追想
猪野くんの同級生のお名前は?
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「七海サン…、マジっスか…⁉︎」
猪野に同調する様にちはるも七海をじっと見つめる。2人の視線を意に介する様子もなく、七海は頷いた。
「マジです。呪霊を誘き寄せた時の事を考えると、私よりも猪野くんの術式の方が有効かと。君の術式は追尾も出来ますし、確実性が高い」
「あの、すんません七海サン…、それより…バイク、乗った事、あるんスか…?」
恐る恐る、と言った体で猪野が七海に尋ねるも、七海はキッパリと否定を口にした。
「…じゃあ、ちょっと乗ってみます?」
「ちょっとちはる…、」
「百聞は一見にしかず、乗ってみてから決めても遅くないし、その方が早いでしょ」
「助かります。行きましょう」
3人は地下駐車場へと向かった。
ちはるは先程停めたバイクのロックを解錠すると、慣れた様子でバイクを押して来た。
「…猪野くんは乗った事がありますか?」
「えぇ、それこそ学生ん時ちはるに乗せてもらって」
ちょっと見ててくださいね、というが早いか、猪野はバイクに跨ったちはるの背後にさっと飛び乗った。
「ちょっと、急に危ないでしょ」
そう言いながらもちはるはさして気にする様子もなくエンジンをスタートさせる。車とは違うバイク特有の音が腹に響く。
「猪野っち、ちょっと動くよー?」
ガチャリ、とギアの音が鳴るとちはるはスロットルを回す。エンジンの回転数が上がり、バイクはゆっくりと走り始める。ちはるの後ろの猪野は彼女の身体を抱え込むようにウエスト付近に腕を回す。
ちはるは滑らかに旋回すると感心した様子で眺めている七海の前でバイクを停めた。猪野がひらりと降り、七海に声をかける。
「結構楽しっスよ」
「七海さんもどうぞー」
背の高い七海にとって、バイクに跨るのはさしたる事ではないだろうが、なかなか七海は動かない。
「…女性に対してあの様にするのは如何かと、」
猪野は言葉を失い、ちはるは吹き出した。
「七海さん、仕事の一部と思ってください」
「しかし、」
「任務中にもあったじゃないですか」
「…あれは不可抗力です」
「今回もそう思ってください」
「…何の話…?」
「こっちの話。さ、どうぞ」
そこまで言われては仕方ないー七海は漸く動き出す。失礼します、と慎重にバイクに跨る。猪野より体格の良い七海が腰を下ろすとぐっとバイクが沈む。
ちはるが地に足をつけたまま少しだけ左右に身体を動かすと、予想していた通り、猪野を後ろに乗せた時とは比較にならないくらいの負荷がかかる。これは七海だけでなく自分も慣れが必要だと実感した。
「七海さん、少し動かしてみますか?」
「…、そう、ですね」
控えめな返事の後、とても控えめに自身に掴まる七海の腕。ちはるは思わず笑っていた。猪野の時よりも慎重にクラッチを繋ぎ、ゆっくりと走り出す。流石にバランスを崩すという事は無さそうだが、こんな状態で山道を走るのは困難だろう事はわかった。走り出す時と同様、ちはるはゆっくりとバイクを停めた。
「少し慣れる様にしないとですね。私もですけど」
ちはるが先にバイクを降りると、背の高い七海はリアシートからでも余裕で足が付き、難なくバイクを降りた。
「これから任務の調査の後には時間を下さい」
「…と言いますと?」
「少し練習しましょう」
「え、俺は?」
「勿論待機じゃん。バイクに3人乗るのは無理でしょ」
「ええぇぇぇ…」
「仕方ないでしょ、任務の為だよ」
がっくりと肩を落とす猪野。七海とちはるは顔を見合わせ、七海が小さく息を吐いた。
「ほんの数時間不在にするだけです。…そう気に病む事もないでしょう」
「や、七海さんが襲われたらどうしようって」
「私の事何だと思ってるの?」
じっとりとちはるが猪野を睨むと、猪野は冗談だって、と戯けて見せた。
「さて、じゃあちょっと買い物に行きましょう」
「?何買うの?」
「道路走るにはヘルメットが必要でしょ。山はノーヘルでもいいけど、流石に道路ではね」
言うが早いか、七海と猪野を車に乗せたちはるが向かったのはバイクショップだった。ちはるは店に入ると慣れた様子で店員に声を掛け、七海のヘルメットとバイク用インカムのセットを購入。その後は猪野の提案で食事を済ませてホテルに戻って来た。
「さて…、七海さん、どうします?」
車を停めたちはるは後部座席の2人に声をかけた。
「…何かあるの?」
七海の代わりに猪野が口を開く。
「バイクの慣らし」
ヘルメットも準備され、バイクに乗れる状態は整えられている。後は自分の気持ち次第ー
「行きましょう。少しでも早く任務を片付ける為にも」
「じゃあ準備しましょう」
「ちょっと待ってよ、俺は、」
「留守番よろしくね。インカム繋いでおくから、電話受けるのは出来るよ」
「イヤそーじゃなくて、」
「猪野くん、頼みましたよ」
「……」
七海に言われては反論も出来ず、猪野は口を噤んだ。
ちょっぴり淋しそうな猪野に構わず、ちはるは七海と自身のヘルメットにインカムを装着すると、ちはるはヘルメットを被って見せた。彼女に倣って七海がヘルメットを被ると、ちはるはストラップを調節して見せた。
「…これで良いですか?」
「苦しくなければ大丈夫ですよ」
「七海サン!マジで気を付けて下さいよ!ちはる!」
「暑苦しいって!」
ちはるの言葉に猪野は口を尖らせ、七海は苦笑した。
「それでは猪野くん、行ってきますよ」
ちはるは何かしら騒ぎ始めた猪野の言葉を掻き消す様に、バイクのエンジンをスタートさせた。
猪野に同調する様にちはるも七海をじっと見つめる。2人の視線を意に介する様子もなく、七海は頷いた。
「マジです。呪霊を誘き寄せた時の事を考えると、私よりも猪野くんの術式の方が有効かと。君の術式は追尾も出来ますし、確実性が高い」
「あの、すんません七海サン…、それより…バイク、乗った事、あるんスか…?」
恐る恐る、と言った体で猪野が七海に尋ねるも、七海はキッパリと否定を口にした。
「…じゃあ、ちょっと乗ってみます?」
「ちょっとちはる…、」
「百聞は一見にしかず、乗ってみてから決めても遅くないし、その方が早いでしょ」
「助かります。行きましょう」
3人は地下駐車場へと向かった。
ちはるは先程停めたバイクのロックを解錠すると、慣れた様子でバイクを押して来た。
「…猪野くんは乗った事がありますか?」
「えぇ、それこそ学生ん時ちはるに乗せてもらって」
ちょっと見ててくださいね、というが早いか、猪野はバイクに跨ったちはるの背後にさっと飛び乗った。
「ちょっと、急に危ないでしょ」
そう言いながらもちはるはさして気にする様子もなくエンジンをスタートさせる。車とは違うバイク特有の音が腹に響く。
「猪野っち、ちょっと動くよー?」
ガチャリ、とギアの音が鳴るとちはるはスロットルを回す。エンジンの回転数が上がり、バイクはゆっくりと走り始める。ちはるの後ろの猪野は彼女の身体を抱え込むようにウエスト付近に腕を回す。
ちはるは滑らかに旋回すると感心した様子で眺めている七海の前でバイクを停めた。猪野がひらりと降り、七海に声をかける。
「結構楽しっスよ」
「七海さんもどうぞー」
背の高い七海にとって、バイクに跨るのはさしたる事ではないだろうが、なかなか七海は動かない。
「…女性に対してあの様にするのは如何かと、」
猪野は言葉を失い、ちはるは吹き出した。
「七海さん、仕事の一部と思ってください」
「しかし、」
「任務中にもあったじゃないですか」
「…あれは不可抗力です」
「今回もそう思ってください」
「…何の話…?」
「こっちの話。さ、どうぞ」
そこまで言われては仕方ないー七海は漸く動き出す。失礼します、と慎重にバイクに跨る。猪野より体格の良い七海が腰を下ろすとぐっとバイクが沈む。
ちはるが地に足をつけたまま少しだけ左右に身体を動かすと、予想していた通り、猪野を後ろに乗せた時とは比較にならないくらいの負荷がかかる。これは七海だけでなく自分も慣れが必要だと実感した。
「七海さん、少し動かしてみますか?」
「…、そう、ですね」
控えめな返事の後、とても控えめに自身に掴まる七海の腕。ちはるは思わず笑っていた。猪野の時よりも慎重にクラッチを繋ぎ、ゆっくりと走り出す。流石にバランスを崩すという事は無さそうだが、こんな状態で山道を走るのは困難だろう事はわかった。走り出す時と同様、ちはるはゆっくりとバイクを停めた。
「少し慣れる様にしないとですね。私もですけど」
ちはるが先にバイクを降りると、背の高い七海はリアシートからでも余裕で足が付き、難なくバイクを降りた。
「これから任務の調査の後には時間を下さい」
「…と言いますと?」
「少し練習しましょう」
「え、俺は?」
「勿論待機じゃん。バイクに3人乗るのは無理でしょ」
「ええぇぇぇ…」
「仕方ないでしょ、任務の為だよ」
がっくりと肩を落とす猪野。七海とちはるは顔を見合わせ、七海が小さく息を吐いた。
「ほんの数時間不在にするだけです。…そう気に病む事もないでしょう」
「や、七海さんが襲われたらどうしようって」
「私の事何だと思ってるの?」
じっとりとちはるが猪野を睨むと、猪野は冗談だって、と戯けて見せた。
「さて、じゃあちょっと買い物に行きましょう」
「?何買うの?」
「道路走るにはヘルメットが必要でしょ。山はノーヘルでもいいけど、流石に道路ではね」
言うが早いか、七海と猪野を車に乗せたちはるが向かったのはバイクショップだった。ちはるは店に入ると慣れた様子で店員に声を掛け、七海のヘルメットとバイク用インカムのセットを購入。その後は猪野の提案で食事を済ませてホテルに戻って来た。
「さて…、七海さん、どうします?」
車を停めたちはるは後部座席の2人に声をかけた。
「…何かあるの?」
七海の代わりに猪野が口を開く。
「バイクの慣らし」
ヘルメットも準備され、バイクに乗れる状態は整えられている。後は自分の気持ち次第ー
「行きましょう。少しでも早く任務を片付ける為にも」
「じゃあ準備しましょう」
「ちょっと待ってよ、俺は、」
「留守番よろしくね。インカム繋いでおくから、電話受けるのは出来るよ」
「イヤそーじゃなくて、」
「猪野くん、頼みましたよ」
「……」
七海に言われては反論も出来ず、猪野は口を噤んだ。
ちょっぴり淋しそうな猪野に構わず、ちはるは七海と自身のヘルメットにインカムを装着すると、ちはるはヘルメットを被って見せた。彼女に倣って七海がヘルメットを被ると、ちはるはストラップを調節して見せた。
「…これで良いですか?」
「苦しくなければ大丈夫ですよ」
「七海サン!マジで気を付けて下さいよ!ちはる!」
「暑苦しいって!」
ちはるの言葉に猪野は口を尖らせ、七海は苦笑した。
「それでは猪野くん、行ってきますよ」
ちはるは何かしら騒ぎ始めた猪野の言葉を掻き消す様に、バイクのエンジンをスタートさせた。