wanderers
猪野くんの同級生のお名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
移動中の車内で、何を買いに行くのか、何の為に買うのかとなどと騒ぐ猪野からの言葉をあしらいながら、ちはるは街中にある規模の大きいショッピングモールの駐車場へ車を停めた。
「…珍しいじゃん?」
「私だってこーいうところで買い物くらいするわよ」
ちはるはテナントを眺めながら、マネキンを眺めながら歩いて行く。猪野は少々退屈そうに彼女の後を追う。
「なぁなぁ、何買うの?」
「…。…スカート。ちょっと上品なやつ」
「…ちはるがスカート…⁉︎」
「何よ」
「…やっぱ男なの?」
「私がスカート履いちゃダメなワケ?」
どうしてスカート1枚買うくらいでこんなにも騒がれなくてはいけないのかーちはるが苛立ちを隠す事なく言えば、猪野はそれ以上余計な口を利かなくなった。
外から見た雰囲気でいくつか店に入れば猪野もついてくるーそしてこれはどうか、こっちが良いのでは、と協力的な姿勢を見せ始める。
「ちはるはタイトな感じのやつが似合うと思うけど」
何着目かのスカートを試着している時に、真面目な顔で猪野が口を開いた。
「…そう?」
「うん、ヒラヒラしてるやつより良いと思うな。…ちはる結構脚長ぇし。ね、オネーサンはどう思う?」
ショップ店員も巻き込む猪野に少々めんどくささを覚えながらも、彼氏さんの仰る通りだと思いますよ、と言う店員にちはるは苦笑した。
「こちらはいかがでしょうか」
店員が差し出して来たのはタイトなロングスカート。サイドには大胆なスリットが入っている。
「…すご」
「履くだけタダだし、履いてみろよ」
猪野の言葉にちはるは渋々頷き、店員からスカートを受け取り試着室のドアを閉める。
「…ちはる〜、どーよ?」
猪野の言葉に、ちはるは恐る恐るドアを薄く開ける。
「…個人的には、ちょっと…」
「いーからいーから、開けるぞ〜」
ぱっと猪野が大きくドアを開ける。
「…すげー」
サイドのスリットは膝上15cm程。元々肌が白い上に、程良く鍛えられたちはるの綺麗な脚が覗く。
「猪野っち見過ぎ」
「こう、見えそうで見えねぇのってエロいよな…、うん、ちはる、コレに決まりだな!コレ履いて行きゃあ相手の男もイチコロ間違いナシよ!」
猪野の言葉にちはるは思わず七海の顔を思い浮かべー慌てて試着室のドアを閉めた。
気持ちを切り替え、さてどうしようかとちはるは着替えながら考える。このスカートを買うのもなんだか癪だが、他に良さそうなものは見つかっていない。かと言って他の店を回り、また明日に持ち越すのも面倒だ。
ちはるが身なりを整えて試着室を出れば、お疲れ様でした、と先程の店員が声をかけてくる。
「ちはる、スカートどーよ?」
「…とりあえず…買っとこかな。履く履かないは別だけど。すみませーん、コレお願いします」
「…心の声全部出てるぜ?」
保険のような形でちはるはタイトスカートを購入し、猪野と共に店を出る。時間を確認すれば20時半、思っていたよりは早く買い物が済んだ。
「ちはる、飯どーする?」
自分1人であれば、もう少し別の店を見て回るのだが、今日のところはこれで終了となりそうだ。また明日見て回って良さげな1着が見つからなければこのタイトスカートを履く事になるが、まぁいいかー。
「猪野っちは何の気分?」
「そーねぇ…」
2人の足はモール内のレストラン街へ向いていた。平日の20時半過ぎともなれば、どの店も席は空いている。猪野の希望で定食屋に入り、猪野はアジフライ定食、ちはるはチキン南蛮定食をオーダーした。
何かしら聞きたい様子の猪野を上手くあしらい、ちはるはのらりくらりとやり過ごして食事を終えるー約束通り、猪野の奢りで。
車に乗り込んでからも猪野の様子は変わらなかった。
「なぁちはる〜、そんな頑なに口閉じなくても良くない?…つーかもしかして俺、信用されてない⁉︎」
たかがスカート1枚買ったくらいで、とちはるはもうウンザリし始めていた。
「…じゃあ逆に聞くけど、スカート買ったからって、どうしてそんなに騒ぐのよ?」
「そりゃちはるがスカート履くなんて滅多にないし?スカートイコールデート、ってもんじゃねぇの?」
「猪野っち、ドレスコードって言葉は知ってるよね?その場に適切な服装を着ていく事」
「おう、勿論それくらいはな」
「今度行くお店にドレスコートがあるの」
交差点の信号は赤になり、ちはるはゆっくりとブレーキを踏む。車を完全に停止させたところでちはるが猪野を振り返れば、彼は面食らった表情を見せていた。
「え、だって日下部さん…」
「勝手に言ってただけでしょ?」
信号は青に変わった。車列がゆっくりと動き出す。
「今回スカート買ったのはお店のドレスコードの為よ。男の人はスーツにネクタイで済むけど、女はそう簡単に決まらないの。結婚式やパーティーでもないのにドレス着て行くわけにはいかないでしょ?学生の時みたいに制服でもあれば別だけど」
そこまで言って猪野の様子を伺えば、納得しつつも面白くないような顔をしているのが見えた。騙す、というワケではないが、本当の事を伝えない事に申し訳なく思いながら、ちはるは車を走らせた。
「…珍しいじゃん?」
「私だってこーいうところで買い物くらいするわよ」
ちはるはテナントを眺めながら、マネキンを眺めながら歩いて行く。猪野は少々退屈そうに彼女の後を追う。
「なぁなぁ、何買うの?」
「…。…スカート。ちょっと上品なやつ」
「…ちはるがスカート…⁉︎」
「何よ」
「…やっぱ男なの?」
「私がスカート履いちゃダメなワケ?」
どうしてスカート1枚買うくらいでこんなにも騒がれなくてはいけないのかーちはるが苛立ちを隠す事なく言えば、猪野はそれ以上余計な口を利かなくなった。
外から見た雰囲気でいくつか店に入れば猪野もついてくるーそしてこれはどうか、こっちが良いのでは、と協力的な姿勢を見せ始める。
「ちはるはタイトな感じのやつが似合うと思うけど」
何着目かのスカートを試着している時に、真面目な顔で猪野が口を開いた。
「…そう?」
「うん、ヒラヒラしてるやつより良いと思うな。…ちはる結構脚長ぇし。ね、オネーサンはどう思う?」
ショップ店員も巻き込む猪野に少々めんどくささを覚えながらも、彼氏さんの仰る通りだと思いますよ、と言う店員にちはるは苦笑した。
「こちらはいかがでしょうか」
店員が差し出して来たのはタイトなロングスカート。サイドには大胆なスリットが入っている。
「…すご」
「履くだけタダだし、履いてみろよ」
猪野の言葉にちはるは渋々頷き、店員からスカートを受け取り試着室のドアを閉める。
「…ちはる〜、どーよ?」
猪野の言葉に、ちはるは恐る恐るドアを薄く開ける。
「…個人的には、ちょっと…」
「いーからいーから、開けるぞ〜」
ぱっと猪野が大きくドアを開ける。
「…すげー」
サイドのスリットは膝上15cm程。元々肌が白い上に、程良く鍛えられたちはるの綺麗な脚が覗く。
「猪野っち見過ぎ」
「こう、見えそうで見えねぇのってエロいよな…、うん、ちはる、コレに決まりだな!コレ履いて行きゃあ相手の男もイチコロ間違いナシよ!」
猪野の言葉にちはるは思わず七海の顔を思い浮かべー慌てて試着室のドアを閉めた。
気持ちを切り替え、さてどうしようかとちはるは着替えながら考える。このスカートを買うのもなんだか癪だが、他に良さそうなものは見つかっていない。かと言って他の店を回り、また明日に持ち越すのも面倒だ。
ちはるが身なりを整えて試着室を出れば、お疲れ様でした、と先程の店員が声をかけてくる。
「ちはる、スカートどーよ?」
「…とりあえず…買っとこかな。履く履かないは別だけど。すみませーん、コレお願いします」
「…心の声全部出てるぜ?」
保険のような形でちはるはタイトスカートを購入し、猪野と共に店を出る。時間を確認すれば20時半、思っていたよりは早く買い物が済んだ。
「ちはる、飯どーする?」
自分1人であれば、もう少し別の店を見て回るのだが、今日のところはこれで終了となりそうだ。また明日見て回って良さげな1着が見つからなければこのタイトスカートを履く事になるが、まぁいいかー。
「猪野っちは何の気分?」
「そーねぇ…」
2人の足はモール内のレストラン街へ向いていた。平日の20時半過ぎともなれば、どの店も席は空いている。猪野の希望で定食屋に入り、猪野はアジフライ定食、ちはるはチキン南蛮定食をオーダーした。
何かしら聞きたい様子の猪野を上手くあしらい、ちはるはのらりくらりとやり過ごして食事を終えるー約束通り、猪野の奢りで。
車に乗り込んでからも猪野の様子は変わらなかった。
「なぁちはる〜、そんな頑なに口閉じなくても良くない?…つーかもしかして俺、信用されてない⁉︎」
たかがスカート1枚買ったくらいで、とちはるはもうウンザリし始めていた。
「…じゃあ逆に聞くけど、スカート買ったからって、どうしてそんなに騒ぐのよ?」
「そりゃちはるがスカート履くなんて滅多にないし?スカートイコールデート、ってもんじゃねぇの?」
「猪野っち、ドレスコードって言葉は知ってるよね?その場に適切な服装を着ていく事」
「おう、勿論それくらいはな」
「今度行くお店にドレスコートがあるの」
交差点の信号は赤になり、ちはるはゆっくりとブレーキを踏む。車を完全に停止させたところでちはるが猪野を振り返れば、彼は面食らった表情を見せていた。
「え、だって日下部さん…」
「勝手に言ってただけでしょ?」
信号は青に変わった。車列がゆっくりと動き出す。
「今回スカート買ったのはお店のドレスコードの為よ。男の人はスーツにネクタイで済むけど、女はそう簡単に決まらないの。結婚式やパーティーでもないのにドレス着て行くわけにはいかないでしょ?学生の時みたいに制服でもあれば別だけど」
そこまで言って猪野の様子を伺えば、納得しつつも面白くないような顔をしているのが見えた。騙す、というワケではないが、本当の事を伝えない事に申し訳なく思いながら、ちはるは車を走らせた。