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僕の恋人は“普段”少し自分に自信がなくて歳上で僕なんかよりも凄く知識も経験も豊富なのに守ってあげたくなるような人だ。

そう、普段なら。

「おや、起きてたのかい。」

ベッドで寝転んでる僕の横に腰掛ける。その手には透明なコップがあり、寝起きの僕に差し出そうとしてくれている。
のそのそと上体を起こし冷たい水を一気に飲み干して喉の渇きを潤し終えた瞬間、目の前が急に暗転し冷たかった口の中にぬるりと温かな触感が侵食してきた。舌はねっとりと僕の口内や歯を順番に舐め上げ、満足したのかゆっくりと離れる唇は体液の糸で繋がっていた。

「以前寝起きのままキスしたら“口臭がっ”て怒ってたけど、これなら平気だろ?」

空いたコップを回収しながらベッドを去ろうとするので、僕はすかさず腕を掴んで引きずり込んだ。
ベッドに埋もれた顔を上げた瞬間を狙って両手で顔を固定して無理矢理目を合わさせた。

「そういう事する前に、まず挨拶だと思います!」

こうも論じる僕の顔は真っ赤になってて涙目なのは鏡を見なくてもわかる。けれどされっぱなしでは癪に触るのでやり返したものの…。

「ふふ、それは失敬。おはよう、ワトソンくん。」

顔を掴んでいた手を彼の手に取られて、その手の指先に口付けする。うぅ…漂う色気に耐えられなくなり小さく「おはよう」としか返せなかった。

僕の様子を見て行為が過激になってくる。舌や唇が指先から手の甲、前腕、肘と順に体へ近寄ってきた。時折甘く噛まれる刺激に耐えられず上ずった声が漏れてしまう。
変な声で相手に刺激を与えないようにとそればかりに気が取ららて、気づいた時には肩に首。最後は耳元に唇を寄せられた。

「あまりにも可愛いから悪戯しちゃった。」

そういうと怒涛の愛撫はぴたりとやめてしまった。僕の体の熱はぐつぐつと煮えたがっているというのに。

「今日の朝食は、

離れてベッドから降りようとする背中に抱き付いてわざと体を密着させた。なんなら腰も押しつけてやった。
寝起きだと思ってここまでされて反撃しないわけがない!と仕返しに殺し文句を添えて。

「満足させてくれなきゃ、作ってあげません。」

背中に耳を当てていたからか、彼の生唾を飲む音を聞いてしまった。まずいと思った瞬間には視界がぐるりと、気づいた時には天井と不敵な笑みを浮かべる恋人が見えた。

「可愛いおねだり嬉しいよ。満足するまで尽くしてあげるからね。」

ああ、仕返しなんてするんもんぢゃない。
(朝食は食べ損ねて、昼食を取る羽目に。)
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