決戦、交流会
恵の幼馴染のお名前は?
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「よーし、ここらで休憩にするか。…恵ィ、野薔薇ァ、スポドリ買って来てくれ。芙蓉の分、忘れんなよ」
体術の鍛錬中、真希の声がグラウンドに響く。任務に出ている狗巻とパンダが間もなく戻ってくるそうで、1人と1頭が合流すれば久しぶりに1年2年が揃っての鍛錬となる。武具を扱い始めた芙蓉は、とにかく慣れが必要だという真希に従って実践形式での鍛錬を受けていた。
元々負けず嫌いな芙蓉、どうあっても勝てる見込みが薄いにも関わらず、何度も真希に挑んで行く。真希も真希で、そんな芙蓉をシゴキ倒すのを楽しんでいるようなフシがある。もう何度真希に打ちのめされた事か。
「あ、私も…」
「お前は休んでろ。どの道そんなんじゃ歩けねぇだろ」
ヘロヘロになりながらも立ち上がろうとする芙蓉を制した真希。鍛錬で真希の攻撃を逃れる為に走りに走っていた芙蓉の脚が限界を迎えているのを気付いていた。
「いいわよ、待ってなさい」
釘崎にも制され、芙蓉はごめん、と呟いて2人を見送るとその場に倒れ込んだ。
「なかなか根性あって良いじゃねぇか」
「…ありがと、ござ…ます…」
仰向けになり、息も絶え絶えになっている芙蓉の耳に間延びした声が聞こえた。
「うぉーい、真希ぃ〜」
「すじこ」
「悪いな、遅くなっちまった。…真希ぃ、あんまイジメんなよぉ〜?」
倒れている芙蓉を見たパンダが笑いながら真希に声をかける。そしてキョロキョロと辺りを見回す。
「…あり?1年ズは?」
「パシった」
「大丈夫か?」
「3歳児じゃねーんだ、お遣いくらいできんだろ」
「いや、そうじゃなくて…、今日だろ、京都校の学長が来んの。交流会の打ち合わせで」
パンダの言葉に、真希の表情が変わった。
先日の、1年が派遣された少年院での任務。この件がどうやらきな臭いようで、呪術界の上層部、東京校、京都校の微妙なバランスが揺れているらしい。京都は呪術の発祥と言われる地、保守的で排他的な思想が東京よりも強く、安定安寧を是とする傾向がある。その為、上層部や京都校の人間からは虎杖のようなイレギュラーな存在は排除すべきとの声が強く、呪術界に於いて現代最強と言われ、発言力もある五条とは折り合いが非常に悪い。パンダが懸念しているのは、学生同士の衝突だった。
「パンダ、棘」
「はいよォ、後輩の面倒見るのは先輩の仕事だもんな」
「しゃけ」
2人と1匹は頷き合う。歩き出した背中に声がかかる。
「待って…、私も、行きます」
伏黒と釘崎の呪力を辿り、真希と芙蓉、パンダと狗巻と分かれて様子を見に行く事とした。2人が向かったであろう自販機コーナーはすぐそこだ。少し離れたところで伏黒の呪力が感じられた。
「チッ、もう手ェ出して来やがったか。棘」
「しゃけ」
「芙蓉、行くぞ」
状況が読めずに戸惑う芙蓉に構わず声をかけ、真希はどんどん歩いて行く。
「ウチのパシリに何してんだよ」
「っ、野薔薇!」
倒れている釘崎に慌て驚く芙蓉は、相手を睨みつけたーと、見た顔に覚えがある。髪の長さは異なるものの、隣に立つ真希と同じ顔。互いに真希、真依と呼び合う2人が姉妹で双子、という事を理解するのに時間がかかった。姉妹仲はあまり良くないように見受けられるが、だからと言って先輩の姉妹に手を出す事は憚られる。芙蓉は静観するしか出来ずにいた。
「野薔薇、立てるか?」
「無理よ、それなりに痛めつけたもの。しばらく起きないわ」
と、真希と芙蓉は真依の背後にゆらり、と動く影を見た。いつの間にか目を覚ましていたらしい釘崎が真依に飛び掛かった。取っ組み合いになり、釘崎がチョークスリーパーの体勢で真依を拘束する。これまでのお返しだというように抑えにかかり、罵り合う2人。いよいよもって釘崎が本格的に締め上げようとしたその時。
「帰るぞ真依」
ドレッドにした髪を頭頂部で結い上げたゴリラのような男ー京都校3年の東堂が姿を現した。そこで初めて芙蓉はパンダと狗巻、二手に分かれた事を理解した。釘崎の、伏黒は、という呟きに不安を覚えた芙蓉は東堂がやって来た方向へと走った。
狗巻とパンダを見つけ、芙蓉は駆け寄った。
「先輩!恵は、」
「うんまぁ、無事っちゃ無事だな」
「おかか…」
「そんな事言うなよ、これくらい許容範囲じゃねーか?なぁ恵?俺たちセーフっちゃセーフだったよな?」
「…頭に響くんで少し黙っててください」
伏黒はというと、意識はあるようだがパンダに担がれている。東堂との衝突は激しかったようで、あちこちの傷の他、頭からの出血もある為医務室へ運んでいくつもりだという。芙蓉も同行する事にした。
「恵、大丈夫?」
「…問題ない」
頭に響くから喋るなとパンダに言っていたのを思い出し、芙蓉はそのまま黙ってついて行く。程なくして医務室に着けば、釘崎と真希も姿を見せた。
「なんだ今日は。いらん事に千客万来だな」
億劫そうに家入はため息をつく。そして高峰、ちょっと手伝えと事も無げに言う。
「え?私…?」
「五条からお前を使うように言われてるが?」
何か問題あるのかと問われれば芙蓉は返す言葉もなく、ただ開示して良いのかどうか迷っていると、伏黒と家入を除く一同の目が集まる。
「なんだ、言ってないのか。…高峰は私と同じ、反転術式が使えるんだ。これからバンバン使ってやってくれ」
何か言いたげな皆の視線を受けながら、芙蓉は何も言う事が出来ず、家入に従って手当の準備を始めた。
体術の鍛錬中、真希の声がグラウンドに響く。任務に出ている狗巻とパンダが間もなく戻ってくるそうで、1人と1頭が合流すれば久しぶりに1年2年が揃っての鍛錬となる。武具を扱い始めた芙蓉は、とにかく慣れが必要だという真希に従って実践形式での鍛錬を受けていた。
元々負けず嫌いな芙蓉、どうあっても勝てる見込みが薄いにも関わらず、何度も真希に挑んで行く。真希も真希で、そんな芙蓉をシゴキ倒すのを楽しんでいるようなフシがある。もう何度真希に打ちのめされた事か。
「あ、私も…」
「お前は休んでろ。どの道そんなんじゃ歩けねぇだろ」
ヘロヘロになりながらも立ち上がろうとする芙蓉を制した真希。鍛錬で真希の攻撃を逃れる為に走りに走っていた芙蓉の脚が限界を迎えているのを気付いていた。
「いいわよ、待ってなさい」
釘崎にも制され、芙蓉はごめん、と呟いて2人を見送るとその場に倒れ込んだ。
「なかなか根性あって良いじゃねぇか」
「…ありがと、ござ…ます…」
仰向けになり、息も絶え絶えになっている芙蓉の耳に間延びした声が聞こえた。
「うぉーい、真希ぃ〜」
「すじこ」
「悪いな、遅くなっちまった。…真希ぃ、あんまイジメんなよぉ〜?」
倒れている芙蓉を見たパンダが笑いながら真希に声をかける。そしてキョロキョロと辺りを見回す。
「…あり?1年ズは?」
「パシった」
「大丈夫か?」
「3歳児じゃねーんだ、お遣いくらいできんだろ」
「いや、そうじゃなくて…、今日だろ、京都校の学長が来んの。交流会の打ち合わせで」
パンダの言葉に、真希の表情が変わった。
先日の、1年が派遣された少年院での任務。この件がどうやらきな臭いようで、呪術界の上層部、東京校、京都校の微妙なバランスが揺れているらしい。京都は呪術の発祥と言われる地、保守的で排他的な思想が東京よりも強く、安定安寧を是とする傾向がある。その為、上層部や京都校の人間からは虎杖のようなイレギュラーな存在は排除すべきとの声が強く、呪術界に於いて現代最強と言われ、発言力もある五条とは折り合いが非常に悪い。パンダが懸念しているのは、学生同士の衝突だった。
「パンダ、棘」
「はいよォ、後輩の面倒見るのは先輩の仕事だもんな」
「しゃけ」
2人と1匹は頷き合う。歩き出した背中に声がかかる。
「待って…、私も、行きます」
伏黒と釘崎の呪力を辿り、真希と芙蓉、パンダと狗巻と分かれて様子を見に行く事とした。2人が向かったであろう自販機コーナーはすぐそこだ。少し離れたところで伏黒の呪力が感じられた。
「チッ、もう手ェ出して来やがったか。棘」
「しゃけ」
「芙蓉、行くぞ」
状況が読めずに戸惑う芙蓉に構わず声をかけ、真希はどんどん歩いて行く。
「ウチのパシリに何してんだよ」
「っ、野薔薇!」
倒れている釘崎に慌て驚く芙蓉は、相手を睨みつけたーと、見た顔に覚えがある。髪の長さは異なるものの、隣に立つ真希と同じ顔。互いに真希、真依と呼び合う2人が姉妹で双子、という事を理解するのに時間がかかった。姉妹仲はあまり良くないように見受けられるが、だからと言って先輩の姉妹に手を出す事は憚られる。芙蓉は静観するしか出来ずにいた。
「野薔薇、立てるか?」
「無理よ、それなりに痛めつけたもの。しばらく起きないわ」
と、真希と芙蓉は真依の背後にゆらり、と動く影を見た。いつの間にか目を覚ましていたらしい釘崎が真依に飛び掛かった。取っ組み合いになり、釘崎がチョークスリーパーの体勢で真依を拘束する。これまでのお返しだというように抑えにかかり、罵り合う2人。いよいよもって釘崎が本格的に締め上げようとしたその時。
「帰るぞ真依」
ドレッドにした髪を頭頂部で結い上げたゴリラのような男ー京都校3年の東堂が姿を現した。そこで初めて芙蓉はパンダと狗巻、二手に分かれた事を理解した。釘崎の、伏黒は、という呟きに不安を覚えた芙蓉は東堂がやって来た方向へと走った。
狗巻とパンダを見つけ、芙蓉は駆け寄った。
「先輩!恵は、」
「うんまぁ、無事っちゃ無事だな」
「おかか…」
「そんな事言うなよ、これくらい許容範囲じゃねーか?なぁ恵?俺たちセーフっちゃセーフだったよな?」
「…頭に響くんで少し黙っててください」
伏黒はというと、意識はあるようだがパンダに担がれている。東堂との衝突は激しかったようで、あちこちの傷の他、頭からの出血もある為医務室へ運んでいくつもりだという。芙蓉も同行する事にした。
「恵、大丈夫?」
「…問題ない」
頭に響くから喋るなとパンダに言っていたのを思い出し、芙蓉はそのまま黙ってついて行く。程なくして医務室に着けば、釘崎と真希も姿を見せた。
「なんだ今日は。いらん事に千客万来だな」
億劫そうに家入はため息をつく。そして高峰、ちょっと手伝えと事も無げに言う。
「え?私…?」
「五条からお前を使うように言われてるが?」
何か問題あるのかと問われれば芙蓉は返す言葉もなく、ただ開示して良いのかどうか迷っていると、伏黒と家入を除く一同の目が集まる。
「なんだ、言ってないのか。…高峰は私と同じ、反転術式が使えるんだ。これからバンバン使ってやってくれ」
何か言いたげな皆の視線を受けながら、芙蓉は何も言う事が出来ず、家入に従って手当の準備を始めた。