芽生え
恵の幼馴染のお名前は?
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面倒くさい事が嫌いだ。
それは俺だけに限らず、誰しも同じだと思う。だが、人の感性がひとりひとり違うように、物事に対しての面倒くさいと思うポイントが人それぞれ違うから、そのおかげで世の中上手く回っているんだと思う。
中学に入ってから、本当に面倒くさいと思う事が増えた。学校の授業とか宿題とか、それは自分の立場上仕方ないし、きっと今の大人も、当時はそう思いながらもどうにか乗り越えてきたんだろう。
それでも。
最近、自分でも面倒くさいと思い過ぎじゃないかと本気で思うくらいに面倒くさい事ばかりだ。
話は変わるが、学校の近くに八十八橋という、この辺りで有名な心霊スポットがある。自殺の名所と言われているのもあって、呪霊もよく出るらしい。ガキの頃から話には聞いていたが、実際に現場に行ったのは中学に入ってから。勿論あの人に連れられて行ったのだが、なるほどその通りだった。
それほど強力な呪霊がいたわけでもなく、祓除はたいした事はなかったのだが、問題はその後。
“ここ、恵の通う中学校の学区内だから、この辺りの担当は恵ね。そーいう事でヨロシク〜”とか言われた。
俺は呪術師じゃないのに意味がわからない。仮に反論したところであの人はのらりくらりで話にならないし、ストレスが溜まるだけだ。というか俺に祓除を回すとか、ヤル気なさすぎだろあの人。…面倒くせぇ。
普通の大人なら、丸投げしたと見せかけておいて、裏でサポートしてくれたりするものだと思うが、あの人は丸投げしたらそれで終わり。本当に何もしない。
それがわかっている以上、やるしかない。面倒くせぇが、学区内だ。放っておけば呪霊が芙蓉や津美紀の辺りをウロつく可能性も出てくる。
さて、どう対処しようかー。
いつどこに発生するかわからない相手である上、学区はそこそこの広さ。呪霊の呪力を追ってその都度祓うとか、鵺に索敵させるとかいうのは非効率的過ぎる。となると、定期的に自分で巡回するのが一番手っ取り早いのかもしれない。学区をいくつか分割して、週ごとにそのエリアをくまなく見て回る。考えれば他にも方法があるのかもしれないが、まずはこの方法でやってみる事にした。面倒くせぇが仕方ない。どこか改善点があればその時に考えればいい。
とまぁ、そんなこんなで学区内の巡回を始めたのはいいが、問題は家に帰るのが遅くなる事。近場はともかく、家から遠いエリアを巡回するとなると、放課後から動くのもあってどうしても帰宅時間が遅くなる。津美紀には小言を言われるがそれは仕方ないし、その内この事が芙蓉の耳にも入るだろう事も想定内だ。
そしてある日、ただでさえ面倒くせぇ事が更に面倒くさくなる事が起きた。自校他校の悪ガキの存在だ。集団で屯して、数や雰囲気だけで周りの人を威嚇して。面倒だから関わりを持ちたくはないのだが、どうやら連中は暇人ばかりのようで、俺を見かけるとやれどこ中の奴だとか、この辺りは自分たちのナワバリだとか何とか寄ってきた。ナワバリがどうとかは犬相手にやってくれー。本当に面倒くせぇ。
適当にあしらって追い返して、その場は一旦片付いたが、これで終わらないだろう。面倒くせぇ。
果たして俺の予想通り、また別の日に巡回していたところ、追い返した連中の一部が現れた。それも初めて見る奴らを連れて。
この悪ガキ連中の、“友達の友達は友達”的な発想ーたぶん悪ガキの相手は当面は続くだろう事を覚悟して、この日もまた返り討ちにした。が、この日はひとつ、俺の想定外の出来事があったー芙蓉が現れた事だ。
津美紀から芙蓉に俺の話が伝わるのは予想していたが、俺を探しに来るとは思っていなかった。津美紀は家事をする都合上、帰宅してから俺を探しに来ることはまずない。そして芙蓉の方は、学校でやたらと俺の事を観察していたようなフシがあった。津美紀から、俺の様子を見るようにでも言われたんだろう、その辺りはわかりやすくて本当に助かる。そんなワケで、部活がある日に動けば問題ないと踏んでいたのだ。
それなのにー少々気が立っている状況で面食らった俺は、とにかく芙蓉を制止しようと思わず大声を出してしまった。怯えた芙蓉の顔を見て、自身の未熟さを情けなく思った。
とりあえず芙蓉を連れてその場を離れ、今にも泣き出しそうな芙蓉から事の経緯を尋ねてみると、やはり予想していた通りだった。
悪ガキ連中は何をするかわからない。芙蓉が巻き込まれるような事になればーそれは絶対に避けなければならない。俺は芙蓉を家まで送り、当面の間とにかく1人にならないように言ったが、芙蓉の様子からすると、本当にその通りにしてくれるか曖昧な反応だった。
芙蓉を送った帰り、アレコレ考えた。
呪霊を祓うついでに近所の悪ガキも一掃できたら良いのだがーいろんな思いが去来する。
“他人と関わる上での最低限のルール”、それを平気で破ってくる連中ー。
あぁもう本っ当に面倒くせぇ。
ウダウダ考えるのはもうやめた。
あいつら全員、片っ端からシメてやる。
それは俺だけに限らず、誰しも同じだと思う。だが、人の感性がひとりひとり違うように、物事に対しての面倒くさいと思うポイントが人それぞれ違うから、そのおかげで世の中上手く回っているんだと思う。
中学に入ってから、本当に面倒くさいと思う事が増えた。学校の授業とか宿題とか、それは自分の立場上仕方ないし、きっと今の大人も、当時はそう思いながらもどうにか乗り越えてきたんだろう。
それでも。
最近、自分でも面倒くさいと思い過ぎじゃないかと本気で思うくらいに面倒くさい事ばかりだ。
話は変わるが、学校の近くに八十八橋という、この辺りで有名な心霊スポットがある。自殺の名所と言われているのもあって、呪霊もよく出るらしい。ガキの頃から話には聞いていたが、実際に現場に行ったのは中学に入ってから。勿論あの人に連れられて行ったのだが、なるほどその通りだった。
それほど強力な呪霊がいたわけでもなく、祓除はたいした事はなかったのだが、問題はその後。
“ここ、恵の通う中学校の学区内だから、この辺りの担当は恵ね。そーいう事でヨロシク〜”とか言われた。
俺は呪術師じゃないのに意味がわからない。仮に反論したところであの人はのらりくらりで話にならないし、ストレスが溜まるだけだ。というか俺に祓除を回すとか、ヤル気なさすぎだろあの人。…面倒くせぇ。
普通の大人なら、丸投げしたと見せかけておいて、裏でサポートしてくれたりするものだと思うが、あの人は丸投げしたらそれで終わり。本当に何もしない。
それがわかっている以上、やるしかない。面倒くせぇが、学区内だ。放っておけば呪霊が芙蓉や津美紀の辺りをウロつく可能性も出てくる。
さて、どう対処しようかー。
いつどこに発生するかわからない相手である上、学区はそこそこの広さ。呪霊の呪力を追ってその都度祓うとか、鵺に索敵させるとかいうのは非効率的過ぎる。となると、定期的に自分で巡回するのが一番手っ取り早いのかもしれない。学区をいくつか分割して、週ごとにそのエリアをくまなく見て回る。考えれば他にも方法があるのかもしれないが、まずはこの方法でやってみる事にした。面倒くせぇが仕方ない。どこか改善点があればその時に考えればいい。
とまぁ、そんなこんなで学区内の巡回を始めたのはいいが、問題は家に帰るのが遅くなる事。近場はともかく、家から遠いエリアを巡回するとなると、放課後から動くのもあってどうしても帰宅時間が遅くなる。津美紀には小言を言われるがそれは仕方ないし、その内この事が芙蓉の耳にも入るだろう事も想定内だ。
そしてある日、ただでさえ面倒くせぇ事が更に面倒くさくなる事が起きた。自校他校の悪ガキの存在だ。集団で屯して、数や雰囲気だけで周りの人を威嚇して。面倒だから関わりを持ちたくはないのだが、どうやら連中は暇人ばかりのようで、俺を見かけるとやれどこ中の奴だとか、この辺りは自分たちのナワバリだとか何とか寄ってきた。ナワバリがどうとかは犬相手にやってくれー。本当に面倒くせぇ。
適当にあしらって追い返して、その場は一旦片付いたが、これで終わらないだろう。面倒くせぇ。
果たして俺の予想通り、また別の日に巡回していたところ、追い返した連中の一部が現れた。それも初めて見る奴らを連れて。
この悪ガキ連中の、“友達の友達は友達”的な発想ーたぶん悪ガキの相手は当面は続くだろう事を覚悟して、この日もまた返り討ちにした。が、この日はひとつ、俺の想定外の出来事があったー芙蓉が現れた事だ。
津美紀から芙蓉に俺の話が伝わるのは予想していたが、俺を探しに来るとは思っていなかった。津美紀は家事をする都合上、帰宅してから俺を探しに来ることはまずない。そして芙蓉の方は、学校でやたらと俺の事を観察していたようなフシがあった。津美紀から、俺の様子を見るようにでも言われたんだろう、その辺りはわかりやすくて本当に助かる。そんなワケで、部活がある日に動けば問題ないと踏んでいたのだ。
それなのにー少々気が立っている状況で面食らった俺は、とにかく芙蓉を制止しようと思わず大声を出してしまった。怯えた芙蓉の顔を見て、自身の未熟さを情けなく思った。
とりあえず芙蓉を連れてその場を離れ、今にも泣き出しそうな芙蓉から事の経緯を尋ねてみると、やはり予想していた通りだった。
悪ガキ連中は何をするかわからない。芙蓉が巻き込まれるような事になればーそれは絶対に避けなければならない。俺は芙蓉を家まで送り、当面の間とにかく1人にならないように言ったが、芙蓉の様子からすると、本当にその通りにしてくれるか曖昧な反応だった。
芙蓉を送った帰り、アレコレ考えた。
呪霊を祓うついでに近所の悪ガキも一掃できたら良いのだがーいろんな思いが去来する。
“他人と関わる上での最低限のルール”、それを平気で破ってくる連中ー。
あぁもう本っ当に面倒くせぇ。
ウダウダ考えるのはもうやめた。
あいつら全員、片っ端からシメてやる。