真偽
猪野くんの同級生のお名前は?
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七海が呪力で強化した拳を壁に叩き付けると、彼の拳を中心に亀裂が壁一面に広がり、僅かな振動と共に瓦礫が散らばった。濛々と立ち上る埃が視界を悪くしているが、猪野とちはるはそれに構わず七海とは別の呪力目掛けてそれぞれ先手を打った。
「ー獬豸」
猪野の繰り出した一角獣の角が突き進み、ちはるのクロスボウから放たれた数本の矢が角を追いかける。
ドン、と空気が震える程の振動が感じられ、耳障りな呪霊の悲鳴が辺りに響く。猪野の術式が当たり、ちはるの呪力が籠った矢が次々とネズミに突き刺さる。
「うぉっ、ネズミのくせにカテェなコイツ…!」
猪野の獬豸が呪霊の胴体を抉るも、少し怯んだだけだった。ちはるは矢を放った位置から素早く移動し、呪霊の注意を自身へと向けさせる。ちはるの動きに気を取られた呪霊は七海に背を向ける格好となった。
「七海さん!」
ちはるの声に応える様に、七海は呪霊の胴体に背後から切りかかった。ちはるは七海の攻撃に合わせ、呪霊に刺さった矢の呪力を増幅させると、矢に爆薬が埋め込まれていたかのように次々と弾けていく。
「猪野くん!今です!」
「オイシイとこ、いただきま〜すよ、っと!」
再び猪野の獬豸が発現し、今度は呪霊の身体を貫いた。胴体の半分以上を失った呪霊は断末魔の叫びと共に黒い霧となって霧散していく。辺りの重い空気が清浄されていくのを感じると同時に帳が上がる気配も感じられた。
「一件落着、かな?」
「ちはる、あのネズミは?」
「私の呪力ごと消えてたからね、たぶん今祓ったあのデカい奴に食われたんじゃないかな」
「お疲れ様でした、今日の任務はこれで完了ですね。補助監督に連絡するとしましょう」
「…すんません七海サン…、どうやって出ます?」
猪野は気まずそうに口を開いた。状況を思い返すと、1階への階段は猪野が踏み抜き崩れてしまった。3人は頭上の穴を見上げた。高さは4メートルくらいだろうか。
「…フツーに考えて1番軽いちはるを持ち上げてってなるよな…、届くかな?」
七海は落下時の状況を思い返す。猪野の言葉通り、確かにちはるが1番軽いだろうが。
「…さすがにこの高さは厳しいでしょう」
ちはるは矢を入れているケースのサイドポケットから予備の弓弦を取り出した。
「ちはる?」
「アドリブなんだけど、矢と自分を弓弦で結び付けて、矢の勢いで上に行けないかなって思って」
「うっそ、そんなん大丈夫?」
「大丈夫かどうかはわかんないよ。ただやってみる価値はあるかなって。…上手くいけばラッキー、失敗したらまた考える、それしかないでしょ」
ちはるは言いながら矢と自身の腕に弓弦を結びつけていく。七海は黙って見守っていた。
「…成功率は?」
「8割いけば良い方じゃない?知らないけど。…もし失敗して落ちた時はよろしくね」
ちはるは瓦礫が重なった少し高い位置から穴を見上げた。思っていたよりも穴は暗く、矢を射る位置が掴みにくい。少し迷ってちはるは1本試打をして位置を測る事にした。呪力強化した矢が穴を力強く駆け上り、穴の淵に上手く突き刺さった。
「…よし。…上に登ったら脚立を取ってきますね」
ちはるは矢に結び付けた弓弦が絡まないように慎重にセットする。自身の左腕に巻いた弦の状態の確認をする。ちはるは先に放った矢の位置を確かめーひとつ深呼吸をするとクロスボウのトリガーを引いた。
矢が放たれて数秒後にちはるの身体が矢を追いかけて飛んだ。想像していたよりも力強い動きに猪野と七海は息を呑みながらもちはるを目で追い、万が一彼女が転落した場合の落下点へ移動する。見上げている2人に穴の上の方は良く見えないが、ガシャ、と何かがぶつかる音が響き、続いてちはるの呻き声が聞こえた。
「ちはる⁉︎」
「水野さん、無事ですか⁉︎」
「…、…とりあえず、だいじょぶ、です…、ちょっと、ぶつけただけなんで」
矢が進んでいる途中、持っていたクロスボウが突き出ていた瓦礫に接触してバランスを崩し、右腕が壁に擦られた形となった。その間に矢は目標点に突き刺さり、ちはるは何とか穴を這い登った。
「登れました!少し待っててくださいね!」
ちはるは声をかけて厨房を出た。久しぶりに浴びた外の光に安堵しながら右腕の傷を検める。
「あっちゃー…これは痛いワケよね、」
よくクロスボウを落とさなかったなとちはるは息を吐いた。手首から肘までの服と皮膚がボロボロになっているが、特に深い傷は無さそうーとにかく待っている2人を引き上げるのが先だと、ちはるはバックヤードへ向かい、脚立を抱えて運び出した。
地下室の入口前に戻ってきたちはるは脚立を広げ、先程使った弓弦を巻き付ける。
「降ろしますよ」
そう声をかけると、下からスマホのライトが光り、遠目ながら場所を知らせていた。脚立を降ろすと穴の口までは足りなかったが、2人の身長を考えたらさしたる問題ではないだろうし、必要なら手を貸せば良い、それだけだ。ちはるは脚立を支えながら、先程巻き付けた弓弦に呪力を流し込んだ。数年放置されていた脚立が2人の体重に耐えられるかわからない、万が一にも壊れる事がない様にとの判断だった。
先に登って来たのは七海、彼が登り切った後に猪野。2人が登ったところでちはるはふっと息を吐いた。
「んじゃ、早いとこ出ましょ」
軽い足取りで進む猪野、続いて七海、ちはる。七海が歩きながらスマホを手にしたのを見、ちはるは補助監督へ連絡するのだろうとひりつく右腕に不快感を覚えながら黙って2人の後を追った。
「ー獬豸」
猪野の繰り出した一角獣の角が突き進み、ちはるのクロスボウから放たれた数本の矢が角を追いかける。
ドン、と空気が震える程の振動が感じられ、耳障りな呪霊の悲鳴が辺りに響く。猪野の術式が当たり、ちはるの呪力が籠った矢が次々とネズミに突き刺さる。
「うぉっ、ネズミのくせにカテェなコイツ…!」
猪野の獬豸が呪霊の胴体を抉るも、少し怯んだだけだった。ちはるは矢を放った位置から素早く移動し、呪霊の注意を自身へと向けさせる。ちはるの動きに気を取られた呪霊は七海に背を向ける格好となった。
「七海さん!」
ちはるの声に応える様に、七海は呪霊の胴体に背後から切りかかった。ちはるは七海の攻撃に合わせ、呪霊に刺さった矢の呪力を増幅させると、矢に爆薬が埋め込まれていたかのように次々と弾けていく。
「猪野くん!今です!」
「オイシイとこ、いただきま〜すよ、っと!」
再び猪野の獬豸が発現し、今度は呪霊の身体を貫いた。胴体の半分以上を失った呪霊は断末魔の叫びと共に黒い霧となって霧散していく。辺りの重い空気が清浄されていくのを感じると同時に帳が上がる気配も感じられた。
「一件落着、かな?」
「ちはる、あのネズミは?」
「私の呪力ごと消えてたからね、たぶん今祓ったあのデカい奴に食われたんじゃないかな」
「お疲れ様でした、今日の任務はこれで完了ですね。補助監督に連絡するとしましょう」
「…すんません七海サン…、どうやって出ます?」
猪野は気まずそうに口を開いた。状況を思い返すと、1階への階段は猪野が踏み抜き崩れてしまった。3人は頭上の穴を見上げた。高さは4メートルくらいだろうか。
「…フツーに考えて1番軽いちはるを持ち上げてってなるよな…、届くかな?」
七海は落下時の状況を思い返す。猪野の言葉通り、確かにちはるが1番軽いだろうが。
「…さすがにこの高さは厳しいでしょう」
ちはるは矢を入れているケースのサイドポケットから予備の弓弦を取り出した。
「ちはる?」
「アドリブなんだけど、矢と自分を弓弦で結び付けて、矢の勢いで上に行けないかなって思って」
「うっそ、そんなん大丈夫?」
「大丈夫かどうかはわかんないよ。ただやってみる価値はあるかなって。…上手くいけばラッキー、失敗したらまた考える、それしかないでしょ」
ちはるは言いながら矢と自身の腕に弓弦を結びつけていく。七海は黙って見守っていた。
「…成功率は?」
「8割いけば良い方じゃない?知らないけど。…もし失敗して落ちた時はよろしくね」
ちはるは瓦礫が重なった少し高い位置から穴を見上げた。思っていたよりも穴は暗く、矢を射る位置が掴みにくい。少し迷ってちはるは1本試打をして位置を測る事にした。呪力強化した矢が穴を力強く駆け上り、穴の淵に上手く突き刺さった。
「…よし。…上に登ったら脚立を取ってきますね」
ちはるは矢に結び付けた弓弦が絡まないように慎重にセットする。自身の左腕に巻いた弦の状態の確認をする。ちはるは先に放った矢の位置を確かめーひとつ深呼吸をするとクロスボウのトリガーを引いた。
矢が放たれて数秒後にちはるの身体が矢を追いかけて飛んだ。想像していたよりも力強い動きに猪野と七海は息を呑みながらもちはるを目で追い、万が一彼女が転落した場合の落下点へ移動する。見上げている2人に穴の上の方は良く見えないが、ガシャ、と何かがぶつかる音が響き、続いてちはるの呻き声が聞こえた。
「ちはる⁉︎」
「水野さん、無事ですか⁉︎」
「…、…とりあえず、だいじょぶ、です…、ちょっと、ぶつけただけなんで」
矢が進んでいる途中、持っていたクロスボウが突き出ていた瓦礫に接触してバランスを崩し、右腕が壁に擦られた形となった。その間に矢は目標点に突き刺さり、ちはるは何とか穴を這い登った。
「登れました!少し待っててくださいね!」
ちはるは声をかけて厨房を出た。久しぶりに浴びた外の光に安堵しながら右腕の傷を検める。
「あっちゃー…これは痛いワケよね、」
よくクロスボウを落とさなかったなとちはるは息を吐いた。手首から肘までの服と皮膚がボロボロになっているが、特に深い傷は無さそうーとにかく待っている2人を引き上げるのが先だと、ちはるはバックヤードへ向かい、脚立を抱えて運び出した。
地下室の入口前に戻ってきたちはるは脚立を広げ、先程使った弓弦を巻き付ける。
「降ろしますよ」
そう声をかけると、下からスマホのライトが光り、遠目ながら場所を知らせていた。脚立を降ろすと穴の口までは足りなかったが、2人の身長を考えたらさしたる問題ではないだろうし、必要なら手を貸せば良い、それだけだ。ちはるは脚立を支えながら、先程巻き付けた弓弦に呪力を流し込んだ。数年放置されていた脚立が2人の体重に耐えられるかわからない、万が一にも壊れる事がない様にとの判断だった。
先に登って来たのは七海、彼が登り切った後に猪野。2人が登ったところでちはるはふっと息を吐いた。
「んじゃ、早いとこ出ましょ」
軽い足取りで進む猪野、続いて七海、ちはる。七海が歩きながらスマホを手にしたのを見、ちはるは補助監督へ連絡するのだろうとひりつく右腕に不快感を覚えながら黙って2人の後を追った。