呪胎戴天、そして
恵の幼馴染のお名前は?
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七海との任務以来、芙蓉は以前より増して真希に体術の鍛錬を申し入れるようになった。元々運動神経が優れている方であるのもあって、パンダによる投げ飛ばしからの受け身を取るという鍛錬は早々にクリアしていた。
「…というわけで、何か私にも扱えそうなものがあったら教えて欲しいんです」
「そうだなぁ…」
七海からのアドバイスと自身の術式を掻い摘んで説明した上で、芙蓉の非力さを補うには武具が必要だろうという話には真希もパンダも同意した。
「真希と同じ、薙刀で良いんじゃねぇか〜?」
「馬鹿、もっと真面目に考えてやれ」
相手と距離の取れる、長さのある武具はやや離れた場所から攻撃出来る為、一見初心者向けのように思われるが、実際には扱いの難しい武具である。闇雲に振り回せば取り回しの隙を突かれるし、慎重になっては良さを活かす事が出来ない。長物は真希のように近接での体術にも優れた者のリーチの短さを補う為の武具と言える。
「…それで、出来たらなんですけど、」
「ん?」
「…刃物はちょっと怖いので、避けたいです…」
その言葉に真希は盛大にため息をついた。
「オイ恵ぃ、芙蓉に何か言ってやれ。刃物なんかにビビってたらこの先やっていけねぇだろ」
走り込みを終えて戻ってきた伏黒に突然話を振るも、伏黒は冷静に口を開く。
「… 扱いの慣れない人間に持たせてもケガするだけだと思いますが…」
「うん、まーそう言われりゃ恵の言う通りだな。真希こそもっと考えてやれよ」
「パンダ、後で殴る」
物騒な会話に芙蓉が口を挟めずにいると、伏黒と共に走り込みをしていた狗巻が自販機を経由して戻ってきた。
「すじこ、高菜」
「あー、まぁそうだな、それが妥当かもな」
「…?」
狗巻の言葉に対応出来ていないのは芙蓉のみで、他の3人は狗巻の言葉に納得したように頷いている。1人蚊帳の外、どうしたら良いものかと戸惑っている芙蓉に、パンダが何かを差し出してきた。
「棘オススメのトンファーだ、やってみ?」
「そもそもこれがどんなのか知ってるか?」
「あ、はい…外国で警察官が警棒として使ってるやつですよね。テレビとか映画で見た事あります」
本来は2本1組で使う武具だが、狗巻が手本を示すように芙蓉から1本取り上げ、トンファーを構えて見せる。狗巻が指先で手招きしたーやってみろ、と言っているようで、芙蓉も見真似で構えてみせる。
「へぇ、見た目は様になってるな」
「あんま攻撃には向いてねーけど、案外、棘の見立ては合ってるのかもなァ」
伏黒と狗巻より遅れて走り込みから戻ってきた釘崎が芙蓉の様子を見、真希の近くに疲れたぁ、と座り込んだ。
「… 芙蓉〜、一発くらい殴ってやんなさーい!」
突然かかった釘崎の言葉に、ほんの一瞬だけ芙蓉の意識が逸れ、トンファーを握っていた手の力が緩んだ。
「トンファーは慣れと握力が必要、ガンバレ〜」
パンダの言葉に頷き、芙蓉は再び狗巻の真似を繰り返す。釘崎が小さくため息を吐いた。
「…最近頑張るわね」
「アイツなりにもいろいろあったみたいだからな。…あのまま潰れなくて良かったな」
真希の言葉に伏黒は頷いた。先日の任務の後、七海と乗り合わせた時の事を思い出す。
車内で眠ってしまった芙蓉が目を覚ましたのは高専に着いてからで、伏黒の顔を見るなり泣きそうな顔を見せた。七海からは任務で特に問題なかったと聞かされていた伏黒は戸惑いながらも芙蓉を連れて車を降り、どうにか寮まで引っ張って行った。1階の共有スペースに押し込み簡易ソファに座らせれば、芙蓉の目から堰を切ったように涙が溢れ出した。理解が追い付かず、完全に芙蓉の感情に置いてけぼりにされた伏黒は一旦自室へ戻り、ティッシュ箱とゴミ袋を持って芙蓉の元へ戻る。
「…とりあえず落ち着いてくれ、何が何だかさっぱりわからん。…まずは落ち着け、な」
ティッシュで涙を拭いながら謝罪を口にする芙蓉、伏黒は飲み物買ってくる、と自販機へ走り、芙蓉がよく飲んでいるお茶と自分のコーヒーを買い戻った。
飲み物をテーブルに置き、伏黒も腰を下ろし漸く落ち着けば、芙蓉はだいぶ落ち着きを取り戻した様子を見せていた。伏黒に勧められてお茶を飲み、口を開く。
「…七海さんに、いっぱい迷惑かけちゃって…、」
芙蓉の言葉で、やはり七海は大人だなと伏黒は唸った。冷静に考えれば、祓除の任務経験が非常に乏しい芙蓉が何の問題なく遂行するのは難しいはずだ。彼女からよくよく話を聞いていけば、仕出かした事に泣きたくなる、泣く気持ちが良くわかった。
「任務の経験が少ないなりに、芙蓉が精一杯やったのは七海さんもわかってくれてるはずだ。アドバイスしてくれたのも、芙蓉の今後の成長を思っての事だろ?…それに報いる事が一番なんじゃないのか」
「…、うん、」
「何か困ったり悩んだりしたらいつでも言えよ、1人で悩むより考えの幅も広がるはずだ」
約束したろ、と伏黒が言えば、芙蓉は大きく頷いた。
「…というわけで、何か私にも扱えそうなものがあったら教えて欲しいんです」
「そうだなぁ…」
七海からのアドバイスと自身の術式を掻い摘んで説明した上で、芙蓉の非力さを補うには武具が必要だろうという話には真希もパンダも同意した。
「真希と同じ、薙刀で良いんじゃねぇか〜?」
「馬鹿、もっと真面目に考えてやれ」
相手と距離の取れる、長さのある武具はやや離れた場所から攻撃出来る為、一見初心者向けのように思われるが、実際には扱いの難しい武具である。闇雲に振り回せば取り回しの隙を突かれるし、慎重になっては良さを活かす事が出来ない。長物は真希のように近接での体術にも優れた者のリーチの短さを補う為の武具と言える。
「…それで、出来たらなんですけど、」
「ん?」
「…刃物はちょっと怖いので、避けたいです…」
その言葉に真希は盛大にため息をついた。
「オイ恵ぃ、芙蓉に何か言ってやれ。刃物なんかにビビってたらこの先やっていけねぇだろ」
走り込みを終えて戻ってきた伏黒に突然話を振るも、伏黒は冷静に口を開く。
「… 扱いの慣れない人間に持たせてもケガするだけだと思いますが…」
「うん、まーそう言われりゃ恵の言う通りだな。真希こそもっと考えてやれよ」
「パンダ、後で殴る」
物騒な会話に芙蓉が口を挟めずにいると、伏黒と共に走り込みをしていた狗巻が自販機を経由して戻ってきた。
「すじこ、高菜」
「あー、まぁそうだな、それが妥当かもな」
「…?」
狗巻の言葉に対応出来ていないのは芙蓉のみで、他の3人は狗巻の言葉に納得したように頷いている。1人蚊帳の外、どうしたら良いものかと戸惑っている芙蓉に、パンダが何かを差し出してきた。
「棘オススメのトンファーだ、やってみ?」
「そもそもこれがどんなのか知ってるか?」
「あ、はい…外国で警察官が警棒として使ってるやつですよね。テレビとか映画で見た事あります」
本来は2本1組で使う武具だが、狗巻が手本を示すように芙蓉から1本取り上げ、トンファーを構えて見せる。狗巻が指先で手招きしたーやってみろ、と言っているようで、芙蓉も見真似で構えてみせる。
「へぇ、見た目は様になってるな」
「あんま攻撃には向いてねーけど、案外、棘の見立ては合ってるのかもなァ」
伏黒と狗巻より遅れて走り込みから戻ってきた釘崎が芙蓉の様子を見、真希の近くに疲れたぁ、と座り込んだ。
「… 芙蓉〜、一発くらい殴ってやんなさーい!」
突然かかった釘崎の言葉に、ほんの一瞬だけ芙蓉の意識が逸れ、トンファーを握っていた手の力が緩んだ。
「トンファーは慣れと握力が必要、ガンバレ〜」
パンダの言葉に頷き、芙蓉は再び狗巻の真似を繰り返す。釘崎が小さくため息を吐いた。
「…最近頑張るわね」
「アイツなりにもいろいろあったみたいだからな。…あのまま潰れなくて良かったな」
真希の言葉に伏黒は頷いた。先日の任務の後、七海と乗り合わせた時の事を思い出す。
車内で眠ってしまった芙蓉が目を覚ましたのは高専に着いてからで、伏黒の顔を見るなり泣きそうな顔を見せた。七海からは任務で特に問題なかったと聞かされていた伏黒は戸惑いながらも芙蓉を連れて車を降り、どうにか寮まで引っ張って行った。1階の共有スペースに押し込み簡易ソファに座らせれば、芙蓉の目から堰を切ったように涙が溢れ出した。理解が追い付かず、完全に芙蓉の感情に置いてけぼりにされた伏黒は一旦自室へ戻り、ティッシュ箱とゴミ袋を持って芙蓉の元へ戻る。
「…とりあえず落ち着いてくれ、何が何だかさっぱりわからん。…まずは落ち着け、な」
ティッシュで涙を拭いながら謝罪を口にする芙蓉、伏黒は飲み物買ってくる、と自販機へ走り、芙蓉がよく飲んでいるお茶と自分のコーヒーを買い戻った。
飲み物をテーブルに置き、伏黒も腰を下ろし漸く落ち着けば、芙蓉はだいぶ落ち着きを取り戻した様子を見せていた。伏黒に勧められてお茶を飲み、口を開く。
「…七海さんに、いっぱい迷惑かけちゃって…、」
芙蓉の言葉で、やはり七海は大人だなと伏黒は唸った。冷静に考えれば、祓除の任務経験が非常に乏しい芙蓉が何の問題なく遂行するのは難しいはずだ。彼女からよくよく話を聞いていけば、仕出かした事に泣きたくなる、泣く気持ちが良くわかった。
「任務の経験が少ないなりに、芙蓉が精一杯やったのは七海さんもわかってくれてるはずだ。アドバイスしてくれたのも、芙蓉の今後の成長を思っての事だろ?…それに報いる事が一番なんじゃないのか」
「…、うん、」
「何か困ったり悩んだりしたらいつでも言えよ、1人で悩むより考えの幅も広がるはずだ」
約束したろ、と伏黒が言えば、芙蓉は大きく頷いた。