変転
恵の幼馴染のお名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
千浪ちゃんから“津美紀ちゃんが倒れたの”って連絡が来たときは…、なんて言えばいいかな。ピッタリ当てはまる言葉が思い浮かばないんだけど、やっぱりショックを受けた、なのかなぁ。
ここ最近、出自不明の呪いにかかる人が全国的に急増してるってんで、高専でも上の連中が大騒ぎしてて。そんな話が耳に入ってたから、もしかしたらって思った。
最近増えてる被呪者は男女比にはあまり差はないみたいなんだけど、問題は年齢層。ほとんどが10代後半から20代前半の若者ばかりだとか。
高専関係者の中にも意識不明に陥った人が何人かいて、上の連中から僕の眼を頼りに、彼らを視るように言われて実際に何人か視たんだけど…、今回のケースは言葉は悪いけど、何も手を施せない。出自も何もかもがわからない、そんな呪いに対してはさすがの僕も悔しいけれどお手上げ状態。高専の上の連中に言われて、伊地知はあちこち調査の為に駆け回ってるみたいだけど、たぶんそれも全部無駄足になるだろう事は目に見えてる。
…言わないけど。
近しい人間に何かあれば、少なからず動揺したり取り乱したり、まぁ、所謂平常心ってヤツが保てなくなる。
…それは僕も経験した事がある。
どう対処するかっていうと、人それぞれ方法はあると思うけど、僕の場合は…、いや、やめとこ。僕の経験則が誰にでも当てはまるワケじゃないし、それが絶対に正しいってワケじゃない。正解なんて人それぞれ違う。
けど、近しい人間に何かが起きた時、その悲しみに押し潰されるか、悲しみをバネにして一歩踏み出すかのどっちかだと思うんだよね。
果たして恵は一歩踏み出した。これは恵の性格からして、たいして心配はしてなかったけど。…まぁ、もし押し潰されそうになってたら、僕が殴ってでも奮い立たせてやるつもりだったけどね。
さて、恵の事は小憎らしいガキの頃からずっと見てるけど、本当に可愛げのない、子供らしくない子供だった。物心つくころに両親が蒸発して、血の繋がりのない義姉と生きていかなきゃいけない環境に放り出されたワケだからね、そりゃ子供らしさもなくなっちゃうよね。
子供のくせに一線引いて世の中を見て、妙に物分かりが良くて、感情をあまり表現しなくて。
けど、恵は本当に名前の通りに恵まれてた。津美紀ちゃんは慈愛そのものみたいな良い子だし、これは偶然なんだけど、千浪ちゃんと芙蓉が恵の近くに住んでてくれて良かったと思う。…まぁ、運も実力の内、なんだけど。
呪術師としての素材を持って生まれた人間っていうのは、呪術師の家系の生まれでもなければ、まず最初に“見える”事を誰にも理解されず、想いを共有できない壁にまずぶち当たって、メンタル面でシンドい思いをする事が多いって言われてる。
そんな中、恵も芙蓉も、お互いを理解できる存在に巡り合ったっていうのは本当にラッキーだと思う。
今回の件に関しても、芙蓉が恵の事を気にかけてくれてるのもあって、まぁ…、恵がどう思ってるかわかんないけど、とりあえず本当に独りぼっちってわけではないから、ここで折れるなんて事はないだろうと思ってた。
ところが恵はそれ以上だったワケで。
津美紀ちゃんが入院する事になって、病院からの帰り。芙蓉と千浪ちゃんを降ろした後、ずーっと黙ってた恵がなんて言ったと思う?
“呪術師になるにはどうすればいいですか”って。
今まで呪術師になる事に対して否定的だった恵が、だよ?これってすごい事だと思わない?
この短時間で自分の将来を決められる、恵の強さを見た感じだったね。元々の素材も素質も文句なし、後は恵の気持ち次第だったからね、津美紀ちゃんの存在が後押ししたんだろうね。まだまだ粗削りで未熟なところもたくさんあるけど、恵ならきっといい呪術師になる。
というワケで、恵が今出来る事としては、まずは呪術師の審査を受けて等級の認定を受ける事。術師として動くにそれが一番手っ取り早いし、高専に進学してからも何かと有利になるからね。けどまだ中3になったばかりだし、僕は急ぐ必要はないって言ったんだけど、もう恵は早めに何か出来る事があればやっておきたいって気持ちになっちゃったみたいでさぁ。
とりあえず高専入学への下準備、学長への報告やらと、まぁ翌日から動くことになって。
…若いっていいね、思う事に突き進んでいけるだけのパワーがある。本人がヤル気だからね、それを萎えさせないように、僕もがんばらなくちゃね。
津美紀ちゃんの事は本当に気の毒だけど、何が転機になるかはわからないもんだね。いずれにせよ、僕としてはありがたい話になったのは間違いない。
さて…、あとは芙蓉だね。ずーっと前から説得してるつもりなんだけど、決定打がないんだよねぇ。どうにか高専に進学して欲しいんだけどなぁ…、また今度、本人に声かけてみようっと。
ここ最近、出自不明の呪いにかかる人が全国的に急増してるってんで、高専でも上の連中が大騒ぎしてて。そんな話が耳に入ってたから、もしかしたらって思った。
最近増えてる被呪者は男女比にはあまり差はないみたいなんだけど、問題は年齢層。ほとんどが10代後半から20代前半の若者ばかりだとか。
高専関係者の中にも意識不明に陥った人が何人かいて、上の連中から僕の眼を頼りに、彼らを視るように言われて実際に何人か視たんだけど…、今回のケースは言葉は悪いけど、何も手を施せない。出自も何もかもがわからない、そんな呪いに対してはさすがの僕も悔しいけれどお手上げ状態。高専の上の連中に言われて、伊地知はあちこち調査の為に駆け回ってるみたいだけど、たぶんそれも全部無駄足になるだろう事は目に見えてる。
…言わないけど。
近しい人間に何かあれば、少なからず動揺したり取り乱したり、まぁ、所謂平常心ってヤツが保てなくなる。
…それは僕も経験した事がある。
どう対処するかっていうと、人それぞれ方法はあると思うけど、僕の場合は…、いや、やめとこ。僕の経験則が誰にでも当てはまるワケじゃないし、それが絶対に正しいってワケじゃない。正解なんて人それぞれ違う。
けど、近しい人間に何かが起きた時、その悲しみに押し潰されるか、悲しみをバネにして一歩踏み出すかのどっちかだと思うんだよね。
果たして恵は一歩踏み出した。これは恵の性格からして、たいして心配はしてなかったけど。…まぁ、もし押し潰されそうになってたら、僕が殴ってでも奮い立たせてやるつもりだったけどね。
さて、恵の事は小憎らしいガキの頃からずっと見てるけど、本当に可愛げのない、子供らしくない子供だった。物心つくころに両親が蒸発して、血の繋がりのない義姉と生きていかなきゃいけない環境に放り出されたワケだからね、そりゃ子供らしさもなくなっちゃうよね。
子供のくせに一線引いて世の中を見て、妙に物分かりが良くて、感情をあまり表現しなくて。
けど、恵は本当に名前の通りに恵まれてた。津美紀ちゃんは慈愛そのものみたいな良い子だし、これは偶然なんだけど、千浪ちゃんと芙蓉が恵の近くに住んでてくれて良かったと思う。…まぁ、運も実力の内、なんだけど。
呪術師としての素材を持って生まれた人間っていうのは、呪術師の家系の生まれでもなければ、まず最初に“見える”事を誰にも理解されず、想いを共有できない壁にまずぶち当たって、メンタル面でシンドい思いをする事が多いって言われてる。
そんな中、恵も芙蓉も、お互いを理解できる存在に巡り合ったっていうのは本当にラッキーだと思う。
今回の件に関しても、芙蓉が恵の事を気にかけてくれてるのもあって、まぁ…、恵がどう思ってるかわかんないけど、とりあえず本当に独りぼっちってわけではないから、ここで折れるなんて事はないだろうと思ってた。
ところが恵はそれ以上だったワケで。
津美紀ちゃんが入院する事になって、病院からの帰り。芙蓉と千浪ちゃんを降ろした後、ずーっと黙ってた恵がなんて言ったと思う?
“呪術師になるにはどうすればいいですか”って。
今まで呪術師になる事に対して否定的だった恵が、だよ?これってすごい事だと思わない?
この短時間で自分の将来を決められる、恵の強さを見た感じだったね。元々の素材も素質も文句なし、後は恵の気持ち次第だったからね、津美紀ちゃんの存在が後押ししたんだろうね。まだまだ粗削りで未熟なところもたくさんあるけど、恵ならきっといい呪術師になる。
というワケで、恵が今出来る事としては、まずは呪術師の審査を受けて等級の認定を受ける事。術師として動くにそれが一番手っ取り早いし、高専に進学してからも何かと有利になるからね。けどまだ中3になったばかりだし、僕は急ぐ必要はないって言ったんだけど、もう恵は早めに何か出来る事があればやっておきたいって気持ちになっちゃったみたいでさぁ。
とりあえず高専入学への下準備、学長への報告やらと、まぁ翌日から動くことになって。
…若いっていいね、思う事に突き進んでいけるだけのパワーがある。本人がヤル気だからね、それを萎えさせないように、僕もがんばらなくちゃね。
津美紀ちゃんの事は本当に気の毒だけど、何が転機になるかはわからないもんだね。いずれにせよ、僕としてはありがたい話になったのは間違いない。
さて…、あとは芙蓉だね。ずーっと前から説得してるつもりなんだけど、決定打がないんだよねぇ。どうにか高専に進学して欲しいんだけどなぁ…、また今度、本人に声かけてみようっと。