chains
硝子さんの友達の名前は?
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「すみません夏油さん…」
「私は全然大丈夫だから気にしないで」
「でも…これは…」
「浴衣だし、さすがにおんぶは出来ないよ」
腰が抜けて歩けなくなった小夜。夏油は彼女を横抱きにして路地裏から表通りを目指して行く。
「…あの、夏油さん、…硝子と、五条さんは、」
「硝子は駅前の交番で待ってる。悟は…、もしかしたらもう硝子と合流してるかもしれないね」
「…ごめんなさい」
「小夜ちゃんは何も悪くないし、謝る必要もないよ」
「……」
夏油の腕の中で顔を真っ赤にしたまま、小夜は何も言えなくなり黙り込んだ。そんな彼女に口元が緩みそうになるのを必死で抑えながら夏油は歩く。間もなく表通りー夏油は一旦足を止めて小夜を覗き込んだ。
「小夜ちゃん、もう表通りだけど、歩けそう?…私はこのままでも構わないけど…、小夜ちゃんが歩けるなら、その方が良いかと思うけど、どうだい?」
夏油の言葉に頷き、小夜は彼の手を借りてゆっくりと地に足を着ける。幾分頼りない感覚はあるが、全く歩けないわけでは無さそうだった。
「…なんとか、歩けそうです」
夏油はそう応える小夜の様子を改めて見る。少しだけ浴衣が乱れているのを伝えると、彼女は夏油に背を向け、手早く直して向き直った。
「じゃ、ゆっくり歩いて行こうか」
夏油が歩き出せば、その隣を小夜が歩く。言葉通り、夏油は小夜に歩調を合わせてゆっくり歩いている。
「夏油さん、…ありがとうございます」
「どうという事はないよ。とにかく小夜ちゃんが無事で本っ当に良かったよ」
「あ…、今日の事も、ですけど…、あの、硝子が夏油さんから預かったっていう、お土産も、」
「あぁ、あれね。いろいろ見てたら小夜ちゃんが喜んでくれるかなって思って」
「すごくたくさんあって、ビックリしました。…でも、それだけ実習でいろんなところに行って、本当に忙しかったんじゃないですか?」
実習、という言葉に夏油は内心首を傾げた。が、すぐに合点がいった。彼女は非術師、自分たちの任務の事を実習と硝子が伝えているのだろう。
「ん、まぁ…、確かに大変は大変だけど、いろんな場所に行ける、旅行を兼ねてる様なものだと思えば気分的に楽になるかな」
「大変な事が多いと思いますけど、無理しない様にしてくださいね」
「はは、ありがとう。そんなに気にかけてくれるのは小夜ちゃんくらいだよ」
明るく笑う夏油に、小夜は少し照れた様に笑った。
「あの…それで…、お土産を頂いた事と今日の事…、何か、お礼が出来たらって思ってるんですけど…、…夏油さんは、何か欲しいものとか…ありますか?」
夏油は自身の耳を疑った。何が欲しいかと聞かれれば間違いなく小夜本人なのであるが、さすがにそれを口にするのは憚られる。夏油は少し考える素振りを見せー小夜を振り返った。
「…何でも良いの?」
「あっ…、その…、あまり高価なものとかは、」
「…小夜ちゃんの連絡先、かな」
「…えっ?連絡先、ですか…?」
目を丸くする小夜に、“しまった”と夏油が思うも後の祭りー慌てて訂正する前に、小夜が口を開く。
「…ホントに、連絡先で良いんですか?」
「…え?」
「だって…、あんなにたくさんお土産いただいたのに」
「あれは私が好きで勝手にやった事、気にしないで」
夏油の言葉に、不意に小夜が笑う。
「さっきから夏油さん、“気にしないで”ばっかり」
彼女に負担をかけたくないという思いがずっと言葉に出ていた事に夏油は苦笑した。そんな夏油の横顔を見ながら、小夜は以前家入に言われた事を思い出していたー小夜に気があるんじゃないの?ー頬に熱が集まるのを感じながら、巾着バッグから携帯を取り出そうとした。
「いたいた!傑〜!」
2人の間に広がっていた穏やかな雰囲気は無遠慮な声にぶち壊された。夏油は大きく息を吐き、小夜は驚いてバッグから手を離した。人目を引く白い頭はだいぶ遠いところから手を振っている。
「…五条さん、ですよね…?」
「ん〜、そうかもしれないけど…、気にしなく」
「傑!おっせぇから心配したぜ〜!ホラ、硝子も待ってるからよ、早く行こうぜ」
目にも止まらぬ速さで近付いてきた五条は言うが早いか2人の後ろに回り込むと、せっつく様にやや乱暴に2人の背中を押した。
「ちょっ待て悟!」
小夜の状況を理解していた夏油は慌てて彼女に向けて手を伸ばした。漸く落ち着いて歩き始めたところだという事に加え、浴衣の為に普段よりも脚が前に出ない。小夜は身体を襲うだろう衝撃に身を固くする。
「悟。…君は他人に対する気遣いを考えた方が良い」
倒れそうになった小夜の身体を、夏油は片腕で引き寄せる様にして支えた。小夜が無事である事を確認すると、夏油は大きく息を吐いた。
「騒ぐ事かよ、むしろ傑にゃ役得じゃねぇか」
「理由はどうであれ、誰かを傷付ける様な事は看過出来ない。況してや自分よりも力の弱い女性なら尚更だよ」
「そうカッコつけんなって」
「…悟はもっと聞き分けが良いと思っていたが」
「ハァ?ガキ扱いしてんじゃねぇよ」
唯ならぬ雰囲気に、未だ夏油に身体を支えられたままの小夜は不安を覚えて2人を見上げると、夏油はそれに気付いて小夜から腕を離す。
「…ごめんね小夜ちゃん。…硝子も心配してるだろう、そろそろ行こうか」
夏油に促され、小夜はゆっくりと歩き出すも、不満を隠そうともしない五条を振り返る。
「…んだよ」
「っ…、ご迷惑おかけして、すみませんでした」
真っ直ぐに見つめてくる小夜に、五条は戸惑った様子を見せながらも短く、おう、と返事をした。
「おーい小夜〜」
「あっ、硝子!」
「もぅ〜心配したじゃん」
「迷惑かけちゃってごめんね」
「そーいう事言わないの。ケガは?」
「大丈夫、ありがとう」
「五条も夏油もごくろーさん。じゃ、帰ろっか」
さっさと小夜の手を引いて歩き出す家入に、五条も夏油も何も言えなかった。
「私は全然大丈夫だから気にしないで」
「でも…これは…」
「浴衣だし、さすがにおんぶは出来ないよ」
腰が抜けて歩けなくなった小夜。夏油は彼女を横抱きにして路地裏から表通りを目指して行く。
「…あの、夏油さん、…硝子と、五条さんは、」
「硝子は駅前の交番で待ってる。悟は…、もしかしたらもう硝子と合流してるかもしれないね」
「…ごめんなさい」
「小夜ちゃんは何も悪くないし、謝る必要もないよ」
「……」
夏油の腕の中で顔を真っ赤にしたまま、小夜は何も言えなくなり黙り込んだ。そんな彼女に口元が緩みそうになるのを必死で抑えながら夏油は歩く。間もなく表通りー夏油は一旦足を止めて小夜を覗き込んだ。
「小夜ちゃん、もう表通りだけど、歩けそう?…私はこのままでも構わないけど…、小夜ちゃんが歩けるなら、その方が良いかと思うけど、どうだい?」
夏油の言葉に頷き、小夜は彼の手を借りてゆっくりと地に足を着ける。幾分頼りない感覚はあるが、全く歩けないわけでは無さそうだった。
「…なんとか、歩けそうです」
夏油はそう応える小夜の様子を改めて見る。少しだけ浴衣が乱れているのを伝えると、彼女は夏油に背を向け、手早く直して向き直った。
「じゃ、ゆっくり歩いて行こうか」
夏油が歩き出せば、その隣を小夜が歩く。言葉通り、夏油は小夜に歩調を合わせてゆっくり歩いている。
「夏油さん、…ありがとうございます」
「どうという事はないよ。とにかく小夜ちゃんが無事で本っ当に良かったよ」
「あ…、今日の事も、ですけど…、あの、硝子が夏油さんから預かったっていう、お土産も、」
「あぁ、あれね。いろいろ見てたら小夜ちゃんが喜んでくれるかなって思って」
「すごくたくさんあって、ビックリしました。…でも、それだけ実習でいろんなところに行って、本当に忙しかったんじゃないですか?」
実習、という言葉に夏油は内心首を傾げた。が、すぐに合点がいった。彼女は非術師、自分たちの任務の事を実習と硝子が伝えているのだろう。
「ん、まぁ…、確かに大変は大変だけど、いろんな場所に行ける、旅行を兼ねてる様なものだと思えば気分的に楽になるかな」
「大変な事が多いと思いますけど、無理しない様にしてくださいね」
「はは、ありがとう。そんなに気にかけてくれるのは小夜ちゃんくらいだよ」
明るく笑う夏油に、小夜は少し照れた様に笑った。
「あの…それで…、お土産を頂いた事と今日の事…、何か、お礼が出来たらって思ってるんですけど…、…夏油さんは、何か欲しいものとか…ありますか?」
夏油は自身の耳を疑った。何が欲しいかと聞かれれば間違いなく小夜本人なのであるが、さすがにそれを口にするのは憚られる。夏油は少し考える素振りを見せー小夜を振り返った。
「…何でも良いの?」
「あっ…、その…、あまり高価なものとかは、」
「…小夜ちゃんの連絡先、かな」
「…えっ?連絡先、ですか…?」
目を丸くする小夜に、“しまった”と夏油が思うも後の祭りー慌てて訂正する前に、小夜が口を開く。
「…ホントに、連絡先で良いんですか?」
「…え?」
「だって…、あんなにたくさんお土産いただいたのに」
「あれは私が好きで勝手にやった事、気にしないで」
夏油の言葉に、不意に小夜が笑う。
「さっきから夏油さん、“気にしないで”ばっかり」
彼女に負担をかけたくないという思いがずっと言葉に出ていた事に夏油は苦笑した。そんな夏油の横顔を見ながら、小夜は以前家入に言われた事を思い出していたー小夜に気があるんじゃないの?ー頬に熱が集まるのを感じながら、巾着バッグから携帯を取り出そうとした。
「いたいた!傑〜!」
2人の間に広がっていた穏やかな雰囲気は無遠慮な声にぶち壊された。夏油は大きく息を吐き、小夜は驚いてバッグから手を離した。人目を引く白い頭はだいぶ遠いところから手を振っている。
「…五条さん、ですよね…?」
「ん〜、そうかもしれないけど…、気にしなく」
「傑!おっせぇから心配したぜ〜!ホラ、硝子も待ってるからよ、早く行こうぜ」
目にも止まらぬ速さで近付いてきた五条は言うが早いか2人の後ろに回り込むと、せっつく様にやや乱暴に2人の背中を押した。
「ちょっ待て悟!」
小夜の状況を理解していた夏油は慌てて彼女に向けて手を伸ばした。漸く落ち着いて歩き始めたところだという事に加え、浴衣の為に普段よりも脚が前に出ない。小夜は身体を襲うだろう衝撃に身を固くする。
「悟。…君は他人に対する気遣いを考えた方が良い」
倒れそうになった小夜の身体を、夏油は片腕で引き寄せる様にして支えた。小夜が無事である事を確認すると、夏油は大きく息を吐いた。
「騒ぐ事かよ、むしろ傑にゃ役得じゃねぇか」
「理由はどうであれ、誰かを傷付ける様な事は看過出来ない。況してや自分よりも力の弱い女性なら尚更だよ」
「そうカッコつけんなって」
「…悟はもっと聞き分けが良いと思っていたが」
「ハァ?ガキ扱いしてんじゃねぇよ」
唯ならぬ雰囲気に、未だ夏油に身体を支えられたままの小夜は不安を覚えて2人を見上げると、夏油はそれに気付いて小夜から腕を離す。
「…ごめんね小夜ちゃん。…硝子も心配してるだろう、そろそろ行こうか」
夏油に促され、小夜はゆっくりと歩き出すも、不満を隠そうともしない五条を振り返る。
「…んだよ」
「っ…、ご迷惑おかけして、すみませんでした」
真っ直ぐに見つめてくる小夜に、五条は戸惑った様子を見せながらも短く、おう、と返事をした。
「おーい小夜〜」
「あっ、硝子!」
「もぅ〜心配したじゃん」
「迷惑かけちゃってごめんね」
「そーいう事言わないの。ケガは?」
「大丈夫、ありがとう」
「五条も夏油もごくろーさん。じゃ、帰ろっか」
さっさと小夜の手を引いて歩き出す家入に、五条も夏油も何も言えなかった。
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