変転
恵の幼馴染のお名前は?
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芙蓉は伏黒が出してくれた麦茶を飲んで口を開く。
「悟くんさ、もー最近ウチに来ては進学先の話ばっかりで。高専に来ないかって、そればっかり」
芙蓉は数少ない反転術式が使える貴重な存在、五条が芙蓉を高専へ入学させたいと思うのは当然の事と言える。
「恵はどう思う?…私が高専行くのって」
芙蓉の言葉に、伏黒は飲みかけのアイスコーヒーをひと口飲み、少し考えるような素振りを見せた。
「…あくまで俺の個人的な思いになるが…、芙蓉の高専進学は同意しかねるな。…そりゃ一緒に入学出来れば、お互い近くにいられるから良いとは思うが…、高専では学生も呪術師として祓除の任務にも出なきゃならない。鍛錬だってキツいし、出来るなら芙蓉にはそんな危険な事をして欲しくない、ってところか。それと、誰かに言われたからとか、なんとなくっていう理由なら絶対にやめとけ。そんな感覚でやっていける程、呪術師は甘くない。俺が受けてた鍛錬を見てたならわかるはずだ」
伏黒の言葉を聞いて、芙蓉は何も言えなかった。伏黒がどれだけ自分の事を想って言ってくれている事が十分にわかった。それでも。芙蓉は自分の術式が発現したという事を伝えられたら、自分が術式を使えると知ったら、伏黒は考えを改めてくれるのだろうかなどと、そんな事を考えている自身が酷く稚拙に思えた。
「そっか…。うん、高専は…やめとく」
「いや、単に俺がそう思ってるだけの話だ。芙蓉が高専にどうしても入学したいっていうなら、それはまた別の話だろ。五条先生が直々に入学して欲しいって言ってんなら、それに応えるのもアリじゃねぇのか」
「ううん、大丈夫。…結局、どこの高校でも基本的に勉強する事は同じでしょ?部活もそこまでヤル気ないし、私にとっての選ぶ基準が見つからなくて。…だけど、もっとちゃんと調べれば、良いなって思える学校があるかもしれないし。もっとよく考えてみる」
おかげでスッキリした、ありがとうと芙蓉は笑った。そんな彼女とは対象に、伏黒は余計な事を言ってしまったかと、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「…たぶん後押しが欲しかったんだと思う。悟くんに高専に来ないって言われてるけど、私って結構中途半端な感じじゃない?その辺で迷ってたんじゃないかなって。恵の気持ちは大事に私の中にしまっておくね」
もう、高専で言われた五条の話は忘れようー口外する事を禁じられているのなら、その事を気にしていたって仕方ない。芙蓉は気持ちを切り替えるように、買ってきたアイスを食べようと台所へ向かった。
2人揃ってアイスを食べてから、芙蓉は持って来たバッグから参考書を引っ張り出して勉強を始めた。いつものようにわからないところは伏黒に教わり、着々と残った宿題を進めていく。
「…あ、そう言えばさ」
「ぁん?」
「恵は宿題終わってるの?」
「おう。7月中に全部終わらせた」
「は⁉︎終わるもんなの?」
「現に終わってる。最近、急に祓除の現場に連れ出される事もあるからな」
今年は受験の年、各教科担任もなかなか気合いを入れたようで、宿題の量はなかなかのものだった。それを10日足らずで全て終わらせる伏黒の能力と集中力。芙蓉は思わずため息をついた。
「…恵の進学先が高専で良かった気がする」
「は?」
「もし恵が普通高校に行くってなったら、私、たぶん同じ高校行けないと思うから」
「その時は俺が芙蓉に合わせればいいだろ」
「…今、何気にすごい事言ったよね」
夏休み前に2人で腹を割って話をして以来、伏黒は芙蓉に対しての想いをハッキリと言葉や行動で示してくるようになった。例えば今の会話のように。
それはそれで、思っている事を言葉にせず、じっと黙ったまま様子を窺うようにされるよりは何倍も良く、伏黒の気持ちを間違える事なく正しく理解出来るようになったのも本当に良い事なのだが、なんの前触れもなく想いを伝えられるのは本当に心臓に悪いー芙蓉は彼の変化にまだ慣れずにいた。
「…顔赤くして何考えてんだよ」
伏黒の言葉に、芙蓉はさらに顔を赤くした。
「…恵が変な事言うからでしょ」
「人のせいにするなよ、俺は俺の意見を言っただけだ」
真っ当な事を言いながらも、伏黒の口元は笑っているーもう完全に芙蓉を揶揄う気だというのが見てとれる。
「もー。…良いなぁ頭の良い人は」
「そう拗ねるなよ」
言いながら伏黒は立ち上がって台所へ向かう。程なくして戻ってきた彼の手には芙蓉の好きなお菓子が。
「あ、それ」
「こないだ買い物行った時に見かけたからな。一旦休憩にして、これ食って機嫌直せよ」
お気に入りの好きなお菓子1つと伏黒の気遣いで嬉しくなってしまう自分は本当に単純だなと思いながらお菓子のパッケージを開ける。と。
「…っ、恵、?」
伏黒は芙蓉の背中を背もたれ代わりによりかかり、何食わぬ顔でお菓子を摘みながら本を読み始めた。
「少しくらい良いだろ」
彼の言う少しくらい良いだろうというのは、お菓子を摘む事か、芙蓉にぴったりくっつく事かー。芙蓉も伏黒が近くにいてくれるのは嬉しいのだが、どうしても、未だに気恥ずかしさが先に立つようで。芙蓉は再び顔を赤くしながらお菓子に手を伸ばした。
「悟くんさ、もー最近ウチに来ては進学先の話ばっかりで。高専に来ないかって、そればっかり」
芙蓉は数少ない反転術式が使える貴重な存在、五条が芙蓉を高専へ入学させたいと思うのは当然の事と言える。
「恵はどう思う?…私が高専行くのって」
芙蓉の言葉に、伏黒は飲みかけのアイスコーヒーをひと口飲み、少し考えるような素振りを見せた。
「…あくまで俺の個人的な思いになるが…、芙蓉の高専進学は同意しかねるな。…そりゃ一緒に入学出来れば、お互い近くにいられるから良いとは思うが…、高専では学生も呪術師として祓除の任務にも出なきゃならない。鍛錬だってキツいし、出来るなら芙蓉にはそんな危険な事をして欲しくない、ってところか。それと、誰かに言われたからとか、なんとなくっていう理由なら絶対にやめとけ。そんな感覚でやっていける程、呪術師は甘くない。俺が受けてた鍛錬を見てたならわかるはずだ」
伏黒の言葉を聞いて、芙蓉は何も言えなかった。伏黒がどれだけ自分の事を想って言ってくれている事が十分にわかった。それでも。芙蓉は自分の術式が発現したという事を伝えられたら、自分が術式を使えると知ったら、伏黒は考えを改めてくれるのだろうかなどと、そんな事を考えている自身が酷く稚拙に思えた。
「そっか…。うん、高専は…やめとく」
「いや、単に俺がそう思ってるだけの話だ。芙蓉が高専にどうしても入学したいっていうなら、それはまた別の話だろ。五条先生が直々に入学して欲しいって言ってんなら、それに応えるのもアリじゃねぇのか」
「ううん、大丈夫。…結局、どこの高校でも基本的に勉強する事は同じでしょ?部活もそこまでヤル気ないし、私にとっての選ぶ基準が見つからなくて。…だけど、もっとちゃんと調べれば、良いなって思える学校があるかもしれないし。もっとよく考えてみる」
おかげでスッキリした、ありがとうと芙蓉は笑った。そんな彼女とは対象に、伏黒は余計な事を言ってしまったかと、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「…たぶん後押しが欲しかったんだと思う。悟くんに高専に来ないって言われてるけど、私って結構中途半端な感じじゃない?その辺で迷ってたんじゃないかなって。恵の気持ちは大事に私の中にしまっておくね」
もう、高専で言われた五条の話は忘れようー口外する事を禁じられているのなら、その事を気にしていたって仕方ない。芙蓉は気持ちを切り替えるように、買ってきたアイスを食べようと台所へ向かった。
2人揃ってアイスを食べてから、芙蓉は持って来たバッグから参考書を引っ張り出して勉強を始めた。いつものようにわからないところは伏黒に教わり、着々と残った宿題を進めていく。
「…あ、そう言えばさ」
「ぁん?」
「恵は宿題終わってるの?」
「おう。7月中に全部終わらせた」
「は⁉︎終わるもんなの?」
「現に終わってる。最近、急に祓除の現場に連れ出される事もあるからな」
今年は受験の年、各教科担任もなかなか気合いを入れたようで、宿題の量はなかなかのものだった。それを10日足らずで全て終わらせる伏黒の能力と集中力。芙蓉は思わずため息をついた。
「…恵の進学先が高専で良かった気がする」
「は?」
「もし恵が普通高校に行くってなったら、私、たぶん同じ高校行けないと思うから」
「その時は俺が芙蓉に合わせればいいだろ」
「…今、何気にすごい事言ったよね」
夏休み前に2人で腹を割って話をして以来、伏黒は芙蓉に対しての想いをハッキリと言葉や行動で示してくるようになった。例えば今の会話のように。
それはそれで、思っている事を言葉にせず、じっと黙ったまま様子を窺うようにされるよりは何倍も良く、伏黒の気持ちを間違える事なく正しく理解出来るようになったのも本当に良い事なのだが、なんの前触れもなく想いを伝えられるのは本当に心臓に悪いー芙蓉は彼の変化にまだ慣れずにいた。
「…顔赤くして何考えてんだよ」
伏黒の言葉に、芙蓉はさらに顔を赤くした。
「…恵が変な事言うからでしょ」
「人のせいにするなよ、俺は俺の意見を言っただけだ」
真っ当な事を言いながらも、伏黒の口元は笑っているーもう完全に芙蓉を揶揄う気だというのが見てとれる。
「もー。…良いなぁ頭の良い人は」
「そう拗ねるなよ」
言いながら伏黒は立ち上がって台所へ向かう。程なくして戻ってきた彼の手には芙蓉の好きなお菓子が。
「あ、それ」
「こないだ買い物行った時に見かけたからな。一旦休憩にして、これ食って機嫌直せよ」
お気に入りの好きなお菓子1つと伏黒の気遣いで嬉しくなってしまう自分は本当に単純だなと思いながらお菓子のパッケージを開ける。と。
「…っ、恵、?」
伏黒は芙蓉の背中を背もたれ代わりによりかかり、何食わぬ顔でお菓子を摘みながら本を読み始めた。
「少しくらい良いだろ」
彼の言う少しくらい良いだろうというのは、お菓子を摘む事か、芙蓉にぴったりくっつく事かー。芙蓉も伏黒が近くにいてくれるのは嬉しいのだが、どうしても、未だに気恥ずかしさが先に立つようで。芙蓉は再び顔を赤くしながらお菓子に手を伸ばした。