これはケイが五歳の時だった。
来年から忍者アカデミーに入ることが決まり、それと同時に一人暮らしをする。
木の葉の里の治安は良い方だが、子供の一人暮らし。三代目火影は心配になっていた。

「ケイよ。来年から一人で暮らすことになっているが、大丈夫か？」

『だいじょうぶです。となりにはナルトもいるから』

ニコニコと笑う姿に、成長したなぁと三代目は思う反面で、やはり心配なのは変わりない。

「よし！今から少し修行をつけてやろう」

『えっ？いいの？おじいちゃんありがとう』

久々の休日だし、丁度良いとばかりに三代目はケイを演習場へと連れ出した。
まずはチャクラを練るところから始める。
初めてということもあり、ケイはなかなかチャクラを練り合わせることが出来ない。

「落ち着いてチャクラの流れを感じるのじゃ」

『はい！やぁー！』

勢い良くかけ声を出しながら、ケイはチャクラを練り合わせる。
それでもやはり難しいようだった。

「うむ。今日はここまでじゃな。これから少しずつ修行を続けるぞ」

『はぁ、はぁ。ありがとうございます！』

疲れた様子で息を乱しながらも、三代目が修行をつけてくれる事のほうが嬉しいようで、彼女は笑顔で返事をする。



それから一年間は修行の日々。
初めは出来なかったチャクラを練り合わせることも、少しずつ上達した。
チャクラ性質を調べると水と分かり、水遁の術を集中的に指導すると、なんとか水鉄砲と水枷（みずかせ）の術を会得した。
他にもいろいろな術を試したが、上手く発動出来たのはこの二つだけだった。

「おぬしはチャクラコントロールが苦手なようじゃな。これからはアカデミーでしっかり学んで良い忍になるんじゃよ」

『がんばります！修行をつけてくれてありがとうございました。…それから、今までお世話になりました』

ぺこりとお辞儀をするケイの姿に、三代目火影の目は潤んだ。
子供の成長は早いものだ。
ケイの姿を見ながら、もう一人の悪戯小僧の事も思い出すのだった。