付かず、離れず
猪野くんの同級生のお名前は?
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補助監督と約束していた時間に遅れる事なく待ち合わせ場所に向かい、祓除の現場へ向かう車内で任務の最終確認を済ませた七海は外を眺めていた。
特に難しい事のない、純粋に呪いを祓うだけの任務。
早々に片付けて帰ろうと、現場に着いた七海は無駄な動きをする事なく任務を遂行する。が、今回のターゲットとしていた呪霊からの攻撃を受けてしまい、左腕に軽い傷を負ってしまった。戻った七海を迎えた補助監督は慌てて高専へと車を走らせた。
「珍しいじゃないか、お前がケガするなんてな」
医務室で七海を待っていた家入が軽口を叩いた。どう返事をしたものかと思いながら七海は黙って家入に患部を見せる。家入が手をかざし、反転術式を用いて七海の傷を塞いでいく。七海は傷の具合を確認する。
「ありがとうございます。美味い酒でも持ってきます」
「あぁ、それは何よりだ」
家入はデスクで七海のケガの具合についての記録を残していた。彼女が忙しくしているのは単純にケガ人の治療だけでなく、この様な記録の他、補助監督と情報を共有して今後の任務への影響の有無等を学長へ上申しなくてはならない為だ。人手不足である呪術界において、家入は術師を守るという役目を担っているという訳だ。
手を止める様子のない家入を邪魔するつもりも無く、七海は黙って身支度を整える。それでは失礼します、と言う言葉が七海の声帯から作られようとしたその時。
「おっ疲れ〜!硝子いる〜??」
医務室のドアが勢い良く開き、家入と七海の視線は今し方姿を見せた、七海が極力会いたくない人物ー五条の顔に集まった。彼を目にした途端、七海の意思とは無関係に眉間に皺が寄った。
「おっ、七海も居るとかラッキー♪」
「…私にとってはアンラッキーですけどね」
「何か用か」
酷く事務的に家入が五条に声をかけた。言葉の裏に仕事の邪魔をするなと言う彼女の思いが見え隠れする。
「七海が居るなら丁度良かった。…さっき七海がケガしたって補助監督が騒いでてさ。七海に任務の事で相談があったから、ケガの具合を聞きに来たんだけど、」
問題無さそうだね、と五条は七海に笑顔を向けるーあぁ嫌な予感しかしない、と七海はため息を吐いた。
五条に連れられ、七海は休憩所へやって来た。飲み物をご馳走するよ、という五条を無視して七海は誰もいない休憩所の適当な所へ腰を下ろす。陰鬱な気持ちを抱えた七海の鼻に、甘ったるい匂いが届く。いちごミルクのホットを手にした五条が彼の向かいに座った。
「…用件は手短且つ端的にお願いします」
「フム。…今度、ちはるに1級の査定任務が入る予定なのよ。その引率よろしくぅ!」
「は?」
「手短且つ端的にしろって言ったの七海でしょ、1回で聞いといてくれないと困るよ〜」
「話は聞いていますよ。…どうして私が?」
「他に居ないのよ、冥さんと日下部さんは推薦者だから無理だし、禪院家に頼むのは面倒だし」
七海は押し黙った。以前猪野から聞いた話を思い出す。
「…待ってください、彼女はもう準1級でしたよね?それならば他の術師の同行は不要なはずでは?」
「なぁんだ、結構詳しく知ってんじゃん、ちはるの事」
五条は手を組んで後頭部に回し、伸びをするように背を反らした。いつものアイマスクが目元を隠しており、彼が今どんな表情をしているのかは明確には判らないが、口元が弧を描いている事から、少なからず笑っているのだろう。七海はふっと息を吐いた。
「…猪野くん経由で彼女の事は耳にしていますよ」
「ふぅん」
意味深な五条の返事に僅かな不快感を覚えながらも口を閉ざした。それにしてもー辻褄が合わないだろう、と七海は先程の話を反芻した。
2級術師が昇級するにはまず1級術師2名からの推薦が必要となり、推薦した術師以外の1級術師と共に1級相当の任務を遂行し、そこで適正が認められて初めて準1級となる。準1級の術師が1級となるには単独任務の遂行、となるはずである。
七海が改めてその旨を五条に告げれば、さっすが七海、と笑顔で応えた。七海の眉間の皺が深くなった。
「ま、ちはるはちょっと訳アリでさ。準1級だけど、同行者がまだ必要なのよ。能力的には問題ないからそこは安心していいよ」
五条の言葉に返事をする事なく、七海は先の話について気になる事がもう1つ、と口を開く。
「…水野さんの推薦者が冥冥さんと日下部さんというのも引っ掛かります。彼女が東京に来たのは高専の教員になる今年になってからですよね?それまで京都にいたそうですが、何故東京側の人間が彼女の推薦を?」
「んもぅ、七海ったら細かいんだから〜。そんな細かい事気にしてたら禿げるよ〜?」
「細かい事かもしれませんが、面倒事は御免です」
サングラスの奥、七海の目が鋭く細められたところで休憩所のドアが開く音が2人の耳に届く。
「アッ!七海サンお疲れ様です!」
元気な声と共に姿を見せ、張り詰めた空気を破ったのは猪野だった。七海はため息を吐き、五条はすっかり冷め切ったいちごミルクをひと息に飲み干した。
「五条サンも、お疲れ様です。…どーしたんすか、こんなトコで珍しいっすね?」
「ん、ちょっと内緒話。…んじゃ七海、また後で伊地知から連絡させるからよろしくね〜」
立ち上がった五条は紙コップを自販機側の屑入れに投げ込むと、手をひらつかせて休憩所を出て行った。
「なんかあったんすか?」
「…。…何でもありません、気にしないで下さい。…ところで猪野くん」
五条を見送っていた猪野が七海を振り返る。
「この後は空いていますか?いくつか聞きたい事があるのですが」
思いがけない七海の言葉に破顔した猪野は返事2つで誘いに応じ、どんなジャンルの店が良いですかと、嬉々としてスマホを手に店の情報収集をし始めた。
特に難しい事のない、純粋に呪いを祓うだけの任務。
早々に片付けて帰ろうと、現場に着いた七海は無駄な動きをする事なく任務を遂行する。が、今回のターゲットとしていた呪霊からの攻撃を受けてしまい、左腕に軽い傷を負ってしまった。戻った七海を迎えた補助監督は慌てて高専へと車を走らせた。
「珍しいじゃないか、お前がケガするなんてな」
医務室で七海を待っていた家入が軽口を叩いた。どう返事をしたものかと思いながら七海は黙って家入に患部を見せる。家入が手をかざし、反転術式を用いて七海の傷を塞いでいく。七海は傷の具合を確認する。
「ありがとうございます。美味い酒でも持ってきます」
「あぁ、それは何よりだ」
家入はデスクで七海のケガの具合についての記録を残していた。彼女が忙しくしているのは単純にケガ人の治療だけでなく、この様な記録の他、補助監督と情報を共有して今後の任務への影響の有無等を学長へ上申しなくてはならない為だ。人手不足である呪術界において、家入は術師を守るという役目を担っているという訳だ。
手を止める様子のない家入を邪魔するつもりも無く、七海は黙って身支度を整える。それでは失礼します、と言う言葉が七海の声帯から作られようとしたその時。
「おっ疲れ〜!硝子いる〜??」
医務室のドアが勢い良く開き、家入と七海の視線は今し方姿を見せた、七海が極力会いたくない人物ー五条の顔に集まった。彼を目にした途端、七海の意思とは無関係に眉間に皺が寄った。
「おっ、七海も居るとかラッキー♪」
「…私にとってはアンラッキーですけどね」
「何か用か」
酷く事務的に家入が五条に声をかけた。言葉の裏に仕事の邪魔をするなと言う彼女の思いが見え隠れする。
「七海が居るなら丁度良かった。…さっき七海がケガしたって補助監督が騒いでてさ。七海に任務の事で相談があったから、ケガの具合を聞きに来たんだけど、」
問題無さそうだね、と五条は七海に笑顔を向けるーあぁ嫌な予感しかしない、と七海はため息を吐いた。
五条に連れられ、七海は休憩所へやって来た。飲み物をご馳走するよ、という五条を無視して七海は誰もいない休憩所の適当な所へ腰を下ろす。陰鬱な気持ちを抱えた七海の鼻に、甘ったるい匂いが届く。いちごミルクのホットを手にした五条が彼の向かいに座った。
「…用件は手短且つ端的にお願いします」
「フム。…今度、ちはるに1級の査定任務が入る予定なのよ。その引率よろしくぅ!」
「は?」
「手短且つ端的にしろって言ったの七海でしょ、1回で聞いといてくれないと困るよ〜」
「話は聞いていますよ。…どうして私が?」
「他に居ないのよ、冥さんと日下部さんは推薦者だから無理だし、禪院家に頼むのは面倒だし」
七海は押し黙った。以前猪野から聞いた話を思い出す。
「…待ってください、彼女はもう準1級でしたよね?それならば他の術師の同行は不要なはずでは?」
「なぁんだ、結構詳しく知ってんじゃん、ちはるの事」
五条は手を組んで後頭部に回し、伸びをするように背を反らした。いつものアイマスクが目元を隠しており、彼が今どんな表情をしているのかは明確には判らないが、口元が弧を描いている事から、少なからず笑っているのだろう。七海はふっと息を吐いた。
「…猪野くん経由で彼女の事は耳にしていますよ」
「ふぅん」
意味深な五条の返事に僅かな不快感を覚えながらも口を閉ざした。それにしてもー辻褄が合わないだろう、と七海は先程の話を反芻した。
2級術師が昇級するにはまず1級術師2名からの推薦が必要となり、推薦した術師以外の1級術師と共に1級相当の任務を遂行し、そこで適正が認められて初めて準1級となる。準1級の術師が1級となるには単独任務の遂行、となるはずである。
七海が改めてその旨を五条に告げれば、さっすが七海、と笑顔で応えた。七海の眉間の皺が深くなった。
「ま、ちはるはちょっと訳アリでさ。準1級だけど、同行者がまだ必要なのよ。能力的には問題ないからそこは安心していいよ」
五条の言葉に返事をする事なく、七海は先の話について気になる事がもう1つ、と口を開く。
「…水野さんの推薦者が冥冥さんと日下部さんというのも引っ掛かります。彼女が東京に来たのは高専の教員になる今年になってからですよね?それまで京都にいたそうですが、何故東京側の人間が彼女の推薦を?」
「んもぅ、七海ったら細かいんだから〜。そんな細かい事気にしてたら禿げるよ〜?」
「細かい事かもしれませんが、面倒事は御免です」
サングラスの奥、七海の目が鋭く細められたところで休憩所のドアが開く音が2人の耳に届く。
「アッ!七海サンお疲れ様です!」
元気な声と共に姿を見せ、張り詰めた空気を破ったのは猪野だった。七海はため息を吐き、五条はすっかり冷め切ったいちごミルクをひと息に飲み干した。
「五条サンも、お疲れ様です。…どーしたんすか、こんなトコで珍しいっすね?」
「ん、ちょっと内緒話。…んじゃ七海、また後で伊地知から連絡させるからよろしくね〜」
立ち上がった五条は紙コップを自販機側の屑入れに投げ込むと、手をひらつかせて休憩所を出て行った。
「なんかあったんすか?」
「…。…何でもありません、気にしないで下さい。…ところで猪野くん」
五条を見送っていた猪野が七海を振り返る。
「この後は空いていますか?いくつか聞きたい事があるのですが」
思いがけない七海の言葉に破顔した猪野は返事2つで誘いに応じ、どんなジャンルの店が良いですかと、嬉々としてスマホを手に店の情報収集をし始めた。