守りたいものと同一人物
守りたいもの <番外編>
主人公の名前
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(困ったなぁ)
肉球をぷにぷにとしながらケイは尻尾をへたりとさせた。
今回の任務は猫好きの研究者からで、研究室の掃除を手伝って欲しいという依頼だった。
部屋の中には至る所に猫、猫、猫。どの子もお利口さんで掃除の邪魔にはならなかったが、問題は猫よりも部屋の汚さだった。
サクラが入ることを嫌がるような顔をしたほど、研究資料や研究道具があちこちに散らばり、それぞれでまとめるのだけでも一苦労。
「オレの部屋よりひどいってばよ…」
お世辞にも綺麗と言えない部屋のナルトが呆れる始末。
「ま、そう言うな。これも任務だ」
カカシはそう言うが、苦笑いを浮かべていた。
猫達を誘導しながら少しずつ部屋の片付けを始める。
大事な資料を捨てないように気をつけながら、ゴミを分けている時だった。
「何だこれは?薬?」
「おっ?なんだってばよ?」
サスケとナルトが青い液体が入った小瓶を見つけて眺めている。キラキラと中身が光って綺麗だ。
「あっ!それは!よくぞ見つけてくれた。それは私が研究していた薬なんだが、この子達が遊んで持っていってしまってな。困っていたんだ」
掃除の依頼を頼んだのも、これを探していたからだそうだ。
『何の薬なんですか?』
ケイも興味が湧いて小瓶を覗き込む。
キラキラして綺麗だなと見惚れていると、背中にトスっと衝撃があり、気を抜いていたケイは前のめりに倒れた。
あっ!と焦った声が聞こえて頭に冷たい物がかかる。
「悪い!だいじょう…?!」
「あー!!ケイがっ!」
「猫だな…」
「そんな!?」
頭上から聞こえる声に、はっとして自分の姿を確認したケイは驚いた。
銀色のふさふさとした毛に覆われた体。視線も低く、四つん這いになった手足には肉球。
『どうしましょう。これじゃ任務に参加出来ません』
カカシを見上げて話しかける。
しかし、カカシは困り顔でナルト達も首を傾げていた。
「何か言ってるんだろうけど、ニャーニャーじゃ分かんないね」
「サスケ!お前のせいだってばよ!ちゃんと持ってないから、ケイが猫になっちまったじゃねーか!」
「そ、それはそうだが」
「サスケ君のせいじゃないわ!いきなりあの子がケイに飛びかかったんだもの」
サクラが指差した方向には、猫がいた。呑気に顔を洗っている。
それよりも、ケイは言葉まで猫になっている事に焦っていた。
(どうにか、言葉を伝える手段はないかな)
キョロキョロと見渡せば、紙とペンが転がっていた。
そうだ!と駆け寄り、口にペンを咥えて紙に言葉を書く。
「どうした?えっと。"どうしたらいいですか?"そうだな。ちなみにこの薬はどういう物なんですか?」
「まだ研究の途中だが、人間が猫になる効果があるんだ!いやー!私も猫になってこの子達と会話がしてみたくてな」
「猫になるのは見ればわかるってばよ!これってば、ちゃんと元に戻るんだろうな?」
ナルトがケイを抱き抱えて心配そうに顔を覗き込む。
「ああ。たぶんな。何せまだ研究途中だから、正確にはわからん」
「そんな事って!先生、このままじゃケイが」
「とりあえず、研究を続けてもらって元に戻る方法を探してもらおう。その間は様子観察するしかないな」
カカシはナルトからケイを受け取った。
「と言うわけだ。しばらくはオレの家で過ごしてもらうから」
『えっ!そんな迷惑かけられないです!』
「はいはい。ニャーニャー鳴いても分からないから。それに一人じゃどうしようもないでしょ」
「先生、ずるいってばよ!オレも面倒見れるのに!」
むくれるナルトにカカシは、片付けも出来ないのに無理でしょと呆れていた。
「じゃあ、何か分かりましたらご連絡下さい」
あれから、ナルト達は部屋の片付けを急いで終わらせた。ケイは何も出来ないからと、邪魔にならないように、猫達に混ざって待機するはめになっていた。おかげで猫達に匂いを嗅がれたり、戯れつかれたりと大変だった。
「明日からしばらくはケイ抜きで任務だからな。んじゃ、解散」
そう言うと、カカシはケイを抱いたままドロンと姿を消した。
「ただいま。ほら、ケイも中に入って」
『お邪魔します』
カカシの部屋へと降ろされたケイは、恐る恐る中へと進む。初めて入るカカシの部屋は、綺麗にしてあって、ケイはナルトの部屋とは大違いだと思った。
「ご飯はオレと同じ物で良いのかな。さすがにキャットフードはないな」
カカシの言葉にケイはギョッとする。いくら見た目が猫でも中身は人間だ。猫用のご飯は勘弁して欲しいと、カカシに借りたペンで紙に書いた。
「会話が出来ないのも不便だな。そうだ!はいなら一回、いいえなら二回鳴くってのはどう?」
『はい!』
「今のは一回だから、はいだね。それ以外で何か伝えたい時は、さっきみたいに書いてくれればいいから」
にこりと笑うカカシに、ケイはありがとうの気持ちを込めてペコリと頭を下げた。
「早く元に戻ると良いな。そうだ、せっかくだから遊んでみる?」
どこから取り出したのかカカシの手にはおもちゃがある。
「パックン達が遊んでたあまりで新品だよ」
『先生!楽しんでません?!』
ケイの言葉は届かず、カカシはほれほれとおもちゃを揺らす。それを見ると何故か体が反応して戯れついてしまうケイ。
「本当に猫みたいだな。っと!」
『もう!怒りますよ!』
ガシッとおもちゃを咥えて、ケイはカカシから距離を取った。
「あー、ごめん。怒った?いや、可愛くてついね」
『"からかわないで下さい"』
ケイは紙にそう書くとフイっとそっぽを向いた。
その姿にカカシはもう一度謝って、ご飯作るからと台所へと移動した。
手際良く準備する音にケイは興味が湧いてこっそりと覗きに行く。
(カカシ先生、料理上手だ)
何でもこなしてしまう姿に見惚れていると、視線に気づいたのかカカシがケイを見る。
「お腹空いたの?もうちょっと待っててね」
今日は魚にしたよと、焼き魚にお味噌汁、お浸しがあっという間に出来上がった。
良い匂いにお腹がなっている。
「箸は使えないから、オレが食べさせようか?」
『そのまま食べますよ』
二回鳴いたあと、前足を合わせていただきますをする。カカシは一瞬驚いたが、どーぞと笑う。ケイが準備してもらったご飯を食べ始めるとカカシも一緒に食べ始めた。
(うっわ…!カカシ先生の素顔見た事はナルト達に内緒にしとかないとね)
まさかのカカシの素顔も見れて、美味しい食事も貰って、いろいろと満足したケイは、睡魔に襲われていた。
座ったままゆらゆらと揺れるケイに気づいたカカシが、ベッドへと乗せてくれるが、さすがに遠慮して床で丸くなる。
「体痛くなるでしょ。いいからベッドで寝なさいって」
『そんな訳にはいきませんよ』
頑なに拒むケイにカカシも意地になって、最終的にケイを抱いてベッドへと潜り込んだ。
『えっ!離して下さいよー』
「はいはい。寝るよ」
おやすみと言って眠るカカシ。抜け出そうとケイはもぞもぞと動くもしっかりと抱かれて抜ける事は不可能だった。
『仕方ない。このまま寝るしかないか…』
カカシの寝息につられて、徐々に瞼が重くなる。初めは緊張していたケイだったが、気がつけば眠りに落ちていた。
朝になりカカシは任務に出かけてしまった。
留守番のケイはする事もなく、暇を弄んでいた。
(何かする事ないかなー。そうだ!話す練習でもしてみよう)
忍犬や忍猫のように練習すれば話せるかもしれない。そう思ってケイはカカシが帰ってくるまで話す練習をした。
「ただいまー、ケイ。一人で大丈夫だった?」
『先生、おかえりなさい!』
「あれ?ちゃんと言葉になってるじゃないの」
会話が出来ることに驚くカカシは、何したの?と尋ねたきた。
『先生が留守の間に練習しました!少し体が慣れてきたようです』
「そうか。ま、これで少しは過ごしやすくなったけど、あんまり猫の姿が馴染むのは心配だな」
カカシは本当に心配そうな顔で、明日は綱手に会いに行こうとケイを抱き抱えて頭を撫でた。
『そうですね。綱手様なら何か分かるかも』
無意識にゴロゴロと喉を鳴らして、ケイは気持ち良さそうにしている。
「そんなに気持ち良いの?本当に猫みたいだな」
『先生の手が、心地良い…せいです…よ』
すやすやと寝息を立て始めるケイを、カカシは優しくベッドへと寝かせた。
翌日、火影室へと訪れたカカシとケイは、綱手に診察をしてもらえるように相談していた。
「何とも言えないが、とりあえず今のところは異常なしだ。それにしても、お前のところは次から次へと。怪我したり、猫になったり忙しいな、まったく」
「あはは…。すみません」
綱手が呆れるのも無理はない。カカシを筆頭にサスケもナルトも怪我を治してもらっているし、今度はケイまでお世話になっている。
『里が大変な時にすみません…』
「まあ、焦っても仕方ないだろう。早く薬を作ってもらうか、薬の効き目が切れることを祈っとくんだな」
綱手のもとを後にして、そのまま研究所へと寄った。
薬はまだ出来ないとの事だったが、新しい情報が入った。なんと、あと二日ほどで元に戻れると言うのだ。
良かったと思う反面、カカシと一緒に過ごせる時間が残りわずかな事にケイは少し寂しさを覚える。
『一緒に過ごせるのもあと少しなんですね…。せっかく一人じゃなくなったのになー』
「元に戻れるんだから、ぜいたく言わないの。それに、一人じゃないでしょーが」
そうだった。今はナルトはもちろん、サスケやサクラ、カカシがいつも一緒だった。
『そうでしたね。いつのまにか、私の周りには大切な人が増えて一人じゃなくなってました』
えへへと笑うケイの頭を撫でて、カカシはそうでしょ?と笑った。
あれから無事に人間へと戻ったケイ。
「本当に戻って良かったってばよ!でも、猫の時のケイも可愛かったよなー」
「それはそうだけど、やっぱり猫は大変よ!カカシ先生に意地悪されなかった?」
「ちょっとサクラ。人聞きの悪いこと言わないでちょーだいよ」
ケイを囲んでいたナルトとサクラがジロリとカカシを見る為、カカシは苦笑いをしている。
『大丈夫だったよ。おもちゃでからかわれたりしたけど、楽しかったし。先生に撫でられるとすごく落ち着いて気持ちよかったし。猫もいいかなって思ってたくらいだよ』
「カカシ、ケイを触り過ぎじゃないか?」
「変態だ。先生、セクハラだってばよ…」
「いやいや!君たちが変な方向に考えてるだけでしょ!」
「必死なところが余計に怪しいわ」
過保護な仲間が、カカシとの間に入り壁を作る。
『ちょっとみんな。カカシ先生は本当に優しかったよ?ベッドにも入れてくれたし、ご飯も食べさせてくれようとしたし』
「ケイ。もうやめて…。逆効果」
カカシの言葉にあれ?っと思いナルト達を見ると、カカシに冷たい視線を送っていた。
『とにかく!今回の事でカカシ先生がすっごく面倒見良くて優しいことが再確認出来ました!お世話してくれてありがとうございました』
また猫になったらよろしくお願いしますとケイがカカシに抱きつくと、はいはいと呆れたような嬉しいような表情をするカカシだった。
肉球をぷにぷにとしながらケイは尻尾をへたりとさせた。
今回の任務は猫好きの研究者からで、研究室の掃除を手伝って欲しいという依頼だった。
部屋の中には至る所に猫、猫、猫。どの子もお利口さんで掃除の邪魔にはならなかったが、問題は猫よりも部屋の汚さだった。
サクラが入ることを嫌がるような顔をしたほど、研究資料や研究道具があちこちに散らばり、それぞれでまとめるのだけでも一苦労。
「オレの部屋よりひどいってばよ…」
お世辞にも綺麗と言えない部屋のナルトが呆れる始末。
「ま、そう言うな。これも任務だ」
カカシはそう言うが、苦笑いを浮かべていた。
猫達を誘導しながら少しずつ部屋の片付けを始める。
大事な資料を捨てないように気をつけながら、ゴミを分けている時だった。
「何だこれは?薬?」
「おっ?なんだってばよ?」
サスケとナルトが青い液体が入った小瓶を見つけて眺めている。キラキラと中身が光って綺麗だ。
「あっ!それは!よくぞ見つけてくれた。それは私が研究していた薬なんだが、この子達が遊んで持っていってしまってな。困っていたんだ」
掃除の依頼を頼んだのも、これを探していたからだそうだ。
『何の薬なんですか?』
ケイも興味が湧いて小瓶を覗き込む。
キラキラして綺麗だなと見惚れていると、背中にトスっと衝撃があり、気を抜いていたケイは前のめりに倒れた。
あっ!と焦った声が聞こえて頭に冷たい物がかかる。
「悪い!だいじょう…?!」
「あー!!ケイがっ!」
「猫だな…」
「そんな!?」
頭上から聞こえる声に、はっとして自分の姿を確認したケイは驚いた。
銀色のふさふさとした毛に覆われた体。視線も低く、四つん這いになった手足には肉球。
『どうしましょう。これじゃ任務に参加出来ません』
カカシを見上げて話しかける。
しかし、カカシは困り顔でナルト達も首を傾げていた。
「何か言ってるんだろうけど、ニャーニャーじゃ分かんないね」
「サスケ!お前のせいだってばよ!ちゃんと持ってないから、ケイが猫になっちまったじゃねーか!」
「そ、それはそうだが」
「サスケ君のせいじゃないわ!いきなりあの子がケイに飛びかかったんだもの」
サクラが指差した方向には、猫がいた。呑気に顔を洗っている。
それよりも、ケイは言葉まで猫になっている事に焦っていた。
(どうにか、言葉を伝える手段はないかな)
キョロキョロと見渡せば、紙とペンが転がっていた。
そうだ!と駆け寄り、口にペンを咥えて紙に言葉を書く。
「どうした?えっと。"どうしたらいいですか?"そうだな。ちなみにこの薬はどういう物なんですか?」
「まだ研究の途中だが、人間が猫になる効果があるんだ!いやー!私も猫になってこの子達と会話がしてみたくてな」
「猫になるのは見ればわかるってばよ!これってば、ちゃんと元に戻るんだろうな?」
ナルトがケイを抱き抱えて心配そうに顔を覗き込む。
「ああ。たぶんな。何せまだ研究途中だから、正確にはわからん」
「そんな事って!先生、このままじゃケイが」
「とりあえず、研究を続けてもらって元に戻る方法を探してもらおう。その間は様子観察するしかないな」
カカシはナルトからケイを受け取った。
「と言うわけだ。しばらくはオレの家で過ごしてもらうから」
『えっ!そんな迷惑かけられないです!』
「はいはい。ニャーニャー鳴いても分からないから。それに一人じゃどうしようもないでしょ」
「先生、ずるいってばよ!オレも面倒見れるのに!」
むくれるナルトにカカシは、片付けも出来ないのに無理でしょと呆れていた。
「じゃあ、何か分かりましたらご連絡下さい」
あれから、ナルト達は部屋の片付けを急いで終わらせた。ケイは何も出来ないからと、邪魔にならないように、猫達に混ざって待機するはめになっていた。おかげで猫達に匂いを嗅がれたり、戯れつかれたりと大変だった。
「明日からしばらくはケイ抜きで任務だからな。んじゃ、解散」
そう言うと、カカシはケイを抱いたままドロンと姿を消した。
「ただいま。ほら、ケイも中に入って」
『お邪魔します』
カカシの部屋へと降ろされたケイは、恐る恐る中へと進む。初めて入るカカシの部屋は、綺麗にしてあって、ケイはナルトの部屋とは大違いだと思った。
「ご飯はオレと同じ物で良いのかな。さすがにキャットフードはないな」
カカシの言葉にケイはギョッとする。いくら見た目が猫でも中身は人間だ。猫用のご飯は勘弁して欲しいと、カカシに借りたペンで紙に書いた。
「会話が出来ないのも不便だな。そうだ!はいなら一回、いいえなら二回鳴くってのはどう?」
『はい!』
「今のは一回だから、はいだね。それ以外で何か伝えたい時は、さっきみたいに書いてくれればいいから」
にこりと笑うカカシに、ケイはありがとうの気持ちを込めてペコリと頭を下げた。
「早く元に戻ると良いな。そうだ、せっかくだから遊んでみる?」
どこから取り出したのかカカシの手にはおもちゃがある。
「パックン達が遊んでたあまりで新品だよ」
『先生!楽しんでません?!』
ケイの言葉は届かず、カカシはほれほれとおもちゃを揺らす。それを見ると何故か体が反応して戯れついてしまうケイ。
「本当に猫みたいだな。っと!」
『もう!怒りますよ!』
ガシッとおもちゃを咥えて、ケイはカカシから距離を取った。
「あー、ごめん。怒った?いや、可愛くてついね」
『"からかわないで下さい"』
ケイは紙にそう書くとフイっとそっぽを向いた。
その姿にカカシはもう一度謝って、ご飯作るからと台所へと移動した。
手際良く準備する音にケイは興味が湧いてこっそりと覗きに行く。
(カカシ先生、料理上手だ)
何でもこなしてしまう姿に見惚れていると、視線に気づいたのかカカシがケイを見る。
「お腹空いたの?もうちょっと待っててね」
今日は魚にしたよと、焼き魚にお味噌汁、お浸しがあっという間に出来上がった。
良い匂いにお腹がなっている。
「箸は使えないから、オレが食べさせようか?」
『そのまま食べますよ』
二回鳴いたあと、前足を合わせていただきますをする。カカシは一瞬驚いたが、どーぞと笑う。ケイが準備してもらったご飯を食べ始めるとカカシも一緒に食べ始めた。
(うっわ…!カカシ先生の素顔見た事はナルト達に内緒にしとかないとね)
まさかのカカシの素顔も見れて、美味しい食事も貰って、いろいろと満足したケイは、睡魔に襲われていた。
座ったままゆらゆらと揺れるケイに気づいたカカシが、ベッドへと乗せてくれるが、さすがに遠慮して床で丸くなる。
「体痛くなるでしょ。いいからベッドで寝なさいって」
『そんな訳にはいきませんよ』
頑なに拒むケイにカカシも意地になって、最終的にケイを抱いてベッドへと潜り込んだ。
『えっ!離して下さいよー』
「はいはい。寝るよ」
おやすみと言って眠るカカシ。抜け出そうとケイはもぞもぞと動くもしっかりと抱かれて抜ける事は不可能だった。
『仕方ない。このまま寝るしかないか…』
カカシの寝息につられて、徐々に瞼が重くなる。初めは緊張していたケイだったが、気がつけば眠りに落ちていた。
朝になりカカシは任務に出かけてしまった。
留守番のケイはする事もなく、暇を弄んでいた。
(何かする事ないかなー。そうだ!話す練習でもしてみよう)
忍犬や忍猫のように練習すれば話せるかもしれない。そう思ってケイはカカシが帰ってくるまで話す練習をした。
「ただいまー、ケイ。一人で大丈夫だった?」
『先生、おかえりなさい!』
「あれ?ちゃんと言葉になってるじゃないの」
会話が出来ることに驚くカカシは、何したの?と尋ねたきた。
『先生が留守の間に練習しました!少し体が慣れてきたようです』
「そうか。ま、これで少しは過ごしやすくなったけど、あんまり猫の姿が馴染むのは心配だな」
カカシは本当に心配そうな顔で、明日は綱手に会いに行こうとケイを抱き抱えて頭を撫でた。
『そうですね。綱手様なら何か分かるかも』
無意識にゴロゴロと喉を鳴らして、ケイは気持ち良さそうにしている。
「そんなに気持ち良いの?本当に猫みたいだな」
『先生の手が、心地良い…せいです…よ』
すやすやと寝息を立て始めるケイを、カカシは優しくベッドへと寝かせた。
翌日、火影室へと訪れたカカシとケイは、綱手に診察をしてもらえるように相談していた。
「何とも言えないが、とりあえず今のところは異常なしだ。それにしても、お前のところは次から次へと。怪我したり、猫になったり忙しいな、まったく」
「あはは…。すみません」
綱手が呆れるのも無理はない。カカシを筆頭にサスケもナルトも怪我を治してもらっているし、今度はケイまでお世話になっている。
『里が大変な時にすみません…』
「まあ、焦っても仕方ないだろう。早く薬を作ってもらうか、薬の効き目が切れることを祈っとくんだな」
綱手のもとを後にして、そのまま研究所へと寄った。
薬はまだ出来ないとの事だったが、新しい情報が入った。なんと、あと二日ほどで元に戻れると言うのだ。
良かったと思う反面、カカシと一緒に過ごせる時間が残りわずかな事にケイは少し寂しさを覚える。
『一緒に過ごせるのもあと少しなんですね…。せっかく一人じゃなくなったのになー』
「元に戻れるんだから、ぜいたく言わないの。それに、一人じゃないでしょーが」
そうだった。今はナルトはもちろん、サスケやサクラ、カカシがいつも一緒だった。
『そうでしたね。いつのまにか、私の周りには大切な人が増えて一人じゃなくなってました』
えへへと笑うケイの頭を撫でて、カカシはそうでしょ?と笑った。
あれから無事に人間へと戻ったケイ。
「本当に戻って良かったってばよ!でも、猫の時のケイも可愛かったよなー」
「それはそうだけど、やっぱり猫は大変よ!カカシ先生に意地悪されなかった?」
「ちょっとサクラ。人聞きの悪いこと言わないでちょーだいよ」
ケイを囲んでいたナルトとサクラがジロリとカカシを見る為、カカシは苦笑いをしている。
『大丈夫だったよ。おもちゃでからかわれたりしたけど、楽しかったし。先生に撫でられるとすごく落ち着いて気持ちよかったし。猫もいいかなって思ってたくらいだよ』
「カカシ、ケイを触り過ぎじゃないか?」
「変態だ。先生、セクハラだってばよ…」
「いやいや!君たちが変な方向に考えてるだけでしょ!」
「必死なところが余計に怪しいわ」
過保護な仲間が、カカシとの間に入り壁を作る。
『ちょっとみんな。カカシ先生は本当に優しかったよ?ベッドにも入れてくれたし、ご飯も食べさせてくれようとしたし』
「ケイ。もうやめて…。逆効果」
カカシの言葉にあれ?っと思いナルト達を見ると、カカシに冷たい視線を送っていた。
『とにかく!今回の事でカカシ先生がすっごく面倒見良くて優しいことが再確認出来ました!お世話してくれてありがとうございました』
また猫になったらよろしくお願いしますとケイがカカシに抱きつくと、はいはいと呆れたような嬉しいような表情をするカカシだった。