はじまり
主人公の名前
設定NARUTOの夢小説。
カカシ寄りのほのぼのになる予定。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
明朝5時。約束通りに全員集合した。
…いや、1人足りない。カカシだ。
すぐに来るだろうと待つも、太陽が登ってもなかなか姿が現れない。
「いくら何でも遅いってばよ!」
不満も絶頂に差しかかった頃
「おまたせー」
と、のんきにカカシが登場した。
黒猫が前を横切ってと、明らかに分かる嘘をついている。
「それよりも、お前ら朝食は抜いて来ただろうな」
カカシの言葉に、ぐぅーとお腹が先に返事をする。
よしよし、とカカシは満足したように笑った。
(笑ってる場合じゃないよ。お腹すいた)
何か食べろと訴えるお腹を押さえる。
「じゃあさっそくサバイバル演習を開始する。ルールは簡単だ。オレの腰についてる鈴を12時までに取ることだ」
「そんな!2つだけなんて!」
サクラが叫ぶ。
「最低2人はアカデミー行きだな。さて、タイマーもセット完了。演習開始!」
カカシの合図でそれぞれが散り、ケイはとっさに木陰へと隠れた。
カカシは動かず周りの気配を探っているようだ。
(余裕ってわけね。とりあえずみんなと合流しないと)
カカシの様子を観察しながら、3人を探そうとした時、視界にオレンジ色が見えた。ナルトだ。
カカシに向かって
「いざ尋常に勝負ー!勝負ー!」
と叫んでいるのが聞こえる。
これにはカカシも呆れている様子がうかがえた。
『さすがに無謀すぎだよ。もっと慎重にならないと』
あまりの無鉄砲さに、ケイでさえ苦笑いが出る。あとの2人もきっとどこかで見ていて呆れているのだろう。
ナルトは健闘も虚しく返り討ちにされていた。
さすが、上忍。全く隙がなかった。
『ナルト、ちょっと良い?協力して先生の鈴を取ろう』
カカシの罠にかかり、木にぶら下がるナルトに話しかける。
縄抜けの術が苦手なナルトは逆さまで揺れながら、考えていた。
「オレってば1人で先生にリベンジしたいからちょっと待っててくれってばよ!このまま負けて終われるかっての!」
『そっか。分かったよ』
負けず嫌いのナルトだ。今はそっとしといておこう。とりあえず、縄を解いてあげてケイは他の2人を探しに移動した。
うまく隠れているようでなかなか2人は見つからない。
カカシは相変わらず見通しの良い広場で読書を続けていた。
『このままじゃ鈴も取れないし、時間がないから出来る事をやるしかないよね』
ナルトと同じく、アカデミーでの成績はお世辞にも良いとは言えないケイだったが、一つだけ得意な術があった。
確実に当てれる距離までじりじりとカカシに近づく。緊張で自然と呼吸が早くなる。
術の射程距離まで来た。ケイは素早く印を結んだ。
『水遁!水枷の術!』
カカシの足に水で出来た枷がはまった。
やったと思ったケイだったが、すぐに落胆する。カカシだと思ったのは影分身だったのだ。ボフンっと消えた分身の足元で、解けた水枷がビシャリと音を立てて崩れる。
「惜しかったね。でもあれじゃオレは捕まらないよ」
耳元で囁かれる声に、さっとケイは距離を取る。いや、取ったつもりだった。
ところが実際は捕まえようとしていたカカシに逆に捕まり、一瞬にして縄で縛られていた。
「残念だけど時間だよ」
遠くでベルの音が響くのが聞こえた。そしてカカシに抱えられ、そのままみんなの元へと連行された。
結局誰も鈴を取ることができずに12時を迎えてしまった。ナルトに至っては丸太に縛り付けられている。
かくいうケイもナルトの足元で縄に縛られているのだが。
「お前らは全員、忍者を辞めろ!」
鈴を取れずに落ち込む4人に対してカカシの厳しい言葉が飛ぶ。
突然そんな事を言われナルトからは文句が飛ぶ。
「どいつもこいつも忍者になる資格がない、ガキだって事だよ」
これにはサスケが怒ってカカシに襲いかかった。が、返り討ちに合い組み敷かれてしまった。
その様子を見てサクラが叫んでいる。
「お前ら忍者を舐めてんのか?ああ?」
普段のカカシからは想像もできないほどの凄みがあった。
「何のために班ごとに分かれて演習やってると思ってる!お前らはこの演習の答えを全く理解していない!」
(演習の答え…。ただ、鈴を取るだけじゃないってこと?)
カカシ曰く、この演習は仲間割れが起きる前提で、チームワークを優先できる者を見極めるものだという。
「任務は命懸けだ。チームワークが取れなければ命取りになる」
そう言うとカカシは石碑の方へと足を進めた。
「ここには、里の英雄たちの名前が刻まれている」
「それいい!オレもそこに名を刻むって今決めた!」
英雄という響きにナルトはテンションが上がっている。
「ここに名を刻んでいるのは殉職した者たちだ」
殉職。それは任務中に命を落としたという事だ。
それを聞いたナルトは先ほどまでの元気はなくなり、気まずそうにしている。
「ここにはオレの親友の名も刻まれている」
そう呟いたカカシの声には切なさがこもっていた。
「お前たちにもう一度チャンスをやろう。挑戦する者だけ弁当を食え。ただしナルトには食わすなよ。ルールを破って1人だけ先に弁当を食おうとした罰だ!」
破ったらその時点でそいつは失格、ここではオレがルールだ、そう言い残しカカシは姿を消した。
丸太に縛られるナルトの周りで、ケイたちは弁当を広げた。
腹の虫が鳴き止まないナルトは、強がりを言っているがみるみる元気がなくなっている。
そんなナルトを見かねたのか、サスケがほらっと弁当を分けようとした。
「ちょーっとサスケくん、さっき先生が」
「大丈夫だ。あいつの気配は近くにない」
『じゃあ、みんなの弁当を少しずつナルトに分けてあげよう?』
縄から抜け出せないナルトに、まずはサクラがキョロキョロとあたりに警戒しつつ、ご飯を口に運ぶ。ぱくりとご飯を口に入れた瞬間、爆風と共に
「お前らー!」
とカカシが現れた。
怒ったカカシが覚悟はできてるだろうなと、印を結べば空には雷雲が立ち込めた。
何か言うことはあるかと凄むカカシに、ナルトがだってと言い返す。
「だ、だって!先生、言ったってばよ!だからこいつら」
「オレたちはフォーマンセルなんだろ?」
「そ、そうよ!4人で1つなんだからー!」
『誰も見捨てるなんてことしません!』
険しい表情のカカシが、4人で1つか、と詰め寄ってくる。
「ごうかーく!」
先ほどまでの張り詰めた空気がなくなり、にっこりと笑ったカカシがいた。
ケイたちは突然のことに驚き戸惑う。
「忍者の世界でルールや掟を破った奴はクズ呼ばわりされる。けどな、仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ」
カカシの言葉にケイは忍者の、カカシの強さを垣間見た気がした。
「これにて演習終了。全員合格!第七班は明日から任務開始だ!」
こうしてようやく、ケイたちは忍者として認められたのだった。