変転
恵の幼馴染のお名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
津美紀が倒れた原因がわからないー伏黒は目の前が真っ暗になった気がした。何故、津美紀がどうしてーそんな言葉ばかりがぐるぐる回る。
「…津美紀ちゃんは、どうなるの…?」
黙って涙を流し続けていた芙蓉の言葉。医師は口を引き結びーややあって口を開く。
「意識がない以上、自力での生命維持が難しくなります。なのでこのまま入院していただいて…」
医師の言葉を最後まで聞く事なく、伏黒はフラフラと部屋を出て行った。
「芙蓉、恵くんに付いていてあげなさい」
今後の話をお願いしますという母の言葉を背中で聞きながら、伏黒を追うように芙蓉も部屋を出た。
伏黒は待合スペースの椅子に座って項垂れていた。こんな伏黒は見た事がないー芙蓉は声をかける事も出来ず、ただ隣に寄り添っているしか出来なかった。
「恵、芙蓉」
名を呼ぶ声が聞こえ、2人はゆっくりと顔を向けるーサングラスをかけた五条と伊地知が立っていた。
「悟くん…と、…」
「伊地知さん。…どうして」
「千浪ちゃんが連絡くれてね。さすがに心配でね、様子を見に来たってワケ」
伏黒も芙蓉も、五条の言葉にどう返事していいか、ずっと黙ったままだった。五条の方もさして気にする様子はなく、椅子に腰を下ろした。
どれくらいそうしていたか、千浪が部屋から出てきた。五条と伊地知の姿を見て頭を下げる。
「悟くん、伊地知さん、忙しいのにごめんなさいね」
「全然。それより、津美紀ちゃんには会えそう?」
「えぇ。ここから入院病棟に移動したみたい。場所を教えてもらったから行きましょう」
千浪を先頭に、五条、伊地知、伏黒と芙蓉が後に続く。
「実はさ、ちょっと気になってる事もあって、その確認をしたいんだよね。…最近、全国的に意識不明になる人が急増してるらしいんだ」
五条の言葉を受けて伊地知が口を開く。
「…高専の協力者の中にも、津美紀さんと同じように、突然意識不明に陥った者が数名いるとの報告が上がってきているんです」
通路を進んだ先のエレベーターに乗り込み、階を移動する。芙蓉が率直な疑問を口にした。
「…どういう事…?」
「まだ調査している段階なのですが、よくわかっていないのが現状です。…わかっている事は、何かに呪われたらしい、という事だけなんです」
エレベーター内に重い空気が立ち込める。それ以上誰も口を開かなかった。エレベーターの無機質なアナウンスが到着階を告げ、扉が開く。
「302号室よ」
千浪の言葉に従い、伏黒は足早に通路を進む。部屋を見つけ、名前を確認して静かにドアを開けた。
腕に何某かのチューブが繋がれ、津美紀は静かに眠っていた。五条はサングラスを外して津美紀をじっと観察するー数秒の後、再びサングラスをかけた。
「…間違いないね。…残念だけど」
「じゃあ、津美紀ちゃんは…」
「あぁ。…呪いの元凶も見えなければ、何を目的に呪いをかけられたのかも解らない」
「そん、な…」
伏黒はじっと黙ったまま、ベッドに横たわる津美紀をただただ見つめていた。そんな痛ましい伏黒を気遣い、千浪は五条と伊地知を伴って部屋を出て行った。
「津美紀ちゃん…」
芙蓉は津美紀の手を握り、泣きながら名を呼び続けた。早く目を覚まして、呪いなんかに負けないでーそう思わずにはいられなかった。
病室の外で話し声が聞こえ、伏黒は自身の内に集中していた意識を現実に引き戻された。
程なくしてドアが開き、看護師が姿を見せた。
「ごめんなさいね、もう面会時間終わりなの」
「…長居してすみませんでした。…姉を、よろしくお願いします」
それだけ言って、伏黒は頭を下げて部屋を出る。彼に倣うように芙蓉も頭を下げて後に続く。病棟入り口近くの談話スペースのようなところで千浪、五条、伊地知が2人を待っていた。
伏黒と芙蓉の姿を認めると、伊地知は車を回してきますとひと足早く車へ向かった。残された4人は黙ったままエントランスを通り抜け、玄関前ロータリーに出る。ちょうど伊地知の運転する車が到着した。
「…伏黒くん、通るルートの都合なのですが、先に高峰さんから送り届けてもよろしいですか?」
「はい、問題ないです」
助手席に五条、後部座席には伏黒、芙蓉、千浪の順に乗り込む。車は静かに動き出した。
車内でも同じように、誰も口を開かなかった。何処かに立ち寄ったりすることもなく、車は走り続けた。
「伊地知さん、ありがとうございました」
先に芙蓉と千浪の自宅へ到着した。2人は車を降り、礼を言ってドアを閉めた。動き出す車を見送る。
「芙蓉、辛いと思うけど、」
「…大丈夫。…辛いのは、恵も同じだから」
明日からまたがんばるよ、という娘の言葉を聞いて千浪は黙って頷くしか出来なかった。
翌日、登校した芙蓉。クラスに伏黒の姿はなかった。
「…津美紀ちゃんは、どうなるの…?」
黙って涙を流し続けていた芙蓉の言葉。医師は口を引き結びーややあって口を開く。
「意識がない以上、自力での生命維持が難しくなります。なのでこのまま入院していただいて…」
医師の言葉を最後まで聞く事なく、伏黒はフラフラと部屋を出て行った。
「芙蓉、恵くんに付いていてあげなさい」
今後の話をお願いしますという母の言葉を背中で聞きながら、伏黒を追うように芙蓉も部屋を出た。
伏黒は待合スペースの椅子に座って項垂れていた。こんな伏黒は見た事がないー芙蓉は声をかける事も出来ず、ただ隣に寄り添っているしか出来なかった。
「恵、芙蓉」
名を呼ぶ声が聞こえ、2人はゆっくりと顔を向けるーサングラスをかけた五条と伊地知が立っていた。
「悟くん…と、…」
「伊地知さん。…どうして」
「千浪ちゃんが連絡くれてね。さすがに心配でね、様子を見に来たってワケ」
伏黒も芙蓉も、五条の言葉にどう返事していいか、ずっと黙ったままだった。五条の方もさして気にする様子はなく、椅子に腰を下ろした。
どれくらいそうしていたか、千浪が部屋から出てきた。五条と伊地知の姿を見て頭を下げる。
「悟くん、伊地知さん、忙しいのにごめんなさいね」
「全然。それより、津美紀ちゃんには会えそう?」
「えぇ。ここから入院病棟に移動したみたい。場所を教えてもらったから行きましょう」
千浪を先頭に、五条、伊地知、伏黒と芙蓉が後に続く。
「実はさ、ちょっと気になってる事もあって、その確認をしたいんだよね。…最近、全国的に意識不明になる人が急増してるらしいんだ」
五条の言葉を受けて伊地知が口を開く。
「…高専の協力者の中にも、津美紀さんと同じように、突然意識不明に陥った者が数名いるとの報告が上がってきているんです」
通路を進んだ先のエレベーターに乗り込み、階を移動する。芙蓉が率直な疑問を口にした。
「…どういう事…?」
「まだ調査している段階なのですが、よくわかっていないのが現状です。…わかっている事は、何かに呪われたらしい、という事だけなんです」
エレベーター内に重い空気が立ち込める。それ以上誰も口を開かなかった。エレベーターの無機質なアナウンスが到着階を告げ、扉が開く。
「302号室よ」
千浪の言葉に従い、伏黒は足早に通路を進む。部屋を見つけ、名前を確認して静かにドアを開けた。
腕に何某かのチューブが繋がれ、津美紀は静かに眠っていた。五条はサングラスを外して津美紀をじっと観察するー数秒の後、再びサングラスをかけた。
「…間違いないね。…残念だけど」
「じゃあ、津美紀ちゃんは…」
「あぁ。…呪いの元凶も見えなければ、何を目的に呪いをかけられたのかも解らない」
「そん、な…」
伏黒はじっと黙ったまま、ベッドに横たわる津美紀をただただ見つめていた。そんな痛ましい伏黒を気遣い、千浪は五条と伊地知を伴って部屋を出て行った。
「津美紀ちゃん…」
芙蓉は津美紀の手を握り、泣きながら名を呼び続けた。早く目を覚まして、呪いなんかに負けないでーそう思わずにはいられなかった。
病室の外で話し声が聞こえ、伏黒は自身の内に集中していた意識を現実に引き戻された。
程なくしてドアが開き、看護師が姿を見せた。
「ごめんなさいね、もう面会時間終わりなの」
「…長居してすみませんでした。…姉を、よろしくお願いします」
それだけ言って、伏黒は頭を下げて部屋を出る。彼に倣うように芙蓉も頭を下げて後に続く。病棟入り口近くの談話スペースのようなところで千浪、五条、伊地知が2人を待っていた。
伏黒と芙蓉の姿を認めると、伊地知は車を回してきますとひと足早く車へ向かった。残された4人は黙ったままエントランスを通り抜け、玄関前ロータリーに出る。ちょうど伊地知の運転する車が到着した。
「…伏黒くん、通るルートの都合なのですが、先に高峰さんから送り届けてもよろしいですか?」
「はい、問題ないです」
助手席に五条、後部座席には伏黒、芙蓉、千浪の順に乗り込む。車は静かに動き出した。
車内でも同じように、誰も口を開かなかった。何処かに立ち寄ったりすることもなく、車は走り続けた。
「伊地知さん、ありがとうございました」
先に芙蓉と千浪の自宅へ到着した。2人は車を降り、礼を言ってドアを閉めた。動き出す車を見送る。
「芙蓉、辛いと思うけど、」
「…大丈夫。…辛いのは、恵も同じだから」
明日からまたがんばるよ、という娘の言葉を聞いて千浪は黙って頷くしか出来なかった。
翌日、登校した芙蓉。クラスに伏黒の姿はなかった。