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Kahlua and Milk.


“変態さんだね。”

声には出さなくとも口を読み取るのは容易かった。が、そんな事言われて冷静でいられず、頭の血管が一気に拡がり頭がくらくらした。
勢いで両肩を強く掴むと、少し嬉しそうな顔のベルさんを睨みながら、
「誰のせいで…、」
「別に、変態なんかぢゃ…、」
煮え切らない言葉が歯切れ悪く溢れた。

ほんと、いい顔しながら話を聞いてる。

「私のせいだね。」

薄い形のいい唇がこうを描く
塞ぐ

瞑った両目を片方から少しづつ開け表情を伺う。しっかり見開かれてた両目がこちらの一部始終を捉えていたようだ。


「もっと酷くてもいいんだよ?」

初めての接吻後にそんな事言われるなんて想像もしてなかった。
初めての味は?ムードは?そんな物クソ喰らえ。


「あぁ、やり方がわからないんだっけ。」

耳の後ろから指を滑らせて後頭部を固定された。
先程のただ唇をくっつけるだけの拙い口付けでは到底触れ合う事のない粘膜が密着させられる。慣れない感触に驚いた拍子で出来た歯の隙間から舌が捩じ込まれる。噂には聞いてた想像以上の生々しい舌触りに身体中の筋肉が硬直してしまう。
こっちの様子なんてお構いなしに、固定してる後頭部の手を首の付け根に滑らせて角度を変えて更に深く深く潜り込んでくる。溺れまいと口の端から辛うじて出る声は、くぐもった声は嬌声の様に漏れ出した。
舌を絡み取られて口の中でとろけて形が分からなくなるまで混ざり合った。

離された口から透明な糸が輝きながら繋がっている。よくこんな風に表現されるが、それが目の前で体現させられるとは。
プツンと切れた時悲しい。

「こういうの、どうかな?」
「勉強になりました、」

腰が抜けて


***

「これは、嫌いかも。」
「すみません…、」

テーブルからぽたりと落ちた雫が、カーペットに染みを広げていった。
布巾で叩き落とそうとしてももう落ちない。
完全に染み付いてしまったようだ。

「ずいぶん古いものだったし、今度買いに行こうか。」
「一緒に探してくれるだろ?」

こんなにもエスコート出来る人だったなんて知らなかった。

少し頼りなくて守ってあげたくなる小動物のような人というのはこの人のあっさい表面しか見ていなかったようだ。
ギャップでもっと魅せられる。

もっと深みへ堕ちていくのがよくわかる。
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