芽生え
恵の幼馴染のお名前は?
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夏休みが明ける直前、津美紀は体調を崩した。
症状は頭痛、身体の怠さ。滅多にない事に伏黒は心配し、スポーツドリンクやゼリー飲料など、体力が落ちないように、脱水症状にならないようにと津美紀に買い与えた。本人は夏バテだと思う、大丈夫だからと、少々険悪な状況にも関わらず気遣いをする伏黒を微笑ましく思っていた。ちょうど伏黒のアパートを訪れた芙蓉も伏黒同様、心配してお粥や雑炊の準備をしようかと提案したが、津美紀は普通の食事で問題ない、心配しないでと芙蓉に言って聞かせた。津美紀本人が大丈夫と言っていた通り、翌日には津美紀はすっかり元気になり、夏休みが明けてからは今まで通り休む事なく通い始めた。
夏の暑さが遠ざかり、秋の気配が色濃くなってくる10月の始め頃。津美紀は再び体調を崩した。
学校での体育の授業中、バレーボールをしている時に具合が悪いと教科担任に申し出て保健室へ。授業を2コマ分休んだが、回復する様子が見られなかった。季節の変わり目だから体調を崩しやすい、受験も控えているのだから気を付けるようにと養護教諭に言われ、その日はそのまま早退する事にした。
「津美紀ちゃん、大丈夫?」
津美紀が早退したと、元部活の先輩から話を聞かされた芙蓉は部活を休んで伏黒のアパートを訪れていた。
「…芙蓉、部活は?」
「津美紀ちゃんが心配で、今日はお休み」
1日くらい休んだって大丈夫、台所借りるよと声をかけて台所に立つ。具合の悪い津美紀が食べやすい物をと、手際よく雑炊を作り食べさせた。
「ありがとう。…少し元気が出てきたかも」
雑炊を食べ終えた津美紀が笑う。芙蓉がアパートを訪れた時よりも少しだけ顔色が良くなったようにも見えた。津美紀の笑顔に安堵した芙蓉は食器の片付けを始める。
洗い物をしている時に伏黒が帰ってきた。リビングで横になって休んでいる津美紀、台所にいる芙蓉を見て状況を察したようだった。
「芙蓉、」
「今雑炊食べたところ。結構食べてくれたよ」
芙蓉の言葉に頷き、伏黒は津美紀に声をかける。
「…おかえり」
「おう。しっかり休めよ」
ゆっくりと身体を起こし、気怠そうにしながらも伏黒の介助を辞して津美紀は自力で部屋を移動していった。
「恵、私そろそろ帰るね」
片付けを済ませ、リビングに戻ってきた伏黒に囁いた。この日も芙蓉を送ろうとした伏黒だが、津美紀を優先するようにと芙蓉に言われて渋い顔をする。
「走って帰るから心配しないで」
バスケ部だからこれくらいは大丈夫、と笑う芙蓉はまた明日ね、とアパートを出て行った。
津美紀は翌日1日休み、2日後には登校出来るまでに回復した。伏黒からその旨を聞かされ、少々心配ながらも芙蓉は安堵し、津美紀を労わるようにと釘を刺した。
その後、12月の中旬頃に津美紀は体調を崩した。毎月というわけではないが、津美紀がこんなに短いスパンで体調を崩すなんて事は今までなかった。さすがに伏黒は本格的に心配し始めていた。
「なぁ」
「…ぅん?」
布団で怠そうにする津美紀。熱はないため、風邪やインフルエンザの可能性はない。
「病院で診てもらえよ」
「…大丈夫よ、横になってると、だいぶ楽だし」
「原因がわかった方が安心できるだろ」
お互い譲らない気配。そこへ雑炊を作り上げた芙蓉が声をかける。津美紀は伏黒への返事を曖昧に、ゆっくりと起き上がり、リビングへ向かう。
「ねぇ津美紀ちゃん、病院行ってみたら?原因がわからないから心配だよ」
「…」
「調子悪い時に1人で行くのは大変だから、お母さんに付き添いお願いするし」
「…悪いからいいよ、大丈夫」
「津美紀ちゃんが良くても、私と恵は良くない」
ね、恵、と同意すれば、伏黒も黙って頷く。スプーンを持ったまま、じっと推し黙る津美紀。
「…受験が終わってから、ね」
津美紀の小さな返事に、伏黒と芙蓉は顔を見合わせる。
「もうあんまり授業を休みたくないの。体調が悪いって言っても、頭痛くらいだし。…あと、少し怠さがあるくらいだから」
「立ってられねぇくらい酷いんだろ」
「それは最初だけ。…休めば良くなるわ」
互いに譲らず、伏黒と津美紀の、意地の張り合いのような険悪な雰囲気になってくる。
「…じゃあさ、もしまた体調悪くなったら、その時は病院行くっていう事にしようよ、ね?」
早めに病院に行って欲しい伏黒と、極力病院に行きたくない津美紀ーそんな2人が妥協出来そうな着地点を芙蓉が提示すれば、渋々といった体ではあるが2人ともその案に了承した。
年が明ければ高校入試はもう目前。
幸いにして津美紀は体調を崩す事なく入試を乗り切る事ができたが、入試の結果が出る1週間前に彼女は体調を崩してしまった。授業中に具合が悪くなり、早退。養護教諭からその旨を伝えられた伏黒は芙蓉にもその事を伝える。芙蓉は放課後にアパートへ行くと返事をした。
症状は頭痛、身体の怠さ。滅多にない事に伏黒は心配し、スポーツドリンクやゼリー飲料など、体力が落ちないように、脱水症状にならないようにと津美紀に買い与えた。本人は夏バテだと思う、大丈夫だからと、少々険悪な状況にも関わらず気遣いをする伏黒を微笑ましく思っていた。ちょうど伏黒のアパートを訪れた芙蓉も伏黒同様、心配してお粥や雑炊の準備をしようかと提案したが、津美紀は普通の食事で問題ない、心配しないでと芙蓉に言って聞かせた。津美紀本人が大丈夫と言っていた通り、翌日には津美紀はすっかり元気になり、夏休みが明けてからは今まで通り休む事なく通い始めた。
夏の暑さが遠ざかり、秋の気配が色濃くなってくる10月の始め頃。津美紀は再び体調を崩した。
学校での体育の授業中、バレーボールをしている時に具合が悪いと教科担任に申し出て保健室へ。授業を2コマ分休んだが、回復する様子が見られなかった。季節の変わり目だから体調を崩しやすい、受験も控えているのだから気を付けるようにと養護教諭に言われ、その日はそのまま早退する事にした。
「津美紀ちゃん、大丈夫?」
津美紀が早退したと、元部活の先輩から話を聞かされた芙蓉は部活を休んで伏黒のアパートを訪れていた。
「…芙蓉、部活は?」
「津美紀ちゃんが心配で、今日はお休み」
1日くらい休んだって大丈夫、台所借りるよと声をかけて台所に立つ。具合の悪い津美紀が食べやすい物をと、手際よく雑炊を作り食べさせた。
「ありがとう。…少し元気が出てきたかも」
雑炊を食べ終えた津美紀が笑う。芙蓉がアパートを訪れた時よりも少しだけ顔色が良くなったようにも見えた。津美紀の笑顔に安堵した芙蓉は食器の片付けを始める。
洗い物をしている時に伏黒が帰ってきた。リビングで横になって休んでいる津美紀、台所にいる芙蓉を見て状況を察したようだった。
「芙蓉、」
「今雑炊食べたところ。結構食べてくれたよ」
芙蓉の言葉に頷き、伏黒は津美紀に声をかける。
「…おかえり」
「おう。しっかり休めよ」
ゆっくりと身体を起こし、気怠そうにしながらも伏黒の介助を辞して津美紀は自力で部屋を移動していった。
「恵、私そろそろ帰るね」
片付けを済ませ、リビングに戻ってきた伏黒に囁いた。この日も芙蓉を送ろうとした伏黒だが、津美紀を優先するようにと芙蓉に言われて渋い顔をする。
「走って帰るから心配しないで」
バスケ部だからこれくらいは大丈夫、と笑う芙蓉はまた明日ね、とアパートを出て行った。
津美紀は翌日1日休み、2日後には登校出来るまでに回復した。伏黒からその旨を聞かされ、少々心配ながらも芙蓉は安堵し、津美紀を労わるようにと釘を刺した。
その後、12月の中旬頃に津美紀は体調を崩した。毎月というわけではないが、津美紀がこんなに短いスパンで体調を崩すなんて事は今までなかった。さすがに伏黒は本格的に心配し始めていた。
「なぁ」
「…ぅん?」
布団で怠そうにする津美紀。熱はないため、風邪やインフルエンザの可能性はない。
「病院で診てもらえよ」
「…大丈夫よ、横になってると、だいぶ楽だし」
「原因がわかった方が安心できるだろ」
お互い譲らない気配。そこへ雑炊を作り上げた芙蓉が声をかける。津美紀は伏黒への返事を曖昧に、ゆっくりと起き上がり、リビングへ向かう。
「ねぇ津美紀ちゃん、病院行ってみたら?原因がわからないから心配だよ」
「…」
「調子悪い時に1人で行くのは大変だから、お母さんに付き添いお願いするし」
「…悪いからいいよ、大丈夫」
「津美紀ちゃんが良くても、私と恵は良くない」
ね、恵、と同意すれば、伏黒も黙って頷く。スプーンを持ったまま、じっと推し黙る津美紀。
「…受験が終わってから、ね」
津美紀の小さな返事に、伏黒と芙蓉は顔を見合わせる。
「もうあんまり授業を休みたくないの。体調が悪いって言っても、頭痛くらいだし。…あと、少し怠さがあるくらいだから」
「立ってられねぇくらい酷いんだろ」
「それは最初だけ。…休めば良くなるわ」
互いに譲らず、伏黒と津美紀の、意地の張り合いのような険悪な雰囲気になってくる。
「…じゃあさ、もしまた体調悪くなったら、その時は病院行くっていう事にしようよ、ね?」
早めに病院に行って欲しい伏黒と、極力病院に行きたくない津美紀ーそんな2人が妥協出来そうな着地点を芙蓉が提示すれば、渋々といった体ではあるが2人ともその案に了承した。
年が明ければ高校入試はもう目前。
幸いにして津美紀は体調を崩す事なく入試を乗り切る事ができたが、入試の結果が出る1週間前に彼女は体調を崩してしまった。授業中に具合が悪くなり、早退。養護教諭からその旨を伝えられた伏黒は芙蓉にもその事を伝える。芙蓉は放課後にアパートへ行くと返事をした。