始めまして、初めまして
猪野くんの同級生のお名前は?
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高専を卒業して一般企業に入ったものの、4年で呪術界に戻ると決めた。あの時の判断が本当に良かったのだろうかと、未だに正解はわからない。
一般企業で学んだ事は、労働はクソだという事。呪術師もクソである事に違いはないが、他人の金を増やす為だけの仕事よりも術師の方がマシなはずだ。
そう思わなければやっていられないー。
脱サラ呪術師・七海建人は最後の呪霊を祓うとひとつ息を吐いた。これで今日の仕事は終わりだ。
「七海サン、お疲れ様です!いや〜さすがっすね!」
「特別な事はありません、これくらい普通でしょう」
「く〜っ、カッケー‼︎」
「…。…ところで今日はどうしたんですか、君も任務に出ていたでしょう」
「近くだったし、早く終わったんで来ちゃいました」
笑う猪野にどう返事をして良いか、七海はとりあえず補助監督と待ち合わせの場所へ向かおうと歩き出した。そんな彼の後に、先程七海を褒め称えた猪野が続く。
七海と猪野、年齢は少々離れているが、恐らく七海が一番親しくしているのは猪野かもしれない。
以前七海が請け負った任務に猪野が同行したのがキッカケで、それ以来猪野は七海に心酔するようになった。猪野はこの日のように、よく七海の前に顔を出していた。
「ねね七海サン、この後飯でも行きません?」
韓国料理の美味い店見つけたんですよ、と笑顔の猪野は本当に屈託が無い。時折同期の笑顔と重なる事があり、その度に七海は自分の感情を押し殺して飲み込んできたー彼とアイツは別人だと理解しているのに。
「そうですね、特に予定もないので行きましょう」
2人は補助監督と合流し、報告と今後の任務の確認を兼ねて一旦高専へ戻る事にした。
「それでは、また連絡致しますね」
お疲れ様でした、と補助監督の伊地知と挨拶を交わし、七海と猪野は事務室を出る。
「それじゃ七海サン、パァーッと行きましょう!」
スキップしそうな程に軽快な足取りの猪野に続いて歩く七海。建物から外へ出る直前の事。
「…あれ、猪野っち…?」
「んぉ?」
猪野が足を止め、七海も足を止める。背後からの声に2人は振り返った。猪野と同じ年頃の女性がいた。
「え、もしかして、ちはる?」
「もしかしなくてもそうだけど」
「うぉ〜マジ?マジで久しぶりじゃん‼︎」
猪野は自身の知人女性の肩をばしばし叩いて再会を喜んでいるが、ちはる、と呼ばれた女性は顔を顰めていた。
「ちょっ、もう痛いって!」
「悪ぃ、久しぶりで嬉しくて。…七海サン、コイツ、俺の同期なんスよ」
「初めまして、水野ちはるです」
「七海です。初めまして」
「俺がチョー尊敬する人!めっちゃスゲェ人!」
興奮気味に話す猪野とは対照的に落ち着いた様子のちはる。初対面の人を前にしては当然の態度と言える。
「…猪野っち、七海さん待ってるよ」
「アッ!すんません七海サン!」
「いいえ。…猪野くん、久しぶりならお2人で食事に行ってはいかがですか?私はまた後日に、」
「じゃあ、3人で行きましょうよ!」
ちはるも七海も猪野の勢いに飲まれるように、それぞれ遠慮をする事も出来ずに彼が最近開拓したという韓国料理の店へやって来ていた。
「七海サン、何飲みます?」
「最初はビールを」
「ちはるは?」
「私はノンアルで。車だからさ」
「嘘、マジ?車どこ?」
「駅前のコインパーキング」
「七海サン、帰りの足も確保出来ました!」
「……」
同期と再会したからと、今日の猪野は調子に乗り過ぎているのではないかと七海は少々不安を覚えたが、当のちはるは意に介する様子もない。これがこの2人の常なのだろうかと、七海は注文したビールを受け取った。
「んじゃ、今日もお疲れっした〜!」
元気な猪野の言葉に3人はグラスを合わせ、それぞれ飲み物を口にした。ぷはぁ、と猪野が盛大に息を吐く。
「猪野っち、いつからそんなオッサンになったのよ?」
「仕事終わりのビール飲めば年なんかカンケーねぇよ」
七海は猪野が注文した海鮮チヂミを突きながら2人の軽口に耳を傾ける。猪野が2杯目のビールを注文したところでそういやさ、と口を開く。
「ちはるはなんで高専に?」
「…それ今頃言うの?」
聞けばちはるは高専の教師を目指しているそうで、今まで実家に近い京都校で研修を受けていたとの事。その研修が終わって東京校へ赴任する事になり、その事務手続きの関係で高専に来ていたという事らしい。
「…それは大変ですね」
七海は信頼しているが尊敬はしていない先輩の顔を思い浮かべて言ったー東京校の教職となればあの人の同僚という事になるのだろう。
「だいじょぶっすよ七海サン、実はコイツ、…むぐ」
「はーい余計な事言わない」
七海は猪野の口にサムギョプサルを押し込むちはるの顔に翳りが見えた気がした。
「…ま、俺としては、ちはるがこっちにいるって事が嬉しいよ。また七海サンと3人で飲みに行けるじゃん」
「サムギョプサル美味しかった?」
「うん、めっちゃ美味い」
なんだかんだ2人は仲が良いのだなと、上手く猪野をやり込めているちはるに感心しながら七海はビールを静かに飲み干すと、猪野が先立ってオーダーしていた2杯目のビールに手を伸ばした。
一般企業で学んだ事は、労働はクソだという事。呪術師もクソである事に違いはないが、他人の金を増やす為だけの仕事よりも術師の方がマシなはずだ。
そう思わなければやっていられないー。
脱サラ呪術師・七海建人は最後の呪霊を祓うとひとつ息を吐いた。これで今日の仕事は終わりだ。
「七海サン、お疲れ様です!いや〜さすがっすね!」
「特別な事はありません、これくらい普通でしょう」
「く〜っ、カッケー‼︎」
「…。…ところで今日はどうしたんですか、君も任務に出ていたでしょう」
「近くだったし、早く終わったんで来ちゃいました」
笑う猪野にどう返事をして良いか、七海はとりあえず補助監督と待ち合わせの場所へ向かおうと歩き出した。そんな彼の後に、先程七海を褒め称えた猪野が続く。
七海と猪野、年齢は少々離れているが、恐らく七海が一番親しくしているのは猪野かもしれない。
以前七海が請け負った任務に猪野が同行したのがキッカケで、それ以来猪野は七海に心酔するようになった。猪野はこの日のように、よく七海の前に顔を出していた。
「ねね七海サン、この後飯でも行きません?」
韓国料理の美味い店見つけたんですよ、と笑顔の猪野は本当に屈託が無い。時折同期の笑顔と重なる事があり、その度に七海は自分の感情を押し殺して飲み込んできたー彼とアイツは別人だと理解しているのに。
「そうですね、特に予定もないので行きましょう」
2人は補助監督と合流し、報告と今後の任務の確認を兼ねて一旦高専へ戻る事にした。
「それでは、また連絡致しますね」
お疲れ様でした、と補助監督の伊地知と挨拶を交わし、七海と猪野は事務室を出る。
「それじゃ七海サン、パァーッと行きましょう!」
スキップしそうな程に軽快な足取りの猪野に続いて歩く七海。建物から外へ出る直前の事。
「…あれ、猪野っち…?」
「んぉ?」
猪野が足を止め、七海も足を止める。背後からの声に2人は振り返った。猪野と同じ年頃の女性がいた。
「え、もしかして、ちはる?」
「もしかしなくてもそうだけど」
「うぉ〜マジ?マジで久しぶりじゃん‼︎」
猪野は自身の知人女性の肩をばしばし叩いて再会を喜んでいるが、ちはる、と呼ばれた女性は顔を顰めていた。
「ちょっ、もう痛いって!」
「悪ぃ、久しぶりで嬉しくて。…七海サン、コイツ、俺の同期なんスよ」
「初めまして、水野ちはるです」
「七海です。初めまして」
「俺がチョー尊敬する人!めっちゃスゲェ人!」
興奮気味に話す猪野とは対照的に落ち着いた様子のちはる。初対面の人を前にしては当然の態度と言える。
「…猪野っち、七海さん待ってるよ」
「アッ!すんません七海サン!」
「いいえ。…猪野くん、久しぶりならお2人で食事に行ってはいかがですか?私はまた後日に、」
「じゃあ、3人で行きましょうよ!」
ちはるも七海も猪野の勢いに飲まれるように、それぞれ遠慮をする事も出来ずに彼が最近開拓したという韓国料理の店へやって来ていた。
「七海サン、何飲みます?」
「最初はビールを」
「ちはるは?」
「私はノンアルで。車だからさ」
「嘘、マジ?車どこ?」
「駅前のコインパーキング」
「七海サン、帰りの足も確保出来ました!」
「……」
同期と再会したからと、今日の猪野は調子に乗り過ぎているのではないかと七海は少々不安を覚えたが、当のちはるは意に介する様子もない。これがこの2人の常なのだろうかと、七海は注文したビールを受け取った。
「んじゃ、今日もお疲れっした〜!」
元気な猪野の言葉に3人はグラスを合わせ、それぞれ飲み物を口にした。ぷはぁ、と猪野が盛大に息を吐く。
「猪野っち、いつからそんなオッサンになったのよ?」
「仕事終わりのビール飲めば年なんかカンケーねぇよ」
七海は猪野が注文した海鮮チヂミを突きながら2人の軽口に耳を傾ける。猪野が2杯目のビールを注文したところでそういやさ、と口を開く。
「ちはるはなんで高専に?」
「…それ今頃言うの?」
聞けばちはるは高専の教師を目指しているそうで、今まで実家に近い京都校で研修を受けていたとの事。その研修が終わって東京校へ赴任する事になり、その事務手続きの関係で高専に来ていたという事らしい。
「…それは大変ですね」
七海は信頼しているが尊敬はしていない先輩の顔を思い浮かべて言ったー東京校の教職となればあの人の同僚という事になるのだろう。
「だいじょぶっすよ七海サン、実はコイツ、…むぐ」
「はーい余計な事言わない」
七海は猪野の口にサムギョプサルを押し込むちはるの顔に翳りが見えた気がした。
「…ま、俺としては、ちはるがこっちにいるって事が嬉しいよ。また七海サンと3人で飲みに行けるじゃん」
「サムギョプサル美味しかった?」
「うん、めっちゃ美味い」
なんだかんだ2人は仲が良いのだなと、上手く猪野をやり込めているちはるに感心しながら七海はビールを静かに飲み干すと、猪野が先立ってオーダーしていた2杯目のビールに手を伸ばした。