中忍選抜試験
主人公の名前
設定NARUTOの夢小説。
カカシ寄りのほのぼのになる予定。
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『もう大丈夫そう?…2人とも無事で良かった』
「おい、静かにしろ!まだあいつが近くにいるはずだ」
サスケは落ち着かない様子で、周りを警戒している。
(サスケがこんなになるなんて。それだけあいつから受けた恐怖は強かったんだ)
いつも勝ち気なサスケ。その彼が怯えている姿なんて、波の国で再不斬と対峙した時以来だ。
それでもさっきのやつの時のように、動けないほどじゃなかった。
(カカシ先生がいないのも一つの原因なんだろうけど)
波の国の時はカカシが守ってくれるという安心感があった。それに引き換え今回は一歩間違えれば死が訪れる事が分かっている。
そうなれば自然と心を恐怖が埋め尽くしていく。それは感情がある人間ならば当たり前のことだった。
「サスケ君!う…」
サクラの視線を辿ると、蛇が背後に忍び寄っていた。それに気づいたサクラが声を上げるも、動揺していたサスケは声を出すなとサクラ口を手で押さえた。
『ダメ!逃げるの!』
ケイは仕方なく2人を突き飛ばす。
かわりに逃げ遅れたケイは蛇の体当たりを受けた。
(いったあ…。でも攻防結界のおかげでそんなに傷はひどくない)
飛ばされながら必死に術を発動出来たおかげで、打撲で済んだのは運が良かった。
「駄目じゃない。獲物が捕食者の前で気を抜いてちゃ」
なんと蛇から先ほど襲って来た忍が現れた。そいつはにょろにょろと蛇のように木を伝って、未だ怯えるサスケへ進む。
その行く手にシュシュっとクナイが突き刺さり道を塞いだ。
「悪いな、サスケ。合言葉は、忘れちまったぜ!」
『ナルトー!無事だったんだ!』
「いいわよ、ナルト!イケてる!」
腕組みして格好良く登場したナルト。ケイとサクラが喜ぶも、サスケの反応は違った。
「カッコつけて助けに来たつもりだろーが、出しゃばるな!逃げろ!こいつは次元が違いすぎる!」
焦るサスケの言葉を聞いてもナルトは逃げない。それどころか相手に対して啖呵を切っている。
(4体1にはなったけど。これからあいつ相手にどうしよう)
ケイがそんな事を考えていると、サスケから信じられない言葉が飛び出した。
「巻物ならお前にやる。頼む…これをもって引いてくれ」
「え?」
『そんな…!』
「サスケ!何トチくるってんだ、てめーは!?巻物、敵にやってどーすんだってばよ!」
サスケらしくない行動に全員が耳を疑った。
しかし、相手は本能がいい、と笑っている。
「獲物が捕食者に期待できるのは、他のエサで自分自身を見逃してもらうことだけですものね…」
その言葉にサスケは了解を得たと思ったのか、巻物を相手に投げる。投げられた巻物は相手に届くことはなく、飛び出したナルトが奪い取った。
それに対して余計な事をするなとサスケが怒る。そのサスケよりも怒っていたナルトは、サスケを勢いよく殴り飛ばした。
「オレってば、合言葉は忘れちまって確かめようはねーけど。てめーはサスケの偽物だろ!」
サスケが本物だと訂正しても、ナルトはウソつけと言って聞き入れない。
「こんなバカで腰抜けヤローは、ぜってーオレの知ってるサスケじゃねー!こいつがどんだけ強えーか知らねーが、巻物渡したってオレたちを見逃すって保証がどこにあんだよ…。ビビって状況分かってねーのはお前のほうだってばよ!」
そうだ。サスケはいつも冷静沈着だった。
こんな得体の知れないやつと、成立するか分からない取引なんてしない。
現に相手はこの取引を受ける気なんてなかった。
「巻物なんて、殺して奪えばいいんだからね!」
そう言って蛇のようなあいつは何かの術を発動させようとする。
「ふざけんな!」
『ナルトー!1人じゃ危ないよ』
駆け出すも間に合わず、ぼふんと煙を上げて大蛇が口寄せされる。そいつの尾に弾き飛ばされたナルトは木へと思い切り叩きつけられた。
「お前はさっきの借りがあったわね」
『よくも!私の仲間に!水遁 水手裏剣の術!』
水で出来た無数の手裏剣が大蛇を襲う。だが、大蛇はそれさえも尾で弾き飛ばした。弾かれた手裏剣が今度はケイを襲う。
『くっ…。この術じゃ、ダメか』
「あら、あなた面白い術使うのね。それは結界かしら?」
ケイの体を纏う結界に気づいたそいつは、面白い物を見つけたと嬉しそうにニヤリとした。
身の危険を感じるケイだったが、先ほどからの戦闘でチャクラを使い過ぎて体が思うように動かない。
(こんな、ところで。倒れるわけには…)
そう思いながらも、ふらつく体を支えるので精一杯だった。目の前に大蛇が迫るケイの目に映ったのは、ナルトが大蛇にかかと落としを決めているところだった。
「クソ喰らえー!ケイ!大丈夫か?」
『ありがと。助かったよ…』
反撃を受けた大蛇が今度はサスケを狙う。恐怖で動けないサスケの元へナルトが飛び出して行った。
大蛇を背で止めたナルトはサスケと向かい合う。
「よォ、ケガはねーかよ…ビビリ君」
それは波の国での任務で初めて戦闘になった時、サスケがナルトに言ったあの言葉だった。
あの後からナルトはサスケに追いつこうと本当に頑張っていた。何も出来なかった自分を変えようと修行をしていたナルトを、ケイは尊敬していた。
(やっぱりナルトはすごいよ…。私もまだまだ頑張らないとね)
少し動くようになってきた体に鞭を打ち、ケイはよろよろと立ち上がる。
「うわぁー!」
ナルトの叫び声にハッとそちらを見れば、蛇のようなあいつがナルトに変な術をかけているところだった。
『ナルトを離して!』
残り少ないチャクラを足に集中させてケイは飛び出す。大蛇を駆け上り、クナイでそのまま敵を狙った。シュッと振り抜いたクナイは敵に当たる事なく空を切る。
「お前も今は邪魔よ」
バコっと鈍い音が響いたと思ったら、お腹に激痛が走った。口からはポタポタと温かい液体が垂れる。
力の入らない体はそのまま空中へと放り出された。
(あー、今度こそもう動けない)
落ちていく体に合わせて、ケイは意識まで落ちた。