決戦、交流会
恵の幼馴染のお名前は?
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家入と芙蓉の手当ての甲斐あって、伏黒と釘崎はすぐにでも鍛錬を再開出来るくらいに回復したが、元は休憩時間、少し落ち着いてからにしようとなった。気持ちを削がれたような感覚を全員が感じていたようで、寮の共有スペースで改めて休憩となった。それぞれ何かしら思うところがあるようで、思い思いに過ごしていた。
「あー、やっぱりムカつくわ」
突然の釘崎の悪態に芙蓉は驚き肩を揺らす。
「ちょっと野薔薇、」
「ムカつくのはムカつくのよ、あーイライラする」
立ち上がった釘崎はブツブツ言いながら外へ出て行った。とばっちりや八つ当たりを恐れた芙蓉は釘崎を追う事はせず、そのまま見送る事にした。
「あの…、何か飲みませんか?私、買ってきます」
気まずさを感じた芙蓉が声を上げる。
「コーラ」
「高菜」
「棘もコーラか…、俺はいちごミルクがいいな」
「…コーラ2本、いちごミルク1本…、恵は?」
「見て決める」
立ち上がった伏黒はさっさと自販機に向かって歩き出した。遅れる形になった芙蓉は小走りで彼を追うーその後ろ姿からは苛立ちに似た気配を感じた。
自販機前で伏黒に追い付くと、芙蓉が小銭を入れるよりも早く伏黒が小銭を押し込み、コーラのボタンを押す。
「…恵、大丈夫…?」
「…イラついてる自覚はある。けど自分に対しての事だ、気にしないでくれ」
伏黒がボタンを押し、芙蓉が飲み物を取り出す。コーラ2本、いちごミルク1本、スポーツドリンク1本。
「芙蓉は?」
そう声をかけてくる伏黒の表情が少し和らいでいるような気がして、芙蓉は安堵すると同時に、自分の気持ちを上手くコントロール出来る伏黒はさすがだなと思った。呪力のコントロールは感情のコントロールとほぼ同義、常に一定であるようにしなくてはいけない。
「レモネードがいいかな」
最後の1本を買い、2人は共有スペースへ戻った。それぞれに飲み物を渡し、それぞれが飲み始める。
「…それにしても、芙蓉が反転使えるなんて思わなかったなぁ。まさみちも知ってんのか?」
パンダがいちごミルクを飲みながら話をするという光景に目を奪われたまま芙蓉は口を開く。
「どうなんでしょう…、私、自分の事なのによくわかってない事が多くて…、術式の発現も、他の術師よりもかなり遅かったみたいで」
芙蓉は以前、任務を共にした七海の言葉を思い出していたー術式に拘り過ぎず、術式を自由に使い、もっと確実な方法を。あの日以来それを模索しているが、その答えどころかヒントになるようなものにも届いていない。
「ま、考えたって仕方ねぇ事もあらぁな」
言いながら真希が飲み終えたコーラの缶を、まるで紙くずでも丸めるように軽々握り潰した。
すっかり小さくなった、テーブルに転がった空き缶。印字されている文字も読めない程に縮められたそれを見て、芙蓉は思わず声を上げた。
「っ、何だよ急に」
「ごめんなさい…、ちょっと、閃いて、」
「んぁ?」
「恵、ちょっと手伝って!」
「あ、おい」
芙蓉は立ち上がり、慌ただしく伏黒の手を引いて外へと向かう。残された2年はやれやれとため息を吐きながらも、後輩の成長に期待を寄せている。のそり、とパンダが立ち上がれば、狗巻も同調したように立ち上がる。
「すじこ、こんぶ」
「あぁ、だって気になるじゃん?真希の缶潰しで何を閃いたのかさ」
「オマエら本当に面倒見が良いよな」
結構こーなるんだよなぁ、やれやれ、などとボヤきながらも笑みを浮かべた真希も立ち上がった。
「恵、うさちゃん出してもらってもいい?」
うさちゃんー脱兎の事か。外へ出た2人、伏黒が手早く掌印を結べば影が地に落ち、そこから無数の兎が飛び出してくる。芙蓉はすっかり兎まみれになった。
「…とりあえずは10匹くらいで良いんだけど…」
「…先に言え」
辺り一面に散らばった兎が液状になって消え、芙蓉の近くにいる十数匹が残った。そしてその中の1匹が伏黒の元へ駆け寄り、彼の肩に登り落ち着いた。
「…コイツは脱兎の本体だから巻き込むなよ」
芙蓉は頷き、先程閃いたイメージを形へと変えていく。真希の缶潰しからイメージしたものー空間の圧縮。
七海が芙蓉の術式と五条の術式が似たようなものだと言っていた事もあってのものだ。脱兎を空間ごと閉じ込めるー術式で大きな箱を作り、閉じ込めるイメージだ。密閉が出来たら今度はその箱を押し縮めていく。
「お、やってるやってる」
「なんだ、野薔薇も来てたのか」
「いつまでも怒ってるだけじゃ何にもなんないし…、負けてらんないもの」
結局全員が集まり、芙蓉を見守る。彼女の考えを汲み取った伏黒が口を開く。
「箱の形を変えずにサイズを小さくするイメージだな。箱が歪まないように注意しろ」
ゆっくりとしたスピードで箱はどんどん小さくなり、最後には立体だった箱が平面となった。
「なるほど。慣れればかなり有効な方法になりそうだな。単体でも複数でも対応出来そうだ」
「ホント?」
「サイズを大きくすればするだけ、箱の強度を上げれば上げるだけ呪力の消耗も大きくなるかもしれないが、慣れれば効率も良くなるだろう」
新しい武器を身に付けるのはもう目の前、やったぁ、と声を上げ嬉しそうな芙蓉は思わず伏黒に飛びついた。
「ちょっ、ま…」
少し離れたところから3人と1匹がその様子を見てニヤついていたのは言うまでもない。
「あー、やっぱりムカつくわ」
突然の釘崎の悪態に芙蓉は驚き肩を揺らす。
「ちょっと野薔薇、」
「ムカつくのはムカつくのよ、あーイライラする」
立ち上がった釘崎はブツブツ言いながら外へ出て行った。とばっちりや八つ当たりを恐れた芙蓉は釘崎を追う事はせず、そのまま見送る事にした。
「あの…、何か飲みませんか?私、買ってきます」
気まずさを感じた芙蓉が声を上げる。
「コーラ」
「高菜」
「棘もコーラか…、俺はいちごミルクがいいな」
「…コーラ2本、いちごミルク1本…、恵は?」
「見て決める」
立ち上がった伏黒はさっさと自販機に向かって歩き出した。遅れる形になった芙蓉は小走りで彼を追うーその後ろ姿からは苛立ちに似た気配を感じた。
自販機前で伏黒に追い付くと、芙蓉が小銭を入れるよりも早く伏黒が小銭を押し込み、コーラのボタンを押す。
「…恵、大丈夫…?」
「…イラついてる自覚はある。けど自分に対しての事だ、気にしないでくれ」
伏黒がボタンを押し、芙蓉が飲み物を取り出す。コーラ2本、いちごミルク1本、スポーツドリンク1本。
「芙蓉は?」
そう声をかけてくる伏黒の表情が少し和らいでいるような気がして、芙蓉は安堵すると同時に、自分の気持ちを上手くコントロール出来る伏黒はさすがだなと思った。呪力のコントロールは感情のコントロールとほぼ同義、常に一定であるようにしなくてはいけない。
「レモネードがいいかな」
最後の1本を買い、2人は共有スペースへ戻った。それぞれに飲み物を渡し、それぞれが飲み始める。
「…それにしても、芙蓉が反転使えるなんて思わなかったなぁ。まさみちも知ってんのか?」
パンダがいちごミルクを飲みながら話をするという光景に目を奪われたまま芙蓉は口を開く。
「どうなんでしょう…、私、自分の事なのによくわかってない事が多くて…、術式の発現も、他の術師よりもかなり遅かったみたいで」
芙蓉は以前、任務を共にした七海の言葉を思い出していたー術式に拘り過ぎず、術式を自由に使い、もっと確実な方法を。あの日以来それを模索しているが、その答えどころかヒントになるようなものにも届いていない。
「ま、考えたって仕方ねぇ事もあらぁな」
言いながら真希が飲み終えたコーラの缶を、まるで紙くずでも丸めるように軽々握り潰した。
すっかり小さくなった、テーブルに転がった空き缶。印字されている文字も読めない程に縮められたそれを見て、芙蓉は思わず声を上げた。
「っ、何だよ急に」
「ごめんなさい…、ちょっと、閃いて、」
「んぁ?」
「恵、ちょっと手伝って!」
「あ、おい」
芙蓉は立ち上がり、慌ただしく伏黒の手を引いて外へと向かう。残された2年はやれやれとため息を吐きながらも、後輩の成長に期待を寄せている。のそり、とパンダが立ち上がれば、狗巻も同調したように立ち上がる。
「すじこ、こんぶ」
「あぁ、だって気になるじゃん?真希の缶潰しで何を閃いたのかさ」
「オマエら本当に面倒見が良いよな」
結構こーなるんだよなぁ、やれやれ、などとボヤきながらも笑みを浮かべた真希も立ち上がった。
「恵、うさちゃん出してもらってもいい?」
うさちゃんー脱兎の事か。外へ出た2人、伏黒が手早く掌印を結べば影が地に落ち、そこから無数の兎が飛び出してくる。芙蓉はすっかり兎まみれになった。
「…とりあえずは10匹くらいで良いんだけど…」
「…先に言え」
辺り一面に散らばった兎が液状になって消え、芙蓉の近くにいる十数匹が残った。そしてその中の1匹が伏黒の元へ駆け寄り、彼の肩に登り落ち着いた。
「…コイツは脱兎の本体だから巻き込むなよ」
芙蓉は頷き、先程閃いたイメージを形へと変えていく。真希の缶潰しからイメージしたものー空間の圧縮。
七海が芙蓉の術式と五条の術式が似たようなものだと言っていた事もあってのものだ。脱兎を空間ごと閉じ込めるー術式で大きな箱を作り、閉じ込めるイメージだ。密閉が出来たら今度はその箱を押し縮めていく。
「お、やってるやってる」
「なんだ、野薔薇も来てたのか」
「いつまでも怒ってるだけじゃ何にもなんないし…、負けてらんないもの」
結局全員が集まり、芙蓉を見守る。彼女の考えを汲み取った伏黒が口を開く。
「箱の形を変えずにサイズを小さくするイメージだな。箱が歪まないように注意しろ」
ゆっくりとしたスピードで箱はどんどん小さくなり、最後には立体だった箱が平面となった。
「なるほど。慣れればかなり有効な方法になりそうだな。単体でも複数でも対応出来そうだ」
「ホント?」
「サイズを大きくすればするだけ、箱の強度を上げれば上げるだけ呪力の消耗も大きくなるかもしれないが、慣れれば効率も良くなるだろう」
新しい武器を身に付けるのはもう目の前、やったぁ、と声を上げ嬉しそうな芙蓉は思わず伏黒に飛びついた。
「ちょっ、ま…」
少し離れたところから3人と1匹がその様子を見てニヤついていたのは言うまでもない。