銀ちゃんを愛する女の子
甘くるしいほどのキスを君と
おなまえをどうぞ
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※※※大人向け/やや注意※※※
☆若干ですが大人向けな表現があります
☆ぬるいですが性的描写を含む為、苦手な方はお戻りください
【(3)口にふくむ】
「銀ちゃん、起きてくださいよぉっ……!」
カラオケボックスに***の声が響いた。
べろべろに酔っぱらった成人男性、しかも身長177センチを、女ひとりで介抱するのはかなりの重労働だ。
ましてや小柄な娘のひ弱な力では限界がある。そんなことは分かりきっていたのに、誕生日会がお開きになった時、銀時の面倒を見られるのは***しかいなかった。
そのいきさつは数時間前、まだ万事屋で宴会をしていた時にさかのぼる。
「げぇ~~~っぷ、***~~、私苦しいアル」
「大丈夫、神楽ちゃん?少し横になろうか?」
宴もたけなわの頃、神楽は出された料理のほとんどを食べ尽くして眠たそうだった。和室に連れて行き、布団を敷くとすぐにイビキをかきはじめる。神楽に毛布をかけてやり、***がふたたび席に戻ると二次会の話題が出ていて、場所もすでにカラオケと決まっていた。
神楽と留守番すると***が言った時、銀時は「たまにはお前も羽目外せよな」と眉をしかめた。
苦手なカラオケに二の足を踏んだが、「留守番は任せろ」という定春に背中を押し出され、銀時に手を引かれたら行かざるを得なくなってしまった。
「***さんも歌いましょうよ!」
「し、新八くん、私はいいよ、音痴だから」
「お通ちゃんの歌ならいいじゃないですか!せっかく僕らファン同士でカラオケに来てるんだから、デュエットしましょうよ!」
ひたすら聞き役に徹する***に、新八が声をかけた。いつもは客の歌を聞いてばかりのお登勢が、こぶしの利いた演歌を披露していた。お妙はキャバクラ仕込みの懐メロを歌って、長谷川さんを大喜びさせた。キャサリンの選んだ曲はどこの星の言葉か分からない歌詞だったが、とにかくカラオケは大盛り上がりだった。
「お通ちゃんのこの曲はどうですか?これなら***さんも歌えるはずです!ねぇいいでしょう?」
そう言って新八がタッチパネルを見せてくる。そんなにキラキラした目で誘われたら断りにくい。迷いながら***は、テーブルの向こうの銀時をチラッと盗み見た。好きな人の前で歌を歌うのはかなり勇気がいる。
だが銀時はカラオケにさして興味がないようで、ずっとお酒とパフェに夢中だ。それらを交互に貪っては、時折「よっ、団地妻!いいぞ!」とテキトーな合いの手を入れてゲラゲラ笑っていた。
———う~~ん、この雰囲気なら、大丈夫かなぁ……?銀ちゃん、酔っぱらっててデザートに夢中だし、歌なんて別に聞いてなさそうだし……
「じゃ、じゃあ一曲だけ、新八くんも一緒なら……」
「やった!さぁ、***さん行きますよ!」
「えっ、ま、前で歌うの!?」
『お前の母ちゃん××だ!』のイントロが爆音で流れ出す。立ち上がった新八が***の手をつかみ、浮かれた調子で前に出る。モニターを背にして立ったふたりに「いいぞいいぞ!」と声が上がった。みんな見知った顔とはいえ、人前で歌うのは緊張する。あわわ、と***が冷や汗をかくと、銀時が遠くから声を張り上げた。
「おッ***!やれやれぇ!やっちまえ~!おひねり貰えるくれぇのエッロいサービスしてみやがれ~、うぐぁぁあ!痛ってぇ!何しやがる、このゴリラ女ァ!!」
下品な声援を送った銀時を隣のお妙が殴っている。それを見た***は吹き出して、緊張が解けた。新八と一緒に歌いはじめて、最初はぎこちなかったが2回目の「お前それでも人間か!」の時にはしっかり声が出た。
「「あなたのホクロ~、私のホクロ~、今ふたり~、重なりあって~~~♪」」
覚えてるから歌詞は見ない。盛り上がった新八と***は微笑みながら、デュエットらしく見つめ合った。曲が終盤にさしかかった頃、泥酔した長谷川さんが飛び入り参加してきて、両手でマイクを握りしめる***に近寄った。ご機嫌な新八と長谷川さんの間に挟まれて、気づいた時には仲良く3人で肩を組んで歌っていた。
「「「お前っ、それでも人間かっっっ!!お前の母ちゃんっ、××だっっっ!!!」」」
カラオケって意外と楽しい!そう思って***はアハハと笑った。ふと顔を上げると手拍子を打つお妙の向こうで、真顔の銀時がこちらを見ていた。視線がかち合ったので、***はひらひらと手を振った。すると銀時は口角をほんの少し上げて、わずかに笑っただけですぐに目を逸らした。そしてパフェの残りをかきこみ、お酒をごくごく飲み干していた。
もっと歌いましょうよ、という新八の誘いは断った。今やテーブルには空のジョッキが転がっている。酔いのまわった銀時がソファにふんぞり返った頃、パーティーは幕を閉じた。寺門通メドレーを歌い上げた新八は、満足げな顔でお妙と共に帰っていった。
そうして、***とお登勢とキャサリンと、酔いつぶれたマダオがふたり、カラオケボックスに残されたのだった。
「「ぐがぁぁぁぁぁ~~~」」
「全く……これだからコイツらはイヤだよ」
ソファで眠るオッサンふたりを見下ろして、お登勢が吐き捨てるように言った。とっくに皆帰ったのに、酔いつぶれた銀時と長谷川さんだけがそこから動かない。
大口を開けて眠るふたつの顔を眺めたお登勢が、タバコを吹かしながら言った。
「ちょいとキャサリン、このグラサンかけた粗大ゴミを外に捨ててきとくれ。それからこっちの浮かれたバカは……***ちゃん頼めるかい?会計は30分延長して払っとくから、引っぱたくなり水ぶっかけるなりして、叩き起こして連れて帰りゃァいいよ」
「はい、お登勢さん、今日はありがとうございました。ちゃんと起こして帰りますから、あとは任せて下さい。銀ちゃん、起きて!もうカラオケおしまいだよ。お家に帰りますよー!」
「ん゛ぁ~~~……俺、今日たんじょーび、なんれすけど~……おっ、結野アナぁ~~、もう一杯おかわり、くらさぁ~~~い!!」
「け、結野アナなんて居ないよ!しっかりしてください!ホラ、立ってよ銀ちゃん!!」
長谷川さんを引きずるキャサリンとお登勢が出ていき、ドアがバタンと閉まると、***は途方にくれた。座っている銀時の身体が、ソファの背もたれを伝ってずるずる横へ傾いていく。その両腕を掴んで必死に引っぱる。立ち上がらせたいのに、65キロの身体は全然持ち上がらない。うぎぎ、と***が歯を食いしばっても、銀時が寝っ転がらないよう抑えるので精いっぱいだ。
「銀ちゃん、起きてくださいよぉっ……!」
その声も届かず、銀時はまぶたを閉じたまま、まだ***を結野アナと勘違いしている。「サインくらさい。あと写真もぉ」と銀髪頭がぐらぐらと船をこぐ。
呆れかえった***は「もぉっ!」と声を荒げて、両腕を乱暴に引いた。倒れかけていた上半身がなんとか真っ直ぐになった。ソファからお尻が落ちそうな座り方で、黒いシャツの胸元はでろんと伸びてだらしない。机からミネラルウォーターのペットボトルを手に取り、銀時のほほにそっと当てるとゆっくりまぶたが開いた。
「んあぁ゛……?あんだ、***かよ」
「ゎ、悪かったですね、結野アナじゃなくって!もう起きるよ銀ちゃん!早くお家に帰らないと!」
そう言って***はふたたび銀時の腕を掴もうとした。しかし掴む前にその腕がパッと動いて、大きな手が***の背中に回った。気づいた時には銀時の腕が腰に絡みついていて、強く引き寄せられた。前につんのめって倒れそうになり、慌てて銀時の脚をまたいでソファに膝をつく。とっさに両手を背もたれに置くと、腕の間に銀髪頭があった。「うわわッ」と声を上げて前かがみになったら、銀時の顔面が***の胸にむぎゅっと当たった。
「んんッ……!!んおおぉ~ッ!!***ちゃんってば、だいたぁ~ん!!自分からおっぱいこすりつけてくるなんざ今日はやけに積極的じゃねーかぁぁ!!!え、なに?もしかして誕生日の銀さんに、特別大サービスですかァァァ!!?」
「ちちちちちがッ、銀ちゃんがいきなり引っぱるから、よろけちゃっただけですっ!ヤダ、ちょっと、はっ、離してよぉ!!」
「ヤだね~!ぜってぇ離しません~!***からくっついてきたんだし。おっぱいは触れる時に触っとかないとねって武蔵っぽい人も言ってたしぃ。それに***の小せぇおっぱいをふにふにできる機会なんざ、そうめったに無ぇしぃぃぃ~~~!!!」
「ち、小さくて悪かったね!銀ちゃんの馬鹿!」
「イテテテテ!おいッ***やめろッ」
***の乳房にほっぺたをすりすりしている銀時の脳天を、持っていたペットボトルでポカッと叩いた。痛がる隙に身体を離して、肩を両手で押し返す。銀時は「何しやがる!」と怒鳴ったが、ろれつが回らず「らりひやがる!」に聞こえた。そして背もたれに寄りかかるとまたウトウトしはじめたから、慌てて***はそのほほをぺちぺちと叩いた。
「ダメだよ銀ちゃん、寝ちゃダメ!寝ないでください!もう帰らなきゃいけないんだってばぁ!」
「っだよぉ***~……めんどくせーから、もうここに泊まってけばいーじゃねーかよぉ~」
「カラオケ屋さんには泊まれないんだよぉ!あ、ほら、お水飲んでください!お願いだから目を覚まして!!」
ペットボトルのふたを開けて、銀時の口元に添えるとゆっくり傾けた。厚い唇がぴくりと動いて飲もうとしたが、うまく飲めずに口端からポタポタと垂れてしまう。
あごと首を伝った水が黒いシャツの襟と、襟のなかのはだけた胸まで濡らした。「あわわ」と慌てた***が、濡れた首や胸元をハンカチで拭っていると、その手首を急にガシッと掴まれた。
「銀ちゃん?お水、自分で飲めますか?」
「んー……飲めねぇ……なぁ、***ー……」
鼻にかかった甘えるような声にドキリとする。
銀時はソファの背に頭をもたれてこちらを見ていた。モニターの明かりだけの薄暗い部屋で、銀色の髪が鈍く光る。どよんとした赤い瞳が少し潤んでいるのが艶っぽかった。その瞳と見つめ合うと、***の脳裏に突然、数日前の夜の蜜事がよみがえった。
四畳半のアパートでお布団に組み敷かれて、いまと同じ低くかすれた声で何度も名前を呼ばれたっけ。抱かれている間ずっと吐息まじりで「***」と囁かれて、そのたび我慢できずに幾度も達してしまった。
———こんな時に何てことを思い出してるんだ私は!
いやらしい記憶を思い出したことが恥ずかしくて、顔がぶわっと熱くなる。しっかりしろ***!と声もなく自分を励ましていると、いきなり腰を大きな手で掴まれて、ぐいっと引き寄せられた。
銀時の脚の上に座り込むと着物の裾がパカッと開いた。露わになった膝頭が革張りのソファにあたり、冷たくて「ひゃっ」と小さく叫んだ。そんな***を細めた目で眺めていた銀時が、静かに口を開いた。
「***……飲みてぇ」
「えっ、な、なに?」
「水、飲ませてくれよ」
「だから、さっき飲ませて、」
「ちげぇ、そーじゃなくて***の口で、飲まして」
「なっ……!」
「ホラ早く、のど渇いて、銀さん死にそー」
えぇっ!?と声を上げ、***は困り果てた。銀時の赤い瞳は物欲しそうに上目づかいでこちらを見てくる。ぐったりした顔はすこし苦しそう。このまま放っておいたらまた眠ってしまいそうだ。腰に絡みついた腕はかたくなに離れない。ペットボトルを渡したところで銀時は受け取らないだろう。
羞恥心に赤みを帯びた顔の***が、どうしようどうしようと目を泳がせると、銀時は駄々をこねる子どものように「なぁなぁ~、はやくぅ~、銀さん今日誕生日ぃ~!」と急かした。
「~~~っぎ、銀ちゃん、ぉ、お水飲んだらシャキッとしてくれる?ちゃんと起きるって約束してくれます?」
「するする。ぜってぇ起きるってぇ」
意を決して***はミネラルウォーターを口に含んだ。銀時の太ももをまたいで膝立ちになる。自分から顔を寄せて口づけることが、死ぬほど恥ずかしい。
おずおずと寄せた唇が銀時の唇に触れただけで頭が破裂しそうになった。ギュッと目をつむって固まっていたら、お酒の香りのする唇が開いて「早くよこせ」求めてきた。右のほほを銀時の手で包まれると同時に、***はおそるおそる結んでいた唇を緩めた。含んでいた水をゆっくり流し込むと、上を向いて反った銀時のノドがごくごくと鳴った。
「ぁッ……、ふ、ぁ……っ、」
冷たかった水は***の口で温められていた。ぬるい水を一滴も残さず飲み干されて、恥ずかしさに眩暈を起こしそう。唇を離すと銀時が「んぁ」と息を吐いて、甘い香りが***の鼻先をかすめた。真っ赤に染まった顔を背けて、逃げるように立とうとしたが、腰に巻きつく腕のせいで、***は足を床につくことすらできない。
「ぎん、ちゃ、ぉ、みず、飲んだから、もぉっ……んっ——!?んむっ!?」
「これっぽっちじゃ、足りねぇよ***」
ほほに添えられていた手で、顔の向きをぐいっと戻された。奪われたペットボトルの飲み口が***の唇に押し当てられる。乱暴に傾いた容器から大量の水が注ぎこまれて、あわてて口を開く。が、***の小さな口に入りきらなかった水が、ぼたぼたっと溢れた。
「もっかい、おかわりな」
「ふッ!?んんぅッ———!!」
後頭部をわしづかみにされて、***は無理やり引き寄せられた。重なった唇を舌で荒々しくこじ開けられて、口の中の水がだぁっと流れ出す。驚きで見開いた***の瞳を、酔って潤んだ赤い瞳がじっと見つめ返した。
銀時の首でのど仏が数回大きく揺れて、その度にごっくんと飲み込む音がした。
二度目の口移しが終わっても唇はなかなか離れない。ねじこまれた厚い舌が、***の口の中で好き勝手に動いた。ヤケドしそうなほど熱いほほの内側の、どこもかしこも舐め尽くされる。上あごにわずかに残る水滴まで、ざらついた舌先で全てさらわれたら、***の肩がびくっとした。唇についた唾液まじりの水を吸い取るように銀時の唇がちゅうっと鳴って、ようやく離れた。
「あー……うめぇ、***も飲む?」
「はぁ、あ、ゃ、なにっ、ぎんちゃ、あっ!」
飲むなんて答えてないのに、銀時は瞬く間に口に水を含むと、避ける間もなく***に口づけてきた。勢いよく注がれたせいで、ほとんど飲みきれずに唇からだらだらと零れた。大量の水が***の震える首を伝って、髪の毛先や着物の胸元までぐっしょりと濡らした。
「んぅっ!ふ、ぁっ……も、もぉっ、やだぁ!ゎ、たし、飲むって言ってないのに、な、にするんですかっ、ぃ、いきなり!」
「オイオイ***、めっさこぼしてんじゃん。ごっさ濡れてんじゃん。こんなん着てたらお前風邪ひくぞ」
「だって銀ちゃんが、って、え、ちょ、ちょっと待っ、きゃぁッ!なにやって、」
喋っている途中で、銀時が***の首に触れた。熱い手のひらが濡れた首筋をすべって降りていく。くすぐったくて「っっ、」と息を飲む。湿った着物の胸元まで、じっとりした手つきで撫でられたら、背中がぴくぴくと震えてしまった。
濡れて肌に張りついた襟の合わせに、太い親指が潜り込んできて、くいっと軽く開く。はだけた胸元を手で押さえて、***はヤダヤダと首を振った。だが銀時は意に介さずに「もったいねーな」と首筋に顔を寄せてきて、そこに流れる水滴を舌で舐め取った。ぬるついた舌で撫でられたら、首から背中へと電流が走ってさっきよりも激しくビクビクと飛びはねた。
「ひゃあッ———!」
「んあ゛?あれぇ~?なに今の声ぇ~?***~、お前もしかして感じてんの?首舐められただけで、気持ちよくなっちゃってんのぉ~?」
「っ……な、なってない!」
「嘘つけ。こんなとこまで真っ赤っかにしちまってさぁ、銀さんに触られてもっと良くしてもらうの期待しちゃってんだろ、ホントは?」
ニヤけた銀時がさらに***の襟を開く。襦袢ごと肩からずりおちて、ブラジャーのふちまで見えている。白い胸元は恥ずかしさに染まって薄紅色をしていた。
そこに銀髪が沈んでいくのを呆然と見下ろす。浅い胸の谷間に流れこんだ水滴を、じゅうっと吸われたら「あうッ」といやらしい声が漏れてしまった。
———どうしようっ、こんなの絶対ダメなのに……!
カラオケボックスの一室でいつ誰が来るか分からない。そんな場所で抱き合うだけでもいけないのに、口移しで水を飲ませるなんて他人に見られたら大問題だ。
それなのに銀時の手は止まらなくて、***の服まで脱がそうとしている。湿った布がはりつく胸を手のひら全体で包んで、服の上からむにゅむにゅと揉みはじめた。指が食い込むほど強く揉まれたら、乱れた着物が下着と共にどんどんずり下がっていく。
「あっ、ゃ、やぁっ——、ね、ねぇ、ぎんちゃっ……こ、こんなの、ダメだよぉっ……!」
「ダメじゃねぇって、だいじょぶだってぇ~。***だって泣きそーになるほど気持ちいーんだろ?こーやって、おっぱい強くされんの、お前好きだもんなぁ?」
「~~~~っす、好きじゃないっ……!そ、それに、人に、見られちゃう、ってばぁ!」
「誰も見てねぇし。俺たちしか居ねぇし、安心しろよ。ホラ、ちゃーんとここもいじってやっから、大人しく感じてろってぇぇ」
「や、ぎんっ、ぁ、ぁああッん———!!」
こねるように膨らみを揉んでいた長い指が、ブラの中にするりと入ってきた。柔らかな胸の先端を指の腹でさすられて、それだけで***の首がのけぞる。わずかに硬くなった蕾を指先でつままれて、ぎゅうっと力を入れられたら腰がかくんと折れた。ぴんっと勃った突起を、骨ばった親指と人さし指でくにゅくにゅと潰されて、***は「あっ、あっ」と情けない声を上げた。
ぺたりと膝をついて銀時の脚の上に座り込むと、着物の中でショーツのお尻に何かが当たった。それが銀時の黒いズボンの中で硬くなりつつあるモノだと気づいた途端、***の頭からボンッと湯気が出た。こんな所で銀ちゃんと最後までしちゃうの?想像するとひどい羞恥心に襲われて、***は思わず叫んだ。
「ぎ、銀ちゃんっ!こ、ここじゃ、やだぁ……こ、な、所で、私っ……ね、ねぇ、せめて……おうちに、帰ってからっ……!」
「あ゛ぁ゛?家に帰ってからって……っだよソレ、お前だけ良くなってて、んなやらしい顔してるくせに、俺にはおあずけ食らわすのかよ?はぁ~~~?信じらんないんですけどぉ~~~……お前、俺が今日どんだけ我慢したと思ってんの?俺の誕生日だってのに、***は俺じゃねぇ男とイチャイチャしちゃってるしさァ~~~。それっておかしくないですかァァァ~~?」
「へぁっ……!?なん、でっ!?ゎ、たし、誰とも、いちゃいちゃなんて、してなっ、」
「してただろーが。新八と手ぇ繋いで、にゃんにゃん笑いながら歌ァ唄ってたろ?銀さん見てたからね?長谷川さんに肩抱かれて、***がすっげぇ楽しそうにヘラヘラしてたのも、ちゃ~んと見てたからね~?言っとくけどアレだよ?童貞メガネもグラサンも、あんな見た目でもれっきとした男だからね?あんな簡単に身体触らせて、あんな風に笑ってたら、野郎ども喜んで乳繰り合ってんのと一緒だかんね!?」
「ち、乳繰りっ……!?ち、違います!だってあれは、お通ちゃんを歌っただけで、わざとしたわけじゃなっ、うわわ!?っっ、ゃ、ぁ、当たって、」
弁解している途中で、銀時の両手が***のくびれを掴んだ。そのまま腰を前後に揺すられると、その動きはまるで向き合ってするセックスみたいだった。他の男とイチャついてたなんて言いがかりに歯向かいたいのに、衣服越しに下半身をこすり当てられて、言葉が出なくなってしまった。
薄いショーツ1枚だけの恥ずかしい場所に、強く押し当てられた銀時のソコは、さっきより大きくなっている気がした。恥ずかしさに意識が飛びそうになったが、唇を噛んで堪えた。いけないことだと分かっているのに、自分でもどうしようもなく、***のお腹の奥はじわじわと熱くなっていく。逃げるように浮かせた腰を強く抑えつけられて、赤い瞳にじとっと睨まれた。不機嫌に尖った唇で銀時が言った。
「俺、たんじょーびなんですけど。***に触りたくてしょーがなかったんですけどぉ!朝からずーっと我慢してたんですけどぉぉ~!!呼んでもねぇ奴らばっか来やがるし、しかもなかなか帰らねぇし、どーせお前はダメって言うだろーし、すんげぇ触りてぇのを必死でこらえたっつーのによォォォ!!!」
「ぎ、銀ちゃんっ、そ、それは、その」
「もぉー…限界だってマジで」
腰を揺すったままで銀時は、はだけた***の胸に顔をうずめた。そしてものすごく苦しそうに「はぁっ」と息を吐いた。お尻でこすられているモノが一段と硬く感じて、***は「ひぇッ」とうろたえた。ささやかな乳房に顔面を押し当てた銀時が、くぐもった声を出した。
「……っと……た、」
「えっ、な、なんて……?」
「やっと……ふたりんなれた、***と」
「っっ……!!」
はぁはぁ、と荒い息がこもって胸元が熱い。興奮しきった銀時が***の腰をかくかくと揺らし続ける。ひたすら下半身をこすりつける姿は何だか自慰行為のようで、そんなものを見てるのは気まずくて仕方がなかった。
それなのに***の心臓は勝手にとくとくと高鳴って、恥ずかしいのと同じくらい、ときめいていた。
———こんな時に喜んじゃダメなのに、私とふたりになりたいって銀ちゃんが思ってたことが嬉しくて……こんなに苦しくなるまで触りたいって、銀ちゃんが求めてくれたことにドキドキしちゃって……どうしよう、私までこんなんじゃ、帰れなくなっちゃう……
腰骨のあたりを痛いほど強く掴まれて前後に動かされながら、***は銀髪頭に両腕をまわして胸にぎゅうっと抱いた。うつむいて天然パーマのふわふわと跳ねる毛先に顔を埋めたら、銀時の香りに包まれて愛おしい気持ちが溢れ出した。
「銀ちゃん……いっぱい、我慢させてごめんね?もうふたりきりだから、その、触ってもいいんですけど……でも、あの、私ひとつだけ心配があって……」
「はぁっ、あっ、んあぁ……?んだよ心配って」
「あ、あのね……こういうカラオケボックスってさ、ぼ、防犯カメラとかついてて……お店の人が見てたり、しない、のかな……?」
「っ!!!」
***が尋ねた瞬間、銀時がパッと頭を上げた。そして部屋を見渡して、天井の隅っこにあるドーム型の黒い機械に目をやった瞬間「しまった!」という顔をした。
それが本当にカメラなのかは分からない。だが、しかめつらをした銀時が「チッ」と舌を打つと、***の着物の襟をひっつかんでバババッと元に戻した。濡れた服が冷たくて、***は肩をきゅっとすくめた。
「あっっっぶねぇぇ~~~!!あともーちょっとで、お前の裸を知らねーヤツに見せちまうとこだったわ……。あ゛~~~~……でも、まぁ、アレだな……見られてんの分かってて、カメラに向かって服ひん剥くってのもアリだな。ドMな***ちゃんが〝やだぁ銀ちゃん、***のえっちなトコ丸見えだよぉぉ″って、よがりまくって悦ぶっつーのも、なかなか……うぉー!ヤッベぇぇぇ〜!そっちも捨てがてぇけドゴァアアッ!!痛ってェ!あにすんだよ***!!!」
ソファに転がっていたペットボトルを拾って、***は銀時の横っ面をバコンッと叩いた。プラスチック容器がほっぺたにめり込んで痛そうだったが、とんでもないことを言った銀時が悪い。わなわなと震えながら***は声を荒げた。
「ししししっ、信じられない!そんなこと絶対しないです!銀ちゃんの変態ッ!!お誕生日だからって何でもかんでも許すと思わないで下さい!!!」
「んだよ、冗談だよ冗談~。銀さんがテメェの女の身体を、よそのヤツらに見せるわけねぇだろーが。ってか、こんなトコでいつまでもグダグダしてんじゃねーよ***。さっさとずらかろうぜ」
「だ、だから私はっ!最初っから早く帰ろうって、銀ちゃんのこと一生懸命起こしてたんですよぉぉぉ!」
「あーハイハイ、起きたよ、約束どおり起きただろーが。銀さんが起きたついでに、***のおかげで銀さんジュニアまで起きちまってるから!シャキッとどころかビッキビキだから!家帰るのなんざぜってぇ待てねぇからァァ!お前ちゃんと責任取れよな!!」
「なっ、そっ、そんなのどうすっ、うわぁああ!!?」
急にぐらっと身体が傾いて、顔がソファの背もたれに近づいた。鼻先からぶつかると身構えた瞬間、全身がふわっと浮いた。視線が高くなったと気づいた時にはもう、銀時の肩にお腹を乗せるように担がれていた。
銀時は片手で***を軽々と持って、立ち上がると部屋を出る。すたすたと歩く白い着物と黒いシャツの背中を、***は両手でポカポカと叩いた。
「ちょちょちょちょちょっとっ、銀ちゃん!!?」
何するんですか!?どこ行くんですか!?
まくしたてながら首を持ち上げたら、肩越しに振り返った銀時と目が合った。さっきより酔いの醒めた顔は、なぜか得意げな表情を浮かべている。
三日月形の目でニヤニヤ笑って銀時は言った。
「何するって、そりゃナニをすんだろーがァ!どこ行くって、このカラオケのすぐ隣の、ラブホに行くに決まってんだろーがァァ!!分かりきったこと聞くんじゃねーよ***~~~!!!お前は知らねぇだろーがなぁ、宴会のあいだ俺がせっせと神楽に飯食わせ続けたおかげで、アイツあんなにぐっすり寝てんだからな!?二次会だってわざわざ、ラブホのそばの店に行くように仕向けた銀さんの健気な努力を、水の泡にさせてたまるかっつーのォォォ!!!」
「なっ……!?う、嘘ッ!!??」
驚愕した***を見て、銀時は「嘘じゃねーよ」と愉快そうに笑った。他の客たちの歌声が漏れる廊下をずんずん進み、ギャーギャー騒ぐふたりの姿にポカンとする店員の前を通過して、自動ドアから外に出た銀時の足は迷うことなく隣の建物へ向かった。
必死で首をねじった***の目に、どぎついピンク色の看板が飛び込んできた。音もなく開いたホテルのドアに、銀時が足を踏み入れる。そして閉まり行くドアに***と、***の「ひぇぇぇっ」という悲鳴が飲み込まれて、そして跡形もなく消えていった。
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【(3)口うつす】to be continued.
((こらえきれない渇きを癒すため))
☆若干ですが大人向けな表現があります
☆ぬるいですが性的描写を含む為、苦手な方はお戻りください
【(3)口にふくむ】
「銀ちゃん、起きてくださいよぉっ……!」
カラオケボックスに***の声が響いた。
べろべろに酔っぱらった成人男性、しかも身長177センチを、女ひとりで介抱するのはかなりの重労働だ。
ましてや小柄な娘のひ弱な力では限界がある。そんなことは分かりきっていたのに、誕生日会がお開きになった時、銀時の面倒を見られるのは***しかいなかった。
そのいきさつは数時間前、まだ万事屋で宴会をしていた時にさかのぼる。
「げぇ~~~っぷ、***~~、私苦しいアル」
「大丈夫、神楽ちゃん?少し横になろうか?」
宴もたけなわの頃、神楽は出された料理のほとんどを食べ尽くして眠たそうだった。和室に連れて行き、布団を敷くとすぐにイビキをかきはじめる。神楽に毛布をかけてやり、***がふたたび席に戻ると二次会の話題が出ていて、場所もすでにカラオケと決まっていた。
神楽と留守番すると***が言った時、銀時は「たまにはお前も羽目外せよな」と眉をしかめた。
苦手なカラオケに二の足を踏んだが、「留守番は任せろ」という定春に背中を押し出され、銀時に手を引かれたら行かざるを得なくなってしまった。
「***さんも歌いましょうよ!」
「し、新八くん、私はいいよ、音痴だから」
「お通ちゃんの歌ならいいじゃないですか!せっかく僕らファン同士でカラオケに来てるんだから、デュエットしましょうよ!」
ひたすら聞き役に徹する***に、新八が声をかけた。いつもは客の歌を聞いてばかりのお登勢が、こぶしの利いた演歌を披露していた。お妙はキャバクラ仕込みの懐メロを歌って、長谷川さんを大喜びさせた。キャサリンの選んだ曲はどこの星の言葉か分からない歌詞だったが、とにかくカラオケは大盛り上がりだった。
「お通ちゃんのこの曲はどうですか?これなら***さんも歌えるはずです!ねぇいいでしょう?」
そう言って新八がタッチパネルを見せてくる。そんなにキラキラした目で誘われたら断りにくい。迷いながら***は、テーブルの向こうの銀時をチラッと盗み見た。好きな人の前で歌を歌うのはかなり勇気がいる。
だが銀時はカラオケにさして興味がないようで、ずっとお酒とパフェに夢中だ。それらを交互に貪っては、時折「よっ、団地妻!いいぞ!」とテキトーな合いの手を入れてゲラゲラ笑っていた。
———う~~ん、この雰囲気なら、大丈夫かなぁ……?銀ちゃん、酔っぱらっててデザートに夢中だし、歌なんて別に聞いてなさそうだし……
「じゃ、じゃあ一曲だけ、新八くんも一緒なら……」
「やった!さぁ、***さん行きますよ!」
「えっ、ま、前で歌うの!?」
『お前の母ちゃん××だ!』のイントロが爆音で流れ出す。立ち上がった新八が***の手をつかみ、浮かれた調子で前に出る。モニターを背にして立ったふたりに「いいぞいいぞ!」と声が上がった。みんな見知った顔とはいえ、人前で歌うのは緊張する。あわわ、と***が冷や汗をかくと、銀時が遠くから声を張り上げた。
「おッ***!やれやれぇ!やっちまえ~!おひねり貰えるくれぇのエッロいサービスしてみやがれ~、うぐぁぁあ!痛ってぇ!何しやがる、このゴリラ女ァ!!」
下品な声援を送った銀時を隣のお妙が殴っている。それを見た***は吹き出して、緊張が解けた。新八と一緒に歌いはじめて、最初はぎこちなかったが2回目の「お前それでも人間か!」の時にはしっかり声が出た。
「「あなたのホクロ~、私のホクロ~、今ふたり~、重なりあって~~~♪」」
覚えてるから歌詞は見ない。盛り上がった新八と***は微笑みながら、デュエットらしく見つめ合った。曲が終盤にさしかかった頃、泥酔した長谷川さんが飛び入り参加してきて、両手でマイクを握りしめる***に近寄った。ご機嫌な新八と長谷川さんの間に挟まれて、気づいた時には仲良く3人で肩を組んで歌っていた。
「「「お前っ、それでも人間かっっっ!!お前の母ちゃんっ、××だっっっ!!!」」」
カラオケって意外と楽しい!そう思って***はアハハと笑った。ふと顔を上げると手拍子を打つお妙の向こうで、真顔の銀時がこちらを見ていた。視線がかち合ったので、***はひらひらと手を振った。すると銀時は口角をほんの少し上げて、わずかに笑っただけですぐに目を逸らした。そしてパフェの残りをかきこみ、お酒をごくごく飲み干していた。
もっと歌いましょうよ、という新八の誘いは断った。今やテーブルには空のジョッキが転がっている。酔いのまわった銀時がソファにふんぞり返った頃、パーティーは幕を閉じた。寺門通メドレーを歌い上げた新八は、満足げな顔でお妙と共に帰っていった。
そうして、***とお登勢とキャサリンと、酔いつぶれたマダオがふたり、カラオケボックスに残されたのだった。
「「ぐがぁぁぁぁぁ~~~」」
「全く……これだからコイツらはイヤだよ」
ソファで眠るオッサンふたりを見下ろして、お登勢が吐き捨てるように言った。とっくに皆帰ったのに、酔いつぶれた銀時と長谷川さんだけがそこから動かない。
大口を開けて眠るふたつの顔を眺めたお登勢が、タバコを吹かしながら言った。
「ちょいとキャサリン、このグラサンかけた粗大ゴミを外に捨ててきとくれ。それからこっちの浮かれたバカは……***ちゃん頼めるかい?会計は30分延長して払っとくから、引っぱたくなり水ぶっかけるなりして、叩き起こして連れて帰りゃァいいよ」
「はい、お登勢さん、今日はありがとうございました。ちゃんと起こして帰りますから、あとは任せて下さい。銀ちゃん、起きて!もうカラオケおしまいだよ。お家に帰りますよー!」
「ん゛ぁ~~~……俺、今日たんじょーび、なんれすけど~……おっ、結野アナぁ~~、もう一杯おかわり、くらさぁ~~~い!!」
「け、結野アナなんて居ないよ!しっかりしてください!ホラ、立ってよ銀ちゃん!!」
長谷川さんを引きずるキャサリンとお登勢が出ていき、ドアがバタンと閉まると、***は途方にくれた。座っている銀時の身体が、ソファの背もたれを伝ってずるずる横へ傾いていく。その両腕を掴んで必死に引っぱる。立ち上がらせたいのに、65キロの身体は全然持ち上がらない。うぎぎ、と***が歯を食いしばっても、銀時が寝っ転がらないよう抑えるので精いっぱいだ。
「銀ちゃん、起きてくださいよぉっ……!」
その声も届かず、銀時はまぶたを閉じたまま、まだ***を結野アナと勘違いしている。「サインくらさい。あと写真もぉ」と銀髪頭がぐらぐらと船をこぐ。
呆れかえった***は「もぉっ!」と声を荒げて、両腕を乱暴に引いた。倒れかけていた上半身がなんとか真っ直ぐになった。ソファからお尻が落ちそうな座り方で、黒いシャツの胸元はでろんと伸びてだらしない。机からミネラルウォーターのペットボトルを手に取り、銀時のほほにそっと当てるとゆっくりまぶたが開いた。
「んあぁ゛……?あんだ、***かよ」
「ゎ、悪かったですね、結野アナじゃなくって!もう起きるよ銀ちゃん!早くお家に帰らないと!」
そう言って***はふたたび銀時の腕を掴もうとした。しかし掴む前にその腕がパッと動いて、大きな手が***の背中に回った。気づいた時には銀時の腕が腰に絡みついていて、強く引き寄せられた。前につんのめって倒れそうになり、慌てて銀時の脚をまたいでソファに膝をつく。とっさに両手を背もたれに置くと、腕の間に銀髪頭があった。「うわわッ」と声を上げて前かがみになったら、銀時の顔面が***の胸にむぎゅっと当たった。
「んんッ……!!んおおぉ~ッ!!***ちゃんってば、だいたぁ~ん!!自分からおっぱいこすりつけてくるなんざ今日はやけに積極的じゃねーかぁぁ!!!え、なに?もしかして誕生日の銀さんに、特別大サービスですかァァァ!!?」
「ちちちちちがッ、銀ちゃんがいきなり引っぱるから、よろけちゃっただけですっ!ヤダ、ちょっと、はっ、離してよぉ!!」
「ヤだね~!ぜってぇ離しません~!***からくっついてきたんだし。おっぱいは触れる時に触っとかないとねって武蔵っぽい人も言ってたしぃ。それに***の小せぇおっぱいをふにふにできる機会なんざ、そうめったに無ぇしぃぃぃ~~~!!!」
「ち、小さくて悪かったね!銀ちゃんの馬鹿!」
「イテテテテ!おいッ***やめろッ」
***の乳房にほっぺたをすりすりしている銀時の脳天を、持っていたペットボトルでポカッと叩いた。痛がる隙に身体を離して、肩を両手で押し返す。銀時は「何しやがる!」と怒鳴ったが、ろれつが回らず「らりひやがる!」に聞こえた。そして背もたれに寄りかかるとまたウトウトしはじめたから、慌てて***はそのほほをぺちぺちと叩いた。
「ダメだよ銀ちゃん、寝ちゃダメ!寝ないでください!もう帰らなきゃいけないんだってばぁ!」
「っだよぉ***~……めんどくせーから、もうここに泊まってけばいーじゃねーかよぉ~」
「カラオケ屋さんには泊まれないんだよぉ!あ、ほら、お水飲んでください!お願いだから目を覚まして!!」
ペットボトルのふたを開けて、銀時の口元に添えるとゆっくり傾けた。厚い唇がぴくりと動いて飲もうとしたが、うまく飲めずに口端からポタポタと垂れてしまう。
あごと首を伝った水が黒いシャツの襟と、襟のなかのはだけた胸まで濡らした。「あわわ」と慌てた***が、濡れた首や胸元をハンカチで拭っていると、その手首を急にガシッと掴まれた。
「銀ちゃん?お水、自分で飲めますか?」
「んー……飲めねぇ……なぁ、***ー……」
鼻にかかった甘えるような声にドキリとする。
銀時はソファの背に頭をもたれてこちらを見ていた。モニターの明かりだけの薄暗い部屋で、銀色の髪が鈍く光る。どよんとした赤い瞳が少し潤んでいるのが艶っぽかった。その瞳と見つめ合うと、***の脳裏に突然、数日前の夜の蜜事がよみがえった。
四畳半のアパートでお布団に組み敷かれて、いまと同じ低くかすれた声で何度も名前を呼ばれたっけ。抱かれている間ずっと吐息まじりで「***」と囁かれて、そのたび我慢できずに幾度も達してしまった。
———こんな時に何てことを思い出してるんだ私は!
いやらしい記憶を思い出したことが恥ずかしくて、顔がぶわっと熱くなる。しっかりしろ***!と声もなく自分を励ましていると、いきなり腰を大きな手で掴まれて、ぐいっと引き寄せられた。
銀時の脚の上に座り込むと着物の裾がパカッと開いた。露わになった膝頭が革張りのソファにあたり、冷たくて「ひゃっ」と小さく叫んだ。そんな***を細めた目で眺めていた銀時が、静かに口を開いた。
「***……飲みてぇ」
「えっ、な、なに?」
「水、飲ませてくれよ」
「だから、さっき飲ませて、」
「ちげぇ、そーじゃなくて***の口で、飲まして」
「なっ……!」
「ホラ早く、のど渇いて、銀さん死にそー」
えぇっ!?と声を上げ、***は困り果てた。銀時の赤い瞳は物欲しそうに上目づかいでこちらを見てくる。ぐったりした顔はすこし苦しそう。このまま放っておいたらまた眠ってしまいそうだ。腰に絡みついた腕はかたくなに離れない。ペットボトルを渡したところで銀時は受け取らないだろう。
羞恥心に赤みを帯びた顔の***が、どうしようどうしようと目を泳がせると、銀時は駄々をこねる子どものように「なぁなぁ~、はやくぅ~、銀さん今日誕生日ぃ~!」と急かした。
「~~~っぎ、銀ちゃん、ぉ、お水飲んだらシャキッとしてくれる?ちゃんと起きるって約束してくれます?」
「するする。ぜってぇ起きるってぇ」
意を決して***はミネラルウォーターを口に含んだ。銀時の太ももをまたいで膝立ちになる。自分から顔を寄せて口づけることが、死ぬほど恥ずかしい。
おずおずと寄せた唇が銀時の唇に触れただけで頭が破裂しそうになった。ギュッと目をつむって固まっていたら、お酒の香りのする唇が開いて「早くよこせ」求めてきた。右のほほを銀時の手で包まれると同時に、***はおそるおそる結んでいた唇を緩めた。含んでいた水をゆっくり流し込むと、上を向いて反った銀時のノドがごくごくと鳴った。
「ぁッ……、ふ、ぁ……っ、」
冷たかった水は***の口で温められていた。ぬるい水を一滴も残さず飲み干されて、恥ずかしさに眩暈を起こしそう。唇を離すと銀時が「んぁ」と息を吐いて、甘い香りが***の鼻先をかすめた。真っ赤に染まった顔を背けて、逃げるように立とうとしたが、腰に巻きつく腕のせいで、***は足を床につくことすらできない。
「ぎん、ちゃ、ぉ、みず、飲んだから、もぉっ……んっ——!?んむっ!?」
「これっぽっちじゃ、足りねぇよ***」
ほほに添えられていた手で、顔の向きをぐいっと戻された。奪われたペットボトルの飲み口が***の唇に押し当てられる。乱暴に傾いた容器から大量の水が注ぎこまれて、あわてて口を開く。が、***の小さな口に入りきらなかった水が、ぼたぼたっと溢れた。
「もっかい、おかわりな」
「ふッ!?んんぅッ———!!」
後頭部をわしづかみにされて、***は無理やり引き寄せられた。重なった唇を舌で荒々しくこじ開けられて、口の中の水がだぁっと流れ出す。驚きで見開いた***の瞳を、酔って潤んだ赤い瞳がじっと見つめ返した。
銀時の首でのど仏が数回大きく揺れて、その度にごっくんと飲み込む音がした。
二度目の口移しが終わっても唇はなかなか離れない。ねじこまれた厚い舌が、***の口の中で好き勝手に動いた。ヤケドしそうなほど熱いほほの内側の、どこもかしこも舐め尽くされる。上あごにわずかに残る水滴まで、ざらついた舌先で全てさらわれたら、***の肩がびくっとした。唇についた唾液まじりの水を吸い取るように銀時の唇がちゅうっと鳴って、ようやく離れた。
「あー……うめぇ、***も飲む?」
「はぁ、あ、ゃ、なにっ、ぎんちゃ、あっ!」
飲むなんて答えてないのに、銀時は瞬く間に口に水を含むと、避ける間もなく***に口づけてきた。勢いよく注がれたせいで、ほとんど飲みきれずに唇からだらだらと零れた。大量の水が***の震える首を伝って、髪の毛先や着物の胸元までぐっしょりと濡らした。
「んぅっ!ふ、ぁっ……も、もぉっ、やだぁ!ゎ、たし、飲むって言ってないのに、な、にするんですかっ、ぃ、いきなり!」
「オイオイ***、めっさこぼしてんじゃん。ごっさ濡れてんじゃん。こんなん着てたらお前風邪ひくぞ」
「だって銀ちゃんが、って、え、ちょ、ちょっと待っ、きゃぁッ!なにやって、」
喋っている途中で、銀時が***の首に触れた。熱い手のひらが濡れた首筋をすべって降りていく。くすぐったくて「っっ、」と息を飲む。湿った着物の胸元まで、じっとりした手つきで撫でられたら、背中がぴくぴくと震えてしまった。
濡れて肌に張りついた襟の合わせに、太い親指が潜り込んできて、くいっと軽く開く。はだけた胸元を手で押さえて、***はヤダヤダと首を振った。だが銀時は意に介さずに「もったいねーな」と首筋に顔を寄せてきて、そこに流れる水滴を舌で舐め取った。ぬるついた舌で撫でられたら、首から背中へと電流が走ってさっきよりも激しくビクビクと飛びはねた。
「ひゃあッ———!」
「んあ゛?あれぇ~?なに今の声ぇ~?***~、お前もしかして感じてんの?首舐められただけで、気持ちよくなっちゃってんのぉ~?」
「っ……な、なってない!」
「嘘つけ。こんなとこまで真っ赤っかにしちまってさぁ、銀さんに触られてもっと良くしてもらうの期待しちゃってんだろ、ホントは?」
ニヤけた銀時がさらに***の襟を開く。襦袢ごと肩からずりおちて、ブラジャーのふちまで見えている。白い胸元は恥ずかしさに染まって薄紅色をしていた。
そこに銀髪が沈んでいくのを呆然と見下ろす。浅い胸の谷間に流れこんだ水滴を、じゅうっと吸われたら「あうッ」といやらしい声が漏れてしまった。
———どうしようっ、こんなの絶対ダメなのに……!
カラオケボックスの一室でいつ誰が来るか分からない。そんな場所で抱き合うだけでもいけないのに、口移しで水を飲ませるなんて他人に見られたら大問題だ。
それなのに銀時の手は止まらなくて、***の服まで脱がそうとしている。湿った布がはりつく胸を手のひら全体で包んで、服の上からむにゅむにゅと揉みはじめた。指が食い込むほど強く揉まれたら、乱れた着物が下着と共にどんどんずり下がっていく。
「あっ、ゃ、やぁっ——、ね、ねぇ、ぎんちゃっ……こ、こんなの、ダメだよぉっ……!」
「ダメじゃねぇって、だいじょぶだってぇ~。***だって泣きそーになるほど気持ちいーんだろ?こーやって、おっぱい強くされんの、お前好きだもんなぁ?」
「~~~~っす、好きじゃないっ……!そ、それに、人に、見られちゃう、ってばぁ!」
「誰も見てねぇし。俺たちしか居ねぇし、安心しろよ。ホラ、ちゃーんとここもいじってやっから、大人しく感じてろってぇぇ」
「や、ぎんっ、ぁ、ぁああッん———!!」
こねるように膨らみを揉んでいた長い指が、ブラの中にするりと入ってきた。柔らかな胸の先端を指の腹でさすられて、それだけで***の首がのけぞる。わずかに硬くなった蕾を指先でつままれて、ぎゅうっと力を入れられたら腰がかくんと折れた。ぴんっと勃った突起を、骨ばった親指と人さし指でくにゅくにゅと潰されて、***は「あっ、あっ」と情けない声を上げた。
ぺたりと膝をついて銀時の脚の上に座り込むと、着物の中でショーツのお尻に何かが当たった。それが銀時の黒いズボンの中で硬くなりつつあるモノだと気づいた途端、***の頭からボンッと湯気が出た。こんな所で銀ちゃんと最後までしちゃうの?想像するとひどい羞恥心に襲われて、***は思わず叫んだ。
「ぎ、銀ちゃんっ!こ、ここじゃ、やだぁ……こ、な、所で、私っ……ね、ねぇ、せめて……おうちに、帰ってからっ……!」
「あ゛ぁ゛?家に帰ってからって……っだよソレ、お前だけ良くなってて、んなやらしい顔してるくせに、俺にはおあずけ食らわすのかよ?はぁ~~~?信じらんないんですけどぉ~~~……お前、俺が今日どんだけ我慢したと思ってんの?俺の誕生日だってのに、***は俺じゃねぇ男とイチャイチャしちゃってるしさァ~~~。それっておかしくないですかァァァ~~?」
「へぁっ……!?なん、でっ!?ゎ、たし、誰とも、いちゃいちゃなんて、してなっ、」
「してただろーが。新八と手ぇ繋いで、にゃんにゃん笑いながら歌ァ唄ってたろ?銀さん見てたからね?長谷川さんに肩抱かれて、***がすっげぇ楽しそうにヘラヘラしてたのも、ちゃ~んと見てたからね~?言っとくけどアレだよ?童貞メガネもグラサンも、あんな見た目でもれっきとした男だからね?あんな簡単に身体触らせて、あんな風に笑ってたら、野郎ども喜んで乳繰り合ってんのと一緒だかんね!?」
「ち、乳繰りっ……!?ち、違います!だってあれは、お通ちゃんを歌っただけで、わざとしたわけじゃなっ、うわわ!?っっ、ゃ、ぁ、当たって、」
弁解している途中で、銀時の両手が***のくびれを掴んだ。そのまま腰を前後に揺すられると、その動きはまるで向き合ってするセックスみたいだった。他の男とイチャついてたなんて言いがかりに歯向かいたいのに、衣服越しに下半身をこすり当てられて、言葉が出なくなってしまった。
薄いショーツ1枚だけの恥ずかしい場所に、強く押し当てられた銀時のソコは、さっきより大きくなっている気がした。恥ずかしさに意識が飛びそうになったが、唇を噛んで堪えた。いけないことだと分かっているのに、自分でもどうしようもなく、***のお腹の奥はじわじわと熱くなっていく。逃げるように浮かせた腰を強く抑えつけられて、赤い瞳にじとっと睨まれた。不機嫌に尖った唇で銀時が言った。
「俺、たんじょーびなんですけど。***に触りたくてしょーがなかったんですけどぉ!朝からずーっと我慢してたんですけどぉぉ~!!呼んでもねぇ奴らばっか来やがるし、しかもなかなか帰らねぇし、どーせお前はダメって言うだろーし、すんげぇ触りてぇのを必死でこらえたっつーのによォォォ!!!」
「ぎ、銀ちゃんっ、そ、それは、その」
「もぉー…限界だってマジで」
腰を揺すったままで銀時は、はだけた***の胸に顔をうずめた。そしてものすごく苦しそうに「はぁっ」と息を吐いた。お尻でこすられているモノが一段と硬く感じて、***は「ひぇッ」とうろたえた。ささやかな乳房に顔面を押し当てた銀時が、くぐもった声を出した。
「……っと……た、」
「えっ、な、なんて……?」
「やっと……ふたりんなれた、***と」
「っっ……!!」
はぁはぁ、と荒い息がこもって胸元が熱い。興奮しきった銀時が***の腰をかくかくと揺らし続ける。ひたすら下半身をこすりつける姿は何だか自慰行為のようで、そんなものを見てるのは気まずくて仕方がなかった。
それなのに***の心臓は勝手にとくとくと高鳴って、恥ずかしいのと同じくらい、ときめいていた。
———こんな時に喜んじゃダメなのに、私とふたりになりたいって銀ちゃんが思ってたことが嬉しくて……こんなに苦しくなるまで触りたいって、銀ちゃんが求めてくれたことにドキドキしちゃって……どうしよう、私までこんなんじゃ、帰れなくなっちゃう……
腰骨のあたりを痛いほど強く掴まれて前後に動かされながら、***は銀髪頭に両腕をまわして胸にぎゅうっと抱いた。うつむいて天然パーマのふわふわと跳ねる毛先に顔を埋めたら、銀時の香りに包まれて愛おしい気持ちが溢れ出した。
「銀ちゃん……いっぱい、我慢させてごめんね?もうふたりきりだから、その、触ってもいいんですけど……でも、あの、私ひとつだけ心配があって……」
「はぁっ、あっ、んあぁ……?んだよ心配って」
「あ、あのね……こういうカラオケボックスってさ、ぼ、防犯カメラとかついてて……お店の人が見てたり、しない、のかな……?」
「っ!!!」
***が尋ねた瞬間、銀時がパッと頭を上げた。そして部屋を見渡して、天井の隅っこにあるドーム型の黒い機械に目をやった瞬間「しまった!」という顔をした。
それが本当にカメラなのかは分からない。だが、しかめつらをした銀時が「チッ」と舌を打つと、***の着物の襟をひっつかんでバババッと元に戻した。濡れた服が冷たくて、***は肩をきゅっとすくめた。
「あっっっぶねぇぇ~~~!!あともーちょっとで、お前の裸を知らねーヤツに見せちまうとこだったわ……。あ゛~~~~……でも、まぁ、アレだな……見られてんの分かってて、カメラに向かって服ひん剥くってのもアリだな。ドMな***ちゃんが〝やだぁ銀ちゃん、***のえっちなトコ丸見えだよぉぉ″って、よがりまくって悦ぶっつーのも、なかなか……うぉー!ヤッベぇぇぇ〜!そっちも捨てがてぇけドゴァアアッ!!痛ってェ!あにすんだよ***!!!」
ソファに転がっていたペットボトルを拾って、***は銀時の横っ面をバコンッと叩いた。プラスチック容器がほっぺたにめり込んで痛そうだったが、とんでもないことを言った銀時が悪い。わなわなと震えながら***は声を荒げた。
「ししししっ、信じられない!そんなこと絶対しないです!銀ちゃんの変態ッ!!お誕生日だからって何でもかんでも許すと思わないで下さい!!!」
「んだよ、冗談だよ冗談~。銀さんがテメェの女の身体を、よそのヤツらに見せるわけねぇだろーが。ってか、こんなトコでいつまでもグダグダしてんじゃねーよ***。さっさとずらかろうぜ」
「だ、だから私はっ!最初っから早く帰ろうって、銀ちゃんのこと一生懸命起こしてたんですよぉぉぉ!」
「あーハイハイ、起きたよ、約束どおり起きただろーが。銀さんが起きたついでに、***のおかげで銀さんジュニアまで起きちまってるから!シャキッとどころかビッキビキだから!家帰るのなんざぜってぇ待てねぇからァァ!お前ちゃんと責任取れよな!!」
「なっ、そっ、そんなのどうすっ、うわぁああ!!?」
急にぐらっと身体が傾いて、顔がソファの背もたれに近づいた。鼻先からぶつかると身構えた瞬間、全身がふわっと浮いた。視線が高くなったと気づいた時にはもう、銀時の肩にお腹を乗せるように担がれていた。
銀時は片手で***を軽々と持って、立ち上がると部屋を出る。すたすたと歩く白い着物と黒いシャツの背中を、***は両手でポカポカと叩いた。
「ちょちょちょちょちょっとっ、銀ちゃん!!?」
何するんですか!?どこ行くんですか!?
まくしたてながら首を持ち上げたら、肩越しに振り返った銀時と目が合った。さっきより酔いの醒めた顔は、なぜか得意げな表情を浮かべている。
三日月形の目でニヤニヤ笑って銀時は言った。
「何するって、そりゃナニをすんだろーがァ!どこ行くって、このカラオケのすぐ隣の、ラブホに行くに決まってんだろーがァァ!!分かりきったこと聞くんじゃねーよ***~~~!!!お前は知らねぇだろーがなぁ、宴会のあいだ俺がせっせと神楽に飯食わせ続けたおかげで、アイツあんなにぐっすり寝てんだからな!?二次会だってわざわざ、ラブホのそばの店に行くように仕向けた銀さんの健気な努力を、水の泡にさせてたまるかっつーのォォォ!!!」
「なっ……!?う、嘘ッ!!??」
驚愕した***を見て、銀時は「嘘じゃねーよ」と愉快そうに笑った。他の客たちの歌声が漏れる廊下をずんずん進み、ギャーギャー騒ぐふたりの姿にポカンとする店員の前を通過して、自動ドアから外に出た銀時の足は迷うことなく隣の建物へ向かった。
必死で首をねじった***の目に、どぎついピンク色の看板が飛び込んできた。音もなく開いたホテルのドアに、銀時が足を踏み入れる。そして閉まり行くドアに***と、***の「ひぇぇぇっ」という悲鳴が飲み込まれて、そして跡形もなく消えていった。
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【(3)口うつす】to be continued.
((こらえきれない渇きを癒すため))
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