中忍選抜試験
主人公の名前
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指定された席へ着いたところで筆記試験のルールの説明が始まった。
この試験は減点式で各自持ち点は10点。チーム単位で得点を競い合う。問題に間違うと1点ずつ引かれ、全問間違えると0点になる。さらにカンニングおよびそれに準ずる行為を行なったと監視員に見なされた場合は、その行為1回につき2点減点となる。持ち点が0になった場合は退場。さらに持ち点をすべて失う、もしくは正解数が0の者がいる班は全員道連れ不合格。
以上が試験のルールだった。
(これは、やばいよ。私も筆記試験は苦手なんだよね…)
サクラとサスケは大丈夫だろうが、アカデミーで成績が悪い2人がいるのだ。落ちる確率の方が残念ながら高い。
まずは問題を見てから対策を考えようと、配られてきた用紙を見て、ケイはさらに自信を失った。
(なにこれ…。こんなの習ったっけ?)
暗号文はまだしも、その下に続く問題は意味が分からない。最後の10問目に至っては試験開始後45分経ってから出題されると書かれている。
答えが分からずに焦るケイの周りで、ついに退場者が出始めた。しかし、考えたところで答えは出てこない。
そこでケイはカンニングをしたら減点で、なぜすぐに失格じゃないのか不思議に思った。アカデミーでカンニングなんてしたらイルカから問答無用で廊下に叩き出されている。
(もしかして、見つからなければ大丈夫?)
試験官のイビキも無様なカンニングを行なった者は自滅していくと言っていた。ということは無様じゃなければ生き残れるのではないか。
(どっちみちこのままじゃ不合格は決定なんだ)
ケイはバレないようにカンニングをする方法を探した。そして、イビキが言っていた言葉を思い出す。
忍なら、立派な忍らしくすること。
(そうだ!カカシ先生が言ってた、忍は裏の裏を読め。この試験は普通にカンニングするのはダメだけど、術を使って情報収集をする事はいいって事なんだ!)
そうと分かって情報収集をしようにも、それに特化した術を持ち合わせていないケイ。困っていると視界に、ふと何かが光った。それは天井に誰かが仕込んでいた鏡だった。
(鏡か…!水遁で水鏡を作れば)
ケイはさっそく手のひらでそっとチャクラを練り水鏡を作ってみる。
(良い感じだ。水遁 水鏡!)
チャクラを練り込んだ特別な水鏡をそっと天井に浮かせる。周りに向けるとの受験生の答案を反射して写し出す。見える範囲で答案を写し終えると時間がちょうど45分を回ったようだ。
「では、最後の問題を出題する前に、まずお前には受けるか受けないかどちらかを選んでもらう」
最終問題は受けないを選べばその場で失格。もちろん、チームの全員が道連れとなる。そして、受けるを選んで不正解だった場合は失格となり、その上永久に中忍試験の受験資格まではく奪ときた。
イビキの言葉に受験生達から不満と質問が飛び出した。
それを怪しげな笑みをうかべ、今年はオレがルールだと、再び最後の問いについて受験生達に問いかけた。
(私はこの先の試験も受けて、自分の実力が知りたい。でも、そのせいでみんなが不合格になったら嫌だなぁ)
悩んだ末に辞退する者が出てきている中、ナルトの手が上がった。
まさか!とケイは驚きナルトを凝視した。
だが、当の本人はいきなり机を力強く叩く。
「なめんじゃねー!オレは逃げねーぞ!受けてやる!もし一生下忍になったって、意地でも火影になってやるから別にいいってばよ!」
最後に、怖くなんかねーぞ!と堂々と言いきったナルトは、来るなら来いとでも言うように構えている。
「もう一度訊く。人生を賭けた選択だ。やめるなら今だぞ」
「まっすぐ自分の言葉は曲げねえ。オレの忍道だ!」
そんな姿勢に勇気をもらった者が、この受験生の中にどれほどいるのだろう。ケイもそのうちの1人だった。
(やっぱりナルトはすごいなぁ。一瞬で不安がなくなった)
張り詰めていた空気の試験会場が、ナルトのおかげで和らいだ。それは試験官のイビキも感じているようだ。
「いい決意だ。では、ここに残った全員に、第一の試験、合格を申し渡す!」
突然の合格発表に一同は驚きを隠せない。
最後の問題はと質問が飛ぶと、イビキはにっこり笑ってそんなものは初めからないよと言った。
「言ってみればさっきの2択が10問目だな」
この試験、初めの9問は個人の情報収集能力を見るもの。忍にとって情報とは命よりも重い価値を発している。その為、任務や戦場では命がけで奪い合いをしなければならない。誤った情報を握らされない為に、その能力が劣っている者を選別していたというのだ。
そして、最後の10問目で本題。どんなに不利な状況でも、その苦境を突破していく能力、中忍という部隊長なら求められる資質を見極めるためのものだったのだ。
「受けるを選んだ君達は、難解な第10問の正解者だと言っていい!これから出会うであろう困難にも立ち向かっていけるだろう」
最後にイビキは健闘を祈ると笑った。
何とか無事に第一の試験を突破出来たと思った矢先に、教室は何者かが飛び込んでくる。
窓ガラスを割って入って来たのは、第二試験の試験管、みたらしアンコ。
受験生達に厳しい言葉で挨拶を飛ばすも、静まり返る様子を見て、イビキが空気読めと呟いた。
試験官アンコの様子を見て、ケイは次の試験も大変な事になりそうだ、とひしひしと感じるのだった。