【アラバスタ王国編】
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あの激闘後、一味は王宮へと運ばれて手当てを受けていた。全員が満身創痍の状態だったが、手厚くもてなされて順調に回復している。
「シロ、買い物に行くけど。一緒に来いよ」
未だ起きないルフィの看病をしていたシロを、サンジは買い物に誘う。少し気分転換に行こうと、手を引かれて「ちょっとだけなら」とついて行く事にした。
反乱で混乱していた町も、今では復興が進み活気を取り戻しつつある。サンジと共に来ていたウソップも町の様子に感心している。サンジは王女が可愛いからなと冗談なのか本気なのか分からない事を言っていた。
街が元気になっているのを見てシロも何だか元気が湧いてくる。その様子を見て、サンジは誘って良かったと1人微笑んだ。
王宮へと戻ればそこには海軍が来ており、海賊をかくまっているだろうとチャカと言い争っている。
(そろそろ出航しないと、ビビたちに迷惑がかかるかなぁ)
ーー確実にタイムリミットは近づいていた。
「よく寝たー!」
部屋に戻ると、中からルフィの元気な声が聞こえる。ようやく目を覚ました彼は、仲間の顔を見て「久しぶり?」と不思議な顔をしている。それもそうだろう。ルフィは3日も眠っていたのだから。
「はっ!15食も食べ損ねた!」
1日5食という驚異的な食欲に仲間たちが思わず突っ込みをいれる。笑い声が響き、やはり彼がいると場が明るくなるとシロは思った。
3日も食べていないと思うと、ルフィは余計にお腹が空いたようで、夕飯まで30分だというのに、間食で用意された果物を一瞬のうちに食べてしまった。
「手品かよっ!」
あまりの早さにゾロとサンジが思わずツッコミ、またも笑いに包まれた。
※
やっとルフィが待ち望んだ食事の時間となった。机の上にはアラバスタの料理がたくさん並べられている。珍しいものも多く、食べた事のない味にルフィが人の分まで取るから争奪戦となっている。
王宮の兵士たちが、一味の食べる姿を見て下品だと呟くが、あまりにも美味しそうに、そして楽しげに食べるのを見ているうちに自然と笑い出していた。
宴のような食事が終わり、本来は雨季にしか使わないという大浴場を、特別に使わせてもらえる事になった。
「シロも一緒に入ろう!」
「ごめん、さすがにそれは…」
いくらルフィの誘いといえど、男湯に入る勇気をシロは持ち合わせていない。シロの返事を聞き「そっかー、残念だなァ」とルフィはしぶしぶ男湯へと入っていった。
砂漠の王国でこんな贅沢な思いをしてもいいのだろうか、と思ってしまうほど立派なお風呂に、ナミも嬉しそうにしている。
「みんなで背中流しっこしようよ」
シロの言葉にナミもビビも「いいわよ」と1列に並んだ。
2人と並ぶとシロは胸の大きさに目がいき、自分の物と見比べて、「ぼくも、いつか大きくなるかな…」と呟く。
「シロは今のままでいいのよ。可愛いから」
ナミがうふふと笑う。なんだか子供扱いされているのを感じ、シロはうぅ…と悔しそうに唸る。
背中流しの順番を交代しようと体の向きを変えれば、そっちには男湯があったようで、ルフィたちがこちらを覗いていた。
シロとビビが慌てる横で、ナミは「幸せパンチ」と胸を隠していたタオルを捲り「1人10万ベリーね」付け加えた。
「幸せパンチ…ものすごい威力だ」
「シロさん!真似しちゃダメよ!」
シロが考えている事が分かったのか、ビビは必死になっているが、仮に真似したとしても、きっとあんな威力をぼくに出せはしないだろうな思った。
※
お風呂も終わり、一味は出航の準備を始める。今夜この王宮から離れる為だ。海軍が集まり出したこの島でこれ以上ゆっくりするわけにはいかない。
それに、電伝虫で通信があり、ボンちゃんと名乗る人物、なんとそれはMr.2ボンクレーで、彼から船は預かっていると報告があったのだ。大事なメリー号を人質に取られてしまっては急ぐしかない。
「みんな、私どうしたらいい?」
ビビは着々と準備が進められる中、そう仲間に尋ねた。彼女の立場を考えれば、このまま一緒にはいられない。それでも過ごした時間を思えば別れたくないのが本音だ。
せめてものチャンスに、明日の12時に一度だけ東の港に寄ると約束をする。その時までに一緒に行くか、ここに残るか決めてと。
ここで別れれば今度はいつ会えるのか分からない。ましてや海賊と王族。二度と会うことはないかもしれない。
「…ぼくは、ビビの考えを尊重するよ。だから、自分に正直になったらいいと思うんだ」
シロの言葉にビビは「ありがとう」と頷いた。
※
ボンクレーに言われた通りにサンドラ河の上流へと向かう為、ビビが6羽の超カルガモ部隊を手配してくれた。
「シロ。猫になれ」
ルフィに言われるまま猫のサイズになると、そのまま抱き抱えられカルガモに乗せられる。
「そっか。6羽しかいないもんね」
カルガモに対してこちらは7人で、当然1人余ってしまう。それを解消する為か、とシロはルフィに大人しくしがみついた。
アラバスタ最速のカルガモたちに送ってもらい、あっという間にサンドラ河へと辿り着き、そこにはゴーイング・メリー号と「ん待っっってたわよアンタたちっ!おシサリブリねいっ!」となぜかメリー号に乗るボンクレー。
それを無視して一味はカルガモたちと別れの挨拶をした。
「王とちくわのおっさんによろしくなー!元気でなー!」
「クエーッ!」
なぜかその様子見て、ボンクレーは「また…またいつかの日か必ず会おうなー!」と涙を流している。
「…あんた関係ないじゃん」
「ってちょっと待てやー!」
急に怒り出すボンクレーに「何だよ!」とサンジが対抗すれば、「何だよじゃナーイわよーう!」と地団駄を踏む。友達に対してその態度はないと訴えるボンクレーにルフィは騙してたくせにと呆れている。
「あちしが今この船に乗ってなかったら、この船はドゥーなってたと思ってんの!?」
ボンクレーがそう問いかけてくると、ナミはあっさりした態度で「海軍に奪われてたかもね」と答えた。それに対して「かもねじゃないわ!確実にやられてた!」と今の状況を慌ただしく伝えてくる。
「海軍船による完全フーサよ!封鎖っ!スワン一羽も逃げられない」
「じゃあ…お前…海軍からゴーイングメリー号を守ってくれていたのか?」
驚いたようにルフィが尋ねる横で、ウソップとチョッパーがなぜだと叫ぶと、「友達、だからよう」と泣きながらボンクレーはグッドポーズをとる。
それを聞いたルフィたちは初めて会った時のように肩を組み、やっぱりいいやつだと笑い合っている。
騒ぐルフィたちは放っておき、サンジたちと荷物をどんどん船へと乗せ込み出航準備は万全だ。
一味はボンクレーの仲間共に島から脱出するため、サンドラ河から海を目指して船を進める。そこにはすでに海軍船が待ち構えていた。
「待ち伏せされてたっ!」
「力を合わせて逃げるのよーうッ!」
海軍船から砲弾が飛んできてメリーが狙われる。いつもならルフィが跳ね返すが、今回の弾は少々厄介な事になっていた。槍のような形状をして、とても跳ね返せる代物ではなかった。一方向からなら撃ち落とすこともできるが、さすがは海軍。船を四方から囲み、あちこちから撃ち込んでくる。
「このままじゃ、メリーが沈んじゃうッ…」
その時ウソップが放った砲撃が、たまたま南の軍艦にあたり陣形を崩す。チャンスだとボンクレーは喜び、そこから逃げようとするが、メリー号はそこには向かわずに東を目指し続ける。
ボンクレーがなぜだと慌てているが、それに対してルフィが仲間を迎えに行くと答える。
仲間の為命を賭けている一味の姿に、「…ここで逃げるはオカマに非 ず!命を賭けて友達 を迎えに行く友達を見捨てて、おめェら明日食うメシが美味ェかよ!」とボンクレーは涙を流す。
「いいか野郎共及び麦ちゃんチーム。私の言う事よォく聞きねい!」
ボンクレーは二手に分かれる作戦を話しだした。自分たちが囮となりその隙にルフィたちは東に向かう。
ボンクレーたちは麦わらの一味に変装しメリー号から離れ、海軍はまんまと騙されそれを追う。
「3分…!行くわよ!全速前進!」
ボンクレーのおかげで出来た道をメリー号は突き進む。離れていくボンクレーたちの勇姿を見て、ルフィたちは「ボンちゃん!おれたちお前らのこと絶対忘れねェがらなァー!」と泣き叫んだ。
陣形が崩れた海軍は、もう一味の相手にはならない。向かってくる軍艦を撃退しながら船を東の港に急がせる。
「ビビの声だ。スピーチをしてるってことは…」
無事に軍艦を追い払い東の港"タマリスク"に着くもそこにビビの姿はなく、町からはビビのスピーチが聞こえてくる。ルフィは「ビビの声に似てただけだ…!」と諦めきれずにいるが、新手の軍艦が追いかけてきていて、これ以上ここにいる訳にはいかない。
「諦めろルフィ…俺たちの時とはワケが違うんだ」
そう言うサンジも険しい表情をしており、本当は諦めたくない気持ちが伝わってくる。
仕方なく出発しようとしたその時『みんなァ!』と望んだ声が聞こえた。
「ビビ!!カルー!!」
一味はビビたちが来たことが嬉しく、急いで船を引き返そうとするも、『…お別れを言いに来たの』と続けられた声に一斉に動きを止めた。
『私…一緒には行けません!今まで本当にありがとう!!冒険はまだしたいけど、私はやっぱりこの国を、愛しているから!ーーだから行けません!』
はっきりとそう告げるビビに、ルフィは一言「…そうか」と笑った。
『私は…私はここに残るけど…!いつかまた会えたら!もう一度仲間と呼んでくれますか!?』
ビビの言葉にルフィが返事をしようとすると、ナミが「返事しちゃダメっ!」とルフィの口を押さえた。
海軍がビビに気づいてしまっているこの状況で、仲間だと言ってしまえば、ビビは罪人になってしまう。
「…このまま黙って別れましょう」
ビビに背を向けて、誰も口を開かない。
静まり返るその中で、ルフィたちは揃って左腕を高々と空へと伸ばした。そこにはアラバスタに上陸する前にみんなでつけた"仲間の印"バツ印が。
"これから何が起こっても左腕のこれが仲間の印だ"
ビビたちにもしっかりとその印は届き、ルフィたちと同様に左腕を掲げる。
「出航ー!!」
仲間と別れ、再び麦わらの一味は力強く海を進んでいく。まだ見ぬ冒険を目指して。
「シロ、買い物に行くけど。一緒に来いよ」
未だ起きないルフィの看病をしていたシロを、サンジは買い物に誘う。少し気分転換に行こうと、手を引かれて「ちょっとだけなら」とついて行く事にした。
反乱で混乱していた町も、今では復興が進み活気を取り戻しつつある。サンジと共に来ていたウソップも町の様子に感心している。サンジは王女が可愛いからなと冗談なのか本気なのか分からない事を言っていた。
街が元気になっているのを見てシロも何だか元気が湧いてくる。その様子を見て、サンジは誘って良かったと1人微笑んだ。
王宮へと戻ればそこには海軍が来ており、海賊をかくまっているだろうとチャカと言い争っている。
(そろそろ出航しないと、ビビたちに迷惑がかかるかなぁ)
ーー確実にタイムリミットは近づいていた。
「よく寝たー!」
部屋に戻ると、中からルフィの元気な声が聞こえる。ようやく目を覚ました彼は、仲間の顔を見て「久しぶり?」と不思議な顔をしている。それもそうだろう。ルフィは3日も眠っていたのだから。
「はっ!15食も食べ損ねた!」
1日5食という驚異的な食欲に仲間たちが思わず突っ込みをいれる。笑い声が響き、やはり彼がいると場が明るくなるとシロは思った。
3日も食べていないと思うと、ルフィは余計にお腹が空いたようで、夕飯まで30分だというのに、間食で用意された果物を一瞬のうちに食べてしまった。
「手品かよっ!」
あまりの早さにゾロとサンジが思わずツッコミ、またも笑いに包まれた。
※
やっとルフィが待ち望んだ食事の時間となった。机の上にはアラバスタの料理がたくさん並べられている。珍しいものも多く、食べた事のない味にルフィが人の分まで取るから争奪戦となっている。
王宮の兵士たちが、一味の食べる姿を見て下品だと呟くが、あまりにも美味しそうに、そして楽しげに食べるのを見ているうちに自然と笑い出していた。
宴のような食事が終わり、本来は雨季にしか使わないという大浴場を、特別に使わせてもらえる事になった。
「シロも一緒に入ろう!」
「ごめん、さすがにそれは…」
いくらルフィの誘いといえど、男湯に入る勇気をシロは持ち合わせていない。シロの返事を聞き「そっかー、残念だなァ」とルフィはしぶしぶ男湯へと入っていった。
砂漠の王国でこんな贅沢な思いをしてもいいのだろうか、と思ってしまうほど立派なお風呂に、ナミも嬉しそうにしている。
「みんなで背中流しっこしようよ」
シロの言葉にナミもビビも「いいわよ」と1列に並んだ。
2人と並ぶとシロは胸の大きさに目がいき、自分の物と見比べて、「ぼくも、いつか大きくなるかな…」と呟く。
「シロは今のままでいいのよ。可愛いから」
ナミがうふふと笑う。なんだか子供扱いされているのを感じ、シロはうぅ…と悔しそうに唸る。
背中流しの順番を交代しようと体の向きを変えれば、そっちには男湯があったようで、ルフィたちがこちらを覗いていた。
シロとビビが慌てる横で、ナミは「幸せパンチ」と胸を隠していたタオルを捲り「1人10万ベリーね」付け加えた。
「幸せパンチ…ものすごい威力だ」
「シロさん!真似しちゃダメよ!」
シロが考えている事が分かったのか、ビビは必死になっているが、仮に真似したとしても、きっとあんな威力をぼくに出せはしないだろうな思った。
※
お風呂も終わり、一味は出航の準備を始める。今夜この王宮から離れる為だ。海軍が集まり出したこの島でこれ以上ゆっくりするわけにはいかない。
それに、電伝虫で通信があり、ボンちゃんと名乗る人物、なんとそれはMr.2ボンクレーで、彼から船は預かっていると報告があったのだ。大事なメリー号を人質に取られてしまっては急ぐしかない。
「みんな、私どうしたらいい?」
ビビは着々と準備が進められる中、そう仲間に尋ねた。彼女の立場を考えれば、このまま一緒にはいられない。それでも過ごした時間を思えば別れたくないのが本音だ。
せめてものチャンスに、明日の12時に一度だけ東の港に寄ると約束をする。その時までに一緒に行くか、ここに残るか決めてと。
ここで別れれば今度はいつ会えるのか分からない。ましてや海賊と王族。二度と会うことはないかもしれない。
「…ぼくは、ビビの考えを尊重するよ。だから、自分に正直になったらいいと思うんだ」
シロの言葉にビビは「ありがとう」と頷いた。
※
ボンクレーに言われた通りにサンドラ河の上流へと向かう為、ビビが6羽の超カルガモ部隊を手配してくれた。
「シロ。猫になれ」
ルフィに言われるまま猫のサイズになると、そのまま抱き抱えられカルガモに乗せられる。
「そっか。6羽しかいないもんね」
カルガモに対してこちらは7人で、当然1人余ってしまう。それを解消する為か、とシロはルフィに大人しくしがみついた。
アラバスタ最速のカルガモたちに送ってもらい、あっという間にサンドラ河へと辿り着き、そこにはゴーイング・メリー号と「ん待っっってたわよアンタたちっ!おシサリブリねいっ!」となぜかメリー号に乗るボンクレー。
それを無視して一味はカルガモたちと別れの挨拶をした。
「王とちくわのおっさんによろしくなー!元気でなー!」
「クエーッ!」
なぜかその様子見て、ボンクレーは「また…またいつかの日か必ず会おうなー!」と涙を流している。
「…あんた関係ないじゃん」
「ってちょっと待てやー!」
急に怒り出すボンクレーに「何だよ!」とサンジが対抗すれば、「何だよじゃナーイわよーう!」と地団駄を踏む。友達に対してその態度はないと訴えるボンクレーにルフィは騙してたくせにと呆れている。
「あちしが今この船に乗ってなかったら、この船はドゥーなってたと思ってんの!?」
ボンクレーがそう問いかけてくると、ナミはあっさりした態度で「海軍に奪われてたかもね」と答えた。それに対して「かもねじゃないわ!確実にやられてた!」と今の状況を慌ただしく伝えてくる。
「海軍船による完全フーサよ!封鎖っ!スワン一羽も逃げられない」
「じゃあ…お前…海軍からゴーイングメリー号を守ってくれていたのか?」
驚いたようにルフィが尋ねる横で、ウソップとチョッパーがなぜだと叫ぶと、「友達、だからよう」と泣きながらボンクレーはグッドポーズをとる。
それを聞いたルフィたちは初めて会った時のように肩を組み、やっぱりいいやつだと笑い合っている。
騒ぐルフィたちは放っておき、サンジたちと荷物をどんどん船へと乗せ込み出航準備は万全だ。
一味はボンクレーの仲間共に島から脱出するため、サンドラ河から海を目指して船を進める。そこにはすでに海軍船が待ち構えていた。
「待ち伏せされてたっ!」
「力を合わせて逃げるのよーうッ!」
海軍船から砲弾が飛んできてメリーが狙われる。いつもならルフィが跳ね返すが、今回の弾は少々厄介な事になっていた。槍のような形状をして、とても跳ね返せる代物ではなかった。一方向からなら撃ち落とすこともできるが、さすがは海軍。船を四方から囲み、あちこちから撃ち込んでくる。
「このままじゃ、メリーが沈んじゃうッ…」
その時ウソップが放った砲撃が、たまたま南の軍艦にあたり陣形を崩す。チャンスだとボンクレーは喜び、そこから逃げようとするが、メリー号はそこには向かわずに東を目指し続ける。
ボンクレーがなぜだと慌てているが、それに対してルフィが仲間を迎えに行くと答える。
仲間の為命を賭けている一味の姿に、「…ここで逃げるはオカマに
「いいか野郎共及び麦ちゃんチーム。私の言う事よォく聞きねい!」
ボンクレーは二手に分かれる作戦を話しだした。自分たちが囮となりその隙にルフィたちは東に向かう。
ボンクレーたちは麦わらの一味に変装しメリー号から離れ、海軍はまんまと騙されそれを追う。
「3分…!行くわよ!全速前進!」
ボンクレーのおかげで出来た道をメリー号は突き進む。離れていくボンクレーたちの勇姿を見て、ルフィたちは「ボンちゃん!おれたちお前らのこと絶対忘れねェがらなァー!」と泣き叫んだ。
陣形が崩れた海軍は、もう一味の相手にはならない。向かってくる軍艦を撃退しながら船を東の港に急がせる。
「ビビの声だ。スピーチをしてるってことは…」
無事に軍艦を追い払い東の港"タマリスク"に着くもそこにビビの姿はなく、町からはビビのスピーチが聞こえてくる。ルフィは「ビビの声に似てただけだ…!」と諦めきれずにいるが、新手の軍艦が追いかけてきていて、これ以上ここにいる訳にはいかない。
「諦めろルフィ…俺たちの時とはワケが違うんだ」
そう言うサンジも険しい表情をしており、本当は諦めたくない気持ちが伝わってくる。
仕方なく出発しようとしたその時『みんなァ!』と望んだ声が聞こえた。
「ビビ!!カルー!!」
一味はビビたちが来たことが嬉しく、急いで船を引き返そうとするも、『…お別れを言いに来たの』と続けられた声に一斉に動きを止めた。
『私…一緒には行けません!今まで本当にありがとう!!冒険はまだしたいけど、私はやっぱりこの国を、愛しているから!ーーだから行けません!』
はっきりとそう告げるビビに、ルフィは一言「…そうか」と笑った。
『私は…私はここに残るけど…!いつかまた会えたら!もう一度仲間と呼んでくれますか!?』
ビビの言葉にルフィが返事をしようとすると、ナミが「返事しちゃダメっ!」とルフィの口を押さえた。
海軍がビビに気づいてしまっているこの状況で、仲間だと言ってしまえば、ビビは罪人になってしまう。
「…このまま黙って別れましょう」
ビビに背を向けて、誰も口を開かない。
静まり返るその中で、ルフィたちは揃って左腕を高々と空へと伸ばした。そこにはアラバスタに上陸する前にみんなでつけた"仲間の印"バツ印が。
"これから何が起こっても左腕のこれが仲間の印だ"
ビビたちにもしっかりとその印は届き、ルフィたちと同様に左腕を掲げる。
「出航ー!!」
仲間と別れ、再び麦わらの一味は力強く海を進んでいく。まだ見ぬ冒険を目指して。