真偽
猪野くんの同級生のお名前は?
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かつては旅館として人を迎え、旅の疲れを癒していたその建物は最早見る影もなく、野生動物や無法者によって無惨に荒らされ廃墟と化していた。
七海を先頭に、ちはる、猪野が続く。
「…立派な建物ですね」
薄汚れた館内の案内パネルを見つけたちはるがそう声を上げると、2人も案内図を覗き込む。
「…7階建てかぁ」
「食堂の規模を見ると、地下がある可能性も」
「そうですね、とりあえず手分けして捜索して状況の確認をした方が良さそうですね」
建物が8フロアあると想定し、猪野が7階から5階、七海が4階から2階、ちはるが1階と地下の捜索をする事となった。
「なんか不満そうじゃんちはる」
「…別に」
「気をつけて行きましょう」
ちはるは階段を登っていく七海と猪野を見送ると、肩に掛けていたクロスボウを手に歩き始めた。客室のあるフロアと違い、1階の作りは少々複雑となっている。案内パネルを改めて見るーエントランスからカウンターロビー、食堂、大浴場、パネルには書いていないがスタッフルームやバックヤードもあるだろう。念の為、とちはるは案内パネルをスマホで撮影し、捜索がすぐ終わりそうな大浴場から見て回る事にした。
比較的立ち入り易い1階は何処を見ても何者かに荒らされている。広い大浴場と食堂は荒れ具合が顕著だった。エントランスとロビーの捜索も済ませ、さて次はー客が立ち入る事のないバックヤードを見て回ろうとちはるは食堂の奥、厨房へと足を踏み入れた。
窓のない厨房は真っ暗だった。ちはるはポケットに入れていたペンライトを点けた。小さな光が足元を照らす。コンクリート製のフロアに貼られたタイルは剥がれ、あちこちに散乱している。滑って転ばない様にと歩を進めながら、辺りを照らす。壁に貼られた白いタイルは割れて汚れ、ガス台や調理台も凸凹と歪み、もう役目は果たせそうにない状態だった。
「…っ!」
何かが動く気配にちはるはクロスボウを構え振り返る。ペンライトの光の中を一瞬だけ何かが横切った。
「…ネズミ?」
ライトで動きを追うと、かなり大きい身体にちはるは顔を顰めた。ネズミはそのまま逃げて行った。と、ちはるは首を傾げた。この旅館に人が入らなくなって数年は経っている。人間の生活に入り込んで生きているネズミが、何故こんな人気のない、食糧も無さそうなところにいるのかーちはるは壁沿いにライトを滑らせる。
壁の一部に小さな穴が空いているのを見つけた。ちはるは膝を地につけてそっと穴を覗き込むー。
「ちはる」
「っ!!」
びくり、と肩を揺らしながらもちはるは振り返る。上階の捜索が済んだのだろうか、七海と猪野だった。
「…びっくりした…、」
「何してんの?」
「ねぇ、大きいネズミ、見なかった?」
「…大きいネズミ?…そりゃあ夢の国に、」
「そうじゃなくて」
暗い中でも猪野はちはるに睨まれているなと察すると、冗談だって、と慌てて繕った。
「ネズミが何か?」
「…こんな人気も食べ物もないところにいるのはおかしいと思いませんか?…何となく、呪力も感じません?」
そう言われればそうだと猪野も七海も唸る。
「…捕まえる?」
「現実的ではありませんね、動きが速すぎる」
「猪野っち、1番は追尾出来たよね?追えない?」
「んー…やろうと思えば追えると思うけど…つーか直撃したらネズミ死ぬよ?」
「…じゃあ…、ちょっとやってみるしかないか」
ちはるは猪野にペンライトを渡した。猪野がライトを天井に向けると光が拡散し、辺りを薄暗く照らす。
「…何すんの?」
「矢に少しだけ私の呪力をつけてネズミに当てる。そうすれば追っていけるはずなんだけど…、問題は矢のサイズ。今持ってるやつでは貫通しちゃう」
言いながら辺りを見回す。そんなちはるの行動を察した様に、七海は収納を片っ端から探り始めた。
「これは如何ですか?」
程なくして七海が差し出したのは鉄製の串だった。
「…これならきっと貫通はしないはず、」
ありがとうございます、とちはるは串を受け取り、クロスボウの調整を始める。
「猪野っち、ネズミの事見ててね?」
「あいよぉ任せろ」
「…見えますか?」
調整をするちはるの手元を七海がスマホのライトで照らす。助かります、とちはるは調整を急ぎ、クロスボウに串をセットすると、壁の方に向けてトリガーを引く。
壁にぶつかり、カチリ、という音、続いて床に落ちて小さな金属音が響く。壁に刺さる事なく、タイルを割る事もなく、壁に当たった衝撃で串は折れていた。
「…よし」
「打つなら言ってよ、ネズミがビビって逃げた」
「え、マジ?」
「猪野くん、あの棚の手前に」
「あーいたいた!」
ちはるはネズミの位置を確認すると、調理台に伏せて身体を固定した。まるでスポットライトに照らされたネズミー意識を集中させ、ちはるはそっとトリガーを引く。
「…ごめんね」
ネズミがあげた悲鳴にちはるはそう呟いた。尻尾の付け根辺りに刺さった串は程よい長さに折れ、少なくともネズミの行動を酷く制限する事は無さそうだった。
「ちはるすげぇ!」
「…結構ギリギリだったけど、上手くいって良かった」
猪野はライトを持ったまま、ほらほら、早くおウチに帰りなさい、などと言いながらネズミに近付いて行く。猪野の足音にネズミは奥へと姿を消した。
「ネズミが道案内してくれるのは助かるんだけど…、問題は私達が通れる道があるかどうか…、さっき、そこの壁に穴を見つけたのよね」
ちはるは消えたネズミに意識を向けながら言った。
「よっし、ちょっと調べてみようぜ」
七海を先頭に、ちはる、猪野が続く。
「…立派な建物ですね」
薄汚れた館内の案内パネルを見つけたちはるがそう声を上げると、2人も案内図を覗き込む。
「…7階建てかぁ」
「食堂の規模を見ると、地下がある可能性も」
「そうですね、とりあえず手分けして捜索して状況の確認をした方が良さそうですね」
建物が8フロアあると想定し、猪野が7階から5階、七海が4階から2階、ちはるが1階と地下の捜索をする事となった。
「なんか不満そうじゃんちはる」
「…別に」
「気をつけて行きましょう」
ちはるは階段を登っていく七海と猪野を見送ると、肩に掛けていたクロスボウを手に歩き始めた。客室のあるフロアと違い、1階の作りは少々複雑となっている。案内パネルを改めて見るーエントランスからカウンターロビー、食堂、大浴場、パネルには書いていないがスタッフルームやバックヤードもあるだろう。念の為、とちはるは案内パネルをスマホで撮影し、捜索がすぐ終わりそうな大浴場から見て回る事にした。
比較的立ち入り易い1階は何処を見ても何者かに荒らされている。広い大浴場と食堂は荒れ具合が顕著だった。エントランスとロビーの捜索も済ませ、さて次はー客が立ち入る事のないバックヤードを見て回ろうとちはるは食堂の奥、厨房へと足を踏み入れた。
窓のない厨房は真っ暗だった。ちはるはポケットに入れていたペンライトを点けた。小さな光が足元を照らす。コンクリート製のフロアに貼られたタイルは剥がれ、あちこちに散乱している。滑って転ばない様にと歩を進めながら、辺りを照らす。壁に貼られた白いタイルは割れて汚れ、ガス台や調理台も凸凹と歪み、もう役目は果たせそうにない状態だった。
「…っ!」
何かが動く気配にちはるはクロスボウを構え振り返る。ペンライトの光の中を一瞬だけ何かが横切った。
「…ネズミ?」
ライトで動きを追うと、かなり大きい身体にちはるは顔を顰めた。ネズミはそのまま逃げて行った。と、ちはるは首を傾げた。この旅館に人が入らなくなって数年は経っている。人間の生活に入り込んで生きているネズミが、何故こんな人気のない、食糧も無さそうなところにいるのかーちはるは壁沿いにライトを滑らせる。
壁の一部に小さな穴が空いているのを見つけた。ちはるは膝を地につけてそっと穴を覗き込むー。
「ちはる」
「っ!!」
びくり、と肩を揺らしながらもちはるは振り返る。上階の捜索が済んだのだろうか、七海と猪野だった。
「…びっくりした…、」
「何してんの?」
「ねぇ、大きいネズミ、見なかった?」
「…大きいネズミ?…そりゃあ夢の国に、」
「そうじゃなくて」
暗い中でも猪野はちはるに睨まれているなと察すると、冗談だって、と慌てて繕った。
「ネズミが何か?」
「…こんな人気も食べ物もないところにいるのはおかしいと思いませんか?…何となく、呪力も感じません?」
そう言われればそうだと猪野も七海も唸る。
「…捕まえる?」
「現実的ではありませんね、動きが速すぎる」
「猪野っち、1番は追尾出来たよね?追えない?」
「んー…やろうと思えば追えると思うけど…つーか直撃したらネズミ死ぬよ?」
「…じゃあ…、ちょっとやってみるしかないか」
ちはるは猪野にペンライトを渡した。猪野がライトを天井に向けると光が拡散し、辺りを薄暗く照らす。
「…何すんの?」
「矢に少しだけ私の呪力をつけてネズミに当てる。そうすれば追っていけるはずなんだけど…、問題は矢のサイズ。今持ってるやつでは貫通しちゃう」
言いながら辺りを見回す。そんなちはるの行動を察した様に、七海は収納を片っ端から探り始めた。
「これは如何ですか?」
程なくして七海が差し出したのは鉄製の串だった。
「…これならきっと貫通はしないはず、」
ありがとうございます、とちはるは串を受け取り、クロスボウの調整を始める。
「猪野っち、ネズミの事見ててね?」
「あいよぉ任せろ」
「…見えますか?」
調整をするちはるの手元を七海がスマホのライトで照らす。助かります、とちはるは調整を急ぎ、クロスボウに串をセットすると、壁の方に向けてトリガーを引く。
壁にぶつかり、カチリ、という音、続いて床に落ちて小さな金属音が響く。壁に刺さる事なく、タイルを割る事もなく、壁に当たった衝撃で串は折れていた。
「…よし」
「打つなら言ってよ、ネズミがビビって逃げた」
「え、マジ?」
「猪野くん、あの棚の手前に」
「あーいたいた!」
ちはるはネズミの位置を確認すると、調理台に伏せて身体を固定した。まるでスポットライトに照らされたネズミー意識を集中させ、ちはるはそっとトリガーを引く。
「…ごめんね」
ネズミがあげた悲鳴にちはるはそう呟いた。尻尾の付け根辺りに刺さった串は程よい長さに折れ、少なくともネズミの行動を酷く制限する事は無さそうだった。
「ちはるすげぇ!」
「…結構ギリギリだったけど、上手くいって良かった」
猪野はライトを持ったまま、ほらほら、早くおウチに帰りなさい、などと言いながらネズミに近付いて行く。猪野の足音にネズミは奥へと姿を消した。
「ネズミが道案内してくれるのは助かるんだけど…、問題は私達が通れる道があるかどうか…、さっき、そこの壁に穴を見つけたのよね」
ちはるは消えたネズミに意識を向けながら言った。
「よっし、ちょっと調べてみようぜ」