かぶき町で牛乳配達をする女の子
牛乳(人生)は噛んで飲め
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【pm.1:00】
自分の腕のなかで、ぐったりとしている小さな身体を見下ろして、銀時はため息をつく。どうすんのこれ、と言いながら歩いて向かうのは、もちろんあのボロアパート。
横抱きにした***の身体から、力なくだらりと垂れ下がった腕と足は、薄紅色に色づいている。桜並木を歩きながらふと桜を見上げると、ピンク色の花びらが落ちてきた。その花びらとほとんど同じ色をしている、***の閉じた目元を見て、銀時はもう一度深いため息をついた。
神楽に連れられて桜の木の下に戻った時には、既に数人が、酔っ払った***の犠牲になっていた。
周りが気付いた時には、***は沖田の肩で支えられ、骨抜きの状態でふにゃふにゃになって座り込んでいたという。「この子、顔が真っ赤だが大丈夫かね」と言って近づいたお登勢に、ぱっと目を開けた***が、突然抱き着いた。
「お登勢さぁん、お母さんみたいに優しくって、粋な江戸っ子でとってもすてきぃ、私、お登勢さんのことだいすきですぅ~」
そう言った***が、呆気に取られたお登勢のほほに唇を寄せ、ちゅっと音をたてて口づけした。その後、すぐ隣にいたキャサリンにも「猫耳かわいいですねぇ、私すっごく憧れます、似合ってていいなぁ、かわいいなぁ~」と言って抱き着き、ほほに唇を寄せた。
「ヤ、ヤメロ!酔ッテ、キス魔ニナル女ハダイキライダヨ!」
そう言って、キャサリンが***を突き飛ばす。
「っきゃぁ!やだぁ、キャサリンさん照れてるんですか、あははぁ~…」
「まぁ、***さんったら、とってもお酒弱いのね、大丈夫ですか?」
「お妙さん…かぶき町の女王様は今日もとってもお綺麗ですね、美しくて弟思いのお妙さんみたいなお姉ちゃんが、私も欲しかったなぁ…」
「まぁ嬉しい。わたし年下ですけど、***さんのこと妹みたいに可愛いなって思ってますよ」
微笑んだお妙にぎゅうっと抱き着くと、その白いほほにも口づけした。ふふふと微笑み合うお妙と***の後ろに、突然大きな身体の男が現れる。
「***ちゃん!いかん、いかんよォ!いくら可愛い***ちゃんでも、俺のお妙さんに接吻するなんて言語道断!お妙さん、あなたの美しい顔はこの男、勲が必ずや物にしてみせますからね、まずは間接的に***ちゃんの唇を、そのまま俺のほっぺに…グギガッ!!!」
お妙の拳が脳天に直撃して、近藤はレジャーシートを突き破り、地面にめり込んだ。
「変態ゴリラがァ…なぁにどさくさに紛れて***さんにキスしてもらおうとしてんだぁ?お前は野生のゴリラらしく、土にもぐってミミズと接吻しやがれぇぇぇ!!!」
土に埋まった近藤の身体を、お妙がさらにガンガンと蹴り落とす。その力の強さに、土や砕けた石が周りに飛び散る。すぐそばでヘラヘラと笑って座り込んでいる***を、新八が「危ないですよ***さん、下がって!」と慌てて避難させる。
「わぁ、新八くん!私ねぇ…最近の新八くん、たくましくなって、どんどん大人になっててすごいなぁって感心してたんだよぉ…ツッコミもキレッキレだし、メガネもますます似合うようになってぇ……えへへ、新八くん……だいすきぃ」
「………っ!!***さん、ななななななにするんですか!う、うわァァァァァ!!!!!」
突然首に腕を回して抱きつかれ、童貞の新八は顔を真っ赤にする。ふわりと柔らかい何かが、かすめるようにほほに触れる。目だけを動かして横を見ると、閉じた***のまぶたが見えて、驚愕する。ここに***さんの長いまつげがあるということは、ほほに感じるこの柔らかい感触は…く、唇ぅ!!
そう思った直後、新八は噴水のような鼻血を出して、ばったりと倒れ、そのまま気を失った。
「***!ドSに酒飲まされてからおかしいネ!どうしたのヨ!新八なんかにちゅーするなんて頭イカれたアルか?しっかりするヨロシ!」
ふらつく***の両肩を持って、神楽がぐらぐらと揺らす。
「うわわ、目が回るよぉ…ふふふ、神楽ちゃんがいっぱい見えるぅ~あはは、私ねぇ、強くてとっても優しくって妹みたいにかわいい神楽ちゃんが、だいすきなの……ずっとずぅっと友達でいてねぇ」
とろんとした***の目の中で、潤んだ瞳がゆらゆらと揺れる。子供の神楽でさえ、酔った***の顔が、いつもより扇情的で色気が増していることが分かる。
今まさに自分に抱き着いて、ほほにちゅうっと口づけている***の肩を抱くと神楽は、眉間にシワを寄せて、これじゃダメだ、と思う。こんなふにゃふにゃの身体で、全身桜色に染めて、誰彼かまわずキスして回るような女が、男ばかりの場所にいたら、あまりにも危険。
「ちょっと***待ってるネ!銀ちゃん呼んでくるから、おとなしくしててヨ!銀ちゃんがここにいる腐った男ども全員倒してくれるアル、私が戻ってくるまで、誰にも抱き着いたりしちゃダメネ!ちょっとそこの……地味なお前!***を見張っててネ!!」
「えっ!?お、俺ェッ!?」
「変な男に襲われないように、お前がちゃんと見張ってるヨロシ!でも***に指一本触っちゃダメヨ!ちょっとでも触ったら、私がお前を殺すアルからな!」
「えぇぇぇぇ!!?」
そう言い残して、神楽があっという間に走り出す。
ひとつのレジャーシートに、汗をだらだら垂らして困惑する山崎と、今にも倒れそうな身体を支えるように手をついて座り込んでいる***の、ふたりだけが取り残された。
「だ、大丈夫?***ちゃん、とりあえず俺はここにいるから、何かできることあったら言ってね?」
「…ぅ~ん…山崎さん?私さっきからおかしいですよね…?なんだか楽しくなってきちゃって……ごめんなさい」
「いや、飲ませた沖田隊長が悪いんだから、自分を責めなくて大丈夫だよ***ちゃん、謝るのは酔いがさめてからにしよう」
1メートル位の距離をとって、正座で向かい合って座る。肩をゆらゆらとさせてうつむいていた***が、ぱっと顔をあげる。
「や、山崎さぁん…いつも山崎さんに親切にしてもらって、私ほんとに感謝してるんです。たくさんスーパーに来てくれるし、ミントンも教えてくれたし……わたし山崎さんのこと…」
「***ちゃん……!!」
まっすぐに自分を見つめる***の瞳が、泣いているかのように潤んでいる。酒のせいだとは分かっていても、山崎の心臓が早鐘のように打った。
言葉を失って、***のぷっくりとした桜色の唇が動くのに見とれてしまう。そうしているうちに、***が膝から下だけ動かして、すりすりと近寄ってくる。自分の腕をつかんだ***の手のひらがとても熱くて、山崎はハッとする。
「わっ!***ちゃん、だ、だめだよ近寄っちゃ…!」
「どうして…?私、ただ伝えたいだけなのに…山崎さんのこと、だいすきって……」
雷に打たれたような衝撃が山崎を襲った。
あ、こりゃダメだ。もうどうにでもなってしまえ。この子を抱きしめられるなら、あのチャイナ娘に殺されるのも、甘んじて受け入れられる。
山崎の方から***に腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。嬉しそうにけらけらと笑い声をあげた後、***は身じろいで少しだけ身体を離すと、山崎を見上げた。
「***ちゃん、俺も***ちゃんのこと…」
「ふふふ…私、山崎さんと、お友達になれて…すっごく嬉しい」
そう言って瞳を閉じた***の顔が近づいてくる。ごくっと生唾を飲み込んだ山崎も目を閉じて、柔らかい唇がほほにつくのを待つ。もうすぐ、もうすぐ***ちゃんの唇が―――
ガシッ!!!!!
しかしやってきたのは柔らかい唇の感触ではなく、両ほほを強い力でつかまれる感覚だった。ぱっと開いた山崎の瞳に飛び込んできたのは、自分の顔を片手でつかんで持ち上げる、鬼の副長の瞳孔の開いた瞳だった。
「山崎ィィィィ、テメェェェェ!!ぶっっっ殺す!!!!!」
「ギャァァァァァ!!!!!」
あと数センチの距離だったふたりの間に割り込んだのは、土方だけではなかった。同じ速さで辿り着いた銀時の、大きな手が迷わずつかんだのは***の襟首。後ろに引っぱられた***は、首根っこをつかまれた猫のように、銀時の腕の下にぷらんとぶら下がる。
「あれ…銀ちゃん?銀ちゃんだぁ!待ってたんですよぉ、ふふふ…」
「待ってたじゃねーよ!お前これどーすんの!?っつーかどーなってんの!?新八ぶっ倒れてるし、お妙はゴリラ葬ってるし、鬼マヨラーは処刑人になっちまったし!オメーのせいでめちゃくちゃじゃねーか!!!」
「…えぇ?…どうして?みんな…こんなにお花見、楽しいのにぃ、ぅう~ん……ぎんちゃ、ごめんなさぁぃ……」
眉を八の字に下げて、とろんとした瞳を閉じると、***の身体から力が抜けていく。腕の下でぐったりと垂れ下がった小さな身体を見て、銀時はため息をつく。ふと顔をあげると、煙管を吸いながら、こちらを見ていたお登勢と目が合った。
「ババァ、ガキども頼むわ。この酔っぱらい、家に置いてくっから」
「銀時ィ、その子を責めるんじゃないよ、好きで酔ったわけじゃあるまいし」
「好きで酒飲んでなくても、酔ってキス魔になんのはこいつの落ち度だろーが。ウチの童貞メガネとゴリラと地味男、三人死なせてんだぞ。無邪気な顔して、とんでもねぇ悪魔だわ」
銀時の言葉を聞いたお登勢が、煙管から唇を離すと、ふぅ~っと長く煙を吐いてから、呆れたような顔をして口を開いた。
「酔った時ほど人の本性ってのが出るもんさね。大抵の人間が酒の力借りて、普段隠してる悪意だらけの本性をさらけ出すんだ。***ちゃんの本性が、好き好き言って回るキス魔なんて、悪魔にしちゃぁずいぶん可愛いじゃないか。それだけこの子が普段、あたしたちを好いてるってことだろう……こんなに沢山食べ物持ってきて……この量を作るのに、昨日は徹夜してるはずだよ。銀時、あんたそんなことも分かんないで、この子を怒る資格が自分にあるとでも思ってんのかい」
お登勢にぎろりと睨まれて、チッと舌打ちをする。うるせぇババァ、と吐き捨てるように言うと、***の肩と膝裏に腕を回して抱きかかえる。銀時の鎖骨のあたりに、ことんと小さな頭が寄せられて、すぅすぅと小さな寝息が首元にあたった。
桜並木を過ぎて、アパートにたどり着く。***を抱えたまま、手提げから鍵を取り出し、部屋のドアを開ける。開けた途端、そこに広がった光景に銀時は言葉を失った。部屋の中が散らかり放題だったからだ。
今まで見たことのある***の部屋は、物が少なく殺風景で、いつもきちんと整頓されていた。しかしいま目の前に広がる部屋では、台所には汚れたままの鍋やフライパンが投げ出されている。流しには洗っていない大量の皿が山のように積まれている。ちゃぶ台や畳には、メモ紙やレシート、買い出しのレジ袋やらが散乱している。
その状況を見て初めて、***がどれだけ花見を楽しみにして、前々から準備していたかを銀時は知った。
「馬鹿か、こいつは……」
小さくつぶやくと壁に寄りかかるように***を座らせる。うぅん、と声を上げたが起きる気配はない。床に散らばっているものをざっと片付けると、ふすまを開ける。畳まれた布団は数日使われていない様子で冷え切っていて、昨日どころか数日間、***がろくに寝ていないことが分かった。
舌打ちをしてから布団を敷き、そこに***をそっと横たえた。枕に頭を乗せた***の、首の下から腕を抜いている途中で、閉じていた瞳がうっすらと開いた。
「ん…ぁれ?銀ちゃん?ここどこぉ…」
「どこってお前の家だろーが、この酔っぱらい!」
「お家?…えぇ、私もっとお花見したいですぅ、楽しかったのにぃ~」
「お前がいると花見が惨劇になるから駄目ですぅ。っつーか、お前一体どうゆうつもりで、どこの誰とも知らねぇやつらに抱き着いたりキスしたりしてんだよ!気が知れねぇよ!***の親父がお前に酒を飲むなっつった意味が、よぉっく分かったわマジで!銀さんもお父さんに賛成です!!」
「銀ちゃん、違うよぉ~…知らない人じゃないもん、みーんな、私の大好きな人たちだもん。いつもいつも大好きって思ってるんだもん……今日くらいそれを伝えたっていいでしょう…?」
腕の中の***が、とろんとした目を開けて、潤んだ瞳で銀時を見上げる。まだ酒が残っていて顔が赤い。しかしいつも銀時にからかわれて赤くなる時の顔とは全然違う。ほほのてっぺんや目元に血が集まるように、ぼわっとした赤みがさしている。唇は力が入らずに薄く開けられ、ふっくらと桜色に染まり、つやつやと濡れている。
なにこれ、なにこの子、こんな顔して野郎どもに抱き着いて回ったの?そりゃチェリーの新八は死ぬわ。ジミー君は流されるわ。だってこの百戦錬磨の銀さんでさえヤベーもん、ぐらっときそうだもん。いっつもガキみてーなアホ面でヘラヘラしてんのに、ちょっと酒飲んだだけでこうも変わるもんかね。なんつーの?色気っつーの?艶っつーの?そんなんがダダ洩れじゃねぇか。新八の鼻血なみに吹き出しまくってんじゃねぇか。女って怖ェェェェェ!!!
銀時は腕の中のいつもと様子の違う***に戸惑う。よく考えると今日一日ずっとこいつに戸惑いっぱなしだ、と思う。
そもそも***が真選組と知り合いだなんて、知らなかった。それも結構親しげな様子だったから、なおさら驚いた。なついている様子の沖田や、完全に恋に落ちた目をした山崎にも、銀時は眉をしかめた。それに土方の***に対する執心ぶりには、焦りのようなものまで感じた。
なんなんだ、銀さんの知らねぇうちに、***の周りに変な虫が大量発生してやがる!!!
「でもねぇ、銀ちゃん……」
「あ゙ぁ?」
悶々とひとり考え込んでいた銀時の腕に、ぽんと***の手のひらが置かれる。そのまま小さな手が腕を伝って、するすると肩まで上がってくる。まくれた着物の袖の中で、細い腕の柔らかそうな内側の肌が、薄紅色に染まっているのを見て、銀時の背筋を電流のようなものが走る。
肩に辿り着いた手が、ぎゅっと銀時の着物をつかむ。
「みんなのこと大好きだけど……い~っちばんは銀ちゃんなんです……だって銀ちゃんがいなかったら私、こんなにみんなのこと好きになれたか分からないし、そもそも銀ちゃんのおかげで、みんなに出会えたの……だからねぇ……一番好きなのは銀ちゃんなんです。花より団子より、もっと好きなのは銀ちゃんなのぉ、それを今までずぅっと言いたかった…いつもは恥ずかしくて言えなかったけど……銀ちゃん、世界でいちばん、だいすきだよぉって、ずっとずっと、わたし……」
「お、おま、***、何言って……!!」
肩をつかむ手に急に力が入ったと思ったら、***の身体が起き上がる。そしてあっという間に銀時の首に、細い腕を回して抱き着く。うぅん、と言いながら、***はおでこを銀時の首元にすりつけた。犬や猫の愛情表現のような動きに、心臓が飛び跳ねる。
「やめろって」と言いながら、***の肩をつかんで少し離すと、今度は熱い手のひらが銀時の両ほほに添えられる。
「ぎんちゃん……」
「***、お前……ッ!」
瞳を閉じた***の顔がゆっくりと近づいてくる。ほほにではなく、まっすぐと唇に向かって。
あれ、これヤバくね?マジのキスじゃね?そう思い焦る気持ちとは裏腹に、身体が全然抵抗しようとしない。むしろ受け入れて、早くこの距離が縮めばいいと期待してるくらいだ。
しょーがないよね、***がしたがってるんだし?俺が無理強いしたわけじゃねーし?不可抗力っつーの?まぁ新八もされたらしいし、あのチェリーボーイがほっぺたなら、銀さんは唇にしたってなんもおかしくねーだろ、などと心の中で饒舌に言い訳をしつつ、***の閉じられたまぶたの長いまつげを見つめていた。
あと数ミリで唇がくっつくか、というところで動きが止まり、言葉にならない声を上げてから***が喋り出す。
「うぅ~ん…ぉ、おとぉさぁん…ごめんなさぁい……」
「………あ?」
ほほに添えられていた***の手がするりと下に落ちて、首をかくんと後ろに倒すと、すやすやと寝息をたてはじめた。寝言を言って眠りに落ちてしまった***を見て、銀時のほほにビキビキと血管が浮かぶ。
「……こんの、酒乱女がァァァァァ!!!!!」
腕の中の寝顔をひとしきり睨んでから、その身体を布団にぱったりと倒す。無邪気な寝顔の横の、ふくらんだ枕をバシバシと拳で叩く。持ち上げた掛け布団に顔をつけると「うがぁぁぁぁぁ!!!」と叫んだ。
一度乱れた感情はなかなか治まらない。これ以上***を見ていたら変な気を起こしかねないと思った銀時は、乱暴に布団を***にかけると、ぱっと立ち上がる。そのまま振り向くと、無表情のまま腕まくりをして、汚れ切った台所の掃除に取り掛かった。
山のように積まれた皿を洗う洗う洗う。油まみれのガス台を磨く磨く磨く。床に散らばったゴミを片付け、出しっぱなしの物を元へ戻す。
部屋がピカピカになった頃には既に夕方になっていた。深い眠りから覚めた***は、酒は抜けていたが、同時に酔っていた間の記憶も綺麗さっぱり失っていて、銀時を驚愕させた。
鬼の形相で語る銀時から、己の所業を聞いた***は、真っ赤になって縮こまったが、なぜか自分と同じくらい顔を赤くした銀時から、脳天に強烈なゲンコツを四発も食らった。
「ひどいよ銀ちゃん!四回も殴らなくてもいいじゃないですかぁ!」
重ねたアイスクリームのように頭にできた四つのたんこぶを、手で押さえながら、涙目で訴える***に向かって、銀時が怒りの声を上げた。
「オメーがトドメ刺した、男の数だっつーの!テメーには二度と酒飲まさねぇからなコノヤロー!!!!!」
(新八とジミーとゴリラと…ちきしょぉぉぉぉぉ!!!!!)
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no.28【pm.2:00】end
自分の腕のなかで、ぐったりとしている小さな身体を見下ろして、銀時はため息をつく。どうすんのこれ、と言いながら歩いて向かうのは、もちろんあのボロアパート。
横抱きにした***の身体から、力なくだらりと垂れ下がった腕と足は、薄紅色に色づいている。桜並木を歩きながらふと桜を見上げると、ピンク色の花びらが落ちてきた。その花びらとほとんど同じ色をしている、***の閉じた目元を見て、銀時はもう一度深いため息をついた。
神楽に連れられて桜の木の下に戻った時には、既に数人が、酔っ払った***の犠牲になっていた。
周りが気付いた時には、***は沖田の肩で支えられ、骨抜きの状態でふにゃふにゃになって座り込んでいたという。「この子、顔が真っ赤だが大丈夫かね」と言って近づいたお登勢に、ぱっと目を開けた***が、突然抱き着いた。
「お登勢さぁん、お母さんみたいに優しくって、粋な江戸っ子でとってもすてきぃ、私、お登勢さんのことだいすきですぅ~」
そう言った***が、呆気に取られたお登勢のほほに唇を寄せ、ちゅっと音をたてて口づけした。その後、すぐ隣にいたキャサリンにも「猫耳かわいいですねぇ、私すっごく憧れます、似合ってていいなぁ、かわいいなぁ~」と言って抱き着き、ほほに唇を寄せた。
「ヤ、ヤメロ!酔ッテ、キス魔ニナル女ハダイキライダヨ!」
そう言って、キャサリンが***を突き飛ばす。
「っきゃぁ!やだぁ、キャサリンさん照れてるんですか、あははぁ~…」
「まぁ、***さんったら、とってもお酒弱いのね、大丈夫ですか?」
「お妙さん…かぶき町の女王様は今日もとってもお綺麗ですね、美しくて弟思いのお妙さんみたいなお姉ちゃんが、私も欲しかったなぁ…」
「まぁ嬉しい。わたし年下ですけど、***さんのこと妹みたいに可愛いなって思ってますよ」
微笑んだお妙にぎゅうっと抱き着くと、その白いほほにも口づけした。ふふふと微笑み合うお妙と***の後ろに、突然大きな身体の男が現れる。
「***ちゃん!いかん、いかんよォ!いくら可愛い***ちゃんでも、俺のお妙さんに接吻するなんて言語道断!お妙さん、あなたの美しい顔はこの男、勲が必ずや物にしてみせますからね、まずは間接的に***ちゃんの唇を、そのまま俺のほっぺに…グギガッ!!!」
お妙の拳が脳天に直撃して、近藤はレジャーシートを突き破り、地面にめり込んだ。
「変態ゴリラがァ…なぁにどさくさに紛れて***さんにキスしてもらおうとしてんだぁ?お前は野生のゴリラらしく、土にもぐってミミズと接吻しやがれぇぇぇ!!!」
土に埋まった近藤の身体を、お妙がさらにガンガンと蹴り落とす。その力の強さに、土や砕けた石が周りに飛び散る。すぐそばでヘラヘラと笑って座り込んでいる***を、新八が「危ないですよ***さん、下がって!」と慌てて避難させる。
「わぁ、新八くん!私ねぇ…最近の新八くん、たくましくなって、どんどん大人になっててすごいなぁって感心してたんだよぉ…ツッコミもキレッキレだし、メガネもますます似合うようになってぇ……えへへ、新八くん……だいすきぃ」
「………っ!!***さん、ななななななにするんですか!う、うわァァァァァ!!!!!」
突然首に腕を回して抱きつかれ、童貞の新八は顔を真っ赤にする。ふわりと柔らかい何かが、かすめるようにほほに触れる。目だけを動かして横を見ると、閉じた***のまぶたが見えて、驚愕する。ここに***さんの長いまつげがあるということは、ほほに感じるこの柔らかい感触は…く、唇ぅ!!
そう思った直後、新八は噴水のような鼻血を出して、ばったりと倒れ、そのまま気を失った。
「***!ドSに酒飲まされてからおかしいネ!どうしたのヨ!新八なんかにちゅーするなんて頭イカれたアルか?しっかりするヨロシ!」
ふらつく***の両肩を持って、神楽がぐらぐらと揺らす。
「うわわ、目が回るよぉ…ふふふ、神楽ちゃんがいっぱい見えるぅ~あはは、私ねぇ、強くてとっても優しくって妹みたいにかわいい神楽ちゃんが、だいすきなの……ずっとずぅっと友達でいてねぇ」
とろんとした***の目の中で、潤んだ瞳がゆらゆらと揺れる。子供の神楽でさえ、酔った***の顔が、いつもより扇情的で色気が増していることが分かる。
今まさに自分に抱き着いて、ほほにちゅうっと口づけている***の肩を抱くと神楽は、眉間にシワを寄せて、これじゃダメだ、と思う。こんなふにゃふにゃの身体で、全身桜色に染めて、誰彼かまわずキスして回るような女が、男ばかりの場所にいたら、あまりにも危険。
「ちょっと***待ってるネ!銀ちゃん呼んでくるから、おとなしくしててヨ!銀ちゃんがここにいる腐った男ども全員倒してくれるアル、私が戻ってくるまで、誰にも抱き着いたりしちゃダメネ!ちょっとそこの……地味なお前!***を見張っててネ!!」
「えっ!?お、俺ェッ!?」
「変な男に襲われないように、お前がちゃんと見張ってるヨロシ!でも***に指一本触っちゃダメヨ!ちょっとでも触ったら、私がお前を殺すアルからな!」
「えぇぇぇぇ!!?」
そう言い残して、神楽があっという間に走り出す。
ひとつのレジャーシートに、汗をだらだら垂らして困惑する山崎と、今にも倒れそうな身体を支えるように手をついて座り込んでいる***の、ふたりだけが取り残された。
「だ、大丈夫?***ちゃん、とりあえず俺はここにいるから、何かできることあったら言ってね?」
「…ぅ~ん…山崎さん?私さっきからおかしいですよね…?なんだか楽しくなってきちゃって……ごめんなさい」
「いや、飲ませた沖田隊長が悪いんだから、自分を責めなくて大丈夫だよ***ちゃん、謝るのは酔いがさめてからにしよう」
1メートル位の距離をとって、正座で向かい合って座る。肩をゆらゆらとさせてうつむいていた***が、ぱっと顔をあげる。
「や、山崎さぁん…いつも山崎さんに親切にしてもらって、私ほんとに感謝してるんです。たくさんスーパーに来てくれるし、ミントンも教えてくれたし……わたし山崎さんのこと…」
「***ちゃん……!!」
まっすぐに自分を見つめる***の瞳が、泣いているかのように潤んでいる。酒のせいだとは分かっていても、山崎の心臓が早鐘のように打った。
言葉を失って、***のぷっくりとした桜色の唇が動くのに見とれてしまう。そうしているうちに、***が膝から下だけ動かして、すりすりと近寄ってくる。自分の腕をつかんだ***の手のひらがとても熱くて、山崎はハッとする。
「わっ!***ちゃん、だ、だめだよ近寄っちゃ…!」
「どうして…?私、ただ伝えたいだけなのに…山崎さんのこと、だいすきって……」
雷に打たれたような衝撃が山崎を襲った。
あ、こりゃダメだ。もうどうにでもなってしまえ。この子を抱きしめられるなら、あのチャイナ娘に殺されるのも、甘んじて受け入れられる。
山崎の方から***に腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。嬉しそうにけらけらと笑い声をあげた後、***は身じろいで少しだけ身体を離すと、山崎を見上げた。
「***ちゃん、俺も***ちゃんのこと…」
「ふふふ…私、山崎さんと、お友達になれて…すっごく嬉しい」
そう言って瞳を閉じた***の顔が近づいてくる。ごくっと生唾を飲み込んだ山崎も目を閉じて、柔らかい唇がほほにつくのを待つ。もうすぐ、もうすぐ***ちゃんの唇が―――
ガシッ!!!!!
しかしやってきたのは柔らかい唇の感触ではなく、両ほほを強い力でつかまれる感覚だった。ぱっと開いた山崎の瞳に飛び込んできたのは、自分の顔を片手でつかんで持ち上げる、鬼の副長の瞳孔の開いた瞳だった。
「山崎ィィィィ、テメェェェェ!!ぶっっっ殺す!!!!!」
「ギャァァァァァ!!!!!」
あと数センチの距離だったふたりの間に割り込んだのは、土方だけではなかった。同じ速さで辿り着いた銀時の、大きな手が迷わずつかんだのは***の襟首。後ろに引っぱられた***は、首根っこをつかまれた猫のように、銀時の腕の下にぷらんとぶら下がる。
「あれ…銀ちゃん?銀ちゃんだぁ!待ってたんですよぉ、ふふふ…」
「待ってたじゃねーよ!お前これどーすんの!?っつーかどーなってんの!?新八ぶっ倒れてるし、お妙はゴリラ葬ってるし、鬼マヨラーは処刑人になっちまったし!オメーのせいでめちゃくちゃじゃねーか!!!」
「…えぇ?…どうして?みんな…こんなにお花見、楽しいのにぃ、ぅう~ん……ぎんちゃ、ごめんなさぁぃ……」
眉を八の字に下げて、とろんとした瞳を閉じると、***の身体から力が抜けていく。腕の下でぐったりと垂れ下がった小さな身体を見て、銀時はため息をつく。ふと顔をあげると、煙管を吸いながら、こちらを見ていたお登勢と目が合った。
「ババァ、ガキども頼むわ。この酔っぱらい、家に置いてくっから」
「銀時ィ、その子を責めるんじゃないよ、好きで酔ったわけじゃあるまいし」
「好きで酒飲んでなくても、酔ってキス魔になんのはこいつの落ち度だろーが。ウチの童貞メガネとゴリラと地味男、三人死なせてんだぞ。無邪気な顔して、とんでもねぇ悪魔だわ」
銀時の言葉を聞いたお登勢が、煙管から唇を離すと、ふぅ~っと長く煙を吐いてから、呆れたような顔をして口を開いた。
「酔った時ほど人の本性ってのが出るもんさね。大抵の人間が酒の力借りて、普段隠してる悪意だらけの本性をさらけ出すんだ。***ちゃんの本性が、好き好き言って回るキス魔なんて、悪魔にしちゃぁずいぶん可愛いじゃないか。それだけこの子が普段、あたしたちを好いてるってことだろう……こんなに沢山食べ物持ってきて……この量を作るのに、昨日は徹夜してるはずだよ。銀時、あんたそんなことも分かんないで、この子を怒る資格が自分にあるとでも思ってんのかい」
お登勢にぎろりと睨まれて、チッと舌打ちをする。うるせぇババァ、と吐き捨てるように言うと、***の肩と膝裏に腕を回して抱きかかえる。銀時の鎖骨のあたりに、ことんと小さな頭が寄せられて、すぅすぅと小さな寝息が首元にあたった。
桜並木を過ぎて、アパートにたどり着く。***を抱えたまま、手提げから鍵を取り出し、部屋のドアを開ける。開けた途端、そこに広がった光景に銀時は言葉を失った。部屋の中が散らかり放題だったからだ。
今まで見たことのある***の部屋は、物が少なく殺風景で、いつもきちんと整頓されていた。しかしいま目の前に広がる部屋では、台所には汚れたままの鍋やフライパンが投げ出されている。流しには洗っていない大量の皿が山のように積まれている。ちゃぶ台や畳には、メモ紙やレシート、買い出しのレジ袋やらが散乱している。
その状況を見て初めて、***がどれだけ花見を楽しみにして、前々から準備していたかを銀時は知った。
「馬鹿か、こいつは……」
小さくつぶやくと壁に寄りかかるように***を座らせる。うぅん、と声を上げたが起きる気配はない。床に散らばっているものをざっと片付けると、ふすまを開ける。畳まれた布団は数日使われていない様子で冷え切っていて、昨日どころか数日間、***がろくに寝ていないことが分かった。
舌打ちをしてから布団を敷き、そこに***をそっと横たえた。枕に頭を乗せた***の、首の下から腕を抜いている途中で、閉じていた瞳がうっすらと開いた。
「ん…ぁれ?銀ちゃん?ここどこぉ…」
「どこってお前の家だろーが、この酔っぱらい!」
「お家?…えぇ、私もっとお花見したいですぅ、楽しかったのにぃ~」
「お前がいると花見が惨劇になるから駄目ですぅ。っつーか、お前一体どうゆうつもりで、どこの誰とも知らねぇやつらに抱き着いたりキスしたりしてんだよ!気が知れねぇよ!***の親父がお前に酒を飲むなっつった意味が、よぉっく分かったわマジで!銀さんもお父さんに賛成です!!」
「銀ちゃん、違うよぉ~…知らない人じゃないもん、みーんな、私の大好きな人たちだもん。いつもいつも大好きって思ってるんだもん……今日くらいそれを伝えたっていいでしょう…?」
腕の中の***が、とろんとした目を開けて、潤んだ瞳で銀時を見上げる。まだ酒が残っていて顔が赤い。しかしいつも銀時にからかわれて赤くなる時の顔とは全然違う。ほほのてっぺんや目元に血が集まるように、ぼわっとした赤みがさしている。唇は力が入らずに薄く開けられ、ふっくらと桜色に染まり、つやつやと濡れている。
なにこれ、なにこの子、こんな顔して野郎どもに抱き着いて回ったの?そりゃチェリーの新八は死ぬわ。ジミー君は流されるわ。だってこの百戦錬磨の銀さんでさえヤベーもん、ぐらっときそうだもん。いっつもガキみてーなアホ面でヘラヘラしてんのに、ちょっと酒飲んだだけでこうも変わるもんかね。なんつーの?色気っつーの?艶っつーの?そんなんがダダ洩れじゃねぇか。新八の鼻血なみに吹き出しまくってんじゃねぇか。女って怖ェェェェェ!!!
銀時は腕の中のいつもと様子の違う***に戸惑う。よく考えると今日一日ずっとこいつに戸惑いっぱなしだ、と思う。
そもそも***が真選組と知り合いだなんて、知らなかった。それも結構親しげな様子だったから、なおさら驚いた。なついている様子の沖田や、完全に恋に落ちた目をした山崎にも、銀時は眉をしかめた。それに土方の***に対する執心ぶりには、焦りのようなものまで感じた。
なんなんだ、銀さんの知らねぇうちに、***の周りに変な虫が大量発生してやがる!!!
「でもねぇ、銀ちゃん……」
「あ゙ぁ?」
悶々とひとり考え込んでいた銀時の腕に、ぽんと***の手のひらが置かれる。そのまま小さな手が腕を伝って、するすると肩まで上がってくる。まくれた着物の袖の中で、細い腕の柔らかそうな内側の肌が、薄紅色に染まっているのを見て、銀時の背筋を電流のようなものが走る。
肩に辿り着いた手が、ぎゅっと銀時の着物をつかむ。
「みんなのこと大好きだけど……い~っちばんは銀ちゃんなんです……だって銀ちゃんがいなかったら私、こんなにみんなのこと好きになれたか分からないし、そもそも銀ちゃんのおかげで、みんなに出会えたの……だからねぇ……一番好きなのは銀ちゃんなんです。花より団子より、もっと好きなのは銀ちゃんなのぉ、それを今までずぅっと言いたかった…いつもは恥ずかしくて言えなかったけど……銀ちゃん、世界でいちばん、だいすきだよぉって、ずっとずっと、わたし……」
「お、おま、***、何言って……!!」
肩をつかむ手に急に力が入ったと思ったら、***の身体が起き上がる。そしてあっという間に銀時の首に、細い腕を回して抱き着く。うぅん、と言いながら、***はおでこを銀時の首元にすりつけた。犬や猫の愛情表現のような動きに、心臓が飛び跳ねる。
「やめろって」と言いながら、***の肩をつかんで少し離すと、今度は熱い手のひらが銀時の両ほほに添えられる。
「ぎんちゃん……」
「***、お前……ッ!」
瞳を閉じた***の顔がゆっくりと近づいてくる。ほほにではなく、まっすぐと唇に向かって。
あれ、これヤバくね?マジのキスじゃね?そう思い焦る気持ちとは裏腹に、身体が全然抵抗しようとしない。むしろ受け入れて、早くこの距離が縮めばいいと期待してるくらいだ。
しょーがないよね、***がしたがってるんだし?俺が無理強いしたわけじゃねーし?不可抗力っつーの?まぁ新八もされたらしいし、あのチェリーボーイがほっぺたなら、銀さんは唇にしたってなんもおかしくねーだろ、などと心の中で饒舌に言い訳をしつつ、***の閉じられたまぶたの長いまつげを見つめていた。
あと数ミリで唇がくっつくか、というところで動きが止まり、言葉にならない声を上げてから***が喋り出す。
「うぅ~ん…ぉ、おとぉさぁん…ごめんなさぁい……」
「………あ?」
ほほに添えられていた***の手がするりと下に落ちて、首をかくんと後ろに倒すと、すやすやと寝息をたてはじめた。寝言を言って眠りに落ちてしまった***を見て、銀時のほほにビキビキと血管が浮かぶ。
「……こんの、酒乱女がァァァァァ!!!!!」
腕の中の寝顔をひとしきり睨んでから、その身体を布団にぱったりと倒す。無邪気な寝顔の横の、ふくらんだ枕をバシバシと拳で叩く。持ち上げた掛け布団に顔をつけると「うがぁぁぁぁぁ!!!」と叫んだ。
一度乱れた感情はなかなか治まらない。これ以上***を見ていたら変な気を起こしかねないと思った銀時は、乱暴に布団を***にかけると、ぱっと立ち上がる。そのまま振り向くと、無表情のまま腕まくりをして、汚れ切った台所の掃除に取り掛かった。
山のように積まれた皿を洗う洗う洗う。油まみれのガス台を磨く磨く磨く。床に散らばったゴミを片付け、出しっぱなしの物を元へ戻す。
部屋がピカピカになった頃には既に夕方になっていた。深い眠りから覚めた***は、酒は抜けていたが、同時に酔っていた間の記憶も綺麗さっぱり失っていて、銀時を驚愕させた。
鬼の形相で語る銀時から、己の所業を聞いた***は、真っ赤になって縮こまったが、なぜか自分と同じくらい顔を赤くした銀時から、脳天に強烈なゲンコツを四発も食らった。
「ひどいよ銀ちゃん!四回も殴らなくてもいいじゃないですかぁ!」
重ねたアイスクリームのように頭にできた四つのたんこぶを、手で押さえながら、涙目で訴える***に向かって、銀時が怒りの声を上げた。
「オメーがトドメ刺した、男の数だっつーの!テメーには二度と酒飲まさねぇからなコノヤロー!!!!!」
(新八とジミーとゴリラと…ちきしょぉぉぉぉぉ!!!!!)
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no.28【pm.2:00】end