真偽
猪野くんの同級生のお名前は?
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「七海です」
薄暗い旅館の中、ちはるの耳に七海の声と電話相手の補助監督の声が届く。補助監督の方が何を言っているのか明瞭には聞こえないが、七海が淀みなく話している。
「…あぁそれから、水野さんが腕にケガをしています。特に大きな支障は無さそうですが、念の為に受診をした方が良いかと。…えぇ、よろしくお願いします」
七海の言葉にちはるは驚きを覚えていたー七海はいつ腕の傷に気が付いたのだろう。観察眼、洞察力は任務においては必要不可欠、ちはるは改めて七海の能力に感心した。3人は建物の外に出る。
「…たいしたケガじゃないですよ」
七海がポケットにスマホを入れたタイミングで告げた。
「え、ちはるケガしたの⁉︎」
「だからたいした事ないって、」
「…利き腕でしょう。今後の任務に支障が出てはいけません。それにあんな環境の悪いところでのケガです、何か感染症に罹患していたらどうするつもりですか」
ぐうの音も出ない、とは正にこの事ーちはるは七海の言葉に口を噤むしかなかった。
「失礼しますよ」
七海の声にちはるが振り返ると、彼はポケットから皺ひとつない綺麗なハンカチを取り出して広げ、右腕の傷口を覆い始めた。
「大丈夫ですから…!」
「動かないで。何も無いよりはマシでしょう」
器用な手つきで素早くハンカチで傷を覆い、端を結んで固定した。確かに傷口が剥き出しになっているよりは良さそうだった。
「…ありがとうございます」
ちはるの様子に七海は頷いた。
「では、早く戻って補助監督と合流しましょう。…水野さん、少しでも具合が悪い、いつもと違うと感じたらすぐに知らせて下さい。いいですか、絶対に無理をしないでください」
「…はい」
「まっ、もしもん時ぁ俺が担いでってやるよ」
「…元はと言えば猪野っちが悪いんじゃん」
ちはるの脳裏に先程の出来事が思い浮かび、隣に立つ猪野の脚を軽く蹴飛ばした。
補助監督と合流すると、車は真っ直ぐに病院へと向かった。勿論ちはるの腕の治療の為だ。事前に連絡をしていたのだろうか、ちはるはすぐに処置を受ける事が出来、感染症の検査も行われた。
「すみません、お待たせし…ってあれ?」
腕に包帯を巻かれたちはるは待合室の七海と猪野に声をかけたつもりが猪野しかいない。ちはるが首を傾げると、猪野は通路の隅を示した。
「予定が変わるかもな」
猪野が示した先では七海と補助監督が話をしていた。
「…結構デカい任務っぽい」
「マジ?」
「伊地知さんが出張って来てるらしいぜ」
猪野の言う通りだとすれば、この後予定されていた任務はどうなるのだろうーイレギュラーな事は面倒ではあるが、今後の単独任務での応用になると思ってちはるは七海と補助監督が戻ってくるのを黙って待った。
「お待たせしました。水野さん、傷の具合は」
「問題ありません。引き続き任務も行けます」
ちはるの言葉に七海と補助監督は安堵の息を吐いた。
「…予定の変更ですか?」
「はい。…術師が1名、行方不明になりまして」
青白い顔をした補助監督のそのひと言でちはると猪野の表情に緊張が走る。
「まずは移動して、伊地知くんと合流しましょう」
病院を出た一行は車に乗り込み、ハンドルを握る補助監督の話に耳を傾けていた。話によると、行方不明になったのは高専京都校を拠点に活動している術師との事。東京側に応援の要請が出、今一番京都に近い所にいるのが七海たちという事で急遽応援に向かう様にとの指示が出た、という事らしい。
「伊地知さんはもう京都に着いていて、あちらの補助監督と話し合いを進めているそうです。…場合によっては京都側と共同で任務に出る可能性もあるという事です」
京都、と言う言葉にちはるは小さく息を吐いた。あまり良い思い出がない場所、憂鬱な思いを自覚しながら窓の外を眺めながら話を聞いていた。
補助監督の運転する車はナビに従って京都に入って行く。ナビの案内は街の中心部を通過するルートを示している。進むにつれ、交通量が増えてくる。
「…ここ抜けるなら左に曲がって2つ目の交差点を右折した方が早く行けますよ」
「えっ?あ、ここですか?」
「はい。…で、あのコンビニの角を右に」
「…ありがとうございます!」
補助監督はちはるの言葉に従って道を進む。先程よりも狭い道路ではあるが、地元の生活道路の様で信号も交通量も少なく、早いペースで進んでいく。
「…水野さん、この辺詳しいんですか?」
話は終わったと思っていたちはるにとって、突然の補助監督の言葉に僅かに驚いた。
「えっ?あー…、そう、ですね」
七海は曖昧な返事をするちはるの様子に、以前猪野から聞いた話を思い出したー元々ちはるは関西圏の出身で、京都校に在籍していた事があるという事。そして彼女の様子に猪野が何も言わないという事は、2人の間に何かしら暗黙の了解があるのだろうと七海は結論付けた。
「あの、ちょっといいスか?」
何とも言えない空気の中、猪野が控えめに声を上げた。
「どうかしましたか?」
七海は振り返り、補助監督も後ろに意識を向ける。
「あの…昼メシ、どうします?行き先、何も無さそうっスよね?ホラ、腹が減ってはって言うじゃないっスか」
七海は腕の時計を見遣るー11時半を回っていた。
「…相変わらず緊張感ないわねー」
「や、朝早かったしさ、やっぱしっかり食わなきゃ力出ねぇじゃん⁉︎これからどうなるかわかんねぇし」
猪野の言葉に補助監督は隣の七海をちらりと見る。それに気付くと七海は頷いた。
「そうですね。猪野くんの言う通り、食事を済ませてから向かう事にしましょう」
薄暗い旅館の中、ちはるの耳に七海の声と電話相手の補助監督の声が届く。補助監督の方が何を言っているのか明瞭には聞こえないが、七海が淀みなく話している。
「…あぁそれから、水野さんが腕にケガをしています。特に大きな支障は無さそうですが、念の為に受診をした方が良いかと。…えぇ、よろしくお願いします」
七海の言葉にちはるは驚きを覚えていたー七海はいつ腕の傷に気が付いたのだろう。観察眼、洞察力は任務においては必要不可欠、ちはるは改めて七海の能力に感心した。3人は建物の外に出る。
「…たいしたケガじゃないですよ」
七海がポケットにスマホを入れたタイミングで告げた。
「え、ちはるケガしたの⁉︎」
「だからたいした事ないって、」
「…利き腕でしょう。今後の任務に支障が出てはいけません。それにあんな環境の悪いところでのケガです、何か感染症に罹患していたらどうするつもりですか」
ぐうの音も出ない、とは正にこの事ーちはるは七海の言葉に口を噤むしかなかった。
「失礼しますよ」
七海の声にちはるが振り返ると、彼はポケットから皺ひとつない綺麗なハンカチを取り出して広げ、右腕の傷口を覆い始めた。
「大丈夫ですから…!」
「動かないで。何も無いよりはマシでしょう」
器用な手つきで素早くハンカチで傷を覆い、端を結んで固定した。確かに傷口が剥き出しになっているよりは良さそうだった。
「…ありがとうございます」
ちはるの様子に七海は頷いた。
「では、早く戻って補助監督と合流しましょう。…水野さん、少しでも具合が悪い、いつもと違うと感じたらすぐに知らせて下さい。いいですか、絶対に無理をしないでください」
「…はい」
「まっ、もしもん時ぁ俺が担いでってやるよ」
「…元はと言えば猪野っちが悪いんじゃん」
ちはるの脳裏に先程の出来事が思い浮かび、隣に立つ猪野の脚を軽く蹴飛ばした。
補助監督と合流すると、車は真っ直ぐに病院へと向かった。勿論ちはるの腕の治療の為だ。事前に連絡をしていたのだろうか、ちはるはすぐに処置を受ける事が出来、感染症の検査も行われた。
「すみません、お待たせし…ってあれ?」
腕に包帯を巻かれたちはるは待合室の七海と猪野に声をかけたつもりが猪野しかいない。ちはるが首を傾げると、猪野は通路の隅を示した。
「予定が変わるかもな」
猪野が示した先では七海と補助監督が話をしていた。
「…結構デカい任務っぽい」
「マジ?」
「伊地知さんが出張って来てるらしいぜ」
猪野の言う通りだとすれば、この後予定されていた任務はどうなるのだろうーイレギュラーな事は面倒ではあるが、今後の単独任務での応用になると思ってちはるは七海と補助監督が戻ってくるのを黙って待った。
「お待たせしました。水野さん、傷の具合は」
「問題ありません。引き続き任務も行けます」
ちはるの言葉に七海と補助監督は安堵の息を吐いた。
「…予定の変更ですか?」
「はい。…術師が1名、行方不明になりまして」
青白い顔をした補助監督のそのひと言でちはると猪野の表情に緊張が走る。
「まずは移動して、伊地知くんと合流しましょう」
病院を出た一行は車に乗り込み、ハンドルを握る補助監督の話に耳を傾けていた。話によると、行方不明になったのは高専京都校を拠点に活動している術師との事。東京側に応援の要請が出、今一番京都に近い所にいるのが七海たちという事で急遽応援に向かう様にとの指示が出た、という事らしい。
「伊地知さんはもう京都に着いていて、あちらの補助監督と話し合いを進めているそうです。…場合によっては京都側と共同で任務に出る可能性もあるという事です」
京都、と言う言葉にちはるは小さく息を吐いた。あまり良い思い出がない場所、憂鬱な思いを自覚しながら窓の外を眺めながら話を聞いていた。
補助監督の運転する車はナビに従って京都に入って行く。ナビの案内は街の中心部を通過するルートを示している。進むにつれ、交通量が増えてくる。
「…ここ抜けるなら左に曲がって2つ目の交差点を右折した方が早く行けますよ」
「えっ?あ、ここですか?」
「はい。…で、あのコンビニの角を右に」
「…ありがとうございます!」
補助監督はちはるの言葉に従って道を進む。先程よりも狭い道路ではあるが、地元の生活道路の様で信号も交通量も少なく、早いペースで進んでいく。
「…水野さん、この辺詳しいんですか?」
話は終わったと思っていたちはるにとって、突然の補助監督の言葉に僅かに驚いた。
「えっ?あー…、そう、ですね」
七海は曖昧な返事をするちはるの様子に、以前猪野から聞いた話を思い出したー元々ちはるは関西圏の出身で、京都校に在籍していた事があるという事。そして彼女の様子に猪野が何も言わないという事は、2人の間に何かしら暗黙の了解があるのだろうと七海は結論付けた。
「あの、ちょっといいスか?」
何とも言えない空気の中、猪野が控えめに声を上げた。
「どうかしましたか?」
七海は振り返り、補助監督も後ろに意識を向ける。
「あの…昼メシ、どうします?行き先、何も無さそうっスよね?ホラ、腹が減ってはって言うじゃないっスか」
七海は腕の時計を見遣るー11時半を回っていた。
「…相変わらず緊張感ないわねー」
「や、朝早かったしさ、やっぱしっかり食わなきゃ力出ねぇじゃん⁉︎これからどうなるかわかんねぇし」
猪野の言葉に補助監督は隣の七海をちらりと見る。それに気付くと七海は頷いた。
「そうですね。猪野くんの言う通り、食事を済ませてから向かう事にしましょう」