんじゃねぇ?」
「ッ、やっ、ん゛んッ———!!」
答えも聞かずに指先を濡れた口にさし入れた。つぷつぷと音を立てて、骨ばった中指が蜜口に沈んでいく。爪の先を入れただけで、まだ狭いソコがきゅうっと締まった。第一関節まで入れて、ナカの熱さを感じた銀時はくらっと眩暈がした。奥まで入れたい気持ちを、ごくっと唾を飲んで抑えこんだ。愛液の滑りにまかせて進めた指を第二関節で止める。入ってすぐの手前側の窪み、そのざらついた所を指で押しながらくるくると撫でた。
「ひゃぁあッ、~~~っ!はぁ、ぁう、ん」
「この入り口んとこ、好き?」
「ゃ、ぁあ、め、だ、めぇ……ッ」
「それとも、もっと奥まで欲しい?」
***は首をぶんぶんと振るばかりで答えられない。
中指は抜きさしせず浅くとどまる。指先をくいくいと曲げるだけで、入り口近くの感じやすい点ばかりを押した。愛液はとめどなく溢れて、畳にぽたぽたとシミを作る。かろうじて膝で立ちながらも***は前かがみになって、銀時の肩に顔を伏せた。言いつけどおりに裾をまくる両手は、手の甲が白くなるほど力が入っていた。銀時は首を傾げて***の内股をのぞき込んだ。濡れた内ももが電流を走されたみたいにビクビク痙攣している。それは絶頂が近い合図だった。
「いーよ***、イって」
「ッ……、ぁ、やぁあっ!」
「ここ押すとイけんだろ?」
静かに優しくささやきながら、沈めた指先でとろけた所をぐいーっと強く押す。その刺激に***がのけ反ったので、首の後ろを掴んで鼻先が触れる距離で見つめ合った。見開かれた黒目のなかで、火花がチカチカと散る。膣のなかから恥骨を叩くように、指を前後に動かすと大きな水音がくちゅくちゅと響いた。
「イって、イけって***」
「ん゛あッ、ぁ、ふぁあッ———!!」
ひと際高い声とともに***の腰が揺れた。太ももが閉じて銀時の腕をきゅっと挟む。ナカのうねりにあわせて、ざらつく窪みの粘膜に指先をめり込ませた。真っ赤な顔をイヤイヤと振りながら、***は銀時に見つめられたまま達した。中指の先をぎゅうっと絞られる感覚を味わってから、ゆっくりと引き抜く。膝立ちが崩れた***がぺたりと座り込んだ。
「はぁっ、ぁ、っ……ぁ、や、だぁ」
明るい光の中でくったりする***の顔の前に手をかざす。いやらしい液体が肘まで垂れて、テラテラと光った。銀時は手首から舌を這わせて、まだ温かいそれを舐めとっていく。***が羞恥にゆがめた顔を逸らそうとするから、あごを掴んで引きとめた。手のひらに溜まった愛液をすすると、部屋中に「じゅるっ」と音が響いた。
「はぁ、***のやらしい汁、めっさうめぇ」
「~~~~っへ、変なこと言わないで、ばかぁ」
「馬鹿じゃねーし、変じゃねーし、ほんとのことだしぃ~。お前の味ごっさ興奮する……それよか、そろそろ俺も入れてぇんだけど」
「っ……!ぁ、っと、ちょっと待って、」
じりじりと後ずさりながら***は「やっぱりお布団敷くから」とか「銀ちゃん服が濡れたままだし」とか、ごにょごにょとつぶやいた。しょせん時間稼ぎだとお互い分かっていた。あわあわと取りつくろう***が滑稽で、銀時は「ふはっ」と吹き出した。服を剥ぎとられて、身体中もてあそばれて、絶頂まで追いやられても尚、***は銀時に浮かぶ疲れの気配を気にかけていた。
———んなこと、どーでもいいっつーの……
徹夜で疲れていたが、そんなことは関係ない。どうしても今すぐ、***を抱きたい。唇や指で確かめた身体に、今度は自分自身で沈みたかった。脚の間のモノはすっかり硬くなっている。銀時が着流しとシャツを脱ぎ捨て、ズボンから足を抜いている間、***はよろよろ立ち上がり襖をあけて布団を敷こうとした。その後ろ姿を眺めると膝下までずり落ちた浴衣の尻のところが、ぐっしょり濡れて色が濃くなっていた。
「銀ちゃん、いま、お布団を」
「***、」
「んぎゃっ!?」
押し入れから三つ折りの布団を抱えて下ろそうとした***に、後ろからのしかかった。ぼふんっと音を立てて、ふたりで倒れ込む。たたんだままの布団に***の上半身が沈んで、それを銀時の身体が覆った。
「やっ、ちょ、ぎんっ、きゃああッ!!?」
乱暴にめくった浴衣の裾が、***の背中まで跳ね上がった。腹の周りで丸まっていた腰巻きがほどけて落ちる。つるりとした尻が現れたのをわしづかんで引き寄せた。布団に倒れた***は畳に膝をついて、尻だけを後ろに突き出す姿勢になった。銀時は手早く下着をずり下げ、そこから出したモノを***の割れ目に擦りつけた。
「な、***、もういい、もう入れていい」
「あっ、うぁッ、ぎ、っちゃ、ゃ、このままはっ」
「このまま、入れたい」
「ッ———!!」
銀時のせっぱ詰まった声に***は息を飲んだ。濡れた蜜口にこすりつけたソレを前後に揺すると、愛液と先走りの汁が混ざってくちゅくちゅと鳴った。
***は後ろからされるのを好まない。いつだかラブホテルで初めてこの体位をした時、顔が見えなくて怖いとひどく嫌がった。でもこの姿勢ならより深くまで挿入できるから、銀時は無理にでもしたかった。
ぐちゅぐちゅと何度もこすっているうちに、硬い先端が割れ目にぐにゅっと潜り込んだ。「んああッ!」と***が布団につっぷした瞬間、銀時は勢いよく腰を突き出して蜜壺の奥までムリヤリ入りこんだ。
「ん゛んあッ———!!ぅ、ぁああッ……ひっ、ゃ、やぁあ、っ、い゛ッ、~~~~っ!!」
「ぐっ……はッ、***んナカ、あっちぃ」
「あ゛ッ、ぃ、たい、よぉ……ぎん、ちゃ」
「あぁ、わりぃ、いきなり奥までは痛ぇよな……はぁッ、しっかり、慣らさねぇと、こんな狭ぇのかよお前、くっ……!」
千切れそうなほど強く締めつけられて銀時は息を止めた。熱いナカがきゅううっと収縮して異物の侵入を拒む。痛いほど絞られて苦しい。だが、その苦しさこそ***と繋がる証拠だから、もっと味わいたい。
いつもはしつこいほど丁寧な前戯で慣れさせるのを、今日はわざと浅く短くしか触れなかった。初めての時のように無理にねじ込まれて、痛みに耐える***は布団に顔をうずめた。大きすぎるモノを懸命に受け入れようと縮こまった背中が愛おしい。銀時は身を屈めると***の背中に口を寄せて、背骨を一直線にうなじまでべろりと舐めた。***が「っっ!!」とのけ反った所で、後ろからあごをつかむと顔を伏せないようにする。思ったとおり噛みしめていた唇にひとさし指をさし入れて、口を開かせた。
「***、息吸って、ゆっくり吐いてみ」
「へぁ、あっ……ん゛、ふぁ、ああっ……」
一気に奥まで貫いた後は身じろぎひとつしない。腰を密着させて、***に包まれる感覚に酔いしれた。ぴたりと重なっていると、背中を射し込む光に照らされて温かかった。とぎれとぎれに***が息を吐くと、ぎちぎちに狭かったナカがわずかに和らぐ。ほんの少しほぐれた粘壁が銀時の形に馴染もうとするのがいじらしくて、笑いたくなるほど嬉しかった。
「ん、いい子。ご褒美にここいじってやるよ」
「ゃ、あ!?ぁ、待っ、てぁぁあッ!!」
尻をつかむ手を前に滑らせて、内股の間に差し入れる。たぎったモノをくわえる秘部の上で、乳首みたいにぷっくりと充血したところを探った。愛液をすくい取って、指を全部つかってそこに塗りたくったら、***の下半身が高く跳ねた。
「ひ、ぁああんッ———!!」
「おっ、いま、イッた?」
「~~~~っ、あ、やぁっ、触っ、ないでっ」
「気持ちいくせに。さっきより楽んなったろ?」
「っ、な、ってな、ぃあぁっ……!!」
小さな突起を太い指先でこすると、***は短い絶頂を何度もくりかえした。腰をくねらせながら、銀時を強く締めつける。その締めつけが引くたびに膣のこわばりが解けていって、ようやく抜き差しできそうになった。
それは***の身体が銀時の形をしっかりと覚えている証拠だった。銀時はさらに腰を押し付けて深く沈みこむ。亀頭の硬い先端が***の奥の方の、敏感な場所をぐりぐりと突き上げた。
「ひっぁ、んん゛~~~~~っ」
「っ、はぁ、***、苦しいか」
布団に手をついて上体を起こした銀時が尋ねると、***は肩越しに振り返ってこくこくと頷いた。それでも奥まった柔い場所を突くうちに、喘ぎはじめる。腰をゆすりながら銀時は同じ一点をずっと狙いつづけた。再び狭まった膣壁が、硬い先端をぎゅうっと締めつける。また果てそうな***がシーツにしがみついて離れようとするので、その腰を引き寄せた。
膝立ちに戻った銀時が半分ほど抜くと、***の膣内が「行かないで」というように狭まった。銀時は薄く笑いながら全体重をかけて、ずんっと最奥を貫いた。
「ぅああッ———!ひっっ、ぁあッ……!!」
「ふは……まぁたイった」
***の秘腔が絶頂に震えるのに合わせて、小さな尻に力が入る。きゅっと力む白い丸みを見下ろすと、その可愛いさについ笑ってしまう。笑いながら銀時は、***が達する度に自分がホッとしていることに気づいた。***を快感で満たせば満たすほど銀時は安堵していた。
惚れた女を幸せに出来るか分からないから、***の未来を誓ってやれない。健気な恋人に応える方法も、優しい一途な女を繋ぎ止めていい理由も浮かばない。
それでも手放せないのは確かで、ならせめて身体だけでも満たしてやりたい。喘ぎ悶える***を見ていると、他に何も出来なくても快楽だけは与えられると安心できた。銀時は***を満たすことに夢中で、自分の射精欲すら追いやってしまった。抜きさしする大きなモノは硬く膨らんでいるのに、いつまでも限界が来ない。
「はぁっ、ぁあん、ぎ、銀ちゃ、んっ……たし、わたしっ、も、もぉ、ヤダ、もうやめ、てぇっ……!」
「んあ゛?っだよ、もうムリ?やーっと慣れてきたんだから、もうちょいがんばれって。銀さんがもーっとよくしてやっから、な?」
「あっ、ち、違っ、もぅ、ゃ、やだぁあッ、」
頭を振って***が布団にすがりつく。膝で畳をすべりながら逃げようとする。震えの残る尻を両手で掴んで、銀時は強く引き寄せた。果てたばかりで鋭敏な秘壺をえぐるように動くと「ひぁあッ!」と悲鳴が上がる。その声が消える前に引き抜いて、瞬く間にまた奥を突く。嫌がる***に腰を突き出させて、やみくもに打ちつけた。
「やあッ、ぁ、あっ、ふぁ、ああっんッ、」
「気持ちいーんだろ***?ほら、もっぺんイっとけ」
「んぁあ、や、やあぁっ———、」
抜けそうなほど引いては、すぐに深くまで入れる。激しく打ちつけられた蜜口から愛液が溢れて、じゅぶじゅぶと泡立った。***は髪を振り乱して喘いでいる。
銀時は「は、は、」と息を吐きながら、自分のモノをくわえ込む蜜穴を見下ろした。出入りする太い熱棒に薄いひだがまとわりついて、押し広げられた小さな口がひくひくと痙攣する。いやらしいその光景に見惚れていると、遠くで涙まじりの声が何かを叫んだ。ハッとして動きを止めた銀時を、***が首をねじって見上げ、大粒の涙を零していた。
「ぎんっ、銀ちゃぁ、んっ……!こっ、こわぃ……、怖いよぉっ!!ったしだけ、私だけは、もぉ、や……ひ、ひとりに、しないでっ!!!」
「んなっ……!?お前、何言ってんだよ!?」
ふぇぇん、と子どものように泣かれて銀時は慌てた。よがって喘いでいたのが嘘みたいな大泣きだった。
背後からしたのが嫌だったのかと思い「そんなにこれイヤなのか」と尋ねると、***は首を横に振る。ふらふらと伸びてきた手が、銀時の腕を強くつかんだ。怯えた声で何度も「銀ちゃん」と呼ばれて、仕方なく体勢を変えた。静かに腰を動かして、繋がった所が抜けないよう***を仰向けにする。くるりと返すと浴衣が全て脱げて、裸の***が三つ折りの布団に沈んだ。
「んだよ***、なにガキみてぇに泣いてんだよぉ~……お前めっさ感じて、ごっさイきまくってたじゃねーか。それがいきなり怖ぇって、意味わかんねぇって……んだよ、何なんだよ、何が怖ぇってんだよ?」
「だ、だってぇ……うぅッ、ゎた、私だけ、ひとりで、感じてるの、淋しかったんだもん……私ひとりで何度も……ぃ、っちゃぅの、怖かったんだもんっ、」
「は、はぁぁぁぁ?」
その答えに銀時は不満げに眉を寄せた。そのしかめっ面に***は腕を伸ばして引き寄せ、ぎゅうっと強く抱きしめる。銀時の首筋に顔をうずめると、また嗚咽を上げて泣きはじめる。ぐずぐずと鼻にかかった涙声が銀時の耳元でぽつりぽつりとつぶやいた。
「わっ、私、銀ちゃんと、一緒じゃなきゃ、ヤなの……私ひとりで、感じてるなんてヤです……こうゆうことするのは、ヤじゃない。ぜんぜん、怖くない。でも銀ちゃんが……銀ちゃんが感じてないのはヤだ。銀ちゃんが気持ちよくないのは、すごく怖いっ」
「いやいやいやいや、俺すげぇ感じてるし、すっげぇ気持ちいいんですけど!?ふざけた寝言は意識飛んでから言えよ!野郎の股間がこんなでっかくなってて、良くないわけねーだろーがコノヤロー!!」
「じゃ、じゃぁ、どして……どうして銀ちゃん、そんなに……哀しそうなの?」
その質問に銀時はハッと息を飲んだ。
まさか気づかれていたとは、夢にも思わなかった。
顔を上げた***に潤んだ瞳で見つめられてたじろぐ。両手で銀時のほほを優しく包むと、華奢な指先がさらさらと目元を撫でた。
「泣いてる……みたいな目、してます」
「……してねーよ」
「してるもん。ねぇ銀ちゃん……理由は教えてくれなくていいから、せめて抱きしめさせて下さい。悲しいとき銀ちゃんにひとりになられたら、私もひとりになっちゃうから……ぎゅってするくらいしかできないけど、でも私ひとりぼっちで、置いていかれたくないんです」
「っ……、***」
涙まじりの言葉に銀時は胸が張り裂けそうになった。
***が同じ気持ちで嬉しかった。どうしようもなく惚れてしまって、何があっても離れられないほど強く結びついていることに、心底ホッとした。でも、だからこそ、***のこの先の人生を思うと切ない。いつか、***をひとり置き去りにするかもしれない未来の、その残酷さが苦しくて悲しくて、たまらなかった。
ああ、でもそれも、俺たちらしい———
そう思いながら、銀時は微かに笑った。
———***を遠ざけるなんざ出来やしねぇ。俺が離れたって、コイツが諦めるわけがねぇ……幸せになれよって***を他人に譲るのはまっぴらごめんだ。未来のために離れる苦しみを選べねぇなら、いま一緒にいるために、一生苦しむことを俺たちは選べばいい。それが、***と俺らしい———
腑に落ちたら胸のつかえがとれた。同時に体温が上がり、心臓がドクンッと高鳴った。全身に血が巡って汗が吹き出す。汗ばんだ胸を寄せ合って抱きしめると、繋がったままの場所がぐんっと大きくなった。さっきより強く反り返ったモノが***のナカで質量を増して、血管が浮き出て硬くなる。追いやったはずの射精欲が津波のように襲ってきて、すぐにでも爆ぜそうになった銀時は「んぎぎ」と歯を食いしばった。
「ふぇあっ!?あ、うぁ!?銀ちゃ、な、これ」
「うぐっ、わりぃな***、めっさデカくなっちった」
「ひぃぃぃぃッ……!なん、なんで急にっ!?」
「なんでってそりゃ、お前がびゃーびゃー泣いてうるせぇし、俺が気持ちよくなさそーとかアホみてぇな心配すっからだろーが。おバカな***ちゃんに、銀さんがどんだけ我慢してたか教えてやらぁ。俺がイくまで、イくんじゃねーぞ」
「あわわわっ!?ま、待って、あっ!!」
布団に***の背中を抑えつけた。浮き上がった小さな尻を太ももに乗せて、バタつく脚を両脇に抱えた。そのまま銀時が膝立ちになると繋がった場所に重みがかかって、ひと息に奥までずんっと沈んだ。
「んぅぁああッ!!ひ、っぁ、ゃ……ふ、かぃッ、」
「はッ、あ、***っ———、」
余裕もなく容赦もなく、すぐに動いた。***の両脚の膝をすくって抱えながら、両手で細いくびれを掴んだ。打ちつけると同時に手前に引き寄せて奥に叩きつける。引くと同時に***の腰を持ち上げて、ギリギリまで抜く。そして掴んだくびれを一気に落として、また深く突く。たぎった肉茎の先が、子宮を押し上げるように何度も貫いた。背を弓なりにそった***がガタガタ震えるほど、激しい腰つきで。下半身が浮いた***の両脚が、銀時の腰をぎゅうっと挟んでいた。
「やぁああッ———!ぁ、はあっ、やッ……んぁ、っぁ、は、げしいっ、ぁああッ!」
「やっべぇー……すぐに出ちまいそー……」
「っ、ふ、ぅあっ———、」
ずちゅずちゅと最奥だけに当てながら、結合部を見下ろす。叩きつける度に熱い液が溢れて、しぶきが銀時と***の太ももや腹まで飛び散った。大きなモノをくわえこんだ割れ目を手ですくうように撫でて、手のひらいっぱいに愛液をつける。その手を***の下腹部から胸まで滑らせて、いやらしい汁をべったり擦りつけた。揺れる乳房を揉んで、ねばつく指先で乳首を強くつまんだら***のナカが悦んでキュッと締まった。それに気を良くした銀時は身を屈めると、もう一方の胸の飾りを口に含んで、こりこりと甘く噛んだ。
「んゃあっ、ひ、ぁああッん———!」
「オイィィィ、***~、ひとりでイくなっつったろ?」
胸をいじめながら腰を打ちつけながら言ったところで、***にはどうしようもない。快楽の頂点にくりかえし追いやられているのに、まだ終わらない。全身を痙攣させて果てながら、銀時を見上げる瞳から涙がポロポロと零れた。涙も汗も愛液も朝の光に照らされて眩しい。
「は、ぁ、ぎ、ちゃ……ごめ、なさっ、ぁ」
「別に、ごめんじゃねーけど……ってか、お前、何度もイってるくせに、締めすぎだってっ、うぁ゛ぁ゛ッ……くそ、っだよ、これぇ、抜けなくなりそー……」
眉間にシワを寄せた銀時は、冗談めかして言った。
きゅうきゅうとあまりに強く締めつけるから、抜き差しを一度ゆるめる。繋がる場所をこすり合わせるように腰を揺すっていると、布団に落ちていた***の手が銀時の両ほほに伸びてきて、そっと包んだ。顔を寄せてのぞき込むと、喘ぎ過ぎてかすれた声が囁いた。
「……こ、のまま、ぬ、けなく、なっ、ていい……」
「はぁ!?」
「そしたら、銀ちゃ、っと、ずっと、一緒、だから、」
「うぐッ、んぁ゛~~~……このバカ女がァ」
「だって、また、私、だけはっ、やな、のっ……あっ、ぅあ、ぎんちゃ、銀ちゃん、も、きもち、いぃ……?」
「……ったりめーだろーが……***んなか最高で、ぶっ壊れちまいそーなほど、きもちいっつーの……」
荒い息でそう答えると、涙をいっぱい溜めた***がホッとしたように微笑んだ。安らぎに満ちたその瞳にまっすぐに見つめられた銀時は、果てるのがもったいないと先延ばしていた自分が馬鹿らしくなった。
口角を上げて声もなく笑うと、布団にドサッと倒れこむ。ほほを包む***の手を首に回させて、震える脚を腰に絡めさせた。頭を抱えるように上からすっぽり覆いかぶさって、膝に重心をかけた銀時は華奢な***が潰れそうなほど、思い切り腰を打ちつけた。
「あぁあッ———!!はぁあ、あ、ぁあッ!!」
「くっ、あ゛ー……***、すっげぇ気持ちいー……この、いちばん深ぇとこのっ、その先の……もっと、奥まで、入りてぇッ……はあッ、」
「ひ、ちゃ、ぁあッ、あ、ぅあッ、そっ、な……ゃあ、こ、こわれちゃぅ、ぅぁあッ、」
「壊れろよ***、壊れちまえよ、俺と一緒に」
「っっ……!ふぁあ、んッ……!!」
ずんっ、ずんっ、と破る勢いで最奥を突く。限界は近く、膨らんだモノはもう破裂寸前だった。焼けそうなほど熱い***の体内に包まれて、ひどく締めつけられて、銀時はただ快感だけを追いかける。獣じみた動きで腰を打ちつけながら、酸欠のように飛びかけた意識のはしで「どうなっても大丈夫だ」と深い安らぎが広がった。
———俺たちは大丈夫だ。どうなったって平気だ。繋がったまま抜けなくなったって構わない。このまま***がそばに居るんなら、身体まで壊れたって俺はコイツを離したりしない———
抱きすくめた腕の中で、***は銀時の限界を待ち続けている。途切れない快感に喘ぎ続けた声はかさついていた。甘い痺れに震えながら銀時にしがみついて、わなないた唇から涙まじりの声が溢れた。
「ひ、あぁっ……ぎ、ぎんちゃ、んぁあッ……ぁ、ったし、も、だめぇッ、は、やくぅっ……!」
「***、そんな気持ちいー?俺に言わせたんだからお前も言えよ、銀さんの気持ちいいって……すなおに言ったら、もう終わりにしてやっから」
「~~~~~っ、ぃ、きもちいっ、あぁッ、銀ちゃん、きもちぃ、よぉっ……、ひぁッ、あっ、ま、また、きちゃ、ぅ……ゃ、やだぁぁ……ぎんちゃッ、おねがいっ、ぃ、一緒にッ……!!」
「ん゛っ、あぁ、一緒な……いいよ***、もうイって、俺も出るっ、奥に全部、出すっっ、」
「~~~~~っ、んあぁッ!!」
「くっ、ぁあッ、***っ、ッッ———!!」
「っっ……、は、ぅぁぁあッん……!!」
じゅぶんっと大きな音を立てて、***がいちばん感じる深い場所を貫いた。くねりながら痙攣する膣内で、我慢しつづけた欲望がついに弾けた。浮き上がった血管が収縮して、その先っぽが大量の白濁をどくどくっとまき散らす。全体重をかけて先端を奥にこすりつけながら、続けて数回精液を放った。熱いしぶきが散った直後、***も全身をぎゅうっとこわばらせて達した。
「はぁ、あ、はぁっ、***っ、」
「っ、ぁ、ぅ、ぎん、ちゃんっ……」
汗だくの顔を寄せて唇を吸う。口づけていると喜びがこみ上げてきて、ふたり同時にくすくす笑い出した。
一緒に果てたことが嬉しくて、何度も名前を呼び合う。首に回った腕が銀時を抱きよせると、***の背中の下で布団がくずれた。ずるっと半分だけ開いた布団に、銀時は***を抱えたまま顔をつっぷした。シーツから***の匂いと天日干しの香りを吸った途端、全身から力が抜けた。
「えっ、銀ちゃん?ちょ……銀ちゃんんんッ!?」
慌てる***の声が聞こえたが、指いっぽん動かなかった。徹夜やら何やらの疲労が一気に襲ってきた。繋がったまま***の上でうつ伏せていると、その背中に朝陽が当たって温かかった。強い睡魔にだんだん意識が薄れていく。腕のなかに***を感じていると、銀時はもう怖いものなんて何も無いと思えた。
戸惑いっぱなしのセックスは終わってからも大変だった。銀時は達した後でぐったり動かなくなった。ひと回り以上大きな身体に乗られて、***はぺちゃんこになるかと思った。這いつくばって銀時の下から脱出すると、中途半端に敷かれた布団を引っぱって広げた。脱ぎっぱなしの浴衣の上に銀時の放ったモノが垂れて、借り物の服は結局ぐちゃぐちゃに汚れた。
「こっ、こんなのもう返せないよぉ~~~っ」
新しく買って返すことにして、清潔な長襦袢を羽織った。洗面器にお湯を張って身体を清めると、うつ伏せの銀時をひっくり返した。汗まみれの上半身を手ぬぐいで拭いてやり、汚れた下着を脱がせると下半身から必死に目を逸らして、なんとか寝巻きを着させる。着替えを終えた時には***は疲れきって、腕も脚もガクガク震え、肩でゼーハーと息を吐いた。
「***……」
てっきり眠ったと思った銀時が、まぶたを薄く開けていた。近づいて覗き込むと腕をつかんで引き寄せられた。隣に横たわると銀時はすぐに***の胸に顔をうずめて、抱きついてきた。抱きとめた頭を見下ろしたら、銀色の髪が汗で湿っている。それを指で梳いていると、心地よさそうに目を細めた銀時が顔を上げて、安らぎに満ちた瞳で***を見つめた。そのまなざしにはまだほんの少し哀しみが混じっている。でも来たばかりの時よりは穏やかな表情だった。
「銀ちゃん、すごく疲れてるだろうから、ゆっくり寝て下さい……ゆっくり寝て、しっかり休んだら、」
ミツバさんのお見舞いに行こうね、という言葉は遮られて言えなかった。腕のなかで目を閉じた銀時が、寝言のように力のない声を出したから。
「もういいんだ、***……ミツバは、もう居ねぇ……、アイツはもう、この江戸には、居ねぇんだ」
「えっ……?それって、どういう、」
聞き返そうとした時には既に、銀時は「ぐがぁ~」という大きな鼾をかいていた。名前を何回呼んでも、ほっぺたをぺちぺち叩いても全く起きなかった。
———ミツバさんがもう江戸に居ないって、どういうこと?病院は退院したってこと?それでどこかへ、行ってしまったってこと?でも、結婚はどうなったの?
分からないことだらけだったが、子どもみたいに安心して眠る銀時を起こす気になれなかった。窓から射し込む日の光に照らされて穏やかに眠る姿を見ていたら、***は自然と「きっと大丈夫」と思った。
———もしもミツバさんに悪いことが起きたら、銀ちゃんはこんな所でこんなに能天気に寝てたりしない。だから大丈夫。うん、そうだ、きっと大丈夫だよ……
指でなでる銀時の髪が、太陽に温められて乾いていく。昨夜の大雨が嘘みたいによく晴れた朝だ。窓の外に広がる青空があまりにも綺麗で、悪いことや怖いことは何も起こらない気がした。
好きな人を胸に抱いて、その寝顔を眺めながら新しい日を迎えるのは、なんて幸福なんだろう。このしあわせに溢れた朝の、まぶしいほど美しい青空を、きっとどこかでミツバも眺めている。静かに微笑んだ***は、当たり前のようにそう信じていた。
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【(4)怖がる人】to be continued...
見ていた木立ちのやる瀬無きかな
☆指定年齢に満たない方はご遠慮ください
☆性的描写を含むため、苦手な方はお戻りください
【(4)怖がる人】
「銀ちゃん、冷えちゃってる……」
小さな手で包まれた両ほほから、ぬくもりが流れこんできた。冷え性でいつもはひんやりした手が温かいのは、風呂上がりだからと頭では分かっている。なのに今朝は、それが***の命の温度そのものに思えて、たまらなくなった。抱き寄せて吸いついた唇と絡めた舌の甘さに我を忘れた。むさぼるようなキスに赤みが差した顔も、息苦しさに潤んだ瞳も、***が生きている証と思ったら、銀時は目が離せなくなった。
「***の口は甘くて、小せぇ」
自分に言い聞かせるために言った。マシュマロみたいな唇に指を這わせて、そういえばこんな形をしてたとぼんやり思う。ふにふに押した下唇の輪郭は、桜の花びらに似てると気づいた。
この先あと何回、この唇に触れることができるだろう。あと何度キスをすれば、この形や感触を完璧に覚えるだろう。二度と出来なくなった時にも思い出せるくらい、しっかりと———
その問いは背筋が凍るほど怖くて、振りはらうように銀時は***に再び口づけた。一度目よりもっと深く、舌が痛むくらい強く吸う。甘やかな口のすみずみまで味わって、残っていた唐辛子の辛さがようやく薄れた。
「石鹸の匂い、けどそれだけじゃねぇ……花みてぇな匂いだと思ってたが、それだけとも違ぇのな***の匂いって……」
黒髪の香りにうっとりした。深く吸い込んだ***の匂いは慣れ親しんだもので、いくら吸っても薄れないことが心底嬉しかった。
浴衣をはだけさせて白い肌に口づける。ほっそりした鎖骨を見下ろして、この身体をもっと覚えたいと思った。唇の形や髪の香りを、肌の手ざわりや皮膚の震えを、小さな骨の凸凹のひとつひとつまで、全て知り尽くしたい。***を求める興奮と、***を記憶に刻みたいという冷静さが同時に存在していた。
「ぎ、銀ちゃん、明るくてっ、恥ずかしいです……!」
窓からさしこむ朝陽は光の束になって、純白のベールのように***に降りそそいだ。浮遊する塵まで映すほどの強い光のなかで、泣きそうな顔が朱色に染まる。
銀時はあぐらをかいて、目の前で膝立ちする***を眺めていた。細い腕から袖を抜くと浴衣は腰からぷらんと垂れさがり、上半身が全て露わになった。左の乳房の真ん中に赤い歯形が残る。慌てて胸を隠そうとした***の両腕を、銀時がつかんで止めた。
「恥ずかしくねぇよ***、もっとよく見せろ」
「わわわっ!ぁ、あぁっ……!」
ずいっと身を寄せた銀時の眼前で、唾液まみれの膨らみがふるんっと揺れる。両手で包んですがりつくように谷間に顔を埋めた。***は戸惑いながらおずおずと銀時の頭を抱く。触れる場所すべてが温かくて、赤ん坊みたいにふわふわしていた。
胸の先端のピンク色を指でこねると「ひゃぁ、」と声が漏れる。谷間に耳を押し付けたら***の心音が聞こえた。ドクドクと激しい鼓動がものすごい速さで響くのがおかしくて、銀時はふっと笑った。
「***の心臓、すげぇバクバク言ってる」
「だ、だって、急にだから……緊張して」
「急にされてヤだ?初めてでもねぇのに、ガタガタ震えんなよ……俺とすんのがそんなに怖ぇ?」
「怖くない!こ、怖くなんてないです、それに」
ヤじゃないよ、という答えに銀時はくつくつ笑った。慣れない***にとって、セックスは夜にするもの。万事屋の暗い寝室とか真夜中のラブホテルとかでしか、抱かれたことがない。たとえ夜でも***は、銀時に優しく導かれてようやく力を抜くような初心な女だ。
それなのにこんな朝っぱらからいきなり求められて、怖くないわけがない。か細い声には明るい場所で迫られる不安が滲んでいた。
それでも身体は勝手に反応して、胸の飾りは転がされるうちに木苺みたいに赤く色づく。ぷっくりしたそこをひとさし指と中指で挟んで、残りの指と手のひらで乳房を包む。ふたつの膨らみを揉みしだくと、銀時の肩に両手をついた***の、腰のあたりがぴくぴくっとした。
「はぁっ、ぁ、んぅ……ッ」
「ヤッてる時のお前、いちばん最初にここが痙攣すんのな……気持ちよくなってくると、ここから背中の方までこんな風にビクビクッて」
「きゃッ———、っ……!」
こきざみに痙攣するくびれを右手で撫でると、陶器のような肌にぞわぞわと鳥肌が立った。銀時から逃れようと後ろに反った背中を追って、さわさわと手を這わせる。骨盤をさぐるように腰の上へ、背筋の真ん中を肩甲骨の間までゆっくりとのぼる。五本の指でくすぐるように撫で上げたら、***の震えは全身に広がった。
その震えを手のひらに感じながら、もう一方の手では乳首をいじめ続ける。左胸の膨らみをかぷっと噛むと、胸元の肌がぶわぁっと桃色に色づいた。胸から少しづつ唇を動かして、鎖骨のくぼみにキスをする。首筋を通って辿りついた耳の下を「ちゅうっ」と吸って、銀時は***の首と胸を見つめた。
「んッ……、はぁっ、ぁん」
「もうやらしい気分になってる?もっと銀さんに触ってほしいだろ?そーやって期待してる時のお前、いっつも胸まで真っ赤んなるから、ほんっと分かりやすい」
「っ、そ、そんなこと、言われてもっ……、」
どうしようもない身体の反応を指摘されて、***は恥ずかしさに瞳を潤ませた。情事のさなかに言葉でいじめて、***の羞恥心を煽ることは普段もある。でも今日は目的が違う。本人すら知らない***のことを自分は知ってると確信したかった。***のほんの些末な変化も見逃したくなかった。***の全てがこの手の中にあると安心したかった。だからあえて言葉にした。
背中から下ろした手でちんまりした尻をつかむ。***が飛び跳ねると同時に浴衣をたくし上げた。裾が大きく開いてショーツ代わりの腰巻きがずり上がると、太ももが露わになった。裸同然の***が朝陽に照らされるのをしげしげと眺める。目を凝らすと、脚の隙間で何かがキラリと光った。それがまだ触れてもいない所から溢れた愛液だと気づいて、銀時の胸に愛おしさがこみ上げた。
———すぐ触ってやりてぇし、早くイかせてやりてぇけど、でも……もーすこし、あともすこしだけこの身体を見ていてぇ……
脚がカクカクして***は膝立ちもやっとだった。それに構わず銀時は腰巻きごと浴衣を持ち上げる。ついに***の下腹部までさらされた。ごく薄い毛が光で透けて、丸みを帯びたそこの形がくっきりと見える。
「やだぁあっ!み、見えちゃうから、だめ、」
「見えちゃっていいんだっつーのぉ。もっと見せろって言っただろーが。隠さねぇでちゃんと見えるように、ここ抑えといて」
「えっ……!?ちょ、なっ、やだってば!!」
たくし上げて丸まった浴衣の裾を、小さな両手につかませた。落ちないように抑えさせると、***の顔は爆発しそうなほど真っ赤になった。自分で恥部をさらす格好を嫌がって、浴衣を下げようとする。銀時の手がそれを遮って脚の間を割ると、内ももに垂れる透明の液体を指ですくった。「ひッ!」と悲鳴を上げる***の前にその指をかかげて、愛液を太陽に照らした。
「こんな濡れてんのに、いいのかよ?」
「~~~~ッだ、から恥ずかしくて、ヤダって」
「ちげぇよ。この服、借りモンなんだろ?***のやらしい汁で汚しちまっていーのかって、聞いてんだよ」
「っ……!!そ、それは、」
言葉を失った***は長く悩んだすえに、下げかけた裾をまくり上げた。そろそろとさらされた秘部に再び手を伸ばす。淡い毛を分けて触れた小さなひだは、たっぷりの愛液で包まれていた。しっとりしたそこを中指ですくって後ろから割れ目を開くと、***の下半身がぶるぶると震えた。
「ぁっ、ひ、ぁあッ……!」
座り込みそうな***の腰を、銀時が腕で支えた。秘部をなぞる中指から手のひらを伝って手首まで、とろりとした液体が垂れてくる。他の指で割れ目をぱくっと開くと、小さな穴のふちをくるりと撫でた。上の方に隠れる敏感な粒を見つけ出し、親指の腹でくにゅりと押したら予想どおり***は「んぁあッ」と甲高く鳴いた。親指の先に愛液をまとわらせて、秘芽の周りで円を描くようにくすぐる。繊細に可愛がった場所はあっという間にぷっくりと膨らんだ。
「***のここ、少し触っただけですぐ硬くなって乳首みてぇ……まぁ、お前すぐイッちまうから、あんま強くはしてやれねぇけど」
「~~~~っ、あぅ、ぁッ、ぎ、ちゃ、あっ」
「ここもうトロットロ、触られんのそんな気持ちいい?この様子じゃ、早くナカに欲しいんじゃねぇ?」
「ッ、やっ、ん゛んッ———!!」
答えも聞かずに指先を濡れた口にさし入れた。つぷつぷと音を立てて、骨ばった中指が蜜口に沈んでいく。爪の先を入れただけで、まだ狭いソコがきゅうっと締まった。第一関節まで入れて、ナカの熱さを感じた銀時はくらっと眩暈がした。奥まで入れたい気持ちを、ごくっと唾を飲んで抑えこんだ。愛液の滑りにまかせて進めた指を第二関節で止める。入ってすぐの手前側の窪み、そのざらついた所を指で押しながらくるくると撫でた。
「ひゃぁあッ、~~~っ!はぁ、ぁう、ん」
「この入り口んとこ、好き?」
「ゃ、ぁあ、め、だ、めぇ……ッ」
「それとも、もっと奥まで欲しい?」
***は首をぶんぶんと振るばかりで答えられない。
中指は抜きさしせず浅くとどまる。指先をくいくいと曲げるだけで、入り口近くの感じやすい点ばかりを押した。愛液はとめどなく溢れて、畳にぽたぽたとシミを作る。かろうじて膝で立ちながらも***は前かがみになって、銀時の肩に顔を伏せた。言いつけどおりに裾をまくる両手は、手の甲が白くなるほど力が入っていた。銀時は首を傾げて***の内股をのぞき込んだ。濡れた内ももが電流を走されたみたいにビクビク痙攣している。それは絶頂が近い合図だった。
「いーよ***、イって」
「ッ……、ぁ、やぁあっ!」
「ここ押すとイけんだろ?」
静かに優しくささやきながら、沈めた指先でとろけた所をぐいーっと強く押す。その刺激に***がのけ反ったので、首の後ろを掴んで鼻先が触れる距離で見つめ合った。見開かれた黒目のなかで、火花がチカチカと散る。膣のなかから恥骨を叩くように、指を前後に動かすと大きな水音がくちゅくちゅと響いた。
「イって、イけって***」
「ん゛あッ、ぁ、ふぁあッ———!!」
ひと際高い声とともに***の腰が揺れた。太ももが閉じて銀時の腕をきゅっと挟む。ナカのうねりにあわせて、ざらつく窪みの粘膜に指先をめり込ませた。真っ赤な顔をイヤイヤと振りながら、***は銀時に見つめられたまま達した。中指の先をぎゅうっと絞られる感覚を味わってから、ゆっくりと引き抜く。膝立ちが崩れた***がぺたりと座り込んだ。
「はぁっ、ぁ、っ……ぁ、や、だぁ」
明るい光の中でくったりする***の顔の前に手をかざす。いやらしい液体が肘まで垂れて、テラテラと光った。銀時は手首から舌を這わせて、まだ温かいそれを舐めとっていく。***が羞恥にゆがめた顔を逸らそうとするから、あごを掴んで引きとめた。手のひらに溜まった愛液をすすると、部屋中に「じゅるっ」と音が響いた。
「はぁ、***のやらしい汁、めっさうめぇ」
「~~~~っへ、変なこと言わないで、ばかぁ」
「馬鹿じゃねーし、変じゃねーし、ほんとのことだしぃ~。お前の味ごっさ興奮する……それよか、そろそろ俺も入れてぇんだけど」
「っ……!ぁ、っと、ちょっと待って、」
じりじりと後ずさりながら***は「やっぱりお布団敷くから」とか「銀ちゃん服が濡れたままだし」とか、ごにょごにょとつぶやいた。しょせん時間稼ぎだとお互い分かっていた。あわあわと取りつくろう***が滑稽で、銀時は「ふはっ」と吹き出した。服を剥ぎとられて、身体中もてあそばれて、絶頂まで追いやられても尚、***は銀時に浮かぶ疲れの気配を気にかけていた。
———んなこと、どーでもいいっつーの……
徹夜で疲れていたが、そんなことは関係ない。どうしても今すぐ、***を抱きたい。唇や指で確かめた身体に、今度は自分自身で沈みたかった。脚の間のモノはすっかり硬くなっている。銀時が着流しとシャツを脱ぎ捨て、ズボンから足を抜いている間、***はよろよろ立ち上がり襖をあけて布団を敷こうとした。その後ろ姿を眺めると膝下までずり落ちた浴衣の尻のところが、ぐっしょり濡れて色が濃くなっていた。
「銀ちゃん、いま、お布団を」
「***、」
「んぎゃっ!?」
押し入れから三つ折りの布団を抱えて下ろそうとした***に、後ろからのしかかった。ぼふんっと音を立てて、ふたりで倒れ込む。たたんだままの布団に***の上半身が沈んで、それを銀時の身体が覆った。
「やっ、ちょ、ぎんっ、きゃああッ!!?」
乱暴にめくった浴衣の裾が、***の背中まで跳ね上がった。腹の周りで丸まっていた腰巻きがほどけて落ちる。つるりとした尻が現れたのをわしづかんで引き寄せた。布団に倒れた***は畳に膝をついて、尻だけを後ろに突き出す姿勢になった。銀時は手早く下着をずり下げ、そこから出したモノを***の割れ目に擦りつけた。
「な、***、もういい、もう入れていい」
「あっ、うぁッ、ぎ、っちゃ、ゃ、このままはっ」
「このまま、入れたい」
「ッ———!!」
銀時のせっぱ詰まった声に***は息を飲んだ。濡れた蜜口にこすりつけたソレを前後に揺すると、愛液と先走りの汁が混ざってくちゅくちゅと鳴った。
***は後ろからされるのを好まない。いつだかラブホテルで初めてこの体位をした時、顔が見えなくて怖いとひどく嫌がった。でもこの姿勢ならより深くまで挿入できるから、銀時は無理にでもしたかった。
ぐちゅぐちゅと何度もこすっているうちに、硬い先端が割れ目にぐにゅっと潜り込んだ。「んああッ!」と***が布団につっぷした瞬間、銀時は勢いよく腰を突き出して蜜壺の奥までムリヤリ入りこんだ。
「ん゛んあッ———!!ぅ、ぁああッ……ひっ、ゃ、やぁあ、っ、い゛ッ、~~~~っ!!」
「ぐっ……はッ、***んナカ、あっちぃ」
「あ゛ッ、ぃ、たい、よぉ……ぎん、ちゃ」
「あぁ、わりぃ、いきなり奥までは痛ぇよな……はぁッ、しっかり、慣らさねぇと、こんな狭ぇのかよお前、くっ……!」
千切れそうなほど強く締めつけられて銀時は息を止めた。熱いナカがきゅううっと収縮して異物の侵入を拒む。痛いほど絞られて苦しい。だが、その苦しさこそ***と繋がる証拠だから、もっと味わいたい。
いつもはしつこいほど丁寧な前戯で慣れさせるのを、今日はわざと浅く短くしか触れなかった。初めての時のように無理にねじ込まれて、痛みに耐える***は布団に顔をうずめた。大きすぎるモノを懸命に受け入れようと縮こまった背中が愛おしい。銀時は身を屈めると***の背中に口を寄せて、背骨を一直線にうなじまでべろりと舐めた。***が「っっ!!」とのけ反った所で、後ろからあごをつかむと顔を伏せないようにする。思ったとおり噛みしめていた唇にひとさし指をさし入れて、口を開かせた。
「***、息吸って、ゆっくり吐いてみ」
「へぁ、あっ……ん゛、ふぁ、ああっ……」
一気に奥まで貫いた後は身じろぎひとつしない。腰を密着させて、***に包まれる感覚に酔いしれた。ぴたりと重なっていると、背中を射し込む光に照らされて温かかった。とぎれとぎれに***が息を吐くと、ぎちぎちに狭かったナカがわずかに和らぐ。ほんの少しほぐれた粘壁が銀時の形に馴染もうとするのがいじらしくて、笑いたくなるほど嬉しかった。
「ん、いい子。ご褒美にここいじってやるよ」
「ゃ、あ!?ぁ、待っ、てぁぁあッ!!」
尻をつかむ手を前に滑らせて、内股の間に差し入れる。たぎったモノをくわえる秘部の上で、乳首みたいにぷっくりと充血したところを探った。愛液をすくい取って、指を全部つかってそこに塗りたくったら、***の下半身が高く跳ねた。
「ひ、ぁああんッ———!!」
「おっ、いま、イッた?」
「~~~~っ、あ、やぁっ、触っ、ないでっ」
「気持ちいくせに。さっきより楽んなったろ?」
「っ、な、ってな、ぃあぁっ……!!」
小さな突起を太い指先でこすると、***は短い絶頂を何度もくりかえした。腰をくねらせながら、銀時を強く締めつける。その締めつけが引くたびに膣のこわばりが解けていって、ようやく抜き差しできそうになった。
それは***の身体が銀時の形をしっかりと覚えている証拠だった。銀時はさらに腰を押し付けて深く沈みこむ。亀頭の硬い先端が***の奥の方の、敏感な場所をぐりぐりと突き上げた。
「ひっぁ、んん゛~~~~~っ」
「っ、はぁ、***、苦しいか」
布団に手をついて上体を起こした銀時が尋ねると、***は肩越しに振り返ってこくこくと頷いた。それでも奥まった柔い場所を突くうちに、喘ぎはじめる。腰をゆすりながら銀時は同じ一点をずっと狙いつづけた。再び狭まった膣壁が、硬い先端をぎゅうっと締めつける。また果てそうな***がシーツにしがみついて離れようとするので、その腰を引き寄せた。
膝立ちに戻った銀時が半分ほど抜くと、***の膣内が「行かないで」というように狭まった。銀時は薄く笑いながら全体重をかけて、ずんっと最奥を貫いた。
「ぅああッ———!ひっっ、ぁあッ……!!」
「ふは……まぁたイった」
***の秘腔が絶頂に震えるのに合わせて、小さな尻に力が入る。きゅっと力む白い丸みを見下ろすと、その可愛いさについ笑ってしまう。笑いながら銀時は、***が達する度に自分がホッとしていることに気づいた。***を快感で満たせば満たすほど銀時は安堵していた。
惚れた女を幸せに出来るか分からないから、***の未来を誓ってやれない。健気な恋人に応える方法も、優しい一途な女を繋ぎ止めていい理由も浮かばない。
それでも手放せないのは確かで、ならせめて身体だけでも満たしてやりたい。喘ぎ悶える***を見ていると、他に何も出来なくても快楽だけは与えられると安心できた。銀時は***を満たすことに夢中で、自分の射精欲すら追いやってしまった。抜きさしする大きなモノは硬く膨らんでいるのに、いつまでも限界が来ない。
「はぁっ、ぁあん、ぎ、銀ちゃ、んっ……たし、わたしっ、も、もぉ、ヤダ、もうやめ、てぇっ……!」
「んあ゛?っだよ、もうムリ?やーっと慣れてきたんだから、もうちょいがんばれって。銀さんがもーっとよくしてやっから、な?」
「あっ、ち、違っ、もぅ、ゃ、やだぁあッ、」
頭を振って***が布団にすがりつく。膝で畳をすべりながら逃げようとする。震えの残る尻を両手で掴んで、銀時は強く引き寄せた。果てたばかりで鋭敏な秘壺をえぐるように動くと「ひぁあッ!」と悲鳴が上がる。その声が消える前に引き抜いて、瞬く間にまた奥を突く。嫌がる***に腰を突き出させて、やみくもに打ちつけた。
「やあッ、ぁ、あっ、ふぁ、ああっんッ、」
「気持ちいーんだろ***?ほら、もっぺんイっとけ」
「んぁあ、や、やあぁっ———、」
抜けそうなほど引いては、すぐに深くまで入れる。激しく打ちつけられた蜜口から愛液が溢れて、じゅぶじゅぶと泡立った。***は髪を振り乱して喘いでいる。
銀時は「は、は、」と息を吐きながら、自分のモノをくわえ込む蜜穴を見下ろした。出入りする太い熱棒に薄いひだがまとわりついて、押し広げられた小さな口がひくひくと痙攣する。いやらしいその光景に見惚れていると、遠くで涙まじりの声が何かを叫んだ。ハッとして動きを止めた銀時を、***が首をねじって見上げ、大粒の涙を零していた。
「ぎんっ、銀ちゃぁ、んっ……!こっ、こわぃ……、怖いよぉっ!!ったしだけ、私だけは、もぉ、や……ひ、ひとりに、しないでっ!!!」
「んなっ……!?お前、何言ってんだよ!?」
ふぇぇん、と子どものように泣かれて銀時は慌てた。よがって喘いでいたのが嘘みたいな大泣きだった。
背後からしたのが嫌だったのかと思い「そんなにこれイヤなのか」と尋ねると、***は首を横に振る。ふらふらと伸びてきた手が、銀時の腕を強くつかんだ。怯えた声で何度も「銀ちゃん」と呼ばれて、仕方なく体勢を変えた。静かに腰を動かして、繋がった所が抜けないよう***を仰向けにする。くるりと返すと浴衣が全て脱げて、裸の***が三つ折りの布団に沈んだ。
「んだよ***、なにガキみてぇに泣いてんだよぉ~……お前めっさ感じて、ごっさイきまくってたじゃねーか。それがいきなり怖ぇって、意味わかんねぇって……んだよ、何なんだよ、何が怖ぇってんだよ?」
「だ、だってぇ……うぅッ、ゎた、私だけ、ひとりで、感じてるの、淋しかったんだもん……私ひとりで何度も……ぃ、っちゃぅの、怖かったんだもんっ、」
「は、はぁぁぁぁ?」
その答えに銀時は不満げに眉を寄せた。そのしかめっ面に***は腕を伸ばして引き寄せ、ぎゅうっと強く抱きしめる。銀時の首筋に顔をうずめると、また嗚咽を上げて泣きはじめる。ぐずぐずと鼻にかかった涙声が銀時の耳元でぽつりぽつりとつぶやいた。
「わっ、私、銀ちゃんと、一緒じゃなきゃ、ヤなの……私ひとりで、感じてるなんてヤです……こうゆうことするのは、ヤじゃない。ぜんぜん、怖くない。でも銀ちゃんが……銀ちゃんが感じてないのはヤだ。銀ちゃんが気持ちよくないのは、すごく怖いっ」
「いやいやいやいや、俺すげぇ感じてるし、すっげぇ気持ちいいんですけど!?ふざけた寝言は意識飛んでから言えよ!野郎の股間がこんなでっかくなってて、良くないわけねーだろーがコノヤロー!!」
「じゃ、じゃぁ、どして……どうして銀ちゃん、そんなに……哀しそうなの?」
その質問に銀時はハッと息を飲んだ。
まさか気づかれていたとは、夢にも思わなかった。
顔を上げた***に潤んだ瞳で見つめられてたじろぐ。両手で銀時のほほを優しく包むと、華奢な指先がさらさらと目元を撫でた。
「泣いてる……みたいな目、してます」
「……してねーよ」
「してるもん。ねぇ銀ちゃん……理由は教えてくれなくていいから、せめて抱きしめさせて下さい。悲しいとき銀ちゃんにひとりになられたら、私もひとりになっちゃうから……ぎゅってするくらいしかできないけど、でも私ひとりぼっちで、置いていかれたくないんです」
「っ……、***」
涙まじりの言葉に銀時は胸が張り裂けそうになった。
***が同じ気持ちで嬉しかった。どうしようもなく惚れてしまって、何があっても離れられないほど強く結びついていることに、心底ホッとした。でも、だからこそ、***のこの先の人生を思うと切ない。いつか、***をひとり置き去りにするかもしれない未来の、その残酷さが苦しくて悲しくて、たまらなかった。
ああ、でもそれも、俺たちらしい———
そう思いながら、銀時は微かに笑った。
———***を遠ざけるなんざ出来やしねぇ。俺が離れたって、コイツが諦めるわけがねぇ……幸せになれよって***を他人に譲るのはまっぴらごめんだ。未来のために離れる苦しみを選べねぇなら、いま一緒にいるために、一生苦しむことを俺たちは選べばいい。それが、***と俺らしい———
腑に落ちたら胸のつかえがとれた。同時に体温が上がり、心臓がドクンッと高鳴った。全身に血が巡って汗が吹き出す。汗ばんだ胸を寄せ合って抱きしめると、繋がったままの場所がぐんっと大きくなった。さっきより強く反り返ったモノが***のナカで質量を増して、血管が浮き出て硬くなる。追いやったはずの射精欲が津波のように襲ってきて、すぐにでも爆ぜそうになった銀時は「んぎぎ」と歯を食いしばった。
「ふぇあっ!?あ、うぁ!?銀ちゃ、な、これ」
「うぐっ、わりぃな***、めっさデカくなっちった」
「ひぃぃぃぃッ……!なん、なんで急にっ!?」
「なんでってそりゃ、お前がびゃーびゃー泣いてうるせぇし、俺が気持ちよくなさそーとかアホみてぇな心配すっからだろーが。おバカな***ちゃんに、銀さんがどんだけ我慢してたか教えてやらぁ。俺がイくまで、イくんじゃねーぞ」
「あわわわっ!?ま、待って、あっ!!」
布団に***の背中を抑えつけた。浮き上がった小さな尻を太ももに乗せて、バタつく脚を両脇に抱えた。そのまま銀時が膝立ちになると繋がった場所に重みがかかって、ひと息に奥までずんっと沈んだ。
「んぅぁああッ!!ひ、っぁ、ゃ……ふ、かぃッ、」
「はッ、あ、***っ———、」
余裕もなく容赦もなく、すぐに動いた。***の両脚の膝をすくって抱えながら、両手で細いくびれを掴んだ。打ちつけると同時に手前に引き寄せて奥に叩きつける。引くと同時に***の腰を持ち上げて、ギリギリまで抜く。そして掴んだくびれを一気に落として、また深く突く。たぎった肉茎の先が、子宮を押し上げるように何度も貫いた。背を弓なりにそった***がガタガタ震えるほど、激しい腰つきで。下半身が浮いた***の両脚が、銀時の腰をぎゅうっと挟んでいた。
「やぁああッ———!ぁ、はあっ、やッ……んぁ、っぁ、は、げしいっ、ぁああッ!」
「やっべぇー……すぐに出ちまいそー……」
「っ、ふ、ぅあっ———、」
ずちゅずちゅと最奥だけに当てながら、結合部を見下ろす。叩きつける度に熱い液が溢れて、しぶきが銀時と***の太ももや腹まで飛び散った。大きなモノをくわえこんだ割れ目を手ですくうように撫でて、手のひらいっぱいに愛液をつける。その手を***の下腹部から胸まで滑らせて、いやらしい汁をべったり擦りつけた。揺れる乳房を揉んで、ねばつく指先で乳首を強くつまんだら***のナカが悦んでキュッと締まった。それに気を良くした銀時は身を屈めると、もう一方の胸の飾りを口に含んで、こりこりと甘く噛んだ。
「んゃあっ、ひ、ぁああッん———!」
「オイィィィ、***~、ひとりでイくなっつったろ?」
胸をいじめながら腰を打ちつけながら言ったところで、***にはどうしようもない。快楽の頂点にくりかえし追いやられているのに、まだ終わらない。全身を痙攣させて果てながら、銀時を見上げる瞳から涙がポロポロと零れた。涙も汗も愛液も朝の光に照らされて眩しい。
「は、ぁ、ぎ、ちゃ……ごめ、なさっ、ぁ」
「別に、ごめんじゃねーけど……ってか、お前、何度もイってるくせに、締めすぎだってっ、うぁ゛ぁ゛ッ……くそ、っだよ、これぇ、抜けなくなりそー……」
眉間にシワを寄せた銀時は、冗談めかして言った。
きゅうきゅうとあまりに強く締めつけるから、抜き差しを一度ゆるめる。繋がる場所をこすり合わせるように腰を揺すっていると、布団に落ちていた***の手が銀時の両ほほに伸びてきて、そっと包んだ。顔を寄せてのぞき込むと、喘ぎ過ぎてかすれた声が囁いた。
「……こ、のまま、ぬ、けなく、なっ、ていい……」
「はぁ!?」
「そしたら、銀ちゃ、っと、ずっと、一緒、だから、」
「うぐッ、んぁ゛~~~……このバカ女がァ」
「だって、また、私、だけはっ、やな、のっ……あっ、ぅあ、ぎんちゃ、銀ちゃん、も、きもち、いぃ……?」
「……ったりめーだろーが……***んなか最高で、ぶっ壊れちまいそーなほど、きもちいっつーの……」
荒い息でそう答えると、涙をいっぱい溜めた***がホッとしたように微笑んだ。安らぎに満ちたその瞳にまっすぐに見つめられた銀時は、果てるのがもったいないと先延ばしていた自分が馬鹿らしくなった。
口角を上げて声もなく笑うと、布団にドサッと倒れこむ。ほほを包む***の手を首に回させて、震える脚を腰に絡めさせた。頭を抱えるように上からすっぽり覆いかぶさって、膝に重心をかけた銀時は華奢な***が潰れそうなほど、思い切り腰を打ちつけた。
「あぁあッ———!!はぁあ、あ、ぁあッ!!」
「くっ、あ゛ー……***、すっげぇ気持ちいー……この、いちばん深ぇとこのっ、その先の……もっと、奥まで、入りてぇッ……はあッ、」
「ひ、ちゃ、ぁあッ、あ、ぅあッ、そっ、な……ゃあ、こ、こわれちゃぅ、ぅぁあッ、」
「壊れろよ***、壊れちまえよ、俺と一緒に」
「っっ……!ふぁあ、んッ……!!」
ずんっ、ずんっ、と破る勢いで最奥を突く。限界は近く、膨らんだモノはもう破裂寸前だった。焼けそうなほど熱い***の体内に包まれて、ひどく締めつけられて、銀時はただ快感だけを追いかける。獣じみた動きで腰を打ちつけながら、酸欠のように飛びかけた意識のはしで「どうなっても大丈夫だ」と深い安らぎが広がった。
———俺たちは大丈夫だ。どうなったって平気だ。繋がったまま抜けなくなったって構わない。このまま***がそばに居るんなら、身体まで壊れたって俺はコイツを離したりしない———
抱きすくめた腕の中で、***は銀時の限界を待ち続けている。途切れない快感に喘ぎ続けた声はかさついていた。甘い痺れに震えながら銀時にしがみついて、わなないた唇から涙まじりの声が溢れた。
「ひ、あぁっ……ぎ、ぎんちゃ、んぁあッ……ぁ、ったし、も、だめぇッ、は、やくぅっ……!」
「***、そんな気持ちいー?俺に言わせたんだからお前も言えよ、銀さんの気持ちいいって……すなおに言ったら、もう終わりにしてやっから」
「~~~~~っ、ぃ、きもちいっ、あぁッ、銀ちゃん、きもちぃ、よぉっ……、ひぁッ、あっ、ま、また、きちゃ、ぅ……ゃ、やだぁぁ……ぎんちゃッ、おねがいっ、ぃ、一緒にッ……!!」
「ん゛っ、あぁ、一緒な……いいよ***、もうイって、俺も出るっ、奥に全部、出すっっ、」
「~~~~~っ、んあぁッ!!」
「くっ、ぁあッ、***っ、ッッ———!!」
「っっ……、は、ぅぁぁあッん……!!」
じゅぶんっと大きな音を立てて、***がいちばん感じる深い場所を貫いた。くねりながら痙攣する膣内で、我慢しつづけた欲望がついに弾けた。浮き上がった血管が収縮して、その先っぽが大量の白濁をどくどくっとまき散らす。全体重をかけて先端を奥にこすりつけながら、続けて数回精液を放った。熱いしぶきが散った直後、***も全身をぎゅうっとこわばらせて達した。
「はぁ、あ、はぁっ、***っ、」
「っ、ぁ、ぅ、ぎん、ちゃんっ……」
汗だくの顔を寄せて唇を吸う。口づけていると喜びがこみ上げてきて、ふたり同時にくすくす笑い出した。
一緒に果てたことが嬉しくて、何度も名前を呼び合う。首に回った腕が銀時を抱きよせると、***の背中の下で布団がくずれた。ずるっと半分だけ開いた布団に、銀時は***を抱えたまま顔をつっぷした。シーツから***の匂いと天日干しの香りを吸った途端、全身から力が抜けた。
「えっ、銀ちゃん?ちょ……銀ちゃんんんッ!?」
慌てる***の声が聞こえたが、指いっぽん動かなかった。徹夜やら何やらの疲労が一気に襲ってきた。繋がったまま***の上でうつ伏せていると、その背中に朝陽が当たって温かかった。強い睡魔にだんだん意識が薄れていく。腕のなかに***を感じていると、銀時はもう怖いものなんて何も無いと思えた。
戸惑いっぱなしのセックスは終わってからも大変だった。銀時は達した後でぐったり動かなくなった。ひと回り以上大きな身体に乗られて、***はぺちゃんこになるかと思った。這いつくばって銀時の下から脱出すると、中途半端に敷かれた布団を引っぱって広げた。脱ぎっぱなしの浴衣の上に銀時の放ったモノが垂れて、借り物の服は結局ぐちゃぐちゃに汚れた。
「こっ、こんなのもう返せないよぉ~~~っ」
新しく買って返すことにして、清潔な長襦袢を羽織った。洗面器にお湯を張って身体を清めると、うつ伏せの銀時をひっくり返した。汗まみれの上半身を手ぬぐいで拭いてやり、汚れた下着を脱がせると下半身から必死に目を逸らして、なんとか寝巻きを着させる。着替えを終えた時には***は疲れきって、腕も脚もガクガク震え、肩でゼーハーと息を吐いた。
「***……」
てっきり眠ったと思った銀時が、まぶたを薄く開けていた。近づいて覗き込むと腕をつかんで引き寄せられた。隣に横たわると銀時はすぐに***の胸に顔をうずめて、抱きついてきた。抱きとめた頭を見下ろしたら、銀色の髪が汗で湿っている。それを指で梳いていると、心地よさそうに目を細めた銀時が顔を上げて、安らぎに満ちた瞳で***を見つめた。そのまなざしにはまだほんの少し哀しみが混じっている。でも来たばかりの時よりは穏やかな表情だった。
「銀ちゃん、すごく疲れてるだろうから、ゆっくり寝て下さい……ゆっくり寝て、しっかり休んだら、」
ミツバさんのお見舞いに行こうね、という言葉は遮られて言えなかった。腕のなかで目を閉じた銀時が、寝言のように力のない声を出したから。
「もういいんだ、***……ミツバは、もう居ねぇ……、アイツはもう、この江戸には、居ねぇんだ」
「えっ……?それって、どういう、」
聞き返そうとした時には既に、銀時は「ぐがぁ~」という大きな鼾をかいていた。名前を何回呼んでも、ほっぺたをぺちぺち叩いても全く起きなかった。
———ミツバさんがもう江戸に居ないって、どういうこと?病院は退院したってこと?それでどこかへ、行ってしまったってこと?でも、結婚はどうなったの?
分からないことだらけだったが、子どもみたいに安心して眠る銀時を起こす気になれなかった。窓から射し込む日の光に照らされて穏やかに眠る姿を見ていたら、***は自然と「きっと大丈夫」と思った。
———もしもミツバさんに悪いことが起きたら、銀ちゃんはこんな所でこんなに能天気に寝てたりしない。だから大丈夫。うん、そうだ、きっと大丈夫だよ……
指でなでる銀時の髪が、太陽に温められて乾いていく。昨夜の大雨が嘘みたいによく晴れた朝だ。窓の外に広がる青空があまりにも綺麗で、悪いことや怖いことは何も起こらない気がした。
好きな人を胸に抱いて、その寝顔を眺めながら新しい日を迎えるのは、なんて幸福なんだろう。このしあわせに溢れた朝の、まぶしいほど美しい青空を、きっとどこかでミツバも眺めている。静かに微笑んだ***は、当たり前のようにそう信じていた。
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【(4)怖がる人】to be continued...
見ていた木立ちのやる瀬無きかな