不倶戴天
恵の幼馴染のお名前は?
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視界を奪われる程の光が辺りを支配した後、岩陰に身を隠していた高専の学生たちはある一点を目指して一斉に駆け出した。芙蓉も例外なく狗巻の背中を追った。隣にいたはずの虎杖には到底追いつけそうもなかった。
天使の術式が獄門疆の効果を打ち消し、その封印が解かれ、現代最強の術師が現れるはずだ。
「先生!近づいて平気⁉︎」
虎杖が声をかけるも返事が無く、獄門疆は跡形も無く消え去っていた。一同に戸惑いが広がる中、大きな地鳴りに続き大地が揺れた。
「地震…⁉︎」
「このタイミングって偶然じゃねぇよな」
五条は必ず戻って来てくれるーその想いを抱え、彼を信じる一同は拠点へと戻った。
果たして彼が皆の前に姿を見せたのは2日後の事だった。高専の惨状を目にした後、五条は高専に所縁のある場所を転々と見て回っていたという。
今後の動きに関して五条と全員の顔合わせ兼話し合いが終わり、芙蓉は五条と共に居る伊地知を呼び止めた。
「どったの芙蓉?」
「あ…、伊地知さんに、」
「はい、何でしょうか?」
芙蓉はちら、と五条を見上げた。
「なーに?僕が居ても話は出来るでしょ」
逡巡した後、芙蓉は意を決した様に口を開く。
「あの…、仙台に行きたいんです。…移動の相談を、」
芙蓉の予想した通り、驚く伊地知の隣で五条が興味深く彼女を見下ろしていた。
「随分と遠出だね?牛タンでも食べに行くの?」
「…津美紀ちゃんを、迎えに行きたいんです」
五条の冗談に返事もせず、真剣な表情の芙蓉を前に伊地知は口を噤み、代わりに五条が口を開いた。
「…悠仁から話は聞いてるよ。…けど、芙蓉が行ったところで何が出来るの?芙蓉は回游の泳者でもないし、もう回游への参加も出来ない。結界にも入れないだろうし、移動中に津美紀ちゃんを手にかけた奴に襲われる可能性だってあるんだよ?」
五条の言葉に芙蓉は俯き唇を噛んだ。
「っ、でも…、」
涙が溢れんばかりの芙蓉の目を見て、困り顔をしていた伊地知は更に眉間を寄せた。
「…津美紀ちゃんを手にかけたのは恐らく宿儺だ」
「!」
「コレは硝子から聞いたけど、芙蓉、前に宿儺につけられた傷…、渋谷の件で大きくなったって話じゃん。そんなんじゃすぐ見つかって殺されるよ」
「ご、五条さん…」
そこまで言わなくても、と口を挟もうとした伊地知を制し、五条は更に続ける。
「宿儺が恵に受肉してる。恵の身体を奪う為に、宿儺も必死なんだよ。津美紀ちゃんを殺したのもその為、恵のメンタルを破壊する為だよ。…何が何でも守りたかった存在を目の前で殺されたとなれば、誰だって絶望感に苛まれる。芙蓉まで宿儺の手にかかったとしたら、恵はもう戻って来れないだろうね」
パタ、と芙蓉の涙が溢れて地を濡らした。五条はそんな芙蓉を見、困った様に息を吐いた。
「…芙蓉が行かなきゃダメって事はないでしょ」
予想しなかった五条の言葉に芙蓉は顔を上げた。涙がまた一粒溢れ落ちた。
「真希に頼みなよ。…あと冥さんの弟」
「…!」
「呪力ゼロになった事を活かして結界間のメッセンジャーやってたんでしょ?…あ、ちょうど良いところに」
真希、ちょっと良いかい、と五条は近くにやって来た真希を呼び寄せた。
「…なんか用かよ」
「うん、冥さんの弟と一緒にさ、ちょっとおつかい頼まれて欲しいんだけど」
「…はぁ?手前で行けよ」
「そう堅いこと言わないでさぁ。真希にしか出来ないんだよ、津美紀ちゃんのお迎え」
真希はハッとした様に五条を見上げ、隣で目と鼻を赤くした芙蓉を見、状況を察した様だった。大きく息を吐き、面倒そうな顔をしながらも場所は、と芙蓉を見た。
「…仙台結界、みたいなんです」
「わーったよ。行きゃあ良いんだろ」
「真希」
真剣な五条の声に、2人の目が青い瞳を見つめ返す。
「タイムリミットは1日。見つからなくても必ず1日で戻って来る事。…いいね」
「…おう」
「芙蓉も。…真希が自由に動けるからって、危険がないわけじゃない。もし津美紀ちゃんが見つからなくてもキッパリ諦める事。いいね?」
「…は、い…、真希さん、お願い、します」
「任せとけ」
息を詰めてやり取りを見守っていた伊地知が安堵の息を大きく吐いた。
「伊地知ィ」
「っはいぃ!」
「…新田は何処に居る?あの子の弟、なかなか面白い術式待ってるって話じゃん?ちょっと呼んでもらってよ」
突然の指示に戸惑いながらも、伊地知は新田へと電話をかけ始めた。芙蓉の目に溢れていた涙はすっかり落ち着き、首を傾げて五条を見上げた。
「…いくら何でも冷凍保存だけじゃ心配だし、可哀想でしょ?新田の弟に手を貸してもらうのも良いと思うよ」
芙蓉は涙が集まる感覚に目元を拭うが、どうにも止められそうになかった。
「…もう芙蓉、そんなに泣かないでよ、僕が泣かせたみたいじゃん」
「実際泣かせてるだろ」
あんま苛めんなよ、と言い残して真希は憂憂を見つけて声を掛けに行ってしまった。
「悟、くん、」
「…うん?」
「ありが、とう」
五条は歯を見せてにかっと笑った。
「お礼を言うのは僕じゃないでしょ。真希と、憂憂、新田。…泣いてばっかりだと、恵も心配するよ」
言いながら五条は芙蓉の胸元を指差した。ちょうど彼女の首から下げたネックレスのある辺りだった。
「…うん」
「失礼します。…新田さんですが、弟さんをピックアップしてからおよそ2、3時間後にはこちらに到着出来そうだという事です」
「ありがとうございます」
芙蓉が頭を下げると、再び伊地知のスマホが着信を告げる。すみません、と彼は電話に応じた。
「…相変わらず忙しいねぇ」
五条が笑うと、通話を終えた伊地知は真剣な顔をして芙蓉を見、五条を見上げた。
「すみません五条さん、大事なお話が、」
「あっ、私もう行きますね!悟くん、伊地知さん、本当にありがとうございました!」
芙蓉は五条と伊地知を気遣い、頭を下げて足早にその場を後にした。
天使の術式が獄門疆の効果を打ち消し、その封印が解かれ、現代最強の術師が現れるはずだ。
「先生!近づいて平気⁉︎」
虎杖が声をかけるも返事が無く、獄門疆は跡形も無く消え去っていた。一同に戸惑いが広がる中、大きな地鳴りに続き大地が揺れた。
「地震…⁉︎」
「このタイミングって偶然じゃねぇよな」
五条は必ず戻って来てくれるーその想いを抱え、彼を信じる一同は拠点へと戻った。
果たして彼が皆の前に姿を見せたのは2日後の事だった。高専の惨状を目にした後、五条は高専に所縁のある場所を転々と見て回っていたという。
今後の動きに関して五条と全員の顔合わせ兼話し合いが終わり、芙蓉は五条と共に居る伊地知を呼び止めた。
「どったの芙蓉?」
「あ…、伊地知さんに、」
「はい、何でしょうか?」
芙蓉はちら、と五条を見上げた。
「なーに?僕が居ても話は出来るでしょ」
逡巡した後、芙蓉は意を決した様に口を開く。
「あの…、仙台に行きたいんです。…移動の相談を、」
芙蓉の予想した通り、驚く伊地知の隣で五条が興味深く彼女を見下ろしていた。
「随分と遠出だね?牛タンでも食べに行くの?」
「…津美紀ちゃんを、迎えに行きたいんです」
五条の冗談に返事もせず、真剣な表情の芙蓉を前に伊地知は口を噤み、代わりに五条が口を開いた。
「…悠仁から話は聞いてるよ。…けど、芙蓉が行ったところで何が出来るの?芙蓉は回游の泳者でもないし、もう回游への参加も出来ない。結界にも入れないだろうし、移動中に津美紀ちゃんを手にかけた奴に襲われる可能性だってあるんだよ?」
五条の言葉に芙蓉は俯き唇を噛んだ。
「っ、でも…、」
涙が溢れんばかりの芙蓉の目を見て、困り顔をしていた伊地知は更に眉間を寄せた。
「…津美紀ちゃんを手にかけたのは恐らく宿儺だ」
「!」
「コレは硝子から聞いたけど、芙蓉、前に宿儺につけられた傷…、渋谷の件で大きくなったって話じゃん。そんなんじゃすぐ見つかって殺されるよ」
「ご、五条さん…」
そこまで言わなくても、と口を挟もうとした伊地知を制し、五条は更に続ける。
「宿儺が恵に受肉してる。恵の身体を奪う為に、宿儺も必死なんだよ。津美紀ちゃんを殺したのもその為、恵のメンタルを破壊する為だよ。…何が何でも守りたかった存在を目の前で殺されたとなれば、誰だって絶望感に苛まれる。芙蓉まで宿儺の手にかかったとしたら、恵はもう戻って来れないだろうね」
パタ、と芙蓉の涙が溢れて地を濡らした。五条はそんな芙蓉を見、困った様に息を吐いた。
「…芙蓉が行かなきゃダメって事はないでしょ」
予想しなかった五条の言葉に芙蓉は顔を上げた。涙がまた一粒溢れ落ちた。
「真希に頼みなよ。…あと冥さんの弟」
「…!」
「呪力ゼロになった事を活かして結界間のメッセンジャーやってたんでしょ?…あ、ちょうど良いところに」
真希、ちょっと良いかい、と五条は近くにやって来た真希を呼び寄せた。
「…なんか用かよ」
「うん、冥さんの弟と一緒にさ、ちょっとおつかい頼まれて欲しいんだけど」
「…はぁ?手前で行けよ」
「そう堅いこと言わないでさぁ。真希にしか出来ないんだよ、津美紀ちゃんのお迎え」
真希はハッとした様に五条を見上げ、隣で目と鼻を赤くした芙蓉を見、状況を察した様だった。大きく息を吐き、面倒そうな顔をしながらも場所は、と芙蓉を見た。
「…仙台結界、みたいなんです」
「わーったよ。行きゃあ良いんだろ」
「真希」
真剣な五条の声に、2人の目が青い瞳を見つめ返す。
「タイムリミットは1日。見つからなくても必ず1日で戻って来る事。…いいね」
「…おう」
「芙蓉も。…真希が自由に動けるからって、危険がないわけじゃない。もし津美紀ちゃんが見つからなくてもキッパリ諦める事。いいね?」
「…は、い…、真希さん、お願い、します」
「任せとけ」
息を詰めてやり取りを見守っていた伊地知が安堵の息を大きく吐いた。
「伊地知ィ」
「っはいぃ!」
「…新田は何処に居る?あの子の弟、なかなか面白い術式待ってるって話じゃん?ちょっと呼んでもらってよ」
突然の指示に戸惑いながらも、伊地知は新田へと電話をかけ始めた。芙蓉の目に溢れていた涙はすっかり落ち着き、首を傾げて五条を見上げた。
「…いくら何でも冷凍保存だけじゃ心配だし、可哀想でしょ?新田の弟に手を貸してもらうのも良いと思うよ」
芙蓉は涙が集まる感覚に目元を拭うが、どうにも止められそうになかった。
「…もう芙蓉、そんなに泣かないでよ、僕が泣かせたみたいじゃん」
「実際泣かせてるだろ」
あんま苛めんなよ、と言い残して真希は憂憂を見つけて声を掛けに行ってしまった。
「悟、くん、」
「…うん?」
「ありが、とう」
五条は歯を見せてにかっと笑った。
「お礼を言うのは僕じゃないでしょ。真希と、憂憂、新田。…泣いてばっかりだと、恵も心配するよ」
言いながら五条は芙蓉の胸元を指差した。ちょうど彼女の首から下げたネックレスのある辺りだった。
「…うん」
「失礼します。…新田さんですが、弟さんをピックアップしてからおよそ2、3時間後にはこちらに到着出来そうだという事です」
「ありがとうございます」
芙蓉が頭を下げると、再び伊地知のスマホが着信を告げる。すみません、と彼は電話に応じた。
「…相変わらず忙しいねぇ」
五条が笑うと、通話を終えた伊地知は真剣な顔をして芙蓉を見、五条を見上げた。
「すみません五条さん、大事なお話が、」
「あっ、私もう行きますね!悟くん、伊地知さん、本当にありがとうございました!」
芙蓉は五条と伊地知を気遣い、頭を下げて足早にその場を後にした。