真偽
猪野くんの同級生のお名前は?
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地方任務初日。
無事に1件目の任務を遂行した3人は宿泊先へ到着した。思っていたよりも人里離れた場所ではなく交通インフラが整っており、幸いにして任務後に現場から宿泊先まで歩き通し、という事は免れた。
「っあ〜っ!疲れた〜!」
宿泊先となる小さなビジネスホテルのエントランスに入るなり、猪野は大きく伸びをした。
「チェックインをしてきます」
朝に顔を合わせてから、任務の前、任務中、任務の後も表情ひとつ変えない七海の様子にちはるは舌を巻いた。今回の任務に於いて、現場での監督者となるのは等級の高い七海であるのは間違いないが、全く隙がない。所作も言動も正にパーフェクトー以前、猪野が“俺が女なら絶対惚れてる”と言っていたのはこういう事かと、フロントでやり取りをしている七海の背中を見ながらちはるはそんな事を思った。
「お待たせしました」
七海はカードキーを3枚手に戻って来た。七海から寄越されたカードを受け取りながら、飯はどうしましょうか、と猪野が声を上げた。七海が腕時計を見る。
「ちょっとフロントに聞いてみますか」
今度は猪野がフロントへ向かう。それを気怠げに見ていたちはるに七海が声をかけた。
「水野さん、先に部屋へ行っていても構いませんよ」
「…いえ、」
「流石に2度も意地の悪い事はしません。…身支度を整えてから食事に出るとしましょう。…猪野くんの事です、話が落ち着くまで時間がかかると思いますよ」
猪野へ視線を向ける七海につられてちはるも其方を見ると、七海の言う通り猪野はフロントの女性スタッフと話に花を咲かせている様だった。
「…じゃあ…お言葉に甘えて、」
「話がまとまり次第お知らせします」
七海の口元が少しだけ緩んだ様に見え、ちはるは張り詰めていた緊張が漸く解けた様に感じた。七海に頭を下げてエレベーターに乗り込み、トランクを引いて宛てがわれた部屋へと向かった。部屋番号を確認し、ドアを開錠して部屋に入る。綺麗にメイキングされたベッドに腰掛けるとちはるはひとつ、大きく息を吐いた。
都市部の任務と違い、地方任務はかなり手のかかる任務が多い。古くからの言い伝えだとか、その土地の謂れがどうとか、何かしら曰く付きの事が多い。その地域の住民たちが呪いの存在を強く根付かせ、その畏怖が呪いを強くする。呪いを見つけ次第、早い内に手を打つー現状、正に虱潰しと言える方法しか手立てがない。
祓除を必要とする現場は、全国の“窓”から提供された情報に基づいている。その後高専関係者が更に詳しく調査をし、祓除の対象任務となるかを判断するが、この報告調査内容が100%正解であるとは限らない。事前の概要と違って当たり前、その為任務は気が抜けない。
地方任務ってハードだな、と率直にちはるは思った。移動の時間と距離が長い事に加え、毎日任務に当たる事になる。少しでも気力体力を温存する為に要領良く立ち回らないといけないな、と見通しを立てるとちはるは再び息を吐いた。ベッドから立ち上がると、早くシャワーを浴びようとトランクを開け、着替えを引っ張り出した。
七海から食事についての連絡が来たのはちはるの身支度がすっかり終わった後だった。
時間をかけてシャワーを浴びたわけではなく、七海の見立て通り猪野はフロント係と随分長話をしていたらしかった。ホテルのロビーまで降りれば2人が待っていた。
「フロントのオネーサンに聞いたら、歩いて行ける場所はやっぱ飲み屋しかないんだってさ」
ホテルから出て、先立って歩く猪野について行く。
「一応駅チカな場所だけど、隣の市で開発が進んでるみたいで、この辺は最近来る人が減ってるんだって」
「…それで飲食店の数が少ないって事?」
「ま、他にも理由はいろいろあると思うけど」
「近隣に目新しいものが出来れば自然と其方に人が流れるのは仕方のない事でしょうからね」
ホテルを出て数分、猪野の足が止まった。目の前には古びた一軒の雑居ビル。通りに面した入口には年季の入った赤提灯がぶら下がっている。
「…猪野っち…、ここ…?」
「常連客しか来ねぇような店だな…」
「そうは言っても他に飲食店は見当たりませんし、私たちは客で金も払うのですから問題はないでしょう」
七海は躊躇う事なくガラリと引き戸を開けた。
「…マジ?…七海さんのメンタル凄くない?」
「…七海サンって実は意外とこーいうディープな店好きなんだよ…、結構平気みたいでさ」
カウンターの向こうに立つ店主に3人入れるかの確認をしている七海に2人は苦笑した。
「問題ないそうですよ。入りましょう」
3人は通された席につくと、とりあえずビール、と声をかけた。程なくして出てきたのは瓶ビールに小さなグラスが3つ。店主の妻らしい女性がその場で栓を抜く。
「…私瓶ビールって初めてかも」
「マジ?…けどビールには違いねぇよ」
猪野はグラスを2人の前にサーブすると手際良くビールを注いでいく。その間にお通しです、とそれぞれに枝豆と大根の煮物が出された。
「おばちゃん、1人分ずつだと洗い物大変だからさ、俺ら大皿に取り皿で良いよ」
「…でもねぇ、」
女性はちらりと七海を見遣るー口元を引き結んだままの表情が彼を気難しく見せているのだろう。
「大丈夫だって、そもそも仲良くない奴なんかと飲みになんか来ないし、気にしないでよ」
「…私は構いません」
「そうですね、時間も遅いですし、彼は結構食べると思いますから楽出来るようになさって下さい」
「あらまぁ…、アンタたち若いのにたいしたもんねぇ…、じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうわねぇ」
女性は料理を持って一旦カウンターへ戻ると、明らかに3人分は以上ある料理を手に戻ってきた。
「サービスしとくから、いっぱい食べてって!」
出された料理の量に3人は思わず押し黙った。
無事に1件目の任務を遂行した3人は宿泊先へ到着した。思っていたよりも人里離れた場所ではなく交通インフラが整っており、幸いにして任務後に現場から宿泊先まで歩き通し、という事は免れた。
「っあ〜っ!疲れた〜!」
宿泊先となる小さなビジネスホテルのエントランスに入るなり、猪野は大きく伸びをした。
「チェックインをしてきます」
朝に顔を合わせてから、任務の前、任務中、任務の後も表情ひとつ変えない七海の様子にちはるは舌を巻いた。今回の任務に於いて、現場での監督者となるのは等級の高い七海であるのは間違いないが、全く隙がない。所作も言動も正にパーフェクトー以前、猪野が“俺が女なら絶対惚れてる”と言っていたのはこういう事かと、フロントでやり取りをしている七海の背中を見ながらちはるはそんな事を思った。
「お待たせしました」
七海はカードキーを3枚手に戻って来た。七海から寄越されたカードを受け取りながら、飯はどうしましょうか、と猪野が声を上げた。七海が腕時計を見る。
「ちょっとフロントに聞いてみますか」
今度は猪野がフロントへ向かう。それを気怠げに見ていたちはるに七海が声をかけた。
「水野さん、先に部屋へ行っていても構いませんよ」
「…いえ、」
「流石に2度も意地の悪い事はしません。…身支度を整えてから食事に出るとしましょう。…猪野くんの事です、話が落ち着くまで時間がかかると思いますよ」
猪野へ視線を向ける七海につられてちはるも其方を見ると、七海の言う通り猪野はフロントの女性スタッフと話に花を咲かせている様だった。
「…じゃあ…お言葉に甘えて、」
「話がまとまり次第お知らせします」
七海の口元が少しだけ緩んだ様に見え、ちはるは張り詰めていた緊張が漸く解けた様に感じた。七海に頭を下げてエレベーターに乗り込み、トランクを引いて宛てがわれた部屋へと向かった。部屋番号を確認し、ドアを開錠して部屋に入る。綺麗にメイキングされたベッドに腰掛けるとちはるはひとつ、大きく息を吐いた。
都市部の任務と違い、地方任務はかなり手のかかる任務が多い。古くからの言い伝えだとか、その土地の謂れがどうとか、何かしら曰く付きの事が多い。その地域の住民たちが呪いの存在を強く根付かせ、その畏怖が呪いを強くする。呪いを見つけ次第、早い内に手を打つー現状、正に虱潰しと言える方法しか手立てがない。
祓除を必要とする現場は、全国の“窓”から提供された情報に基づいている。その後高専関係者が更に詳しく調査をし、祓除の対象任務となるかを判断するが、この報告調査内容が100%正解であるとは限らない。事前の概要と違って当たり前、その為任務は気が抜けない。
地方任務ってハードだな、と率直にちはるは思った。移動の時間と距離が長い事に加え、毎日任務に当たる事になる。少しでも気力体力を温存する為に要領良く立ち回らないといけないな、と見通しを立てるとちはるは再び息を吐いた。ベッドから立ち上がると、早くシャワーを浴びようとトランクを開け、着替えを引っ張り出した。
七海から食事についての連絡が来たのはちはるの身支度がすっかり終わった後だった。
時間をかけてシャワーを浴びたわけではなく、七海の見立て通り猪野はフロント係と随分長話をしていたらしかった。ホテルのロビーまで降りれば2人が待っていた。
「フロントのオネーサンに聞いたら、歩いて行ける場所はやっぱ飲み屋しかないんだってさ」
ホテルから出て、先立って歩く猪野について行く。
「一応駅チカな場所だけど、隣の市で開発が進んでるみたいで、この辺は最近来る人が減ってるんだって」
「…それで飲食店の数が少ないって事?」
「ま、他にも理由はいろいろあると思うけど」
「近隣に目新しいものが出来れば自然と其方に人が流れるのは仕方のない事でしょうからね」
ホテルを出て数分、猪野の足が止まった。目の前には古びた一軒の雑居ビル。通りに面した入口には年季の入った赤提灯がぶら下がっている。
「…猪野っち…、ここ…?」
「常連客しか来ねぇような店だな…」
「そうは言っても他に飲食店は見当たりませんし、私たちは客で金も払うのですから問題はないでしょう」
七海は躊躇う事なくガラリと引き戸を開けた。
「…マジ?…七海さんのメンタル凄くない?」
「…七海サンって実は意外とこーいうディープな店好きなんだよ…、結構平気みたいでさ」
カウンターの向こうに立つ店主に3人入れるかの確認をしている七海に2人は苦笑した。
「問題ないそうですよ。入りましょう」
3人は通された席につくと、とりあえずビール、と声をかけた。程なくして出てきたのは瓶ビールに小さなグラスが3つ。店主の妻らしい女性がその場で栓を抜く。
「…私瓶ビールって初めてかも」
「マジ?…けどビールには違いねぇよ」
猪野はグラスを2人の前にサーブすると手際良くビールを注いでいく。その間にお通しです、とそれぞれに枝豆と大根の煮物が出された。
「おばちゃん、1人分ずつだと洗い物大変だからさ、俺ら大皿に取り皿で良いよ」
「…でもねぇ、」
女性はちらりと七海を見遣るー口元を引き結んだままの表情が彼を気難しく見せているのだろう。
「大丈夫だって、そもそも仲良くない奴なんかと飲みになんか来ないし、気にしないでよ」
「…私は構いません」
「そうですね、時間も遅いですし、彼は結構食べると思いますから楽出来るようになさって下さい」
「あらまぁ…、アンタたち若いのにたいしたもんねぇ…、じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうわねぇ」
女性は料理を持って一旦カウンターへ戻ると、明らかに3人分は以上ある料理を手に戻ってきた。
「サービスしとくから、いっぱい食べてって!」
出された料理の量に3人は思わず押し黙った。