真偽
猪野くんの同級生のお名前は?
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朝5:30ースマホの画面を見てちはるは舌打ちをした。もう少し眠れたのに、と思いながらベッドから起き上がった。カーテンを少しだけ開けてみると、もう夏の盛りと言ってもおかしくない時期、空からは太陽がジリジリと照り付けている。熱い日差しと目を刺す明るさにちはるは目を細めるとカーテンを閉めた。
ユニットバスの洗面台で顔を洗う。冷たい水が頭と目を覚醒させていく。幾分スッキリした感覚に、このまま身支度をしてしまおうとちはるは動き始めた。ひと通りの支度が済むと、フロントにコーヒーのサービスがあった事を思い出した。朝食はどうだったかな、などと思いながらちはるは部屋を出た。
「おはようございます。随分早いですね」
備え付けの紙コップにホットコーヒーが注がれたところだった。何となく予感はしていたーちはるはコーヒーの香りを吸い込んでから声に振り返った。
「おはようございます。…七海さんはホットですか、アイスですか?」
「ホットコーヒーを飲もうと」
「じゃ、これどうぞ」
「…ですが、」
「全然、気にする事なんかないですよ」
言いながらちはるはサーバーに紙コップを置いてボタンを押す。再びコーヒーの香りが広がった。
フロント係の男性のおはようございます、という朝の挨拶に挨拶を返すと、ちはるは先にソファに座っていた七海の隣に腰を下ろした。
「体調は如何ですか?」
サングラスを外した七海の視線がちはるを捉える。昨夜の食事での出来事を気にした様だった。
「寝る前に猪野っちが薬を貰ってきてくれたんですよ。そのおかげですかね、大丈夫です。…ていうか食べ過ぎとか恥ずかしいですよね…」
照れた様に笑うちはるを見た七海の脳裏に“たくさん食べる子が好きです!”という声が響いた。何故、と思いながら顳顬に軽く触れ、コーヒーを飲んだ。
「…どちらかと言えば猪野くんは良く食べる方でしょうからね、私が学生の頃でもあれ程は食べませんでした」
学食で向かい合って食事をしていると、まん丸の目をしたアイツはよく寮母に“おかわりをお願いします!”と言っていたものだった。
「…良いと思いますよ」
「え?」
熱いコーヒーに息を吹きかけていたちはるが顔を上げると、口元を緩めた七海と視線がぶつかった。
「…しっかり食べて、任務に向かうとしましょう」
不意に七海が立ち上がる。呆気に取られたちはるはそのまま彼を目で追う。七海が食堂に向かおうとしている事に気付いたちはるは慌てて後を追った。
朝食を済ませた2人は一度それぞれ部屋に戻り、チェックアウトの準備を進める。ちはるがトランクを手に部屋を出れば、猪野と鉢合わせた。
「あ、おはよ猪野っち」
良く眠れなかったのだろうか、猪野は欠伸をひとつ溢し、それからちはるにおはよう、と口を開いた。
「…だいじょぶ?寝れなかった?」
「…まぁ…、だいじょぶ」
「たぶん七海さん、もう下で待ってるよ」
揃ってエレベーターに乗り、フロント前に向かう。
「おはようございます」
「おはようございます…、」
「大丈夫ですか?あまり眠れなかったのですか?」
「…まぁ、ちょっと…」
曖昧な返事の猪野を気にしながらも、七海は時計を見る。間も無く7時になろうとしていた。猪野はサービスのコーヒーを飲もうとカップをセットし、ボタンを押す。と、朝食の会場となる食堂が開いている事に気付くも時間がないー仕方ないかとコーヒーに口を付けた。
「では、行きましょうか」
七海がそう言って歩き出した時、ちはるの姿がない事に気付く。辺りを見回すと、彼女は食堂から現れた。
「…水野さん、どうかしましたか?」
「あっすみません、大丈夫です。…猪野っち」
ちはるは七海に頭を下げ、猪野には何かが入った使い捨ての容器を手渡した。
「…んぉ?」
「ちょっとワガママ言って、食堂でおにぎり作ってもらったから。…何も食べてないでしょ?」
「やべー、ちはる惚れる〜」
「いいからそーいうの」
2人のやり取りを背中に聞きながら、七海は頼んでおいたタクシーに乗り込んだ。行き先を案内する七海が助手席に、猪野とちはるは後部座席に座る。
「すんません運転手さん、飯食っても良いっすか?」
運転手からの許可を得た猪野はおにぎりを食べ始め、ちはるは行き先を確認する様に窓の外を眺めている。
ホテルを出てからどれくらい走ったか、タクシーはあっという間に山道へ入っていた。
「すみませんお客さん、これ以上はちょっと…」
運転手が渋るのも無理はないだろうとちはるは思った。この先は道幅が狭く、引き返すものひと苦労だ。
3人は運転手に礼を言い、料金を支払うと車を降りた。タクシーが無事に引き返して行くのを見届けると、山道の奥に向かって歩き始めた。
「…補助監督、来れるんすかね?」
「期待はしない方が良いでしょうね」
「旅館だった場所に車が入れないなんて」
3人が歩いている道は旅館の私道だったのだろう。旅館が倒産し、誰も入らなくなった道路は両側から草に覆われ、割れた舗装の隙間からも草が顔を出していた。
「…あそこですね」
15分程歩くと、古びた建物が見えてきた。夜逃げ同然だったのだろうか、置き去りにされた旅館の物品らしき椅子やテーブル等は外に散乱していた。入口の扉のガラスや窓ガラスは何処を探しても見当たらない。
「…帳はどうします?」
「ここで取り零しがあってはいけません、念の為に降ろしておきましょう」
3人の視線が交わるー誰が帳を降ろすか。
「…せっかくなんで、私がやりますね」
ちはるが声を上げ、呪詞を唱えると闇が満ちた。
「では、行きましょう」
ユニットバスの洗面台で顔を洗う。冷たい水が頭と目を覚醒させていく。幾分スッキリした感覚に、このまま身支度をしてしまおうとちはるは動き始めた。ひと通りの支度が済むと、フロントにコーヒーのサービスがあった事を思い出した。朝食はどうだったかな、などと思いながらちはるは部屋を出た。
「おはようございます。随分早いですね」
備え付けの紙コップにホットコーヒーが注がれたところだった。何となく予感はしていたーちはるはコーヒーの香りを吸い込んでから声に振り返った。
「おはようございます。…七海さんはホットですか、アイスですか?」
「ホットコーヒーを飲もうと」
「じゃ、これどうぞ」
「…ですが、」
「全然、気にする事なんかないですよ」
言いながらちはるはサーバーに紙コップを置いてボタンを押す。再びコーヒーの香りが広がった。
フロント係の男性のおはようございます、という朝の挨拶に挨拶を返すと、ちはるは先にソファに座っていた七海の隣に腰を下ろした。
「体調は如何ですか?」
サングラスを外した七海の視線がちはるを捉える。昨夜の食事での出来事を気にした様だった。
「寝る前に猪野っちが薬を貰ってきてくれたんですよ。そのおかげですかね、大丈夫です。…ていうか食べ過ぎとか恥ずかしいですよね…」
照れた様に笑うちはるを見た七海の脳裏に“たくさん食べる子が好きです!”という声が響いた。何故、と思いながら顳顬に軽く触れ、コーヒーを飲んだ。
「…どちらかと言えば猪野くんは良く食べる方でしょうからね、私が学生の頃でもあれ程は食べませんでした」
学食で向かい合って食事をしていると、まん丸の目をしたアイツはよく寮母に“おかわりをお願いします!”と言っていたものだった。
「…良いと思いますよ」
「え?」
熱いコーヒーに息を吹きかけていたちはるが顔を上げると、口元を緩めた七海と視線がぶつかった。
「…しっかり食べて、任務に向かうとしましょう」
不意に七海が立ち上がる。呆気に取られたちはるはそのまま彼を目で追う。七海が食堂に向かおうとしている事に気付いたちはるは慌てて後を追った。
朝食を済ませた2人は一度それぞれ部屋に戻り、チェックアウトの準備を進める。ちはるがトランクを手に部屋を出れば、猪野と鉢合わせた。
「あ、おはよ猪野っち」
良く眠れなかったのだろうか、猪野は欠伸をひとつ溢し、それからちはるにおはよう、と口を開いた。
「…だいじょぶ?寝れなかった?」
「…まぁ…、だいじょぶ」
「たぶん七海さん、もう下で待ってるよ」
揃ってエレベーターに乗り、フロント前に向かう。
「おはようございます」
「おはようございます…、」
「大丈夫ですか?あまり眠れなかったのですか?」
「…まぁ、ちょっと…」
曖昧な返事の猪野を気にしながらも、七海は時計を見る。間も無く7時になろうとしていた。猪野はサービスのコーヒーを飲もうとカップをセットし、ボタンを押す。と、朝食の会場となる食堂が開いている事に気付くも時間がないー仕方ないかとコーヒーに口を付けた。
「では、行きましょうか」
七海がそう言って歩き出した時、ちはるの姿がない事に気付く。辺りを見回すと、彼女は食堂から現れた。
「…水野さん、どうかしましたか?」
「あっすみません、大丈夫です。…猪野っち」
ちはるは七海に頭を下げ、猪野には何かが入った使い捨ての容器を手渡した。
「…んぉ?」
「ちょっとワガママ言って、食堂でおにぎり作ってもらったから。…何も食べてないでしょ?」
「やべー、ちはる惚れる〜」
「いいからそーいうの」
2人のやり取りを背中に聞きながら、七海は頼んでおいたタクシーに乗り込んだ。行き先を案内する七海が助手席に、猪野とちはるは後部座席に座る。
「すんません運転手さん、飯食っても良いっすか?」
運転手からの許可を得た猪野はおにぎりを食べ始め、ちはるは行き先を確認する様に窓の外を眺めている。
ホテルを出てからどれくらい走ったか、タクシーはあっという間に山道へ入っていた。
「すみませんお客さん、これ以上はちょっと…」
運転手が渋るのも無理はないだろうとちはるは思った。この先は道幅が狭く、引き返すものひと苦労だ。
3人は運転手に礼を言い、料金を支払うと車を降りた。タクシーが無事に引き返して行くのを見届けると、山道の奥に向かって歩き始めた。
「…補助監督、来れるんすかね?」
「期待はしない方が良いでしょうね」
「旅館だった場所に車が入れないなんて」
3人が歩いている道は旅館の私道だったのだろう。旅館が倒産し、誰も入らなくなった道路は両側から草に覆われ、割れた舗装の隙間からも草が顔を出していた。
「…あそこですね」
15分程歩くと、古びた建物が見えてきた。夜逃げ同然だったのだろうか、置き去りにされた旅館の物品らしき椅子やテーブル等は外に散乱していた。入口の扉のガラスや窓ガラスは何処を探しても見当たらない。
「…帳はどうします?」
「ここで取り零しがあってはいけません、念の為に降ろしておきましょう」
3人の視線が交わるー誰が帳を降ろすか。
「…せっかくなんで、私がやりますね」
ちはるが声を上げ、呪詞を唱えると闇が満ちた。
「では、行きましょう」